屋根裏や天井裏にハクビシンが入り込んだ場合、箱わなで捕まえる以外に、建物の外へ追い出すという対処があります。
ただし、忌避剤や煙で一度外へ出ただけでは対策完了ではありません。侵入口をそのまま残せば再び入られる可能性があり、反対にハクビシンや幼獣が残った状態で穴を塞ぐと、建物内へ閉じ込めるおそれがあります。
追い出しは、侵入口を確認する → 逃げ道を残して追い出す → 全個体が出たことを確認する → 侵入口を塞ぐという順番で考えます。
ハクビシンを追い出す基本的な流れ
| 段階 | 確認すること |
|---|---|
| 1. 状況確認 | 本当にハクビシンの可能性が高いか、音・糞・目撃場所を記録する |
| 2. 侵入口確認 | どこから出入りしている可能性があるか安全な場所から確認する |
| 3. 追い出し | 逃げ道を塞がず、忌避剤・臭い・煙・光・音などで外へ移動させる |
| 4. 退出確認 | 足音・鳴き声・出入り・足跡などから、個体や幼獣が残っていないか確認する |
| 5. 侵入口封鎖 | 不在を確認した後で侵入口を物理的に塞ぐ |
| 6. 再発対策 | 果実・生ごみ・屋根へ届く枝なども見直す |
「忌避剤を置けば終わり」「音を出せば二度と来ない」というものではありません。
東京都環境局も、忌避剤で一時的に追い出せる可能性はある一方、それだけでは個体数を減らす根本対策にはならず、餌や繁殖場所をなくす対策も必要としています。
追い出す前に侵入口と逃げ道を確認する
ハクビシンを追い出すときは、先にすべての穴を塞ぐのではなく、まず出入りしている可能性のある場所を確認します。
八王子市では、侵入口の候補として次のような場所を挙げています。
- 軒下の隙間
- 床下通気口
- 換気口
- 戸袋
- 増築部分と既存建物の接続部
侵入口は1か所とは限りません。
また、ハクビシンは東京都の資料では8cm四方程度の隙間にも入り込むとされています。
ただし、確認のために屋根へ上ったり、2階の軒下を脚立で調べたり、狭い屋根裏へ無理に入ったりする必要はありません。
地上や室内の安全な位置から分からない場合は、侵入口調査の段階から専門業者へ依頼する方が安全です。
住宅のどこから入りやすいか全体を確認する場合は、住宅の場所から害獣・害虫トラブルを調べるも参考にしてください。
方法1:忌避剤や臭いを使って追い出す
ハクビシンが嫌がる臭いを利用して、現在いる場所から外へ移動させる方法があります。
自治体の案内では、次のようなものが追い出し方法の例として挙げられています。
- 市販の忌避剤
- 木酢液・竹酢液
- 煙が出るタイプの製品
藤枝市では、侵入口から遠い場所から忌避剤を使い、徐々に侵入口側へ誘導し、外へ出た後に侵入口を塞ぐ方法を案内しています。
つまり、逃げ道となる侵入口の周辺だけを最初から強い臭いで塞ぐのではなく、屋内の奥側から出口方向へ移動させるという考え方です。
忌避剤だけで解決したと判断しない
東京都環境局は、忌避剤について、その場から動物を追い出せる可能性はある一方、密閉された空間でなければ十分に作用せず、そのまま屋根裏に残る場合もあるとしています。
また、一度出ても侵入口が開いたままであれば、再侵入する可能性があります。
忌避剤は「追い出すきっかけ」であって、侵入口対策の代わりにはなりません。
「バルサンを使えばよい」と一律には考えない
横浜市や八王子市、相模原市などの自治体では、屋根裏から動物を追い出す方法の一例として、煙の出るタイプの殺虫剤等を案内しています。
ただし、市販製品はそれぞれ対象害虫・対象動物・使用できる場所・換気方法・火気や警報器への注意事項が異なります。
自治体のページで「煙を使う方法」が紹介されていることと、手元にある製品を目的外使用してよいことは別です。
実際に使用する場合は、必ず製品表示を確認してください。対象や使用場所として想定されていない製品を、自己判断で屋根裏のハクビシン対策へ転用することは避けます。
市販忌避剤そのものの種類や効果の限界については、関連記事公開後に専用記事へ分岐します。
方法2:光や音で居づらい環境にする
自治体によっては、ハクビシンを追い出す補助方法として、屋根裏を明るくしたり、大きな音を出したりする方法も紹介されています。
渋谷区では電球などで明るくする方法や大きな音、三鷹市でも大きな音を立てて驚かせる方法を案内しています。
ただし、光や音も侵入口を塞ぐ代わりにはなりません。
一時的に別の場所へ移動しただけで、静かになった後に戻ってくる可能性があります。
そのため、
- 追い出す
- 本当に外へ出たか確認する
- 侵入口を塞ぐ
という流れの中の補助手段として考えます。
追い出すなら日暮れ後が参考になる
ハクビシンは夜行性です。
横浜市は、天井裏などから追い出す方法について、日暮れ後に行うとより効果的と案内しています。
昼間は屋根裏などで休息し、夜に餌を探しに外へ出る生活リズムを利用する考え方です。
ただし、「夜になったから必ず全頭外へ出る」と判断してはいけません。
東京都環境局では、ハクビシンは一年中繁殖可能で、1回に約1~4頭を出産するとしています。
親が外へ出ても、屋根裏に幼獣が残っている可能性を季節だけで除外することはできません。
子どもがいる可能性があるときは無理に封鎖しない
次のような状態では、親個体だけを追い出してすぐ穴を塞ぐのは避けます。
- 屋根裏から小さな鳴き声がする
- 親らしい個体が何度も同じ穴へ戻ってくる
- 屋根裏内部を確認できず、幼獣の有無が分からない
- 複数の個体が出入りしている
- 追い出した後も屋根裏から音が続いている
ハクビシンは一年を通して繁殖する可能性があるため、「冬だから子はいない」「春だけ注意すればよい」とは判断できません。
幼獣が残っている可能性を否定できない場合は、全面封鎖を進めず自治体または専門業者へ相談してください。
追い出せたかどうかを確認してから穴を塞ぐ
追い出した後に最も重要なのが、建物内に個体が残っていないことの確認です。
鎌倉市は、侵入口を塞ぐ前に動物が出て行ったことを確認する方法として、侵入口付近に粉をまいたり、破れやすい薄い紙を取り付けたりする方法を紹介しています。
出入りがあれば、
- 粉の上に足跡が残る
- 紙が破れる
などの変化が出ます。
鎌倉市では、出入りの痕跡がなく、天井裏から音もしない状態を確認してから、最後の侵入口を塞ぐ考え方を示しています。
ただし、足跡がない1回の確認だけで絶対に不在とは言い切れません。幼獣が疑われる、複数侵入口がある、音が残る場合は自己判断で完全封鎖しないでください。
追い出した直後に全部の穴を塞いではいけない
忌避剤を使った直後に静かになったからといって、すぐ全ての侵入口を塞ぐのは避けます。
建物内に個体が残っていた場合、外へ出られなくなり、別の隙間を探して壁内や室内側へ移動する可能性があります。
追い出しと封鎖は同時作業ではなく、
追い出す → 不在を確認する → 塞ぐ
という順番です。
八王子市も、動物を追い出した後に侵入口を金網等で塞ぐ方法を案内しています。
追い出した後は侵入口を物理的に塞ぐ
ハクビシンを追い出せても、同じ穴が残っていれば再び侵入される可能性があります。
侵入口が安全に作業できる場所にあり、建物内に動物がいないことを確認できた場合は、金属製の網や格子などを使い再侵入を防ぎます。
ただし、換気口や床下通気口などには住宅に必要な通気機能があります。
単純に板などで完全密閉し、建物本来の換気機能を失わせないよう注意してください。
屋根、2階軒下、外壁上部、瓦周辺などの高所作業はDIYの範囲に含めません。
追い出しだけでは再発することがある
東京都環境局では、ハクビシン対策として、家屋への侵入口だけでなく、餌となるものや屋根への移動経路を減らすことも重視しています。
追い出し後は次の点も確認します。
- 庭の果実を残したままにしない
- 生ごみを屋外へ放置しない
- ペットフードを外へ置いたままにしない
- 屋根へ届く庭木の枝を剪定する
- 建物の破損や新しい隙間を確認する
- 封鎖した場所とは別の侵入口がないか確認する
剪定についても、高所の枝や電線付近を自分で切る必要はありません。
糞尿の清掃は追い出し・封鎖と分けて考える
屋根裏に長期間住み着いていた場合、追い出せても、ため糞や尿、汚れた断熱材などが残ることがあります。
大量の乾燥した糞を家庭用掃除機で吸ったり、ほうきで勢いよく掃いたりするのは避けてください。
屋根裏の大量糞尿、強い悪臭、断熱材まで広く汚染されている場合は、無理に狭い場所へ入らず専門業者による清掃を検討します。
ハクビシンを自分で捕まえるのは「追い出し」とは別
ハクビシンを嫌がる環境にして建物の外へ移動させることと、箱わななどで捕獲することは同じではありません。
東京都環境局は、野生鳥獣の捕獲について、鳥獣保護管理法により原則として無許可の捕獲はできないと案内しています。
追い出しても被害が続くからといって、市販の箱わなをそのまま設置するのではなく、所在地の自治体制度や捕獲許可を確認してください。
ハクビシン以外の害獣も含めた相談先を探す場合は、家に出る害獣の種類と対策から確認できます。
自分で追い出さない方がよいケース
次のような場合は、忌避剤等を何度も試すより、自治体または専門業者へ切り替えた方がよい状況です。
- 侵入口が屋根・2階軒下など高所にある
- 侵入口がどこか分からない
- 侵入口が複数ある
- 幼獣がいる可能性を否定できない
- 追い出し後も天井裏から音が続く
- 何度追い出しても再侵入する
- 大量の糞尿や断熱材汚染がある
- 壁内など見えない場所にいる
- 箱わなによる捕獲が必要になった
- 屋根や外壁の修理まで必要
東京都では区市町がハクビシンの捕獲事業等を行っている地域もありますが、対象条件や無料範囲は自治体によって異なります。
民間業者へ依頼する場合は、追い出しだけなのか、侵入口封鎖・清掃・修繕・再発保証まで含むのかを見積もりで確認してください。
費用の確認は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先を比較するときは害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。
よくある質問
ハクビシンをバルサンで追い出せますか?
自治体には煙が出るタイプの殺虫剤等を追い出し方法として案内している例があります。ただし、すべての市販製品がハクビシン対策や屋根裏使用を想定しているわけではありません。製品の適用対象・使用場所・注意事項を確認し、表示外の用途へ自己判断で転用しないでください。
木酢液はハクビシンに効きますか?
藤枝市、渋谷区、相模原市などでは、木酢液等を追い出し・忌避方法の一例として紹介しています。ただし効果には状況差があり、侵入口を残したまま木酢液だけで恒久的に解決できるとは考えません。
大きな音を出せば追い出せますか?
音を利用する方法を紹介する自治体はありますが、補助的な追い出し手段です。静かになった後に再び戻る可能性もあるため、不在確認と侵入口封鎖まで行う必要があります。
追い出しは昼と夜のどちらがよいですか?
横浜市は、ハクビシンが夜行性であることから、日暮れ後の追い出しをより効果的と案内しています。ただし、夜になれば全個体や幼獣が必ず外へ出るわけではありません。
追い出したらすぐ穴を塞いでよいですか?
すぐには塞ぎません。建物内にハクビシンや幼獣が残っていないことを確認した後に封鎖します。足音、鳴き声、出入り、粉や薄紙による痕跡などを確認し、不明な場合は専門業者へ相談してください。
ハクビシンの子どもがいる時期はいつですか?
東京都環境局はハクビシンについて、一年中繁殖が可能としています。そのため特定の季節だけを「子どもがいる時期」として扱わず、現在の鳴き声や出入り状況から確認します。
追い出してもまた戻ってきますか?
侵入口や餌になるもの、屋根への移動経路が残っていれば再侵入する可能性があります。追い出した後の侵入口封鎖と、果実・生ごみ・庭木などの環境対策が重要です。
自分で箱わなを置いてもよいですか?
追い出しと捕獲は別です。野生鳥獣の捕獲は原則として規制されているため、箱わなを使用する前に所在地の自治体や捕獲許可制度を確認してください。
