ベランダの隅やエアコン室外機の裏を見たら、枝や枯れ草が集まり、鳩が巣を作っていた。
このとき最初に確認したいのは、「巣の中に卵やヒナがいるか」です。
鳩の巣は、状態によって自分で撤去できるケースと、許可なく撤去できないケースがあります。
巣材だけで、卵もヒナもいなければ、原則として巣の撤去に特別な許可は必要ありません。一方、すでに卵やヒナがいる場合は、鳥獣保護管理法との関係から、自己判断で巣ごと撤去することは避ける必要があります。
ベランダで巣を見つけたら、鳩を追い回したり、いきなり巣を持ち上げたりせず、まず現在の状態を確認してください。
ベランダの鳩の巣は3つの状態に分けて考える
| 巣の状態 | 基本的な対応 |
|---|---|
| 巣材だけ・卵もヒナもいない | 安全な範囲なら撤去可能 |
| 卵がある | 原則として無許可で撤去しない |
| ヒナがいる | 原則として巣立ちを待つ |
東京都環境局も、巣のみを撤去する場合には特別な許可は必要ない一方、卵またはヒナを含む野鳥は許可なく捕獲・殺傷できないと案内しています。
そのため、「ベランダに鳩の巣がある」というだけでは対応を決めず、中の状態で分けることが重要です。
卵もヒナもいない巣なら撤去できる
鳩が枝を運び始めたばかりの段階や、すでに使われていない空の巣で、卵・ヒナがいないことを確認できる場合は、巣だけを撤去できます。
東京都環境局も、巣を作り始めた時点で取り除くか、そもそも巣を作らせないことが大切だと案内しています。
この段階なら、巣材が少ないうちに対処した方が、その後の産卵まで進むのを防ぎやすくなります。
ただし、親鳥が巣に乗っていて中が見えない状態で、無理に手を入れて確認する必要はありません。
鳩が離れているタイミングに、安全な位置から卵・ヒナがいないことを確認してください。
卵がある巣は勝手に撤去しない
巣の中に卵がある場合は扱いが変わります。
鳥獣保護管理法では、野生鳥獣だけでなく、鳥類の卵についても原則として採取や損傷が禁止されています。
環境省も、鳥獣または鳥類の卵について、狩猟など一定の場合を除き、原則として捕獲・殺傷・採取が禁止されていると説明しています。
そのため、
- 卵ごと巣をゴミ袋へ入れる
- 卵を別の場所へ移動する
- 卵を捨てる
- 卵を壊して巣を撤去する
といった対応を自己判断では行わないでください。
通常は、ヒナが巣立った後に空になった巣を撤去します。
ヒナがいる場合も巣立ち前の撤去は避ける
すでにヒナがいる場合も同様です。
ヒナを巣から取り出したり、別の場所へ移動したり、ヒナが入ったまま巣を処分したりすることは避けます。
東京都環境局は、ドバトがベランダに巣を作り、卵を産んだ場合について、ヒナが巣立つまで待ってから巣を撤去するよう案内しています。
目安として、巣立ちまで約1か月と案内している自治体が複数あります。
ただし、巣を発見した時点が産卵直後なのか、すでにヒナが育っている途中なのかによって残り期間は変わります。
どうしても巣立ちまで待てない場合はどうする?
生活環境上、どうしても巣立ちまで待つのが難しいケースもあります。
例えば、
- 大量の糞で生活動線が使えない
- 店舗や施設運営に重大な支障が出ている
- 設備の安全上、早急な対応が必要
- 巣の場所が危険な位置にある
といった場合です。
この場合でも、卵やヒナを勝手に撤去するのではなく、自治体の野生鳥獣担当窓口へ相談します。
生活環境被害等を防止する目的では、鳥獣保護管理法に基づく捕獲等の許可制度があります。
練馬区は、卵やヒナのいる巣を巣立ち前に撤去する必要がある場合、捕獲許可を持つ専門業者へ依頼するよう案内しています。
「業者に頼めば何でも撤去できる」わけではない
鳩駆除業者であれば、法律を無視して卵やヒナを自由に処分できるわけではありません。
卵・ヒナを伴う撤去を行う場合には、必要な許可や手続きを踏まえて施工できるか確認する必要があります。
業者へ相談するときは、
- 現在卵またはヒナがいること
- 捕獲等の許可が必要な状態か
- 業者側で必要な許可対応ができるか
- 巣撤去後の清掃が含まれるか
- 防鳥ネット等の再発防止まで行うか
を確認してください。
業者の選び方全般は害獣・害虫駆除業者の選び方でも整理しています。
賃貸マンション・アパートなら管理会社へ先に連絡する
賃貸住宅では、自分の判断だけで防鳥ネットを固定したり、建物設備へ穴を開けたりしない方がよいでしょう。
ベランダの使用方法や設備変更について管理規約・賃貸借契約上のルールがある場合があります。
そのため、鳩の巣を見つけたら、
- 巣の位置を写真に残す
- 卵・ヒナがいるか安全な範囲で確認する
- 管理会社・大家へ連絡する
- 誰が撤去・清掃・再発防止を手配するか確認する
という順番が安全です。
東京都住宅供給公社も、賃貸住宅のベランダに鳩が巣を作った場合について、卵・ヒナの有無で対応を分けています。
分譲マンションでも管理規約を確認する
分譲マンションでも、防鳥ネットなどを取り付ける前には管理規約や管理組合への確認が必要になる場合があります。
特に、
- 外壁への固定
- 手すりへの恒久的な施工
- 外観を変える設備
を設置する場合は、自己判断で進めない方がよいでしょう。
鳩の巣自体を撤去できる状態でも、再発防止施工について別途確認が必要になる場合があります。
巣立った後は巣をそのまま放置しない
ヒナが巣立った後、巣が空になったことを確認できたら、巣を撤去します。
空になった巣をそのまま残しておく必要はありません。
むしろ、鳩が再び同じ場所を利用する可能性を考えると、巣材を撤去し、周囲を整理しておく方がよいでしょう。
東京都環境局も、巣を作られないよう、ベランダの風通しをよくし、植木鉢などの物を置かないよう案内しています。
巣を撤去するときは手袋とマスクを使う
巣の周囲には鳩の糞、羽、巣材などが残っていることがあります。
東京都環境局や大田区は、清掃時には使い捨ての手袋やマスクを着用し、糞へ直接触れないよう案内しています。
そのため、巣立ち後に清掃する場合は、
- 素手で巣材や糞を触らない
- 使い捨て手袋を着用する
- マスクを使用する
- 大量の乾燥した糞を不用意に舞い上げない
ようにします。
大量の糞が蓄積している、高所に巣がある、自分では安全に清掃できない場合は専門業者への依頼も検討します。
鳩が巣を作りやすいベランダの場所
鳩は、雨風を避けやすく、人の出入りが少ない場所を利用することがあります。
ベランダでは、
- エアコン室外機の裏
- 室外機と壁の間
- 植木鉢の陰
- 物置や収納ボックスの裏
- 使っていないベランダの隅
- 荷物の陰
などが、外から見えにくいスペースになりやすい場所です。
東京都住宅供給公社も、洗濯機やエアコン室外機周辺を整理整頓することを再発防止策として案内しています。
巣を作られた後は再営巣防止まで行う
巣を撤去しただけでは、再び同じ場所へ戻ってくる可能性があります。
巣立ち後は、巣材と糞を清掃したうえで、再び巣を作りにくい環境へ変えます。
ベランダの物を減らす
植木鉢、段ボール、収納物などが多いと、鳩から見えにくい場所が増えます。
使っていない物を減らし、室外機の裏側なども確認しやすい状態にします。
餌になるものを置かない
鳩へ直接餌を与えていなくても、ペットフードや生ごみなどが外にあると寄り付きやすくなる場合があります。
周囲で餌付けが行われている場合も、継続的な飛来につながることがあります。
防鳥ネットを検討する
ベランダへの物理的な侵入を防ぐ方法として、防鳥ネットがあります。
東京都環境局、稲城市、東京都住宅供給公社なども、防鳥ネットを鳩対策として案内しています。
ただし、ネットに隙間があると侵入する可能性があるため、設置するならベランダ開口部を適切に覆う必要があります。
賃貸・集合住宅では、固定方法について管理会社・管理組合へ先に確認してください。
卵が1個だけでも撤去してはいけない?
個数は関係ありません。
鳥類の卵そのものが鳥獣保護管理法の対象になるため、1個だけでも自己判断で採取・処分しないでください。
「まだ1個だから」「孵化していないから」という理由で自由に処分できるわけではありません。
親鳩がいないなら卵を捨ててもよい?
親鳥が一時的に巣から離れていても、卵がある状態なら扱いは変わりません。
餌を取りに行くなどして一時的に巣を離れている可能性があります。
親鳩が見えないことを理由に卵を処分しないでください。
卵だけ別の場所へ移動すればよい?
これも避けてください。
卵の採取・移動自体が法令上の問題になる可能性があります。
また、人が都合のよい別の場所へ移動したからといって、親鳥がそこで正常に抱卵を続けるとは限りません。
巣が落ちそうな危険な場所にある場合は?
道路や歩行者の真上など、巣の落下による危険が現実にある場合は、自治体や建物管理者へ相談してください。
卵やヒナがいる場合、危険だからといって無許可で自由に処分できるわけではありません。
緊急性がある場合こそ、管理者や自治体の鳥獣担当部署へ状況を伝える方が適切です。
業者へ依頼した方がよいケース
次のような場合は、自分で撤去・清掃しようとせず、管理会社や専門業者への相談を検討します。
- 卵・ヒナがいる状態で早期撤去が必要
- 自治体への許可手続きが必要
- 巣が高所にある
- 大量の糞が堆積している
- 室外機内部など手が届きにくい場所に営巣している
- 何度撤去しても繰り返し巣を作られる
- 防鳥ネットをベランダ全体へ施工したい
依頼するときは、巣の撤去だけなのか、糞清掃、防鳥ネット、忌避施工まで含むのかを確認してください。
鳩の巣を見つけたときの対応手順
- 鳩を刺激せず巣の位置を確認する
- 安全な距離から卵・ヒナの有無を確認する
- 卵・ヒナがなければ早めの巣材撤去を検討する
- 卵・ヒナがいれば原則として巣立ちを待つ
- 賃貸・集合住宅なら管理会社等へ連絡する
- どうしても巣立ち前の撤去が必要なら自治体の許可窓口へ相談する
- 巣立ち後に巣と糞を安全に清掃する
- 室外機周辺の整理や防鳥ネット等で再営巣を防ぐ
よくある質問
鳩が巣を作り始めただけなら撤去してよいですか?
卵・ヒナがいないことを確認できる巣材だけの段階なら、原則として巣だけの撤去に捕獲許可は必要ありません。東京都も巣作り開始時点での撤去を勧めています。
卵がある鳩の巣を撤去すると法律違反ですか?
鳥類の卵は鳥獣保護管理法の対象です。許可なく卵を採取・損傷することは原則禁止されているため、自己判断で卵ごと巣を処分しないでください。
鳩のヒナが巣立つまでどのくらいですか?
東京都などは、巣立ちまで約1か月を目安として案内しています。発見時点の成長段階によって残り期間は異なります。
親鳩がいなくなったら巣を撤去できますか?
親鳥が見えないことより、卵・ヒナがいるかが重要です。卵・ヒナが残っている場合は撤去しません。巣が完全に空になり、親鳥も利用していないことを確認してから撤去します。
賃貸のベランダでも自分で撤去してよいですか?
卵・ヒナがいない空の巣なら法令上は巣だけを撤去できますが、賃貸住宅では管理会社・大家への連絡を先に行う方が安全です。防鳥ネットなどの設備施工には別途承諾が必要になることがあります。
鳩の巣を撤去したら防鳥ネットを付けた方がよいですか?
繰り返し飛来・営巣する場合には有効な選択肢です。東京都や自治体も防鳥ネットを再発防止策として案内しています。集合住宅では設置方法を管理会社等へ確認してください。
卵やヒナがいるのにどうしても撤去したい場合は?
自治体の野生鳥獣担当窓口へ相談してください。生活環境被害等を理由に捕獲等の許可を受けられる場合があり、許可対応可能な専門業者へ依頼する方法もあります。
鳩の巣は「卵・ヒナがいるか」で対応が変わる
ベランダに鳩の巣を見つけたとき、最も重要なのは、慌てて撤去することではありません。
巣だけなのか、卵があるのか、ヒナがいるのかを確認してください。
卵・ヒナがいない巣なら、安全な範囲で早めに撤去できます。
すでに卵・ヒナがいる場合は、原則として巣立ちを待ち、空になった後に撤去します。
どうしても待つことができない生活環境上の事情がある場合は、自治体の捕獲許可窓口や、必要な手続きに対応できる専門業者へ相談してください。
そして巣立ち後は、巣を捨てるだけで終わらせず、糞や巣材を安全に清掃し、室外機周辺の整理や防鳥ネットなどで同じ場所への再営巣を防ぐことが重要です。
まだ鳥か別の動物か分からない場合は住宅に侵入する害獣・害鳥の総合ページや症状・痕跡から探すページから確認できます。
