家の近くにカラスの巣があるときは?撤去・威嚇・卵やヒナの対応

自宅の庭木や家の近くにカラスの巣を見つけても、巣があるという理由だけですぐに撤去しなければならないわけではありません。

カラスは春から初夏にかけて子育てを行い、巣やヒナを守る時期には、人が近づくと威嚇したり、後方から飛来したりすることがあります。

そのため対応を考えるときは、巣があるかどうかだけではなく、卵・ヒナの有無、親鳥の威嚇・攻撃、巣がある場所の管理者を確認します。

特に卵やヒナがいる巣を自己判断で撤去したり、巣ごと移動したりする方法は避けてください。野鳥の捕獲・殺傷や鳥類の卵の採取は、鳥獣保護管理法によって原則として禁止されています。

状況 基本的な対応
巣があるが威嚇・生活被害はない むやみに近づかず、巣立ちまで距離を取る選択を検討
親ガラスが威嚇している 巣・ヒナから離れ、必要なら傘や帽子で頭部を保護して迂回
卵・ヒナがいる 自己判断で撤去・採取・移動しない
卵・ヒナがいない空巣 管理権限と作業上の安全を確認できれば撤去を検討可能
自宅の庭木にある 土地・樹木の所有者または管理者が対応主体。自治体制度も確認
マンション敷地内にある 管理会社・管理組合へ連絡
電柱・電線にある 自分で触らず、電力会社・通信設備の管理者へ連絡
街路樹・公園にある 道路・公園等の施設管理者へ連絡
目次

カラスは家のどこに巣を作る?

「家にカラスの巣がある」と検索していても、スズメのように外壁の小さな穴や戸袋の内部へ巣を作っているケースとは少し異なります。

カラスは主に、

  • 庭の大きな樹木
  • 住宅周辺の街路樹
  • 公園の樹木
  • 鉄塔
  • 電柱周辺
  • その他の高い構造物

などに巣を作ります。

練馬区は、カラスが大きな樹木や鉄塔などの高い場所に皿状の巣を作ると案内しています。

都市部では木の枝だけでなく、針金製ハンガーなど人工物が巣材として使われることもあります。

カラスの繁殖期は3〜7月頃

自治体では、カラスの繁殖期をおおむね3〜7月頃として案内しています。

東京都北区では3〜7月頃、練馬区では3月頃から巣作りが始まり、ヒナが巣立つおおむね7月上旬まで親鳥が神経質になるとされています。

この期間は、

  • 巣作り
  • 産卵
  • 抱卵
  • ヒナの育成
  • 巣立ち直後のヒナの保護

が続くため、巣やヒナに近づく人への威嚇が増えます。

ただし、日付だけで「もう巣立った」「卵はいない」と判断することはできません。実際の親鳥の行動や巣の状態を確認します。

巣があるだけなら撤去しなくてもよいケースがある

カラスの巣を見つけると、すぐ取り除いた方がよいように感じるかもしれません。

しかし複数の自治体では、巣が存在するだけで被害がない場合は、必ずしも撤去する必要はないという考え方を示しています。

巣を避けて生活でき、親鳥からの威嚇もなく、通行人への危険もないのであれば、巣立ちまで距離を取って過ごす方法もあります。

巣へ何度も近づいて中を覗いたり、長時間観察したりすると、子育て中の親鳥を刺激する可能性があります。

カラスが威嚇してくるのは巣やヒナを守るため

繁殖期に人へ向かってくるカラスの多くは、巣や卵、ヒナを守るために警戒しています。

特に巣そのものだけでなく、巣立ったばかりでまだ十分に飛べないヒナが近くにいる場合も、親鳥の警戒が強くなることがあります。

「巣が見当たらないのに毎回同じ場所で威嚇される」という場合は、近くの樹木や地面付近にヒナがいないか、安全な距離から確認します。

親ガラスに威嚇されたときの対応

カラスから警戒・威嚇を受けた場合は、追い払おうとせず、その場所から離れることを優先します。

自治体では、巣の近くを通らざるを得ない場合の対策として、

  • できれば別の道を使う
  • 巣やヒナへ近づかない
  • 傘を差して頭部を守る
  • 帽子をかぶる

といった方法が案内されています。

カラスは、人の後方から頭部付近へ接近して足で蹴るような行動をする場合があります。

石や物を投げたり、巣を棒でつついたりして追い払おうとすると、親鳥をさらに刺激する可能性があるため避けます。

カラスが鳴いているだけなら攻撃とは限らない

カラスが近くで鳴いているだけで、直ちに攻撃されるとは限りません。

ただし、

  • 人の頭上を繰り返し低く飛ぶ
  • 後ろから何度も接近する
  • 特定の場所を通るたび強く警戒される
  • 巣やヒナの近くで威嚇が続く

場合は、距離を取る方が安全です。

カラスを見続けたり巣の真下に長時間立ったりせず、速やかに安全な場所へ移動してください。

カラスの巣を自分で撤去していい?

撤去できるかどうかは、卵やヒナがいるかによって大きく変わります。

卵・ヒナがいない空巣

横浜市は、卵やヒナがいない鳥の巣を撤去する場合、鳥獣保護管理法上の捕獲許可は不要と案内しています。

そのため、自分が管理する敷地内の空巣で、地上から安全に作業できるような状況であれば、撤去を検討できます。

ただし、カラスの巣は高い樹木に作られることが多いため、法律上撤去できることと、自分で安全に撤去できることは別問題です。

卵がある巣

野鳥の卵の採取は、鳥獣保護管理法で原則禁止されています。

卵を取り出したり、卵が入った巣ごと落としたりする方法を自己判断で行わないでください。

ヒナがいる巣

ヒナの捕獲・殺傷も原則として規制対象です。

巣の中にヒナがいる場合は、自分で巣を撤去したり、別の樹木へ移動させたりするのではなく、所在地の自治体や管理者へ相談します。

卵やヒナがいるか分からないときは巣へ登って確認しない

卵・ヒナがいるか確認するために、はしごを使って木へ登ったり、屋根へ上ったりする必要はありません。

カラスの巣は高所にあることが多く、

  • 転落
  • 枝折れ
  • 親ガラスからの攻撃

が重なる可能性があります。

地上から親鳥が巣へ出入りしているかを確認し、判断できなければ管理者や専門業者へ任せます。

自宅の庭木に巣がある場合

個人宅の敷地内や庭木に作られた巣は、原則として土地や樹木の所有者・管理者が対応主体になります。

東京都環境局でも、個人宅の敷地内については土地所有者が民間事業者等へ直接撤去を依頼する形を案内しています。

一方で、自治体によっては、

  • 親ガラスから威嚇・攻撃を受けている
  • 民有地内の巣である
  • 所有者・管理者の同意がある

など一定の条件を満たす場合に、巣の撤去や費用補助を行う制度があります。

全国一律ではないため、まず居住地の自治体の環境・鳥獣担当窓口を確認してください。

マンション・賃貸住宅の敷地なら管理会社へ連絡する

共同住宅の庭木や敷地内樹木に巣がある場合は、居住者が勝手に撤去せず、管理会社・管理組合・大家へ連絡します。

東京都環境局も、民間共同住宅にあるカラスの巣については住宅管理者・管理組合等へ相談するよう案内しています。

連絡するときは、

  • 巣がある場所
  • 親鳥が威嚇しているか
  • 通行人や住民への危険があるか
  • 卵やヒナが見えるか
  • 写真を安全な場所から撮れるか

を伝えると状況を共有しやすくなります。

電柱や電線に巣がある場合は触らない

カラスは電柱や送電設備周辺へ巣を作ることがあります。

この場合、自宅の前にある電柱だからといって、自分で巣を落としてはいけません。

電柱には感電や墜落の危険があり、巣材の針金などが電気設備へ接触すると停電事故につながることもあります。

電柱・送電線の巣は、設備を管理する電力会社や通信事業者へ連絡してください。

街路樹・公園の木に巣がある場合

道路の街路樹、公園、公共施設などにある巣は、その施設を管理する行政機関等が対応主体です。

巣を見つけたというだけでは撤去されない自治体もあります。

一方、親ガラスによる攻撃が続き、迂回が難しいなど人への危険が生じている場合には、現地確認のうえ注意表示・通行規制・巣の撤去などが検討されることがあります。

自宅の外にある巣を勝手に撤去するのではなく、まず管理者を確認します。

巣を撤去すればすぐ解決するとは限らない

自治体によっては、巣を作り始めた直後に撤去すると、カラスが近くの場所へ再び巣を作ることがあると説明しています。

このため、自治体が対応する場合でも、単に「巣を見つけた瞬間に撤去」という運用になっていないことがあります。

親鳥からの威嚇がなく、生活上回避できる場所なら、巣立ちまで距離を取るという判断もあります。

反対に、玄関・通学路・駐車場など、毎日避けられない場所で激しい威嚇がある場合は、管理者や自治体へ早めに相談してください。

落ちたヒナを見つけたら親鳥に注意する

巣立ち時期には、完全には飛べないヒナが地面や低い場所にいることがあります。

このとき、親鳥が近くでヒナを守っているため、人が近づくことで威嚇が強くなる場合があります。

「かわいそうだから」とすぐ手で捕まえて移動させるのではなく、人や車との接触など緊急の危険がある場合は自治体の鳥獣担当窓口へ相談してください。

野鳥のヒナも捕獲の対象となるため、家庭で自由に捕まえて飼育するものではありません。

カラスの巣を見つけたときにしてはいけないこと

  • 卵がある巣を勝手に落とす
  • ヒナを捕まえて別の場所へ移す
  • 石を投げる
  • 棒で巣をつつく
  • 巣を確認するため木や屋根へ登る
  • 親鳥へ向けて物を投げる
  • 電柱・電線の巣へ触る
  • 巣の下に長時間立って観察する

法律面だけでなく、親ガラスを刺激して人への攻撃を増やす可能性や、高所作業事故の問題があります。

巣立ち後の空巣を撤去する場合

卵・ヒナがいないことを確認でき、管理権限のある場所で、安全に作業できる空巣であれば撤去できます。

ただし、カラスの巣には枝だけでなく針金製ハンガー等が使われることがあります。

高所にある場合は無理にDIYせず、造園業者や鳥害対策業者など安全に高所作業できる事業者への依頼を検討します。

巣の撤去費用や依頼先を確認するときは、害獣・害虫対策の費用と業者選びのページも参考にしてください。

巣立ち後の再営巣を減らす方法

庭木を剪定して見通しをよくする

東京都北区や練馬区は、カラスに巣を作らせにくくする方法として、庭木の剪定を挙げています。

枝葉が密集し、大きな巣を支えやすい枝がある樹木では、繁殖期前に適切な剪定を検討します。

ただし、使用中の巣がある樹木を、親鳥を追い払う目的で自己判断で強く剪定する方法は避けます。

針金ハンガーなどを放置しない

都市部のカラスは、針金製ハンガーなど人工物を巣材として利用することがあります。

ベランダや物干し場に使用していないハンガーを長期間放置せず、使用後は屋内へ片付けます。

生ごみを適切に管理する

巣材対策と営巣対策は同じではありませんが、住宅周辺に継続して餌場があると、カラスがその地域を利用しやすくなります。

生ごみを収集時間より大幅に早く出さない、防鳥ネットを適切に使用するなど、地域のごみ出しルールに従います。

家の近くにカラスの巣があるときの対応順序

  1. 巣へ近づかず場所を確認する
    庭木、共同住宅、電柱、街路樹など、誰が管理する場所かを確認します。
  2. 親鳥の威嚇・攻撃があるか確認する
    安全な距離から判断します。
  3. 卵・ヒナの有無を考慮する
    確認のため高所へ登らないでください。
  4. 被害がなく回避できるなら距離を取る
    必ず撤去が必要とは限りません。
  5. 威嚇がある場合は巣やヒナから離れる
    必要なら傘や帽子で頭を保護し、別ルートを使います。
  6. 場所の管理者へ連絡する
    私有地、共同住宅、電柱、道路、公園で窓口が異なります。
  7. 卵・ヒナがいる場合は自己判断で撤去しない
  8. 巣立ち後に再営巣防止を行う
    庭木・巣材・ごみ環境を見直します。

専門業者への相談を検討した方がよいケース

  • 庭木の高い位置に巣があり、脚立・はしご・高所作業が必要
  • 親ガラスの威嚇・攻撃が強い
  • 玄関や駐車場など生活動線上に巣がある
  • 子どもや高齢者が毎日巣の近くを通る
  • 卵・ヒナがいる可能性があり法令上の判断が必要
  • 巣の状況を安全に確認できない
  • 巣立ち後も繰り返し同じ庭木へ営巣される

依頼前には、

  • 巣の撤去だけか
  • 高所作業費が含まれるか
  • 卵・ヒナがいる場合の許可対応ができるか
  • 巣立ち後の剪定・再営巣防止まで対応するか
  • 追加料金が発生する条件

を確認してください。

カラスの巣は「場所・卵やヒナ・威嚇」の3点で判断する

家の近くにカラスの巣を見つけたときは、巣そのものをすぐ取り除くのではなく、まず状況を整理します。

重要なのは、

  • どこにある巣か
  • 卵やヒナがいる可能性があるか
  • 親鳥から威嚇・攻撃を受けているか

の3点です。

被害がなく、巣を避けて生活できる場合は、巣立ちまで距離を取る方法もあります。

一方、卵・ヒナがいる巣を自己判断で撤去・移動することは避けます。人への威嚇が強い場合は、巣へ直接対応する前に、その場所の管理者や自治体へ相談します。

また、自宅の庭木と、マンション敷地、電柱、街路樹では対応する管理者が異なります。

カラスを追い払うことから始めるのではなく、安全な距離を取り、管理者と法令を確認してから対応することが重要です。

鳥かどうかを含め、住宅周辺の痕跡から原因を確認したい場合は症状・痕跡から探す、住宅の場所から確認したい場合は住宅の場所から探すも参考にしてください。

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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