ネズミの侵入口を見つけたら、再侵入を防ぐためには物理的に塞ぐことが重要です。
ただし、「穴を見つけたら全部すぐ埋めればよい」というわけではありません。
現在も家の中でネズミが活動している場合、すべての侵入口を一気に永久封鎖すると、天井裏や床下などにネズミを閉じ込めることがあります。
墨田区も、侵入口をいきなり全部塞ぐと、建物内でネズミが死亡し、悪臭やハエの発生につながる場合があると注意しています。
一方、ネズミの気配がなく、単純な予防として見つけた隙間を補修するのであれば、早めの封鎖が有効です。
この記事では、「どこを、何で、どのタイミングで塞ぐか」に絞って整理します。
まだ侵入口そのものを見つけられていない場合は、先に症状・痕跡から原因を確認するか、家の場所別の害獣・害虫トラブルから確認してください。
ネズミの侵入口は1cm前後の隙間まで確認する
「こんな小さな隙間ならネズミは入れない」と考えない方がよい場合があります。
中野区や横浜市、東京都ペストコントロール協会では、ネズミが1cm程度の隙間や穴から出入りできると案内しています。
自治体によっては1〜2cm、あるいは大型個体では2.5cm程度を目安としている例もあります。
そのため、数字を一つの絶対値とせず、1cm前後の小さな隙間から点検すると考える方が実務的です。
特に確認したいのは次のような場所です。
- 床下通風口
- 換気口・換気扇
- エアコン配管の壁貫通部分
- 水道管・排水管の周囲
- 電線・ケーブルの導入部
- 雨戸の戸袋
- 外壁の穴・ひび割れ
- 屋根と外壁の隙間
- 基礎と壁の隙間
- ドア・窓周辺の隙間
ネズミの侵入口を塞ぐ材料の使い分け
| 場所・状態 | 使いやすい材料 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通風口・換気口など広い開口 | 金網・金属板 | 通気機能を残す |
| 配管周りなど小さく不規則な隙間 | ステンレスたわし・金属たわし | 簡単に引き抜けないよう詰める |
| 配管周りの細かな隙間 | パテ | 設備そのものを塞がない |
| 壁・基礎の破損や大きめの隙間 | 金属板・モルタル・セメント等 | 建物修繕が必要なら専門業者へ |
| 分電盤・ブレーカー周辺 | DIYしない | 電気工事業者へ相談 |
通風口・換気口は金網で「風を通したまま」塞ぐ
床下通風口や換気口は、ネズミの侵入口になりやすい場所です。
ただし、もともと住宅の換気のために設けられている開口を、パテや板で完全に埋めるのは適切ではありません。
東京都北区は、通風口の格子が粗い場合に金網を張り、ネズミが通れない状態にする方法を案内しています。
つまり、空気は通すが、ネズミは通さない構造を作ります。
金網そのものの端に隙間が残っていれば意味がないため、周囲まで確認してください。
配管周りの小さな隙間はステンレスたわしを使える
流し台下の排水管、水道管、エアコン配管などは、壁や床を貫通する部分に不規則な隙間ができやすい場所です。
練馬区は、小さな隙間へステンレスたわしを詰める方法を具体的に案内しています。
同区では、似た素材でもスチールウールは錆びるため、錆びにくいステンレスたわしを使うよう説明しています。
中野区や東京都ペストコントロール協会も、身近な封鎖材として金属たわしを挙げています。
ステンレスたわしが使いやすい場所
- 流し台下の排水管周辺
- 洗濯機の排水管周辺
- 水道管が床・壁を貫通する部分
- 形が複雑でパテだけでは埋めにくい小穴
ただし、配管や設備の可動・点検に必要な部分まで無理に詰めないでください。
配管周りはパテ・モルタルを使う方法もある
東京都北区は、ガス管、水道管、エアコン配管などの貫通部に隙間があれば、パテやモルタルで埋める方法を案内しています。
横浜市も、配管の隙間やエアコンパイプ導入部周辺の穴を塞ぐよう案内しています。
小さな隙間なら金属たわしだけで仮に塞ぐ方法もありますが、恒久的に補修する場合は場所や建材に合った充填材を選びます。
ただし、ガス設備や電気設備そのものを分解して施工することは避けてください。
外壁・基礎の破損は「穴埋め」ではなく修繕が必要な場合もある
単なる配管の隙間ではなく、外壁材や基礎が壊れて穴が開いている場合、金属たわしだけでは十分な修繕にならないことがあります。
東京都ペストコントロール協会は、金網や充填材による穴埋めを侵入口対策として挙げています。
墨田区では家庭用セメントを使う例も示されています。
ただし、雨水が入る外壁、基礎の大きな亀裂、屋根周辺などでは、ネズミ対策だけでなく建物そのものの補修が必要です。
この場合は大工・工務店・害獣駆除業者などへ相談してください。
ガムテープやぼろ布だけで塞がない
手軽なので、隙間へ布を詰めたりガムテープを貼ったりしたくなるかもしれません。
しかし練馬区は、ガムテープやぼろ布は使わないよう案内しています。
ネズミにかじられたり、巣材として利用されたりするためです。
ネズミは物をかじる力が強いため、侵入口の物理対策では金属製の材料を中心に考えます。
ネズミが家の中にいる状態で全部塞いでよい?
ここが侵入口対策で最も注意したい部分です。
現在も天井裏・床下・壁内などでネズミが活動している場合、確認できた穴をすべて一気に永久封鎖するのは避けた方がよい場合があります。
墨田区は、侵入口をいきなりすべて塞ぐと、内部でネズミが死亡し、悪臭やハエの発生につながる場合があると注意しています。
一方、東京都ペストコントロール協会は、餌をなくし侵入口を塞ぐことをネズミ防除の基本的な環境管理としています。
この二つは矛盾するものではありません。
まだネズミが侵入していない家の予防では、隙間を早めに塞ぐのが基本です。
すでに屋内でネズミが活動している家では、どの穴を現在使っているかを確認しながら、追い出し・捕獲等と封鎖を組み合わせる必要があります。
現在ネズミがいる家での封鎖順序
墨田区は、自分で防除する場合の一例として、次の考え方を案内しています。
- ネズミに餌や水を取らせない
- 複数の侵入口がある場合は、出入り状況を確認する
- 使用していない侵入口や補修可能な場所から減らす
- 主に使っている侵入口を残して活動を確認する
- ネズミの気配がなくなったことを確認して最後の侵入口を本封鎖する
同区では、残した侵入口を夕方に仮に塞ぎ、翌朝に開ける方法を2〜3日繰り返し、夜にネズミの気配がなければ本封鎖する例も紹介しています。
これは自治体が示す一つのDIY例であり、すべての住宅でそのまま実施できるとは限りません。
侵入口が屋根や壁内など確認しにくい場合は、無理に自分で実施せず専門調査へ切り替えてください。
「音がしない」だけでは封鎖完了と判断しない
1晩静かだっただけでは、ネズミがいなくなったとは限りません。
活動場所や時間を変えているだけの場合があります。
封鎖前後では、次の新しい痕跡が止まっているかを確認します。
- 夜間の走行音
- 新しい糞
- 新しいかじり跡
- 食品被害
- 壁際の新しい黒い擦れ跡
- 穴の周囲の新しい汚れ
複数のサインが止まっていることを確認してから本封鎖する方が判断しやすくなります。
ラットサインがある穴は使用中の可能性がある
ネズミが繰り返し同じ隙間を通ると、体の汚れによって穴の縁や壁際が黒っぽく汚れることがあります。
こうした痕跡はラットサインと呼ばれ、侵入口や通り道を探す手掛かりになります。
穴の周囲に次のような状態がある場合は、現在使用している可能性を確認します。
- 黒っぽい擦れ跡
- 新しい糞
- かじり跡
- 足跡
- 穴の周囲だけ埃が払われている
侵入口が一つとは限らないため、一か所を見つけても建物全体を確認します。
配管周りを塞ぐときの注意
配管と壁の間にできた「余分な隙間」を埋めるのが基本です。
次のような部分まで塞がないでください。
- 排水そのものの開口
- 必要な点検口
- 設備の可動部分
- 換気のために設けられた開口
何のための隙間・開口か分からない場合は、自分で塞ぐ前に設備業者へ確認してください。
分電盤・ブレーカー周辺は自分で穴を塞がない
ネズミは配線の導入部や分電盤周辺を通路にすることがあります。
中野区の「ネズミの侵入箇所点検実例写真集」では、分電盤・ブレーカー周辺について、自分で穴塞ぎを行わないよう明記しています。
感電や火災などの事故につながるおそれがあるためです。
カバーを外して内部の隙間を確認したり、自分で金属たわしやパテを押し込んだりせず、電気工事業者へ相談してください。
屋根・2階外壁の侵入口はDIYしない
クマネズミは壁や配管を登り、屋根周辺や高所の隙間を利用することがあります。
侵入口が軒下、屋根、2階外壁などにある場合、封鎖材そのものより転落事故のリスクが問題になります。
脚立を高く伸ばしたり屋根へ上ったりして施工する必要はありません。
高所にある侵入口は専門業者へ依頼してください。
塞いだのにまたネズミが出る原因
侵入口を一か所塞いでも被害が続く場合、次の原因が考えられます。
- 別の侵入口が残っている
- 金網の周囲に隙間がある
- 詰めた材料が外れた
- 柔らかい材料をかじられた
- 屋内にネズミが残っている
- 別の場所を新しくかじって通路にした
同じ場所だけを何度も補修するより、建物外周と室内の通路を再調査します。
金網は付ければ終わりではない
金網を取り付けても、端が浮いていたり壁との間へ隙間が残っていたりすれば、そこを使われる可能性があります。
次を確認してください。
- 周囲に1cm前後の隙間が残っていないか
- 金網自体が破損していないか
- 固定部分が緩んでいないか
- ネズミがかじって広げられる部分がないか
屋外では雨や経年劣化もあるため、施工後も定期的に確認します。
封鎖と同時に餌・巣材も減らす
侵入口対策だけでも再侵入防止には重要ですが、家の中に餌や巣材が豊富に残っていれば、ネズミにとって魅力の高い環境のままです。
東京都ペストコントロール協会は、餌をなくす、侵入口を塞ぐ、不要物を整理するなどの環境管理をネズミ防除で最も重要な対策としています。
封鎖と合わせて次も行います。
- 食品を蓋付き容器や冷蔵庫へしまう
- 生ごみを放置しない
- ペットフードを夜間放置しない
- 紙・布・ビニールなどの巣材を減らす
- 物置や収納を整理する
忌避剤で追い出した後も本封鎖が必要
ネズミ用忌避剤で一時的に物音が止まっても、侵入口が開いたままなら戻る可能性があります。
忌避剤は侵入口そのものをなくすものではありません。
新しい糞・物音・かじり跡が止まったことを確認したうえで、侵入口を物理的に塞ぎます。
粘着シートで捕獲した後も侵入口を確認する
粘着シートなどで1匹捕獲しても、外部から入れる穴が残っていれば別の個体が入ってくる可能性があります。
捕獲数だけではなく、新しい痕跡が止まったかを確認し、その後に侵入口を本封鎖します。
自分で塞ぎやすいケース
- 床や流し台下など安全に手が届く
- 侵入口が明確に分かっている
- 小さな配管周りの隙間
- 破損していない通風口へ金網を追加する程度
- 電気・ガス設備を分解する必要がない
- 屋内のネズミ活動が止まっている
専門業者へ相談した方がよいケース
- 侵入口が分からない
- 侵入口が複数ある
- 屋根・軒下・2階外壁に穴がある
- 天井裏・床下の奥へ入る必要がある
- 分電盤・配線周辺に侵入口がある
- 壁・基礎・屋根そのものが破損している
- 封鎖しても再発する
- 複数の部屋で糞や音が続いている
- 配線にかじり跡がある
費用を確認する場合は害獣・害虫駆除の費用と見積もり、業者を比較する場合は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。
よくある質問
ネズミの侵入口は何で塞ぐのがよいですか?
場所によります。通風口など広い開口には金網、小さく不規則な隙間にはステンレスたわし、配管周りにはパテ、壁や基礎の破損にはモルタル等が候補になります。
金たわしだけで塞いでも大丈夫ですか?
小さな隙間の応急・補助的な封鎖には使えます。練馬区は錆びにくいステンレスたわしを案内しています。大きな穴や屋外の恒久施工では、金網・金属板・建物修繕などが必要になる場合があります。
スチールウールでもよいですか?
練馬区の現行資料では、スチールウールは錆びるため、ステンレスたわしを使用するよう案内しています。
ガムテープで穴を塞いでもよいですか?
恒久対策には向きません。練馬区はガムテープやぼろ布を使わないよう案内しています。かじられたり巣材として使われたりするためです。
ネズミが天井裏にいる状態で穴を全部塞いでもよいですか?
避けた方がよい場合があります。墨田区は、全部をいきなり塞ぐと建物内部で死んで悪臭やハエの原因になる場合があると注意しています。現在使用中の侵入口を確認し、追い出し・捕獲等と組み合わせて本封鎖します。
何日ネズミの音がしなければ塞いでよいですか?
全国共通の絶対的な日数基準はありません。墨田区では、残した侵入口を夕方に仮封鎖して翌朝開ける作業を2〜3日行い、夜に気配がなければ本封鎖するDIY例を案内しています。新しい糞や擦れ跡なども合わせて確認してください。
通気口はパテで完全に塞いでもよいですか?
通気のための開口なら完全に埋めないでください。金網などを使い、必要な通気を保ちながらネズミが通れない状態にします。
分電盤の穴は自分でパテを入れてもよいですか?
中野区の資料では、分電盤・ブレーカー周辺の穴塞ぎを自分で行わないよう案内しています。感電や火災の危険があるため、電気工事業者へ相談してください。
一か所塞いだのにまたネズミが出ます
別の侵入口が残っている可能性があります。侵入口は一つとは限りません。配管、通風口、換気扇、戸袋、屋根、基礎など建物全体を再確認してください。
ネズミの侵入口対策は「金属で塞ぐ」だけでなくタイミングが重要
ネズミは1cm前後の小さな隙間からでも出入りできるため、配管周り、通風口、換気口、戸袋、外壁、屋根周辺まで確認する必要があります。
封鎖材は場所に合わせ、通風口には金網、小さな隙間にはステンレスたわし、配管周辺にはパテ、建物破損にはモルタルや適切な修繕を使い分けます。
ガムテープやぼろ布だけでの封鎖は避けます。
そして、すでに家の中でネズミが活動している場合は、侵入口を全部いきなり永久封鎖せず、活動状況を確認しながら追い出し・捕獲等を行い、最終的に本封鎖することが重要です。
分電盤・ブレーカー、高所、屋根、侵入口が特定できないケースは、自分で無理に施工せず専門業者へ相談してください。
