鳥の巣を撤去すると違法?鳥獣保護管理法と卵・ヒナがいる場合の対応

自宅のベランダや軒下、庭木などに鳥の巣ができたとき、「勝手に撤去すると鳥獣保護管理法違反になるのでは」と迷うことがあります。

法律上の判断で重要なのは、巣そのものより、巣の中に卵やヒナがいるかです。

卵やヒナがいない空の巣や、まだ産卵前の巣材であれば、土地・建物の管理権限と作業上の安全を確認したうえで撤去できるのが基本です。

一方、卵がある状態で卵を取り除いたり壊したりすることや、ヒナ・親鳥を捕獲・殺傷することは、鳥獣保護管理法によって原則禁止されています。

鳩、カラス、スズメ、ムクドリ、ツバメなど、住宅周辺で巣を作る野鳥についても、まずは「空巣」「卵あり」「ヒナあり」に分けて考えると対応を判断しやすくなります。

目次

鳥の巣を撤去すると法律違反になる?

鳥の巣を撤去する行為が、すべて一律に禁止されているわけではありません。

鳥獣保護管理法で原則として禁止されているのは、野生鳥獣の捕獲・殺傷や、鳥類の卵の採取・損傷などです。

そのため、住宅で見つけた巣は次のように分けて考えます。

巣の状態 基本的な考え方
巣作り途中・卵なし 管理権限と安全を確認できれば撤去可能
使用後の空巣 卵・ヒナがいないことを確認できれば原則として許可不要
卵がある 卵の採取・損傷を伴う無許可撤去は行わない
ヒナがいる ヒナの捕獲・殺傷を伴う無許可撤去は行わない

「鳥がその場にいない」というだけでは、空巣とは判断できません。

親鳥が餌を取りに出ている間でも、巣の中に卵やヒナが残っていることがあります。

鳥獣保護管理法では何が禁止されている?

鳥獣保護管理法第8条では、鳥獣の捕獲等と、鳥類の卵の採取等を原則禁止しています。

ここでいう卵の「採取等」には、採取だけでなく損傷も含まれます。

住宅の鳥の巣で問題になりやすいのは、たとえば次のような行為です。

  • 卵を巣から取り出す
  • 卵を捨てる
  • 卵を割る
  • ヒナを巣から取り出す
  • ヒナを捕まえて別の場所へ移動する
  • 親鳥やヒナを殺傷する

卵やヒナが入った巣をそのまま撤去すると、結果としてこれらの行為を伴う可能性があります。

そのため、卵やヒナがいる場合は「巣だけを動かすから問題ない」と考えないでください。

卵もヒナもいない空巣なら撤去できる

巣の中に卵やヒナがいなければ、鳥獣保護管理法上の捕獲・卵の採取には通常該当しないため、巣だけを撤去するための捕獲許可は原則として必要ありません。

ただし、実際に撤去する前には、

  • 卵が隠れていないか
  • 小さなヒナが残っていないか
  • 親鳥が現在も頻繁に出入りしていないか

を安全な距離から確認します。

特に巣が深い場所や暗い場所にあり、中を確認できない場合は、空巣と決めつけて撤去しない方が安全です。

巣を作り始めた段階なら撤去できる?

まだ巣材を運んでいる途中で、卵やヒナがいないことを確認できる状態なら、原則として巣材を取り除くことができます。

鳩などでは、一度営巣場所として定着すると産卵後の対応が難しくなるため、巣作りの初期段階で巣材を除去し、再び作られないよう環境を整える方法があります。

ただし、高所や屋根、設備周辺など危険な場所で無理に作業する必要はありません。

卵がある鳥の巣は勝手に撤去しない

卵がある場合は、親鳥が見当たらない時間帯であっても、自己判断で巣ごと撤去しないでください。

法律では鳥類の卵の採取・損傷が原則禁止されています。

生活への支障が小さく、巣立ちまで待てる場合は、そのまま見守り、繁殖が終わって巣が空になってから撤去する方法が基本になります。

一方、

  • 人への威嚇・攻撃が激しい
  • 玄関や通路を安全に利用できない
  • 設備の重大な支障につながっている
  • 衛生上の被害が深刻

など、巣立ちまで待つことが難しい事情がある場合は、所在地の自治体や都道府県の鳥獣担当窓口へ相談します。

ヒナがいる巣も無許可で撤去しない

ヒナは野生鳥獣なので、許可なく捕獲・殺傷することは原則としてできません。

巣を外してヒナを別の場所へ置く行為も、単なる巣材撤去とは異なります。

ヒナがいる場合は、巣立ちまで待てる状況なら見守り、巣が空になったことを確認してから撤去します。

ヒナがいる巣を生活環境被害等の理由からどうしても撤去する必要がある場合は、捕獲等の許可について自治体・都道府県へ確認してください。

「親鳥がいないから撤去してよい」は間違い

法律上の判断で見るべきなのは、親鳥が今その場にいるかではありません。

確認したいのは、

  • 卵があるか
  • ヒナがいるか
  • 巣が現在も繁殖に使われているか

です。

親鳥は採餌などで巣を離れるため、昼間に親鳥が見えないだけで使用済みの空巣とは判断できません。

鳥が巣立った後なら撤去できる

ヒナが巣立ち、卵やヒナが残っていないことを確認できれば、巣だけの撤去には通常、捕獲許可は必要ありません。

巣立ち後は、できるだけ早めに巣材と周囲の糞を片付け、同じ場所を再び営巣場所として利用されにくくします。

巣材や糞を清掃するときは、素手で触らず、使い捨て手袋やマスクなどを使用します。

大量の乾燥糞がある場合や、高所・設備内部に巣がある場合は専門業者への依頼を検討してください。

鳥の種類が違えば法律も違う?

鳩、スズメ、ムクドリ、ツバメ、カラスなどで生態や自治体の対応制度は異なりますが、野鳥の捕獲や卵の採取等に関する鳥獣保護管理法の基本的な考え方は共通します。

たとえば、

  • 鳩だから卵を捨ててよい
  • カラスだから勝手に巣を落としてよい
  • ツバメの巣なら法律の対象外

というわけではありません。

ツバメについても、卵やヒナがいる巣を許可なく撤去すると法律違反になる可能性があります。

一方、自治体が行政サービスとして撤去する鳥種や条件は地域ごとに異なります。

カラスの巣は自治体が撤去してくれることがある

カラスは繁殖期に巣やヒナを守るため、人を威嚇・攻撃することがあります。

そのため一部の自治体では、

  • 人への威嚇・攻撃が発生している
  • 巣の場所が確認できる
  • 土地所有者・管理者の同意がある

など一定条件を満たす場合に、自治体が捕獲許可を得たうえで巣を撤去する制度を設けています。

ただし、全国の自治体がカラスの巣を無料で撤去しているわけではありません。

自治体によっては、私有地は所有者が業者を手配する仕組みになっています。

鳩の巣は自治体が取ってくれる?

鳩についても、市役所が一律に巣を撤去してくれるわけではありません。

民有地では、土地・建物の所有者や管理者が対応し、必要であれば民間業者を手配する自治体が多くあります。

卵やヒナがいる場合に生活環境被害を理由として撤去が必要なら、捕獲許可について自治体へ確認します。

生活被害が大きければ捕獲許可を申請できる場合がある

鳥獣保護管理法第9条では、一定の目的で鳥獣の捕獲等や鳥類の卵の採取等を行う場合の許可制度が定められています。

住宅で問題になるのは、生活環境への被害を防止・軽減する目的で許可捕獲等を検討するケースです。

実際の許可権者や申請窓口は地域・鳥種等で異なります。

都道府県が窓口になる場合もあれば、権限の一部が市区町村へ移譲されている場合もあるため、所在地の自治体へ確認してください。

専門業者なら卵・ヒナがいても自由に撤去できる?

専門業者であっても、法律上必要な許可が自動的に不要になるわけではありません。

卵やヒナがいる状態で撤去を依頼する場合は、

  • 捕獲等の許可が必要か
  • 誰の名義で許可を取得するのか
  • 業者が許可手続まで対応するのか
  • 巣・卵・ヒナをどのように扱うのか

を作業前に確認してください。

「害鳥駆除業者だから何でも合法的に撤去できる」という考え方にはしない方が安全です。

鳥の巣を撤去した場合の罰則は?

鳥獣保護管理法には違反行為に対する罰則があります。

現行法第83条では、第8条に違反した一定の鳥獣の捕獲等や鳥類の卵の採取等について、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。

ただし、これは「鳥の巣に触ったら必ず100万円」という意味ではありません。

実際の適用は、

  • 鳥の種類
  • 卵・ヒナの有無
  • 行った行為
  • 許可の有無
  • 狩猟制度等の適用関係

などによって異なります。

罰則を避けるという意味でも、卵・ヒナがいる場合は自己判断で撤去せず、自治体へ確認してください。

賃貸住宅では自分の判断だけで撤去しない

賃貸アパート・マンションでは、鳥獣保護管理法とは別に、建物の管理権限も確認する必要があります。

たとえば巣が、

  • 外壁
  • 軒
  • 屋根
  • 共用廊下
  • 共用植栽
  • 換気設備
  • 建物設備

にある場合は、入居者が勝手に工事・撤去できない場合があります。

まず管理会社・大家へ連絡し、誰が巣の状態を確認し、誰が撤去を手配するか決めます。

マンションのベランダも管理規約を確認する

マンションでは、ベランダ・バルコニーが各住戸の生活空間として使われていても、管理規約上は共用部分として扱われることがあります。

そのため、空巣を自分で清掃する程度で済む場合と、防鳥ネットの固定、外壁への施工、高所作業などで管理組合の確認が必要になる場合を分けて考えます。

国土交通省も、マンションの専有部分・共用部分について、まず各マンションの管理規約を確認するよう案内しています。

電柱・送電線にある鳥の巣は自分で撤去しない

電柱、送電設備、通信設備などにある巣は、所有者・管理者へ連絡します。

感電や転落の危険があるだけでなく、設備管理上の問題もあるため、住民が自分で登って撤去してはいけません。

自治体の案内でも、電柱や鉄塔の巣は電力会社や通信設備管理者へ問い合わせるよう案内されています。

公園・街路樹・公共施設の鳥の巣

公園、道路の街路樹、学校、公共施設などの巣については、その土地や施設の管理部署へ連絡します。

鳥の巣を見つけた人が自分で撤去するのではなく、管理者が危険性や法令上の手続を判断します。

特にカラスでは、巣があるだけでは撤去せず、人への威嚇・攻撃などの被害が発生した場合に対応する自治体もあります。

鳥の巣を見つけたときの確認順

  1. 巣へ近づきすぎず場所を確認する
  2. 自宅・賃貸・共用部・公共施設など管理者を確認する
  3. 安全な距離から卵・ヒナの有無を確認する
  4. 卵・ヒナがいない空巣なら撤去可能か作業安全を確認する
  5. 卵・ヒナがいるなら自己判断で撤去しない
  6. 巣立ちまで待てるか判断する
  7. 生活被害が大きく待てない場合は自治体の捕獲許可窓口へ相談する
  8. 高所・設備周辺なら専門業者や施設管理者へ依頼する
  9. 撤去後は糞・巣材を安全に清掃する
  10. 防鳥ネット・隙間対策など再営巣防止を行う

空巣を撤去するときの安全にも注意する

法律上撤去できる空巣でも、安全に自分で作業できるとは限りません。

次のような場所ではDIYを避けます。

  • 2階以上の高所
  • 屋根
  • 脚立・はしごが必要
  • 電柱・電線付近
  • 室外機や換気設備の内部
  • 親カラスが威嚇している場所
  • 大量の乾燥糞が堆積している場所

巣の位置から住宅のどの部分を管理・点検すべきか確認したい場合は、住宅の場所から害獣・害虫トラブルを調べるも参考にしてください。

巣を撤去しただけでは再び作られることがある

鳥が営巣場所として利用した場所は、翌年やその後も再利用されることがあります。

撤去後は、鳥の種類や場所に応じて、

  • 不要な荷物や植木鉢を整理する
  • 止まりやすい場所を減らす
  • 侵入口となる隙間を適切に塞ぐ
  • 防鳥ネットを隙間なく設置する
  • 巣材になりやすい物を放置しない

などを検討します。

ネットや器具を設置する場合も、鳥やヒナを閉じ込めていないことを確認してから施工してください。

業者へ依頼する場合に確認したいこと

鳥の巣撤去業者へ相談する場合は、料金だけでなく法令対応も確認します。

  • 卵・ヒナの有無を現地で確認するか
  • 許可が必要な場合に誰が手続するか
  • 巣だけでなく糞清掃も含むか
  • 高所作業費はいくらか
  • 再営巣防止施工を行うか
  • 防鳥ネット等の施工範囲
  • 賃貸・マンションで管理者承認が必要か

費用の確認は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先の比較は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。

よくある質問

鳥の巣を撤去するだけでも違法ですか?

巣の中に卵やヒナがいなければ、巣だけの撤去について鳥獣保護管理法上の捕獲許可は原則不要です。卵やヒナがいる場合は、無許可で撤去しないでください。

卵があるけれど親鳥がいません。撤去できますか?

親鳥がその場にいなくても、卵の採取・損傷は原則禁止されています。親鳥不在を理由に撤去しないでください。

ヒナを別の場所へ移してから巣を捨ててもよいですか?

自己判断では行わないでください。ヒナの移動は野生鳥獣の捕獲に該当する可能性があるため、自治体の鳥獣担当部署へ確認します。

ツバメの巣も鳥獣保護管理法の対象ですか?

はい。卵やヒナがいるツバメ等の野鳥の巣を、許可なく撤去すると法律違反になる可能性があります。巣立ち後の空巣であれば撤去できます。

鳩の空巣は自分で撤去できますか?

卵・ヒナがいないことを確認でき、管理権限があり、安全に作業できる場所なら撤去できます。糞・巣材へ直接触れないよう手袋・マスク等を使用してください。

市役所に頼めば鳥の巣を無料で撤去してくれますか?

自治体によります。カラスの威嚇など一定条件で行政が対応する地域もありますが、民有地の鳩や一般的な鳥の巣は所有者・管理者が民間業者へ依頼する地域もあります。

鳥の巣を撤去したら100万円の罰金ですか?

巣を触っただけで一律に100万円になるわけではありません。鳥獣保護管理法第83条には、第8条違反のうち一定の違法な捕獲等・卵の採取等について、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。具体的な適用は行為や鳥種、許可の有無等によって異なります。

業者へ頼めば卵があってもすぐ撤去できますか?

業者だから自動的に許可不要になるわけではありません。許可が必要な状態なら、誰が許可を取得するのかを作業前に確認してください。

賃貸のベランダに巣があります。

まず管理会社・大家へ連絡してください。卵・ヒナの有無による法令判断に加えて、建物やベランダの管理権限、防鳥ネット等の施工可否も確認する必要があります。

電柱に鳥の巣があります。

自分では撤去せず、電力会社や通信設備の管理者へ連絡してください。

参考情報

  • e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」
  • 環境省「捕獲許可制度の概要」
  • 東京都環境局「野生鳥獣の捕獲について」
  • 東京都環境局「野生鳥獣との接し方について」
  • 横浜市「鳥の巣を撤去したい。」
  • 千葉市「野鳥(カラス、ムクドリ、ハトなど)が巣を作って困っています。」
  • 練馬区「野生鳥獣との接し方」
  • 長岡京市「行政の許可なくツバメの巣などを撤去すると、法律違反になる可能性があります。」
  • 国土交通省マンション管理・再生ポータル「専有部分と共用部分の仕分け」
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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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