トコジラミは洗濯で駆除できる?乾燥機の温度・時間と袋分けの方法

トコジラミが出た部屋のシーツ、パジャマ、衣類、カーテンなどを見て、「全部洗濯すれば駆除できるのでは」と考えることがあります。

しかし、普通の洗濯だけでトコジラミや卵を確実に処理できるとは考えない方がよいです。

トコジラミ対策で衣類・寝具を処理するときは、洗濯そのものよりも乾燥機による十分な加熱が重要です。

さらに、発生した部屋からランドリーまで衣類をむき出しで運ぶと、廊下・別室・共用部へトコジラミを落として被害を広げる可能性があります。

そのため、

発生室で密閉 → 洗濯・乾燥 → 新しい清潔な袋へ分離

までを一つの工程として考えます。

衣類・寝具を処理するときの基本
  1. 発生している部屋で衣類・寝具を袋へ入れる
  2. 口を閉じたまま洗濯機・乾燥機まで運ぶ
  3. 洗濯だけで終わらせず、熱に耐える物は乾燥機で加熱する
  4. 家庭で温度を確認できない場合は、中高温〜高温設定で30分程度を一つの実務目安にする
  5. 衣類表示・乾燥機の取扱説明書を優先する
  6. 処理前に使った袋を処理済み衣類へ再使用しない
  7. 処理済み品は新しい清潔な袋・ケースで保管する
  8. 発生室の駆除が終わるまで未処理の収納へ戻さない
目次

トコジラミは普通に洗濯するだけで死ぬ?

洗濯だけを駆除方法として頼るのは避けます。

厚生労働省のトコジラミ防除資料では、衣類等に付着したトコジラミを洗濯によって殺すことは難しいと説明されています。

別の厚生労働省研修資料でも、洗剤水への浸漬試験について、

  • 30分:致死率0%
  • 120分:致死率70%

という例が掲載されています。

つまり、

  • 水に浸かった
  • 洗剤を使った
  • 脱水まで行った

だけで、すべて死滅したとは判断できません。

洗濯は衣類を清潔にするために行い、トコジラミ対策としては乾燥機等による熱処理を組み合わせると考えます。

乾燥機は何℃・何分かければよい?

公的機関や専門機関で示される温度・時間には多少の違いがあります。

情報源 乾燥・加熱の例
大阪市東成区 50℃で30分以上、60℃で10分以上
大阪市平野区 熱風乾燥機で20分以上
米国EPA 衣類・寝具を高温乾燥機で30分
University of Minnesota Extension 中高温で30分。全ステージを処理できるとしている

家庭用乾燥機は、機種・コース・投入量・衣類の素材によって実際に衣類へ届く温度が違います。

そのため、家庭で「50℃になったから10分短くする」と細かく調整するより、

衣類表示で乾燥可能なことを確認し、中高温〜高温設定で30分程度

を一つの扱いやすい目安とする方が安全です。

ただし、最優先は使用している乾燥機の取扱説明書と衣類の洗濯表示です。

なぜ資料によって10分・20分・30分と違う?

温度が高いほど、トコジラミを死滅させるために必要な時間は短くなります。

一方で、研究上の温度条件と、実際に衣類の束を乾燥機へ入れる条件は同じではありません。

乾燥機内の空気が高温でも、

  • 衣類の中心
  • 厚手の縫い目
  • 重なった布
  • ポケット

まで同じ温度へ到達するには時間がかかることがあります。

したがって、実験室で示される最低致死条件を、そのまま家庭用乾燥機の運転時間に置き換えないようにします。

家庭用乾燥機なら30分でよい?

乾燥機が十分な温度へ上がり、衣類がその温度に耐えられるのであれば、中高温〜高温で30分は複数の公的・大学機関が案内している実務的な目安です。

ただし、

  • 低温乾燥しかできない
  • 省エネコースで温度が低い
  • 衣類を大量に詰め込んでいる
  • 乾燥機の能力が分からない

場合は、同じ「30分」でも処理条件が同じとは限りません。

使用する機種の説明書で乾燥温度・コースを確認してください。

洗濯してから乾燥機?それとも最初に乾燥機?

家庭内で通常の洗濯を行う場合は、

洗濯 → 高温乾燥

という一般的な流れで構いません。

ただし、トコジラミの除去そのものは乾燥工程が重要です。

米国Cornell IPMは、コインランドリー等へ持ち出して熱処理をする場合について、家で衣類を仕分けして密閉袋へ入れ、現地では未処理品を広げず袋から直接乾燥機へ入れる方法を案内しています。

これは、洗濯機・ランドリー内・共用台などへ生きたトコジラミを落とすリスクを減らすためです。

ただし、先に高温乾燥すると汚れやシミが固着することがあります。

汚れた衣類やデリケート素材では、衣類表示やクリーニング店・駆除業者の指示を優先してください。

自宅で洗濯・乾燥するときの手順

1.発生室で袋へ入れる

衣類を抱えて洗濯機まで運ばないようにします。

トコジラミが確認された部屋で、

  • シーツ
  • 枕カバー
  • パジャマ
  • 衣類
  • カーテン
  • タオル

などを袋へ入れます。

袋の口を閉じてから移動します。

2.未処理品を床や廊下へ広げない

洗濯機の前で袋を開けて仕分け直すと、周囲へ落とす可能性があります。

できるだけ発生室内で仕分けておきます。

3.衣類表示を確認する

高温乾燥できるかを確認します。

「タンブル乾燥禁止」の表示がある物を、トコジラミ対策だからと無理に乾燥機へ入れないでください。

4.洗濯する

衣類が洗濯可能なら通常どおり洗います。

高い水温に耐える素材では高温洗濯を利用できる場合がありますが、洗濯だけを駆除工程の中心にはしません。

5.乾燥機で加熱する

衣類表示と機器仕様の範囲で、中高温〜高温の乾燥を行います。

家庭で温度が正確に分からない場合は、複数の公的・大学機関の案内を踏まえ、30分程度を一つの実務目安にします。

6.処理済み品を新しい袋へ入れる

乾燥後の衣類を、処理前に使っていた袋へ戻さないでください。

新しい清潔な袋・収納ケースへ入れます。

7.発生室へむき出しで戻さない

部屋の駆除がまだ終わっていない場合、処理済み衣類をそのまま元のクローゼット・引き出しへ戻すと、再びトコジラミが付く可能性があります。

駆除完了を確認するまで、密閉状態で管理します。

コインランドリーを使ってもよい?

高温乾燥が可能なコインランドリーは、衣類や寝具の熱処理に利用できます。

ただし、共用施設なので、トコジラミをランドリーへ持ち込んで広げない運搬方法が重要です。

コインランドリーへ持って行くとき

  • 自宅の発生室内で衣類を仕分ける
  • 丈夫な袋へ密閉する
  • 現地の床・カート・テーブルへ未処理衣類を置かない
  • 袋から直接、乾燥機または洗濯乾燥機へ入れる
  • 空になった汚染袋は再利用しない
  • 乾燥後は新しい清潔な袋へ入れる

Cornell IPMも、コインランドリーへ運ぶ場合は自宅で仕分けて密閉し、現地では袋から直接乾燥機へ投入し、同じ袋を帰宅時に使用しないよう案内しています。

コインランドリーなら10分で死ぬ?

2024年に日本コインランドリー連合会と日本環境衛生センターが行った特定機種の試験では、ガス乾燥機で10分以上乾燥した場合、供試したトコジラミ成虫が100%致死したと報告されています。

一方、この試験の供試昆虫は成虫です。

また、対象となった特定の業務用ガス乾燥機では、ドラム中心部が約100℃、排気部でも約70℃になる条件でした。

したがって、

「どのコインランドリーでも10分で卵まで完全駆除できる」

と一般化しないようにします。

家庭向けの分かりやすい運用としては、高温設定が利用でき、素材に問題がなければ30分程度の乾燥を基本にする方が安全です。

洗濯後の衣類はクローゼットへ戻してよい?

発生室の駆除が完了していなければ、すぐには戻さない方がよいでしょう。

トコジラミは衣類だけにいる虫ではなく、

  • マットレスの縫い目
  • ベッドフレーム
  • ソファ
  • 家具の隙間
  • 巾木
  • 壁の隙間

などにも潜伏します。

処理済み衣類を未処理の収納へ戻すと再付着する可能性があります。

駆除が進むまでは、

  • 新しいビニール袋
  • 蓋付き収納ケース
  • 密閉できる清潔な袋

などで区分します。

未処理品と処理済み品の袋を分ける

区分 扱い
未処理 発生室内で袋詰めし、口を閉じる
処理中 袋から直接洗濯機・乾燥機へ投入
処理済み 新しい清潔な袋・ケースへ入れる
使用済み未処理袋 処理済み品には再使用しない

「洗った服」と「まだ処理していない服」が同じカゴや床に触れると、どこまで処理済みなのか分からなくなります。

袋やケースを明確に分けてください。

熱に弱い衣類はどうする?

すべての衣類を高温乾燥機へ入れられるわけではありません。

乾燥機メーカーは、一般に、

  • タンブル乾燥禁止表示のある物
  • ウール
  • 絹
  • 皮革
  • レーヨン等の縮みやすい素材
  • 熱に弱い樹脂・ポリウレタン製品

などで、縮み・変形・変色・傷みが起こる可能性を案内しています。

トコジラミ対策だからといって、衣類表示を無視しないでください。

乾燥機に入れられない服はどうする?

熱に弱い物は、無理に家庭用乾燥機へ入れず、隔離します。

候補としては、

  • 清潔な密閉袋で隔離する
  • 専門の駆除業者へ処理方法を相談する
  • クリーニング店へ事前にトコジラミ付着の可能性を伝え、受け入れ可能か確認する

といった方法があります。

トコジラミ疑いを伝えずにクリーニング店へ持ち込むのは避けてください。

80℃のお湯へ5分なら使える?

板橋区、大阪市などには、80℃以上のお湯へ5分以上浸ける熱処理を案内している例があります。

ただし、80℃のお湯を家庭で大量に扱うと、やけどの危険があります。

また、衣類の縮み・色落ち・接着部品の劣化なども考えられます。

高温乾燥可能な衣類なら、湯を手作業で扱うより乾燥機を利用する方が管理しやすいケースがあります。

天日干しだけでは駆除できる?

天日干しだけで、衣類のすべての部分を必要な温度・時間に保てるとは限りません。

日陰になる部分や布の重なりへ逃げ込むことも考えられます。

トコジラミ対策では、温度条件を管理しやすい乾燥機等の加熱を優先します。

洗剤を濃くすれば死ぬ?

洗剤の量を自己判断で増やしても、確実な駆除方法にはなりません。

厚生労働省資料でも、洗剤水だけでは十分な致死効果が得られない試験例があります。

洗濯洗剤は衣類洗浄のため製品表示どおり使用し、駆除効果を高める目的で濃度を上げないでください。

漂白剤を使えばトコジラミは死ぬ?

トコジラミ駆除のために漂白剤を増量・混合する必要はありません。

衣類の漂白が必要な場合のみ、衣類表示・製品表示に従って使用します。

塩素系漂白剤と酸性製品などを混ぜると危険なガスが発生するため、自己流で薬剤を混ぜないでください。

洗濯機の中にトコジラミが残らない?

重要なのは、洗濯機だけに駆除効果を期待しないことです。

未処理衣類を洗濯室で広げたり、カゴ・床へ置いたりする方が拡散リスクになります。

衣類を密閉状態で運び、できるだけ袋から直接投入し、最後に十分な熱乾燥を行います。

衣類は全部洗濯しないといけない?

発生した部屋に置いていた衣類・寝具は、トコジラミが潜んでいる可能性を考えて処理または隔離します。

ただし、家中の衣類を一斉に別室へ運び出すと、かえって生息範囲を広げる可能性があります。

被害のある部屋から順番に、

  1. 未処理品を区分
  2. 袋へ密閉
  3. 処理
  4. 処理済み品を隔離

していく方が管理しやすいでしょう。

枕・毛布・ぬいぐるみも乾燥機に入れてよい?

乾燥機に入る大きさでも、製品によっては乾燥禁止です。

中材が、

  • ウレタン
  • 天然素材
  • 接着剤を使用した素材
  • 熱で変形する樹脂

の場合があります。

「乾燥機に入る大きさだから使える」と判断せず、製品表示を確認してください。

布団はコインランドリーで処理できる?

乾燥可能な布団で、十分な容量の大型乾燥機を使える場合は熱処理の選択肢になります。

一方、布団の素材や厚さによって熱の伝わり方が変わります。

乾燥禁止の布団、厚手で中心まで温まりにくい物、マットレスなどは、無理に家庭・コインランドリーで処理せず専門業者へ相談します。

洗濯・乾燥だけで家のトコジラミは駆除できる?

できません。

衣類・寝具の処理は重要ですが、トコジラミは衣類以外にも潜伏します。

横浜市は、

  • 布団・マットレスの縫い目
  • カーテンの折り目
  • 家具の隙間
  • 畳の裏・隙間

などを潜伏場所として挙げています。

衣類をすべて乾燥しても、ベッドフレームや巾木等に生きた個体・卵が残っていれば再び衣類へ移ります。

そのため、衣類処理は部屋全体の防除の一工程です。

トコジラミが出た部屋から衣類を別室へ移してよい?

未処理の状態では避けます。

トコジラミは衣類・バッグ・荷物に潜んで移動します。

別室で仕分けるのではなく、発生室内で密閉してから洗濯・乾燥場所へ運びます。

賃貸・マンションの場合は管理会社にも連絡する

賃貸や集合住宅では、自室だけの洗濯・乾燥で解決しない場合があります。

トコジラミが壁・配管周辺などを介して隣接住戸へ広がる可能性もあるため、発見したら早めに管理会社・大家へ連絡します。

未処理衣類を共用廊下・ランドリー等へむき出しで運ばないことも重要です。

専門業者へ切り替えた方がよいケース

  • 衣類だけでなくベッド・ソファ・家具にも虫体や血糞がある
  • 複数の部屋で見つかる
  • 洗濯・乾燥をしても刺咬や虫体が続く
  • 大量の衣類・寝具があり区分管理できない
  • 熱処理できない家具・荷物が多い
  • 集合住宅で他室への拡散が疑われる
  • 自力対策を続けても減らない

東京都多摩立川保健所も、家庭だけでのトコジラミ駆除は困難なため、発見した場合は早期に専門業者へ相談するよう案内しています。

費用全体は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先を比較する場合は業者選びを参考にしてください。

よくある質問

トコジラミは普通の洗濯だけで死にますか?

洗濯だけで確実に死滅するとは考えない方がよいです。厚生労働省も衣類に付着したトコジラミを洗濯だけで殺すことは難しいとしています。乾燥機等による熱処理を組み合わせます。

乾燥機は何分かければよいですか?

大阪市には50℃30分、60℃10分という案内例があります。EPAやUniversity of Minnesotaは中高温〜高温で30分を案内しているため、家庭では衣類表示・乾燥機仕様を確認した上で30分程度を一つの実務目安にすると扱いやすいでしょう。

洗濯機のお湯が60℃なら乾燥機はいりませんか?

衣類全体が確実に必要温度へ達したか判断しにくいため、熱に耐える物は乾燥機による加熱も組み合わせる方が確実性を上げられます。

コインランドリーなら10分で大丈夫ですか?

特定の業務用ガス乾燥機で成虫を対象に10分以上で100%致死した試験がありますが、全機種・卵を含む全生活史へそのまま適用できる結果ではありません。一般家庭向けには30分程度の高温乾燥を中心に考えます。

コインランドリーへトコジラミの付いた服を持って行ってよいですか?

運搬時の拡散防止が必要です。自宅の発生室で袋へ密閉し、現地で衣類を広げず袋から直接機械へ投入し、処理後は別の新しい清潔な袋へ入れてください。

処理前に使った袋をまた使ってよいですか?

処理済み品には再利用しない方が安全です。未処理衣類に付いていたトコジラミや卵が袋内に残っている可能性があります。

乾燥機に入れられない服はどうしますか?

無理に加熱せず密閉して隔離し、駆除業者やクリーニング店へ事前に相談します。トコジラミ付着の可能性があることを伝えてください。

洗濯済みの服はすぐクローゼットへ戻してよいですか?

室内の駆除が完了していなければ、新しい清潔な袋・ケースで隔離した方が再付着を防ぎやすくなります。

天日干しで死にますか?

天日干しだけでは温度・時間を一定に管理できず、布の重なりや日陰へ逃れる可能性があります。乾燥機等の管理できる熱処理を優先します。

家中の服を全部洗えば駆除できますか?

衣類処理だけでは部屋全体の駆除にはなりません。マットレス・家具・ベッドフレーム・巾木等に残ったトコジラミや卵への対策も必要です。

まとめ

トコジラミが付着した可能性のある衣類・寝具は、普通の洗濯だけで処理を終えないことが重要です。

  • 洗濯だけでは十分に死滅しない場合がある
  • 衣類・寝具では乾燥機による熱処理が重要
  • 自治体例では50℃30分・60℃10分などの条件が示されている
  • EPA・大学機関では中高温〜高温30分の実務案内がある
  • 機器・衣類の違いがあるため30分を万能な保証値とは考えない
  • 未処理品は発生室で袋へ密閉する
  • コインランドリーでは未処理衣類を現地で広げない
  • 処理前の袋を処理済み衣類へ再使用しない
  • 処理済み衣類は清潔な袋で隔離する
  • タンブル乾燥禁止・熱に弱い物は無理に加熱しない
  • 洗濯・乾燥だけでは部屋全体のトコジラミ駆除は完了しない

衣類対策では、洗うこと以上に「十分に加熱すること」と「処理前後を混ぜないこと」が重要です。

害虫全般は害虫、トコジラミか分からない段階では症状・痕跡、自力で収束しない場合は業者選びを参考にしてください。

参考にした公的・専門情報

※衣類・寝具の耐熱性、乾燥可能温度、適切なコースは製品ごとに異なります。洗濯表示・乾燥機メーカーの取扱説明書を優先してください。トコジラミ被害が複数室へ広がっている場合や、自力対策で改善しない場合は、衣類処理だけを繰り返さず専門業者へ相談してください。確認日:2026年9月20日。

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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