家の中にアリが大量発生する原因は?侵入経路・巣の場所と駆除方法

キッチンや洗面所、リビングなどに突然アリの行列ができると、「どこからこんなに入ってきたのか」「家の中に巣があるのでは」と不安になることがあります。

家の中にアリが大量に現れる理由は、大きく分けると、屋外の巣から餌や水を求めて侵入しているケース、建物の壁・床・家具などに営巣しているケース、羽アリが一斉に出ているケースがあります。

目の前にいるアリだけをスプレーで処理しても、屋外や壁の中に巣が残っていれば再び現れることがあります。

まずはアリの行列、出てくる隙間、発生場所、羽の有無を確認し、どのタイプの発生なのかを切り分けます。

目次

家の中にアリが大量発生する主な原因

室内に大量のアリがいるからといって、必ず家の中に大きな巣があるとは限りません。

主な原因は次の3つに分けられます。

原因 見つかり方の例
屋外の巣から侵入 窓・ドア・配管周辺などから行列になって食品へ向かう
建物内に営巣 壁や巾木、家具、床の隙間などから繰り返し多数出る
羽アリの一斉発生 羽のある個体が窓際・照明付近などに短時間で多数現れる

同じ「アリ大量発生」でも、原因によって必要な対策が違います。

屋外の巣から餌を求めて入ってくる場合

庭や建物周辺に巣を作るアリは、餌を見つけるため室内へ入り込むことがあります。

東京都ペストコントロール協会によると、アリは餌を見つけて巣へ戻る際に「道しるべフェロモン」を残し、後続の働きアリがそれをたどることで行列ができます。

つまり、一匹が食品を見つけた後に、次々と同じ経路から入ってくることがあります。

誘引されやすいものには、

  • 砂糖や菓子
  • パン・食品くず
  • 果物
  • 飲料のこぼれ
  • 生ごみ
  • ペットフード

などがあります。

食べ物が目立たなくても、床や家具下に小さな食品片が残っている場合があります。

家の中に巣を作るアリもいる

「アリは全部、庭や土の中に巣を作る」とは限りません。

東京都ペストコントロール協会や名古屋市は、イエヒメアリについて、

  • 壁の内部
  • 床板の間
  • 家具
  • 押入れ
  • 内装材の下
  • モルタルの裂け目

など、建物内部へ営巣することがあるとしています。

このタイプでは、食品を片付けても壁や床の隙間から何度も出てくる場合があります。

特に、1〜2mm程度の非常に小さな薄茶色・黄色系のアリが、複数の部屋や収納から長期間出続ける場合は、単純な屋外侵入だけでなく屋内営巣も候補になります。

家の中で見かける小さいアリの例

住宅に入ってくるアリには多くの種類があります。見た目だけで確定するのは難しいため、次の特徴はあくまで候補を絞るために使います。

種類 特徴・住宅での見つかり方
イエヒメアリ 約2mm。淡褐色で腹部後半が濃い。建物内部の隙間へ営巣することがある
ヒメアリ 2mm以下。屋内へ侵入し食品へ群がることがある
トビイロケアリ 黒褐色。屋外から侵入するほか、腐朽した木材等に営巣して家屋内に出ることもある
ルリアリ 約2mmの小型で黒っぽく光沢がある。住宅周辺や構造物の隙間を利用する
オオハリアリ 約4mm。住宅近くの朽木等に営巣し、刺す場合がある

名古屋市は、イエヒメアリが屋内へ営巣し、人の皮膚を噛んで皮膚炎の原因になる場合があることも案内しています。

アリは家のどこから入ってくる?

アリは小さな隙間を利用できるため、侵入口は一か所とは限りません。

行列ができている場合は、すぐ全部を拭き取る前に、安全な範囲でどこから来ているか確認します。

確認したい場所には、

  • 窓枠・サッシ
  • 玄関や勝手口
  • 巾木と床の境目
  • 壁のひび・隙間
  • 配管の貫通部
  • エアコン配管周辺
  • 収納の奥
  • キッチン・洗面台下の配管周囲
  • 外壁と基礎周辺

などがあります。

アリが壁や床の隙間へ出入りしている場合は、写真や位置を記録しておくと対策しやすくなります。

行列をたどると侵入口が分かることがある

アリが列を作っている場合、餌の方向だけを見るのではなく、逆方向へたどってみます。

壁際、窓、床の隙間、配管周辺などへ列が続いていれば、そこが侵入口や巣へ続く経路の候補です。

ただし、行列の先が壁の内部に入っているからといって、壁を壊して確認する必要はありません。

まず位置を記録し、食品・水分の除去や適切なベイト剤による対策を進めます。

キッチンにアリが大量に出る場合

キッチンは食品と水分の両方があるため、アリが集まりやすい場所です。

確認したいのは、

  • 砂糖・菓子などの開封食品
  • 食品棚のこぼれ
  • 床の食品くず
  • 生ごみ
  • 飲料の残り
  • シンク周辺の水滴
  • ペットフード
  • 配管周囲の隙間

です。

アリがたかった食品は、状態に応じて廃棄し、今後は密閉できる容器へ移します。

洗面所・浴室周辺に出る場合

水回りでアリが出る場合もあります。

水分を利用している場合だけでなく、建物内部の腐朽した木材や壁の隙間に営巣する種類が出てくるケースもあります。

特に、水漏れや木材の腐朽がある場所から繰り返し出てくる場合は、アリ対策だけでなく建物側の水分原因も確認します。

まず食品・水分を減らす

アリ対策では、殺虫剤を使う前後に環境を整えることが重要です。

東京都ペストコントロール協会は、屋内へ侵入するアリに対して、餌になるものを密閉容器で保管し、アリがたかった食品を処分することを案内しています。

住宅では、

  • 開封食品を密閉する
  • 食品くずを清掃する
  • 生ごみを密閉する
  • ペットフードを出しっぱなしにしない
  • 甘い飲料のこぼれを拭き取る
  • 水漏れを修理する

といった対応を行います。

目の前のアリだけスプレーすれば解決する?

スプレータイプの殺虫剤は、見えているアリをその場で処理する用途には使えます。

しかし、大量発生している場合に問題なのは、見えている働きアリだけとは限りません。

巣が屋外や壁内部に残っていれば、別の働きアリが再び出てくる可能性があります。

そのため、数匹を処理しただけで「巣まで駆除できた」と判断しない方がよいでしょう。

薬剤を使用する場合は、必ずアリに適用のある製品を選び、食品・食器・子ども用品・ペット用品へ付着させないよう、製品表示に従って使用してください。

大量発生ではベイト剤が選択肢になる

アリ用の毒餌・ベイト剤は、働きアリに餌を巣へ運ばせる方法です。

東京都ペストコントロール協会は、働きアリが餌を巣へ持ち帰り、女王や幼虫と分け合う性質を利用することで、巣の場所が分からない場合でも巣全体へ作用させる可能性があるとしています。

設置するときは、

  • アリの通路付近
  • 壁際
  • 侵入口候補の近く

など、製品表示で認められた場所へ配置します。

ベイト剤の周囲へ別の薬剤を大量に噴霧するなど、製品表示にない自己流の併用は避けてください。

ベイト剤を置いたのにアリが集まらない場合

アリの種類や時期によって好む餌が異なるため、設置したベイト剤へすぐ集まるとは限りません。

また、室内に食品くずや甘い食品など別の餌が大量に残っていると、そちらを利用している可能性があります。

ベイト剤だけに頼らず、食品・ごみ・水分の管理と組み合わせます。

製品の交換時期や設置数については、使用する製品の表示を優先してください。

侵入口はいつ塞ぐ?

窓枠、巾木、配管周辺など明らかな隙間からアリが出入りしている場合、最終的には侵入口を塞ぐことも再発防止につながります。

ただし、大量に活動している最中に見える穴だけを次々塞いでも、別の隙間から出てくることがあります。

まず発生経路を確認し、餌・水分管理や巣への対策を行ったうえで、必要な隙間を補修します。

外壁、配管、建具など住宅部位ごとの確認は、住宅の場所から害獣・害虫トラブルを調べるも参考にしてください。

羽のあるアリが大量に出た場合は別に考える

家の中にいる虫の多くに羽が付いている場合は、通常の働きアリの行列とは別に確認します。

一般的なアリにも繁殖期には羽アリが現れますが、シロアリにも羽アリがあります。

横浜市や大阪市は、シロアリと普通のアリの羽アリについて、

普通のアリ シロアリ
触角 途中で曲がる 数珠状で比較的まっすぐ
腰 くびれがある 寸胴
前後の羽 前羽の方が大きい 4枚がほぼ同じ大きさ

といった違いを案内しています。

浴室、洗面所、床・壁の隙間など、建物内部の一か所から羽アリが次々出ている場合は、シロアリの可能性も含めて確認してください。

シロアリが疑われる場合はシロアリ対策の総合ページへ進み、普通のアリと同じ駆除方法で済ませないようにします。

大量の羽アリに殺虫剤をかけてよい?

目の前の虫を処理すること自体と、発生源を解決することは別です。

シロアリだった場合、大阪市は羽アリだけを市販殺虫剤で駆除しても、建物内部には働きアリ等の集団が残るため、根本的な対策にはならないと案内しています。

大量の羽アリが建物内部から出ている場合は、発生場所・時間・虫体を写真で残し、種類を確認してから次の対応を決めます。

家の中に巣がある可能性を考えるサイン

次のような場合は、単発の屋外侵入より屋内営巣の可能性も考えます。

  • 同じ壁や床の隙間から毎日出る
  • キッチン以外の部屋にも現れる
  • 食品を完全に片付けても大量に出る
  • 冬季を含め長期間出続ける
  • 非常に小さなアリが複数の隙間から出る
  • 家具や収納内部から出てくる

イエヒメアリのように建物内部へ営巣する種類は、巣の位置を一般の居住者が特定するのが難しい場合があります。

壁を壊して巣を探す必要はない

アリが壁の隙間から出ているからといって、自分で壁や床を剥がして巣を探す必要はありません。

建物内部には配線・配管があるため、無理な解体は別のトラブルにつながります。

発生箇所を写真で残し、ベイト剤や環境管理で改善しない場合は専門業者へ調査を依頼します。

行列を拭き取ってもまた出てくる理由

行列そのものを掃除すると一時的にアリが減って見えることがあります。

しかし、巣や餌場が残っていれば、新たな働きアリが再び探索に来ることがあります。

行列を消すことだけを目的にせず、

  • 何を食べに来ているか
  • どこから入っているか
  • 屋外か屋内のどちらに巣がありそうか

を確認してください。

家が汚いからアリが出るとは限らない

食品や生ごみの管理は重要ですが、アリが出ることだけを理由に「家が不衛生だから」とは断定できません。

屋外に普通に生息するアリが、わずかな隙間から室内へ入り込むケースもあります。

一方で、侵入したアリが利用できる食品や水分が多いと、行列が維持されやすくなります。

そのため、清掃は「アリが出た原因を責める」ためではなく、室内を餌場として利用されにくくするために行います。

刺す・噛むアリもいる

一般的な住宅侵入アリの多くは強い健康被害を起こすものではありませんが、種類によっては刺したり噛んだりするものがあります。

名古屋市はオオハリアリについて、人を刺すことがあり、ハチ刺傷と同様の症状を示す場合があると案内しています。

種類が分からず、アリに触れて刺された・噛まれた症状が繰り返される場合は、素手で捕まえず専門家へ種類の確認を依頼します。

見慣れない赤褐色のアリが大量にいる場合

日本国内には通常の住宅害虫とは別に、ヒアリなど特定外来生物として管理されているアリもあります。

見た目だけで一般の人が正確に判別するのは難しいため、疑わしい個体を見つけた場合は素手で触らず、自治体や環境行政の窓口へ確認してください。

通常の家庭用アリ対策の記事だけを見て自己判断しないことが重要です。

自分で対策しやすいケース

次のような状態なら、まず家庭での環境改善と市販のアリ用製品を試せる場合があります。

  • 普通の働きアリと判断できる
  • 一つの窓・ドア等から侵入している
  • 食品へ向かう行列が確認できる
  • 発生場所が限定されている
  • 壁や家具内部から繰り返し出ている様子がない
  • 刺す種類ではない

製品を使う場合は、対象害虫、使用場所、用量を必ず表示で確認します。

専門業者へ相談した方がよいケース

次のような場合は、目の前のアリだけを処理し続けるより、種類と発生源を調べてもらう方がよいでしょう。

  • 複数の部屋に大量発生している
  • 壁・床・家具の内部から繰り返し出る
  • 非常に小さなアリが長期間出続ける
  • 食品を片付けても減らない
  • ベイト剤等を表示どおり使用しても改善しない
  • 刺す・噛む被害がある
  • アリの種類が分からない
  • 羽アリが大量に出てシロアリとの区別がつかない

さいたま市も、住居内の害虫について、発生原因が住宅内にある場合は原因そのものを除去することが根本解決に必要とし、種類が分からない場合は保健所等で同定相談を受けられる場合があると案内しています。

業者へ依頼する場合の費用は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先の比較は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。

家の中にアリが大量発生したときの対応順

  1. アリの大きさ・色・羽の有無を写真に残す
  2. 行列と発生場所を確認する
  3. 羽アリならシロアリとの違いを確認する
  4. 通常のアリなら行列を逆にたどり侵入口候補を探す
  5. 食品・生ごみ・ペットフードを密閉する
  6. 床の食品くずや甘い飲料を清掃する
  7. 水漏れや常時濡れている場所を確認する
  8. 必要ならアリ用ベイト剤を製品表示どおり使用する
  9. 活動が落ち着いた後に侵入隙間を補修する
  10. 大量発生が続く・複数室・屋内営巣疑いなら専門調査を検討する

よくある質問

家の中にアリが大量に出るのはなぜですか?

屋外の巣から食品や水分を求めて侵入している場合、壁・床・家具内部に営巣している場合、繁殖期の羽アリが一斉に発生している場合などがあります。

アリの行列は巣まで続いていますか?

働きアリは餌場と巣の間を往復して行列を作ることがあります。行列を逆にたどることで侵入口や巣の方向を絞れる場合がありますが、壁内部まで無理に追跡する必要はありません。

家の中にアリの巣ができることはありますか?

あります。イエヒメアリなどは、壁内、床板の間、家具、押入れなど建物内部へ営巣することがあります。

アリを全部スプレーで殺せば終わりますか?

見えている働きアリは処理できますが、巣が残っていれば再び出てくることがあります。大量・反復発生では、発生源と侵入口の確認が必要です。

ベイト剤はなぜ巣にも効くのですか?

働きアリが毒餌を巣へ持ち帰り、女王や幼虫などと餌を分ける性質を利用します。使用する製品の適用害虫・使用方法を守ってください。

小さい黄色っぽいアリが何度も出ます。

イエヒメアリなど屋内に営巣する小型種も候補になります。ただし色や大きさだけでは確定できません。複数室から長期間出る場合は専門的な同定・防除を検討してください。

羽のあるアリが大量に出ました。

一般的なアリの羽アリとシロアリの両方が候補です。触角、腰のくびれ、前後の羽の大きさを確認し、シロアリの特徴がある場合はシロアリ対策として点検してください。

アリが出るのは家が汚いからですか?

必ずしもそうではありません。屋外にいるアリが建物の小さな隙間から侵入することもあります。ただし食品・水分を利用できる状態は行列が続く原因になるため、清掃と食品管理は重要です。

隙間はすぐ全部塞いだ方がよいですか?

侵入口の封鎖は再発防止になりますが、大量に活動している状態で見える穴だけを塞いでも別経路へ移る場合があります。行列・発生源を確認し、餌や巣への対策と組み合わせて補修します。

市役所や保健所に相談できますか?

自治体によっては害虫の種類の同定や対策相談を行っています。さいたま市では、住居内で困っている虫を持参すると可能な範囲で同定・対策助言を行っていますが、駆除作業自体は行っていません。所在地自治体の制度を確認してください。

参考情報

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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