ハクビシンを自治体に相談すると何してくれる?箱わな・費用・対象条件を確認

屋根裏で大きな足音がする、天井に尿染みができた、同じ場所に糞がたまる――こうしたハクビシン被害がある場合、民間の駆除業者へ依頼する前に自治体へ相談できることがあります。

東京都は、アライグマ・ハクビシンによる被害があった場合、まず所在地の区市町の環境部署や清掃部署などへ問い合わせるよう案内しています。

ただし、自治体によって対応内容はかなり違います。

ある自治体では現地調査・箱わな設置・捕獲した個体の回収まで無料で行う一方、別の自治体では戸建て住宅だけが対象で、集合住宅や賃貸住宅は対象外です。

また、自治体の捕獲事業を利用できても、侵入口を塞ぐ工事、糞尿清掃、消毒、断熱材や天井の修理まで無料になるとは限りません。

自治体へ相談するときに確認すること
  • 現地調査をしてくれるか
  • 箱わなを設置してくれるか
  • 捕獲した個体を回収してくれるか
  • 費用は無料か
  • 目撃だけでも対象になるか
  • 戸建て・集合住宅・賃貸のどこまで対象か
  • 所有者・管理会社の同意が必要か
  • 箱わなの見回り・餌交換を誰が行うか
  • 侵入口封鎖・糞尿清掃・消毒は対象か
目次

ハクビシン被害は自治体へ相談できる

東京都では「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画」に基づき、区市町と連携して捕獲などの対策を進めています。

自治体へ相談する対象になりやすいのは、たとえば次のようなケースです。

  • 天井裏・屋根裏へ入り込んでいる
  • 足音・鳴き声が続いている
  • 糞尿による悪臭・汚れがある
  • 庭やベランダへ繰り返し糞をされる
  • 果樹・家庭菜園を食べられている
  • 屋根・軒下等に侵入した痕跡がある

一方、道路を横切るハクビシンを1回見ただけなど、具体的な被害がない場合には捕獲事業の対象にならない自治体があります。

目撃しただけでも箱わなを置いてくれる?

自治体によって異なりますが、目撃情報だけでは対象外としているところがあります。

中野区では、戸建て住宅で、

  • 自宅に住み着いている
  • 家庭菜園等を継続的に食害されている
  • 毎日のように糞尿被害がある

など、日常的な被害があることを条件としています。

「以前一度見た」「果実を食べられたことがある」程度では区の捕獲事業の対象になりません。

北区でも、専門業者による現地調査で実際の侵入痕跡が確認されることなどを条件としています。

自治体へ相談すると最初に何をする?

一般的には、電話等で被害状況を伝えた後、制度対象になりそうであれば自治体または委託業者が現地を確認します。

新宿区では、区民から家屋侵入等の被害連絡を受け、聞き取りや調査を行い、対象と判断した場合に区の委託業者が捕獲・処分を行います。

青梅市でも、

  1. 環境政策課へ相談
  2. 委託業者が足跡・爪痕等を現地調査
  3. 条件を満たせば捕獲器を設置

という流れです。

自治体へ連絡する前に、可能であれば安全な範囲で、

  • 足跡
  • 糞
  • 天井の染み
  • 食害
  • 侵入口候補
  • 目撃日時

を写真に残しておくと状況を説明しやすくなります。

箱わなの設置は無料?

無料で実施している自治体があります。

大田区の2026年度事業では、

  • 現地調査
  • 箱わなの設置
  • 捕獲した個体の回収

を無料で行っています。

箱わなは1基、設置期間は2週間です。

新宿区も区の事業として委託業者が箱わなを設置し、捕獲・処分を実施しています。

ただし、全国どの自治体でも無料というわけではありません。所在地の自治体制度を確認してください。

箱わなは自治体が全部管理してくれる?

必ずしもそうではありません。

自治体事業でも、利用者側に毎日の協力を求めるケースが多くあります。

たとえば大田区では、利用者に、

  • 最低1日1回の見回り
  • 餌の交換
  • 捕獲時の速やかな連絡

を求めています。

新宿区でも毎日の箱わなの見回りと、動物が捕獲された場合の委託業者への連絡が必要です。

つまり「自治体へ申し込めば、あとは何もしなくてよい」という制度ではありません。

箱わなは何週間置く?

これも自治体によって違います。

自治体例 箱わなの主な設置期間
中野区 1週間
大田区 2週間
新宿区 1週間、最長4週間
北区 最長1か月

箱わなの数、予算、委託業者の混雑などによって、すぐに設置できないこともあります。

北区では繁忙期や長期休暇中などに、対応まで1か月程度かかる場合があると案内しています。

捕まえたハクビシンは自分で処理する?

自治体の委託事業では、捕獲した場合に委託業者へ連絡し、業者側が回収する仕組みの例があります。

大田区では「捕獲した個体の回収」まで事業内容に含まれます。

自分で箱わなを運んだり、捕まった個体を触ったりしないでください。

ハクビシンの捕獲そのものには鳥獣保護管理法上のルールがあるため、市販の箱わなを買って自己判断で捕獲を始めることは避けます。

侵入口の封鎖も自治体が無料でしてくれる?

ここは特に誤解しやすいところです。

捕獲事業と、住宅の侵入口を塞ぐ工事は別になっている自治体が多くあります。

新宿区は、捕獲後の侵入口遮断について、自分で工務店等へ依頼するよう案内しています。

大田区も、箱わな回収後には利用者側で侵入口を塞ぐ、忌避剤等で追い払いを行うよう求めています。

国分寺市も、市の防除事業とは別に、侵入経路の封鎖を希望する場合には有料の民間専門業者を案内しています。

つまり、

自治体で捕獲 → 侵入口を塞がず終了

では再び侵入される可能性があります。

糞尿清掃・消毒もしてくれる?

自治体の箱わな事業には含まれないケースが多くあります。

北区は、

  • 汚れた場所の清掃
  • 消毒
  • 侵入口の補修

を行わないと明記しています。

渋谷区も、

  • 侵入経路を塞ぐ施工費
  • 糞尿撤去
  • 清掃
  • 消毒処理

は依頼者負担としています。

国分寺市でも、屋根裏の糞の除去や消毒は民間の専門業者への有料依頼になります。

したがって自治体へ電話するときは、単に「無料ですか」と聞くのではなく、どこまでが無料なのかを確認してください。

自治体と民間業者の対応範囲を分けると

作業 自治体事業で対応する例 民間業者が必要になりやすい部分
被害相談 ○ ○
現地調査 ○の自治体あり ○
箱わな設置 ○の自治体あり 法令・許可条件を満たして対応
捕獲個体の回収 ○の自治体あり 対応業者による
追い出し 一部自治体で対応例あり ○
侵入口封鎖 対象外が多い ○
糞尿清掃 対象外が多い ○
消毒・消臭 対象外が多い ○
断熱材・天井等の修繕 通常は対象外 ○

自治体制度は「捕獲」を中心とする場合が多く、住宅全体の再発防止施工とは役割が異なります。

戸建てなら利用できる?

戸建て住宅を対象にしている自治体は多くあります。

ただし、

  • 自己所有住宅に限定
  • 現に居住していることが必要
  • 所有者の同意が必要
  • 管理会社がある住宅は対象外

など条件があります。

府中市では、個人が所有し、実際に居住している一戸建てに侵入した場合、追い出しや敷地内への箱わな設置を行っています。

一方、事業所・賃貸住宅は対象外です。

集合住宅・マンションでも自治体に相談できる?

自治体によって真逆の扱いがあります。

北区では、一般住宅だけでなく民間集合住宅も条件を満たせば対象です。ただし所有者・管理者の同意が必要です。

一方、中野区は、マンション・アパート等の集合住宅を捕獲事業の対象外としています。

新宿区も、集合住宅等で管理会社・管理組合が管理している場合を対象から除外しています。

したがって、集合住宅では、

  1. 管理会社・管理組合へ連絡する
  2. 自治体制度の対象になるか確認する
  3. 必要なら所有者・管理者から申請する

という順番が安全です。

賃貸住宅の場合は?

賃貸では、自分で箱わなの設置や外壁・屋根の封鎖を決める前に、大家・管理会社へ連絡します。

府中市のように賃貸住宅を自治体事業の対象外としている例もあります。

北区のように民間集合住宅を対象にしていても、所有・管理者の同意が必要です。

建物の侵入口が、

  • 屋根
  • 外壁
  • 軒天
  • 共用配管
  • 換気口

などにある場合、居住者が勝手に施工できないことがあります。

事業所・店舗・寺社も対象になる?

これも自治体によります。

新宿区は一定の住宅・寺社等を対象としています。

板橋区では、住宅だけでなく、学校・事業所等を含む建造物で一定の被害がある場合に捕獲事業の対象としています。

一方、府中市では事業所は対象外です。

住宅以外の建物の場合も、自治体へ所在地と建物用途を伝えて確認してください。

自治体へ相談する前に用意しておく情報

電話では、次の内容を聞かれる可能性があります。

確認項目 伝える内容
被害内容 屋根裏の音、糞尿、食害など
発生頻度 毎日か、1回だけか
発生場所 屋根裏、庭、ベランダ等
痕跡 足跡・糞・爪痕・侵入口候補
住宅種別 戸建て・賃貸・集合住宅・事業所
所有・管理 自己所有か、管理会社がいるか
箱わな設置場所 敷地内の安全な屋外スペースがあるか

自治体の箱わなは屋根裏に設置してくれる?

屋外設置のみとしている自治体があります。

中野区では箱わなは自宅敷地内の屋外・地上に設置し、ベランダや天井裏への設置はできません。

青梅市も、建物内や床下への捕獲器設置はできないとしています。

屋根裏で音がしていても、屋根裏そのものへ自治体の箱わなを置くとは限りません。

箱わなを置けば必ず捕まる?

必ずではありません。

ハクビシンは複数のねぐらを利用するため、箱わなの設置期間中にその場所へ来ない場合もあります。

大田区では令和7年度に箱わな130件を設置し、ハクビシンの捕獲は16頭でした。

自治体の捕獲事業を利用して捕獲できなかった場合でも、

  • 侵入口の確認
  • 追い出し
  • 不在確認
  • 侵入口封鎖

による住宅対策が必要になるケースがあります。

捕獲できたら、それで終わり?

終わりではありません。

箱わなで1頭捕獲しても、

  • 別の個体がいる
  • 幼獣が屋根裏に残っている
  • 別のねぐらとして再利用される
  • 侵入口が開いたままになっている

可能性があります。

捕獲後は、建物内に個体が残っていないことを確認してから侵入口を塞ぎます。

糞尿や断熱材の汚染も残っていれば、必要な清掃・修繕を行います。

自治体が対応してくれない場合は?

自治体の対象条件を満たさない場合や、集合住宅・賃貸・建物内施工などが対象外の場合は、民間の専門業者を利用することになります。

東京都は、有害鳥獣捕獲許可を受けた事業者のうち掲載を了承した事業者リストも公開しています。

また、多くの自治体が東京都ペストコントロール協会などを専門相談先として案内しています。

民間業者へ依頼するときは、

  • 調査だけの料金
  • 追い出し
  • 捕獲の有無
  • 侵入口封鎖
  • 糞尿清掃
  • 消毒・消臭
  • 断熱材等の撤去
  • 再発保証

を分けて見積もりを確認してください。

費用全体は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先の比較は業者選びを参考にしてください。

自治体へ電話するときに聞くこと

  • ハクビシンの捕獲事業はありますか?
  • 私の被害状況は対象になりますか?
  • 現地調査は無料ですか?
  • 箱わな設置は無料ですか?
  • 設置期間は何週間ですか?
  • 捕獲後の回収までしてもらえますか?
  • 毎日の見回りや餌交換は必要ですか?
  • 戸建て・賃貸・集合住宅のどこまで対象ですか?
  • 管理会社・所有者の同意は必要ですか?
  • 侵入口封鎖・糞清掃・消毒は対象ですか?

よくある質問

ハクビシンを見つけたら市役所・区役所に電話してよいですか?

はい。実際に住宅侵入・糞尿・食害などの被害がある場合は、自治体の環境・生活衛生・鳥獣担当部署へ相談できます。東京都も区市町への相談を案内しています。

自治体なら無料で駆除してくれますか?

自治体によります。現地調査・箱わな設置・捕獲後回収まで無料の例がありますが、侵入口封鎖・糞尿清掃・消毒・建物修繕は自己負担となるケースが多くあります。

道路でハクビシンを見ただけでも捕獲してもらえますか?

目撃だけでは対象にならない自治体があります。継続的な家屋侵入、糞尿、食害等の具体的な被害が条件になる場合があります。

自治体の箱わなは屋根裏に置けますか?

自治体によっては敷地内の屋外・地上のみで、天井裏・ベランダ・床下への設置はできません。

捕獲器の見回りは自治体がしますか?

利用者に毎日1回以上の確認を求める自治体があります。餌交換や捕獲時の連絡も利用者側の協力事項になることがあります。

マンションでも自治体の制度を使えますか?

自治体によります。北区では民間集合住宅も条件付きで対象ですが、中野区では集合住宅は対象外です。管理会社・管理組合・所有者の同意も確認してください。

賃貸住宅でも使えますか?

対象外としている自治体があります。まず管理会社・大家と所在地自治体へ確認してください。

自治体が糞を掃除して消毒してくれますか?

行わない自治体が多くあります。北区・渋谷区・国分寺市などでは、清掃・消毒・侵入口封鎖等は自治体の捕獲事業とは別の自己負担対応です。

自治体で捕獲できなかったらどうすればよいですか?

追い出しと侵入口封鎖による住宅対策を検討します。高所、屋根裏、大量糞尿、幼獣の可能性などがある場合は専門業者へ相談してください。

まとめ

ハクビシン被害では、民間業者へ依頼する前に自治体へ相談できる場合があります。

  • 自治体によって現地調査・箱わな・捕獲後回収を無料で行う例がある
  • 目撃だけでは対象にならない自治体がある
  • 継続的な家屋侵入・糞尿・食害などが条件になりやすい
  • 毎日の箱わな確認や餌交換を求められることがある
  • 箱わな設置期間は1週間〜1か月など自治体差がある
  • 戸建てのみ・集合住宅も対象など住宅条件も異なる
  • 侵入口封鎖・糞尿清掃・消毒・修繕は自己負担となることが多い
  • 捕獲だけでなく再侵入防止まで考える必要がある

自治体へ相談するときは、「捕獲してくれますか?」だけではなく、「現地調査・箱わな・回収・封鎖・清掃のどこまでが対象ですか?」と確認すると、無料範囲と自分で手配する作業を整理しやすくなります。

被害の場所から確認する場合は住宅の場所から探す、害獣全体は害獣、専門業者へ切り替える場合は業者選びを参考にしてください。

参考にした自治体・公的情報

※自治体の捕獲・防除事業は年度、予算、委託業者、対象住宅、被害状況等によって変更されます。利用時には所在地自治体の最新情報を確認してください。ハクビシンは野生鳥獣であり、捕獲には法令上の条件があります。自治体事業へ申し込む前に自己判断で箱わなを稼働させないでください。確認日:2026年9月20日。

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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