家の外壁に見覚えのない穴や隙間を見つけると、「何かの動物が入っているのでは」と心配になることがあります。
実際、ネズミ、コウモリ、イタチ、ハクビシン、アライグマなどは、外壁まわりの小さな隙間、配管の貫通部、換気口、軒下、劣化した外壁などを住宅への侵入口として利用することがあります。
ただし、外壁に穴がある=害獣が穴を開けたとは限りません。
もともとの建物構造上の隙間、配管や配線を通すための開口部、経年劣化による破損などを、後から動物が利用している場合もあります。
また、穴の大きさだけで動物を特定することもできません。大きな穴であれば、そこを小型の動物が利用することもあるためです。
判断するときは、穴の大きさ+位置+周囲の糞・擦れ跡・足跡+夕方や夜の出入り+家の中の物音を組み合わせます。
原因がまだ分からない場合は、症状・痕跡から原因を調べる、または住宅に侵入する害獣の基礎情報もあわせて確認してください。
外壁の穴は害獣の侵入口になることがある
住宅へ侵入する動物は、必ずしも壁を一から壊して穴を作るわけではありません。
自治体の害獣対策資料でも、次のような場所が侵入口として案内されています。
- 劣化して穴が開いた外壁
- 床下通気口
- 換気口・通風口
- エアコンや給排水管などの配管貫通部
- 戸袋
- 軒下・軒天の隙間
- 屋根と外壁の取り合い部分
- 増築した建物との接続部分
町田市のアライグマ・ハクビシン対策資料でも、建物の劣化によって開いた穴だけでなく、屋根の組み合わせなど建物構造上もともと存在する隙間から侵入する例が確認されています。
そのため、穴を見つけたときは「誰がこの穴を開けたか」だけでなく、現在この穴が動物の出入口として使われているかを確認する方が重要です。
穴の大きさから考えられる害獣
公的機関が案内している通過可能な隙間の大きさには、動物ごとにある程度の目安があります。
ただし、個体の大きさ、穴の形、周辺部材の状態によって変わるため、以下は識別の絶対基準ではなく建物を点検するときの参考として使います。
| 穴・隙間の目安 | 候補になる動物 | 公的情報の例 |
|---|---|---|
| 1cm前後 | コウモリ、ネズミ | 浜松市はコウモリが約1cm、中野区はネズミが約1cmの隙間から出入り可能と案内 |
| 1〜2cm程度 | ネズミ | 自治体によって約1〜1.5cm、2cm前後などの案内がある |
| 約3cm | イタチに加え、ネズミ・コウモリも候補 | 大阪市はイタチが直径約3cmの穴を通過可能と案内 |
| 約8cm | ハクビシン、アライグマを含む中型獣も候補 | 東京都・八王子市等で8cm四方程度の隙間が案内されている |
| 約10cm | ハクビシン、アライグマなど | 自治体によってアライグマを10cm程度の隙間として案内する例がある |
重要なのは、8cmの穴だからハクビシンとは限らないことです。
8cmの穴なら、ネズミ、コウモリ、イタチなど、それより小さな開口部を利用できる動物も通れます。
穴の大きさは「この動物は入りにくそう」と候補を減らすためには使えますが、穴だけから一種類を確定する材料にはなりません。
1cm前後の小さな隙間ならネズミとコウモリを確認する
外壁に1cm前後の小さな隙間しかない場合でも、動物の侵入口になることがあります。
中野区は、ネズミが1cm程度の隙間や穴から出入りできると案内しています。さいたま市も1.5cm程度の隙間から通り抜けられるとしています。
一方、浜松市はアブラコウモリについて、約1cmの隙間があれば出入りできるとしています。
そのため、小さな穴では次の違いを確認します。
| 確認する痕跡 | ネズミを疑いやすい状態 | コウモリを疑いやすい状態 |
|---|---|---|
| 糞 | 室内・壁際・天井裏などにも点在する | 外壁の穴や軒下の真下など同じ場所に繰り返し落ちる |
| 穴周辺 | 黒い擦れ跡やかじり跡がある場合がある | 夕方に同じ隙間から飛び出す個体が確認できる場合がある |
| 家の中の音 | 壁内・天井裏を走る音やかじる音 | 壁内・屋根裏のカサカサ音や羽音 |
| 活動確認 | 主に夜間 | 日没前後の出入りが特に確認材料になる |
糞を素手で触ったり、種類確認のために潰したりする必要はありません。
3cm前後の穴ならイタチも候補になる
大阪市は、イタチが直径約3cmの穴を通過できると案内しています。
そのため、3cm前後の穴があり、さらに次のような状態があればイタチの可能性を確認します。
- 夜間に天井裏を素早く走る音がする
- 糞尿の強い臭いがする
- 天井裏の断熱材が荒らされている
- 雨どい・木の枝・通気口など高い位置へ続く経路がある
ただし3cmの穴はネズミやコウモリにも十分利用できる大きさです。
「3cmだからイタチ」とは判断せず、音や糞尿などを合わせて確認します。
8〜10cm級の穴ではハクビシン・アライグマも候補
東京都北区は、ハクビシンが8cm四方、6cm×12cm、円形なら直径10cm程度の穴を利用できると案内しています。
八王子市では、アライグマ・ハクビシンについて8cm四方程度の隙間から侵入可能としています。
また、西東京市では、アライグマは10cm程度の隙間を通り抜けるとする案内があります。
中型獣が疑われる場合は、穴そのものに加えて次の痕跡を確認します。
- 天井裏から比較的大きな足音がする
- 天井に尿と思われるシミがある
- 5本指の足跡がある
- 柱や外壁周辺に爪跡がある
- 庭・屋根で夜間に中型の動物を目撃する
- まとまった糞や糞尿汚れがある
アライグマとハクビシンはいずれも5本指なので、足跡だけで両者を断定することもできません。
穴がある高さも候補を絞る手掛かりになる
基礎・床下に近い穴
基礎周辺、床下通気口、配管の貫通部などは、ネズミを含む複数の動物が利用する可能性があります。
穴が大きければイタチや中型獣も候補になります。
外壁中段の配管・エアコン穴
エアコン配管、水道管、電気配線などを通すための穴では、施工時のパテやカバーが劣化して隙間ができることがあります。
小さな隙間であればネズミやコウモリを中心に確認します。
軒下・屋根近くの穴
高い位置だからコウモリだけとは限りません。
イタチは壁を登ることができ、ハクビシンやアライグマも雨どい、柱、庭木などを利用して屋根付近へ到達することがあります。
高所の穴は、地上から写真を撮る程度にとどめ、屋根や脚立へ上って確認することは避けてください。
穴の周囲にある痕跡を確認する
穴のサイズだけよりも、穴の周囲にある痕跡を合わせた方が候補を絞りやすくなります。
黒い擦れ跡
ネズミが繰り返し通る場所では、体表の汚れなどによって黒っぽい擦れ跡ができることがあります。
穴の縁や壁沿いに同じような汚れが続いている場合は、ネズミの通路の可能性を確認します。
糞が穴の真下に繰り返し落ちる
軒下や換気口付近の同じ場所へ小さな黒い糞が繰り返し落ちる場合は、コウモリなどが上部を利用している可能性があります。
5本指の足跡・爪跡
外壁や柱を登った跡、地面や屋根周辺に5本指の足跡がある場合は、ハクビシンやアライグマなど中型獣を確認します。
穴の内部から音がする
壁内・天井裏へつながっている穴の場合、夜になると走行音、引っかくような音、羽音などが聞こえることがあります。
音だけでは種類を特定できないため、糞や穴の大きさなどと組み合わせます。
外壁の穴を見つけても、すぐ完全に塞がない方がよい場合がある
害獣の侵入口らしい穴を見つけると、すぐパテや金網で塞ぎたくなります。
しかし、現在も動物が家の中を利用している可能性がある場合は、先に全面封鎖すると内部へ閉じ込めることがあります。
自治体の害獣対策でも、基本的には次の順序が案内されています。
- 侵入口を確認する
- 動物を外へ追い出す、または適法な方法で対処する
- 内部に個体や幼獣が残っていないことを確認する
- 侵入口を塞ぐ
特にコウモリは、内部に個体が残った状態で穴を塞ぐと、閉じ込めて死亡させてしまう可能性があります。
また、ハクビシン、アライグマ、イタチなどでも幼獣が残る可能性があります。
「昨日は音がしなかった」というだけで、建物内が空になったとは判断しないでください。
穴の中へ手を入れたり薬剤を注入したりしない
正体が分からない穴へ手を入れて確認する必要はありません。
動物が内部にいれば、咬傷・引っかきなどの危険があります。
また、煙や殺虫剤、忌避剤などを穴へ自己流で大量に注入すると、動物を壁内の別の場所へ移動させたり、住宅設備や居室側への薬剤曝露につながったりする可能性があります。
薬剤を使用する場合は、対象用途と使用場所を確認し、製品表示に従ってください。
換気口・通気口は単純に埋めない
外壁に開いているものすべてが「不要な穴」とは限りません。
床下通気口、外壁の通気部、換気口などは、本来の住宅機能のために設けられています。
害獣対策を行う場合も、通気や換気を失わせるように完全に埋めるのではなく、必要な機能を維持しながら動物が侵入できない構造にする必要があります。
どの開口部を塞いでよいか分からない場合は、害獣業者だけでなく建築・外装の専門業者にも確認してください。
害獣対策が終わっても外壁の穴自体は修理が必要な場合がある
外壁の穴は、害獣の侵入口という問題だけではありません。
外壁は外装材だけでなく、その内側の透湿防水シートなども含めて雨水が住宅内部へ入り込むのを防ぐ構造になっています。
日本窯業外装材協会も、外壁材の接合部、開口部まわり、配管まわりなどでは雨水が外装材の裏側へ入る場合があり、防水紙などによって建物内部への浸入を防ぐことが重要だとしています。
そのため、外壁材自体が欠損している、大きく割れている、内部の防水層まで傷んでいる可能性がある場合は、害獣がいなくなった後も外装補修が必要です。
害獣の侵入口封鎖と、住宅の防水・外壁修理は同じ作業とは限りません。
穴を見つけたときに安全に確認できること
- 地上から穴の全体写真を撮る
- 周囲の位置が分かる少し離れた写真も撮る
- 安全に確認できる範囲で穴のおおよその大きさを記録する
- 穴の真下に糞がないか見る
- 壁や柱に黒い擦れ跡・爪跡がないか見る
- 地面に足跡がないか確認する
- 夕方・夜に安全な場所から出入りを観察する
- 室内で物音がする時間帯を記録する
穴へ棒を差し込んだり、手を入れたり、動物を刺激したりする必要はありません。
業者への相談を優先したい状態
- 穴が2階以上や屋根付近にある
- 穴から実際に動物が出入りしている
- 何の動物か分からない
- 穴が複数ある
- 天井裏・壁内から継続して音がする
- 大量の糞や強い尿臭がある
- 天井にシミが出ている
- 外壁が広く破損している
- 防水層まで傷んでいる可能性がある
- 一度穴を塞いだのに再発した
- 捕獲が必要になりそう
費用を確認するときは害獣・害虫駆除の費用と見積もり、依頼先を比較するときは害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。
賃貸住宅なら自分で外壁を補修する前に管理会社へ連絡する
マンション・アパート・賃貸戸建てでは、外壁は貸主や管理会社が管理する部分であることが一般的です。
穴を見つけたら、写真・物音・糞などを記録し、自分でコーキングや金網を施工する前に管理会社や大家へ連絡してください。
建物側の破損なのか、動物の対策まで必要なのかを確認してから手配します。
よくある質問
外壁に1cmくらいの穴があります。ネズミですか?
ネズミは候補になりますが、コウモリも約1cm程度の隙間を利用できます。糞、黒い擦れ跡、夕方の出入り、壁内の音などを合わせて判断してください。
3cmくらいの穴ならイタチですか?
イタチは約3cmの穴を通過できると自治体が案内していますが、ネズミやコウモリもその大きさの穴を利用できます。穴の大きさだけでは特定できません。
10cmくらいの穴ならハクビシンですか?
ハクビシンやアライグマも候補になりますが、小型の動物も利用できます。足跡、糞、夜間の目撃、屋根裏の足音などを確認してください。
外壁に穴があるのは、害獣が壁を壊したからですか?
必ずしもそうではありません。経年劣化でできた穴や、建物の構造上存在する隙間、配管まわりの開口部を動物が利用する場合があります。
穴を見つけたら今日中に塞いだ方がよいですか?
現在も内部に動物がいる可能性があるなら、先に完全封鎖しない方が安全です。動物・幼獣が残っていないことを確認してから塞ぎます。
穴の周りが黒く汚れています。ネズミですか?
ネズミが繰り返し通る場所では黒い擦れ跡ができることがあります。ただし汚れだけでは確定できないため、糞・かじり跡・物音なども確認します。
外壁の穴だけ塞げば工事は終わりますか?
外壁自体が破損している場合は、防水や外装の修理が別に必要なことがあります。また、住宅内に糞尿汚染があれば清掃・復旧も必要です。
外壁の穴は「大きさ」だけでなく「使われている痕跡」で判断する
家の外壁に穴を見つけても、穴の大きさだけで動物を特定することはできません。
1cm級ならネズミやコウモリ、約3cmならイタチも候補となり、8〜10cm級になるとハクビシンやアライグマも通れる可能性があります。
ただし、大きな穴は小型動物も使えるため、穴の位置、糞、黒い擦れ跡、足跡・爪跡、夕方や夜間の出入り、家の中の物音を組み合わせて判断してください。
使用中の穴をすぐ塞ぐと、動物や幼獣を住宅内へ閉じ込める可能性があります。不在を確認してから封鎖し、外壁自体が傷んでいる場合は防水・外装補修も行います。
安全な場所から確認しても種類や侵入口を絞れない場合は、住宅の場所別の害獣・害虫トラブルを確認するか、専門調査を検討してください。
