ネズミは自分で駆除できる?粘着シート・毒餌・侵入口対策の手順

家の中でネズミの糞やかじり跡を見つけたり、夜になると天井裏からカサカサ・カリカリと音がしたりすると、「まず自分で駆除できないか」と考えることがあります。

被害が軽く、侵入口や通り道を安全な場所から確認できる住宅であれば、自分で対策できる範囲はあります。

ただし、ネズミ対策は粘着シートや毒餌を1つ置くだけでは終わりません。

自治体が案内する対策も、餌をなくす、巣や隠れ場所を減らす、侵入口を塞ぐといった環境対策を行ったうえで、必要に応じて罠や殺そ剤を組み合わせるという考え方が基本です。

すでに複数の部屋で被害がある、侵入口が分からない、屋根・床下・天井裏奥での作業が必要、配線がかじられているといった場合は、DIYだけで解決しようとしない方がよいでしょう。

目次

ネズミを自分で駆除するときの順番

段階 行うこと
1. 被害を確認 糞・物音・かじり跡・黒い擦れ跡などを記録
2. 餌をなくす 食品、生ごみ、ペットフード等を管理
3. 巣材・隠れ場所を減らす 紙、布、ビニール、段ボール、不要物を整理
4. 通り道・侵入口を確認 壁際、配管周囲、通風口、換気口などを点検
5. 捕獲・殺そ剤を使う 粘着板、かごわな、殺そ剤を状況に応じて使用
6. 侵入口を対策 金網、金属たわし、適切なパテ等で再侵入を減らす
7. 効果を確認 新しい糞・物音・かじり跡が止まったかを見る

途中の「罠」だけを行い、餌や侵入口をそのままにすると、新しいネズミが入り続ける可能性があります。

最初に本当にネズミがいるか確認する

姿を直接見ていなくても、次のような痕跡が複数ある場合はネズミを疑う材料になります。

  • 小さな黒い糞
  • 夜間のカサカサ・カリカリ・走行音
  • 食品袋や家具などのかじり跡
  • 壁際・配管沿いの黒い擦れ跡
  • 紙・布・ビニールなどを集めた巣材
  • 食品が荒らされる

中野区は、ネズミが木をかじる「カリカリ・ガリガリ」、断熱材の上を走る「カサカサ」、天井裏を走る音などを代表的なサインとして案内しています。

原因がまだネズミと断定できない場合は、症状・痕跡から害獣・害虫を探すページから他の動物も含めて確認してください。

最初に餌をなくす

罠や殺そ剤を置く前に行いたいのが、ネズミが利用できる食べ物を減らすことです。

中野区、横浜市、港区、大田区などの自治体は、家庭のネズミ対策で餌の管理を重視しています。

確認したいのは、

  • 食品を袋のまま放置していないか
  • 乾麺・菓子・調味料が戸棚内でむき出しになっていないか
  • 生ごみを夜間放置していないか
  • ペットフードを出したままにしていないか
  • 仏壇のお供えを夜も置いていないか
  • 野菜・果物を床や開放棚に置いていないか

です。

食品は冷蔵庫、扉付き戸棚、ふた付きの丈夫な容器などへ収納します。

「毒餌を置くから普通の食べ物はそのままでよい」という方法では、ネズミが殺そ剤を選んで食べるとは限りません。

巣材と隠れ場所を減らす

ネズミは、ティッシュ、布、紙ごみ、ビニールなどを巣材として利用します。

中野区は、押入れ、流しの下、段ボール、引き出し、冷蔵庫や家具の下・裏などを巣の点検場所として案内しています。

大田区も、新聞、ティッシュ、スーパーの袋、衣類などが巣材になるとしています。

そのため、

  • 使っていない段ボールを減らす
  • 紙袋やビニール袋を大量に積まない
  • 家具や冷蔵庫周辺を整理する
  • 長期間開けていない収納を確認する

といった環境整理も駆除の一部です。

粘着シートは壁際や通り道に複数設置する

家庭で使いやすい捕獲手段の一つが粘着板です。

練馬区は、粘着板をネズミの通り道へ複数設置する方法を案内し、必ず屋内で使用するよう注意しています。

渋谷区も、黒い擦れ跡などラットサインがある壁際へ4〜5枚をつなげて設置する方法を紹介しています。

粘着板の上や周囲に餌を置かない

「中央に餌を置けば踏んでくれる」と考えがちですが、自治体の案内では逆です。

渋谷区・中野区・練馬区は、粘着板の上や周囲へ餌を置かないよう案内しています。

ネズミが普段通っている壁際や物陰へ、そのまま複数枚配置します。

屋外には置かない

練馬区は、粘着板を屋外へ設置すると、雨やほこりによって粘着力が低下するだけでなく、猫や野鳥など別の動物がかかる可能性があるため、屋内で使用するよう案内しています。

捕獲後の処理まで考えてから使う

粘着板は、捕獲した個体を自分で処理する必要があります。

地域によってごみとしての処分方法や死骸回収の扱いが違う場合があるため、自治体のルールも確認してください。

かごわなという方法もある

自治体によっては、粘着板だけでなく捕獲かごも家庭向けの方法として紹介されています。

横浜市は、殺そ剤を使えない場所では捕獲器具が役立つ場合があるとしています。

江東区も、ネズミの通り道に捕獲器具や殺そ剤を設置する方法を案内しています。

ただし、かごわなでも捕獲後の処理が必要です。

罠を置けない、捕獲後の処理ができないという場合は、その時点で専門業者への依頼を検討する理由になります。

殺そ剤・毒餌を使うときの注意

殺そ剤は家庭で購入できますが、ただ置けばよいものではありません。

練馬区は、殺そ剤には急性毒性タイプや抗凝血性タイプなどがあり、使用前に説明書を確認し、子ども・ペットの誤食へ注意するよう案内しています。

渋谷区や江東区は、ネズミが警戒してすぐには食べない場合があるため、他の餌を片づけたうえで、一定期間様子を見るよう案内しています。

見えない場所で死ぬ可能性がある

殺そ剤の大きな注意点の一つは、食べたネズミがどこで死亡するか分からないことです。

渋谷区、新宿区、さいたま市などは、屋根裏や壁内などで死亡した場合、腐敗臭やウジ等の問題が生じる可能性を案内しています。

天井裏や壁の中など、死骸を回収できない場所へネズミが移動している住宅では、この点も考えて使用を判断します。

子ども・ペットがいる住宅では特に注意する

殺そ剤は必ず製品表示を確認し、子どもやペットが触れたり食べたりできない場所・方法で使用してください。

自己判断で殺そ剤を別の食品容器へ移したり、表示にない方法で使用したりしないでください。

超音波だけを主な駆除方法にしない

超音波式のネズミ対策機器を使うこと自体はできますが、それだけで住宅内に定着したネズミを排除し、再侵入まで防げると考えない方がよいでしょう。

研究では、最初に行動変化が出ても数日程度で影響が弱くなった例があります。

超音波を使用する場合も、

  • 餌をなくす
  • 巣材を減らす
  • 侵入口を確認する
  • 糞やかじり跡が新しく増えていないか見る

といった基本対策を止めないでください。

忌避剤は「追い払う補助」と考える

臭い・スプレー・設置型などのネズミ忌避剤も市販されています。

ただし、忌避剤には侵入口そのものをなくす作用はありません。

追い払えたとしても、餌や侵入口が残っていれば再び利用される可能性があります。

忌避剤だけで何週間も様子を見るのではなく、新しい糞・かじり跡・物音が続く場合は別の対策へ進みます。

侵入口を探す

罠で捕まえても、外から新しいネズミが入り続けていれば被害は終わりません。

中野区は、ネズミが1cm程度の隙間や穴からも出入りできると案内しています。

自治体によって2cm、2.5cmなど異なる目安も示されていますが、「大きな穴しか確認しなくてよい」という意味ではありません。

小さな隙間まで確認します。

建物の外で確認する場所

  • 床下通風口
  • 基礎の隙間
  • ガス管・水道管等の壁貫通部
  • エアコン配管周辺
  • 換気口
  • 戸袋
  • ひさし・屋根周辺
  • 外壁の破損

室内で確認する場所

  • 流し台下の配管周辺
  • 換気扇周辺
  • 押入れ・天袋
  • 家具の裏
  • 壁の隙間
  • 排水管周辺

住宅の場所ごとに原因を確認する場合は、住宅の場所から害獣・害虫を探すページも参考にしてください。

隙間は金属系の材料を中心に対策する

中野区、大田区、練馬区、横浜市などは、侵入口対策として金網、金属たわし、パテなどを案内しています。

段ボールや紙など、簡単にかじられる材料だけで長期的に塞ぐ方法は向きません。

場所 対策例
通風口・換気口 目の細かい金網・適切な格子
配管周囲の小さな隙間 金属たわし+場所に適したパテ等
外壁の大きな穴 金網・金属板等を含む修繕
破損した設備カバー カバーの交換・修理

換気口の場合は、住宅本来の換気・排気機能をなくさないようにしてください。

分電盤・ブレーカー周辺の穴は自分で塞がない

ネズミは電線周辺や分電盤付近も通り道にすることがあります。

しかし、中野区の侵入箇所点検資料では、分電盤やブレーカー周辺の穴塞ぎを自分で行わないよう明記されています。

感電や火災などの事故につながる可能性があるためです。

分電盤内部、電線、電気設備付近へ侵入口がある場合は、電気工事業者などへ相談してください。

配線をかじられている場合は害獣対策だけで終わらせない

中野区は、ネズミによる電線やガス管へのかじり被害を紹介しています。

東京電力パワーグリッドも、ネズミなどの小動物がケーブルをかじって破損させることが漏電の原因になるとしています。

次のような状態がある場合は、罠を増やすより電気設備の安全確認を優先します。

  • 電線の被覆がかじられている
  • 焦げ臭い
  • ブレーカーが頻繁に落ちる
  • コンセントや配線周辺に異常がある
  • 煙・発熱がある

漏電・火災の可能性がある異常は、自分で配線を修理しないでください。

糞を見つけても乾いたまま舞い上げない

ネズミの糞や尿を大量に見つけた場合は、乾いたまま激しく掃いたり、無防備に扱ったりしないでください。

厚生労働省はハンタウイルス肺症候群について、病原体を保有するげっ歯類の排泄物を含む粉じんの吸入を感染経路の一つとして挙げています。

これは一般的な日本の住宅で同疾患が頻発しているという意味ではありませんが、排泄物を不用意に粉じん化させない理由になります。

清掃するときは、

  • 使い捨て手袋等を使用する
  • 直接触らない
  • 乾いた糞を激しく掃いて舞い上げない
  • 大量の糞尿は無理に自分で処理しない

ことを意識してください。

大量の糞、巣、死骸、狭い屋根裏・床下などは専門清掃を検討します。

捕獲した個体・死骸は自治体の処分方法を確認する

ネズミの死骸の処理方法は自治体によって案内が異なる場合があります。

中野区、新宿区、江東区などでは清掃事務所への相談や、ごみとしての処理方法を案内しています。

捕獲した個体や死骸は素手で触らず、居住地の自治体ルールを確認してください。

「何匹捕まえたら駆除完了」とは判断しない

1匹捕まえたから終わり、3匹捕まえたから大量発生、といった固定した数字だけで判断する必要はありません。

効果判定では、

  • 新しい糞がなくなった
  • 夜間の物音が止まった
  • 新しいかじり跡がない
  • 食品被害がなくなった
  • 新しいラットサインがない
  • 侵入口が対策されている

かを確認します。

捕獲数ではなく、新しい活動サインがなくなったかを見ます。

自分で対応しやすいケース

次のような条件なら、自分で環境対策と市販製品による対処を試しやすいでしょう。

  • 被害が一部屋程度に限られている
  • 通り道・侵入口候補を安全に確認できる
  • 地上や室内から作業できる
  • 粘着板・殺そ剤を安全に設置できる
  • 子ども・ペットの誤食や誤捕獲を防げる
  • 捕獲後の処理を行える
  • 電気設備や屋根を触る必要がない

専門業者へ切り替えた方がよい状態

状態 理由
対策しても新しい糞・物音が続く 侵入口や巣を見落としている可能性
複数の部屋で痕跡がある 生息範囲が広い可能性
侵入口が分からない 捕獲だけでは再侵入が続きやすい
屋根・高所が侵入口 転落リスク
床下・天井裏奥へ入る必要がある 狭所・設備・衛生上のリスク
大量の糞尿・死骸がある 専門清掃が必要になる場合がある
電線・分電盤付近に被害がある 感電・漏電・火災の危険
自分で捕獲後の処理ができない 罠の継続運用が難しい

大田区、中野区、府中市、練馬区なども、自分で対策して改善しない場合や自力で対処できない場合には専門業者への相談を案内しています。

費用については害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先を比較する場合は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。

ネズミを自分で駆除するときのチェックリスト

確認項目 できているか
食品・生ごみ・ペットフードを片づけた □
紙・布・段ボール等の巣材を減らした □
糞・かじり跡・擦れ跡から通り道を確認した □
壁際へ粘着板等を適切に設置した □
殺そ剤は製品表示どおり使用している □
子ども・ペットへの安全を確保している □
1cm程度の小さな隙間まで侵入口候補を確認した □
分電盤・配線周辺を自分で触っていない □
新しい糞・音・かじり跡がなくなったか確認している □

よくある質問

ネズミは自分で完全に駆除できますか?

被害が軽く、侵入口や通り道を安全に確認できる住宅なら、自分で改善できる場合があります。ただし粘着板や殺そ剤だけではなく、餌・巣材・侵入口まで対策する必要があります。侵入口不明、複数室で継続、高所作業が必要な場合は専門調査を検討してください。

粘着シートは何枚置けばよいですか?

住宅ごとに必要数は異なります。渋谷区は、ラットサインのある壁際へ4〜5枚をつなげる例を紹介しています。重要なのはランダムに1枚置くのではなく、実際の通り道へ複数配置することです。

粘着シートに餌を置いた方が捕れますか?

自治体は、粘着板の上や周囲に餌を置かないよう案内しています。壁際や通り道へそのまま設置します。

毒餌だけでネズミは駆除できますか?

殺そ剤は駆除手段の一つですが、侵入予防や忌避の効果はありません。餌の管理、巣材の除去、侵入口対策を一緒に行います。また見えない場所で死亡し、腐敗臭が出る場合もあります。

超音波を置けば罠は必要ありませんか?

超音波だけを主対策にはしない方がよいでしょう。一時的な行動変化があっても慣れた研究例があり、侵入口・餌・巣材は残ります。新しい糞やかじり跡が続くなら別の対策を進めます。

ネズミはどのくらいの隙間から入りますか?

中野区や横浜市は1cm程度の穴でも通る場合があると案内しています。自治体によって目安の表現には差があるため、1cmを絶対的な境界にはせず、小さな隙間まで点検してください。

分電盤の周りにネズミの穴があります。パテで塞いでよいですか?

自分で行わないでください。中野区は分電盤・ブレーカー周辺の穴塞ぎについて、感電や火災事故のおそれから電気工事業者へ依頼するよう案内しています。

ネズミの糞を掃除機で吸ってよいですか?

乾燥した排泄物を不用意に舞い上げる方法は避けた方がよいでしょう。使い捨て手袋等を使用し、直接触れないようにします。大量の糞や天井裏・床下の汚染は専門清掃を検討してください。

何日やって効果がなければ業者へ頼むべきですか?

全国共通の「○日」という基準はありません。新しい糞・物音・かじり跡が継続する、別の部屋にも広がる、侵入口が分からないなど、活動サインが続く場合は日数にこだわらず調査を検討してください。

参考情報

  • 大田区「自身でできるネズミ防除のポイント」
  • 練馬区「ねずみの被害を防ぎましょう」
  • 練馬区「ねずみから家を守る」
  • 中野区「ネズミの被害にご注意を」
  • 中野区「ネズミの侵入箇所点検実例写真集」
  • 渋谷区「ネズミの習性と防除法」
  • 横浜市「ネズミについて」
  • 江東区「ねずみの防除について」
  • 厚生労働省「ハンタウイルス肺症候群」
  • 東京電力パワーグリッド「さまざまな電気トラブルへの対処法」
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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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