ベランダに鳩が毎日来る、糞が大量に落ちている、巣を作られた、近所の餌やりで鳩が集まっている。
このようなとき、「市役所や区役所へ相談すれば駆除してくれるのでは」と考えることがあります。
鳩被害について自治体へ相談すること自体はできます。ただし、市役所へ連絡すれば私有地の鳩を無料で捕獲・駆除してくれるとは限りません。
自治体によって対応はかなり異なり、実際には、
- 鳩対策や法律についての相談
- 捕獲許可の窓口案内
- 専門業者・団体の紹介
- 公園・道路など自治体管理地への対応
- 防鳥用品などを使った地域独自事業
- 餌やりによる生活環境被害への条例・指導
などが中心になる場合があります。
一方、ベランダや戸建てなどの私有地では、所有者や管理者が対策することとしている自治体もあります。
この記事では、鳩被害を市役所へ相談すると何をしてもらえる可能性があるのか、被害場所ごとの連絡先、巣に卵やヒナがいる場合の注意点まで整理します。
鳩被害は市役所・区役所へ相談できる
鳩は野生鳥獣なので、住宅に入り込むネズミや衛生害虫とは行政上の扱いが異なる場合があります。
自治体の公式サイトでは、
- 環境課
- 環境政策課
- 自然環境担当
- 鳥獣対策担当
- 生活環境担当
などが相談窓口となっている例があります。
担当課の名称は全国共通ではありません。
所在地の自治体公式サイトで、
- 「自治体名 鳩」
- 「自治体名 ドバト」
- 「自治体名 野生鳥獣」
- 「自治体名 鳥の巣」
- 「自治体名 餌やり 鳩」
などと検索すると、その地域の担当課や制度を確認しやすくなります。
市役所が鳩を直接駆除してくれるとは限らない
自治体へ相談できることと、自治体が住宅の鳩を駆除することは別です。
例えば横浜市は、私有地におけるカラスやハトなどの野生鳥類について、市による駆除は行っていないと案内しています。
横須賀市も、私有地でのカラス・ハト等の駆除は行っていません。
このように、個人宅やマンションの専有・管理部分については、土地・建物の所有者や管理者が対策することを基本としている地域があります。
ただし、これは全国すべての自治体が同じ制度という意味ではありません。
自治体独自の支援や相談制度が設けられている地域もあるため、所在地の最新情報を確認します。
自治体の鳩対応は大きく6種類に分けて考える
| 自治体の対応例 | 内容 |
|---|---|
| 相談・対策案内 | 鳩の生態、巣、糞害、防鳥対策などを案内 |
| 法令・許可窓口案内 | 捕獲や卵・ヒナへの対応で許可が必要な場合の相談先を案内 |
| 業者・団体紹介 | ペストコントロール協会などの相談先を紹介 |
| 公共施設への対応 | 公園、街路樹、道路、公共施設など自治体管理場所を担当部署が確認 |
| 地域独自の支援 | 防鳥用品配布、モニター事業など |
| 餌やり対策 | 条例、巡回、指導、相談など |
「自治体の鳩対策制度」といっても内容は同じではありません。
電話をするときも、「鳩を駆除してください」とだけ伝えるより、何について相談したいのかを分けた方が適切な窓口へつながりやすくなります。
私有地の鳩被害は所有者・管理者対応になることが多い
自宅のベランダ、屋根、軒下、庭などで鳩被害が起きている場合、自治体が直接施工するのではなく、所有者や管理者による対応を案内される場合があります。
大野城市も、個人敷地内では市が原則として捕獲を行わず、必要な場合は専門業者への依頼等を案内しています。
この場合でも、市役所へ相談する意味がないわけではありません。
自治体から、
- 鳥獣保護管理法上の扱い
- 捕獲が必要な場合の許可窓口
- 地域の専門業者団体
- 自治体独自の支援制度
などを確認できる場合があります。
公園・道路・公共施設の鳩は施設管理者へ連絡する
鳩がいる場所が自宅ではなく、公園、街路樹、道路、学校、公共施設などの場合は、その場所を管理する部署が相談先になります。
例えば習志野市では、野生鳥獣について、
- 公園・街路樹
- 公立学校
- 道路
- 電柱・送電線
- 民有地
で相談先を分けて案内しています。
自治体管理地なら市区町村の担当部署でも、国道や都道、電柱などでは別の管理者になることがあります。
電柱や電線の鳩は市役所ではない場合がある
自宅の前の電線に鳩が大量に止まり、真下の車や道路へ糞が落ちるケースがあります。
このような場合、電柱・電線の所有者や管理者が電力会社・通信会社であれば、市役所が直接設備へ防鳥施工することは通常できません。
電柱番号などが分かれば、電力会社や通信会社へ状況を伝えます。
道路上の糞清掃や公共空間への影響がある場合には、自治体側の道路管理部署等へ相談できることもあります。
つまり、
鳩がいる場所ではなく、その鳩が利用している設備を誰が管理しているか
を確認することが重要です。
賃貸マンション・アパートは先に管理会社へ連絡する
賃貸住宅のベランダや共用廊下、建物外壁などで鳩被害がある場合は、市役所だけでなく管理会社や大家への連絡も必要です。
特に、
- 防鳥ネットを固定する
- 外壁へ金具を取り付ける
- 手すりへ設備を固定する
- 共用部分へ施工する
- 避難ハッチや隔板周辺へネットを設置する
場合は、自分の判断だけで工事を進めない方が安全です。
賃貸住宅では、自治体へ制度や法律を確認することと、建物への施工許可や費用負担を管理会社へ確認することを分けて考えます。
鳩の巣に卵やヒナがいる場合は自治体へ相談する意味が大きい
鳩の巣を見つけた場合は、まず卵やヒナの有無を確認します。
野生鳥獣や鳥類の卵は鳥獣保護管理法の対象となり、許可なく捕獲・殺傷したり、卵を採取・損傷したりすることは原則として認められていません。
そのため、卵やヒナがいる営巣中の巣を「迷惑だから」という理由だけで自己判断で処分することは避けます。
生活環境被害などが大きく、巣立ちを待てない事情がある場合には、捕獲等の許可が必要になることがあります。
ただし、許可権限や実際の申請窓口は地域によって異なります。
自治体へ、
- 卵またはヒナがいること
- 巣の場所
- どのような生活被害があるか
- 民間業者へ依頼予定か
を伝え、どこへ相談・申請すべきか確認します。
空の巣なら自治体へ撤去依頼する必要があるとは限らない
卵やヒナがいない巣だけであれば、鳥獣の捕獲や卵の採取には当たらず、捕獲許可を必要としないと案内している自治体があります。
ただし、
- 屋根など高所にある
- マンションの共用部分にある
- 電柱・公共施設など自分が管理していない場所にある
場合には、法令とは別に安全性と管理権限の問題があります。
「空の巣だから合法=どこでも自分で撤去してよい」という意味ではありません。
自治体独自の鳩対策事業がある地域もある
自治体が直接鳩を捕獲しなくても、独自の被害防止事業を行っている地域があります。
例えば板橋区では、2026年度に野生の鳩被害を受けている住民・事業者を対象として、鳩対策グッズを使ったモニター事業を実施しています。
対策用品として、
- 忌避剤
- 視覚錯乱テープ
- 鳩よけテグス
などが示されています。
一方、営巣して卵やヒナがいる段階では、鳥獣保護管理法を確認し、必要に応じて専門業者団体への相談を案内しています。
このような事業は年度や募集期間、対象条件が変わるため、「以前使えた制度が今年もある」とは限りません。
近所の鳩への餌やりも自治体へ相談できる場合がある
鳩被害の原因が自宅の構造ではなく、近隣の公園や道路などで継続的に餌を与える人がいることである場合もあります。
この問題への対応も地域差があります。
板橋区では、公共の場所でハト等への給餌による生活環境被害を防止する条例が施行されています。
大田区にも、野生のハト・カラスへの給餌による被害を対象とした条例があります。
一方、すべての自治体に同じ条例があるわけではありません。
餌やりによる糞害や大量飛来で困っている場合は、
- 餌やりが行われている場所
- 日時
- 鳩が集まる数
- 糞や臭い等の被害
- 道路・公園等への影響
を記録し、自治体の環境・生活環境担当へ相談します。
「近所の人が餌をあげています」と言えば必ず行政が止めてくれるわけではない
餌やりに関する条例・指導制度の有無は自治体によって異なります。
条例がある地域でも、対象となる場所、被害の定義、行政指導の手順などが定められています。
そのため、自治体へ相談したからといって直ちに餌やりが禁止される、罰金が科されると考えない方がよいでしょう。
まず所在地でどの制度があるかを確認します。
自治体へ相談する前に記録しておくこと
電話や問い合わせフォームで状況を説明するときは、次の情報を整理しておくと話が進みやすくなります。
- 被害場所の住所
- 戸建て・賃貸・分譲マンション等の区分
- 鳩がいる場所
- 糞が落ちている場所
- 最初に被害へ気づいた時期
- 鳩が来る時間帯
- 鳩のおおよその数
- 巣の有無
- 卵・ヒナの有無
- 餌やりが関係しているか
- 写真・動画
写真を撮るために屋根へ上ったり、巣へ顔を近づけたりする必要はありません。
安全な場所から確認できる範囲で記録します。
自治体へ電話するときに確認したいこと
- 私有地の鳩被害は自治体の対応対象か
- 相談窓口はどの部署か
- 捕獲が必要な場合の許可窓口はどこか
- 防鳥用品等の支援制度があるか
- 専門業者や団体を紹介しているか
- 餌やり被害への条例・相談制度があるか
- 公共施設ならどの管理部署へ連絡するか
- 電柱・道路等ならどの管理者へ連絡すべきか
自治体が直接駆除しない場合でも、次にどこへ連絡すべきかを確認できることがあります。
市役所では対応できないことも多い
自治体へ相談した結果、次の作業については民間業者や建物管理者へ依頼するよう案内されることがあります。
- ベランダ全面への防鳥ネット施工
- 屋根・高所へのワイヤーや剣山施工
- 大量の鳩糞清掃
- 巣材・汚染物の清掃
- 太陽光パネル下の鳩対策
- 建物への金具固定
- 再飛来防止の本格施工
自治体は行政上の相談・制度・許可に強く、住宅への実施工は民間業者が担当するという分担になる地域もあります。
自治体で対応しない場合は民間業者を検討する
市役所へ相談し、私有地は対象外と分かった場合でも、被害をそのまま放置する必要はありません。
特に、
- 毎日大量の糞が増える
- 夜間も鳩が滞在している
- 防鳥ネットが必要
- 屋根や高所へ定着している
- 大量の糞清掃が必要
- 対策しても何度も戻ってくる
状態では専門業者への相談を検討します。
自治体から業者団体の連絡先を案内される場合もあります。
実際の施工費用については害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先の比較方法は駆除業者の選び方で確認できます。
鳩以外の害獣も含めて相談先を確認したい場合
鳩かどうかまだ分からない、天井裏の音や糞もあるなど、原因となる生物自体が確定していない場合は、相談先の選び方が変わります。
市役所・保健所・管理会社・専門業者の違いについては、害獣駆除はどこに相談?市役所・保健所・業者の違いで整理しています。
鳩であることが分かっており、被害や対策全体を確認したい場合は鳩・害鳥対策をご覧ください。
よくある質問
鳩の駆除を市役所に頼めば無料ですか?
全国一律ではありません。
私有地の鳩を自治体が直接駆除しない地域があります。一方で、防鳥用品を使った事業や相談制度など、自治体独自の支援がある場合もあります。
所在地の公式情報を確認してください。
鳩の巣を見つけたら市役所へ電話すべきですか?
卵やヒナがいる場合、または自分で撤去してよいか分からない場合は、自治体へ法令や許可窓口を確認する意味があります。
賃貸・マンション共用部分であれば、管理会社・管理組合にも連絡します。
鳩の卵を市役所が取りに来てくれますか?
自治体が直接対応するとは限りません。
鳥類の卵は鳥獣保護管理法の対象となるため、自己判断で採取・処分せず、所在地の許可制度と相談窓口を確認します。
ベランダの鳩は保健所へ相談しますか?
自治体によって担当部署が異なります。
野生鳥獣を環境・自然保護部門が担当している地域もあります。まず自治体公式サイトで「鳩」「ドバト」「野生鳥獣」などを検索する方が確実です。
近所の餌やりで鳩が増えている場合は市役所へ相談できますか?
相談できる場合があります。
給餌による生活環境被害を対象とした条例や指導制度を設けている自治体もあります。ただし制度の有無や対象条件は地域によって異なります。
公園の鳩が多い場合は誰へ相談しますか?
公園を管理する自治体・施設管理部署が相談先になります。
国や都道府県が管理する施設では市区町村とは別の管理者になる場合があります。
電線の鳩の糞で困っている場合は市役所ですか?
電柱・電線については、電力会社や通信会社など設備の管理者が相談先になる場合があります。
道路上の糞や公共空間の問題については自治体の道路・環境担当へ相談できることがあります。
鳩被害は「誰がその場所を管理しているか」から相談先を決める
鳩被害で市役所へ相談することはできますが、行政が住宅の鳩をすべて無料で駆除する制度ではありません。
整理すると、
被害状況を記録 → 被害場所の管理者を確認 → 自治体の鳩・野生鳥獣制度を確認 → 巣に卵・ヒナがある場合は許可窓口を確認 → 公共施設は施設管理部署 → 賃貸は管理会社 → 電柱等は設備管理者 → 私有地で実施工が必要なら専門業者
という順番で考えると相談先を判断しやすくなります。
自治体によっては、防鳥用品の事業、業者紹介、餌やり条例など独自の対応があります。
制度は年度によって変わる可能性もあるため、実際に相談するときは所在地自治体の最新公式ページを確認してください。
主な確認資料
- 東京都環境局「野生鳥獣との接し方について」
- 横浜市「カラス・ハトによる被害について」
- 横須賀市「カラスやドバトの被害について」
- 板橋区「令和8年度 ハトモニター事業」
- 板橋区「東京都板橋区ハト等への給餌による被害防止条例」
- 大田区「大田区ハト・カラスへの給餌による被害防止条例」
- 習志野市「野生鳥獣による被害対策」
- 大野城市「ハト・カラスを駆除してほしい」
- 環境省「鳥獣保護管理法に基づく許可申請等について」
