コウモリを捕獲するには許可が必要?鳥獣保護管理法・狩猟免許・追い出しとの違い

家の屋根裏や換気口にコウモリが住み着いても、自分で網や箱を使って捕まえたり、殺したりしてよいわけではありません。

コウモリは鳥獣保護管理法の対象となる野生鳥獣で、捕獲・殺傷は原則として禁止されています。生活環境への被害などを理由に捕獲が必要な場合は、法令に基づく許可を確認する必要があります。

また、「狩猟免許を持っていれば捕獲できる」とも限りません。コウモリ類は環境省が定める狩猟鳥獣には含まれていないためです。

住宅に住み着いたコウモリへの対策では、一般的には捕獲するより、建物から追い出す → 全個体が外へ出たことを確認する → 侵入口を塞ぐという方法が中心になります。

コウモリ対策で先に確認すること
  • コウモリを無許可で捕獲・殺傷しない
  • 狩猟免許があってもコウモリを自由に捕獲できるわけではない
  • 捕獲が必要なら自治体・都道府県の鳥獣担当へ許可窓口を確認する
  • 住宅対策では捕獲より追い出しを検討する
  • 全個体・幼獣・冬眠個体の不在を確認してから侵入口を塞ぐ
  • 6〜8月ごろの飛べない幼獣がいる時期には閉じ込めに注意する
  • 冬眠時期も「いない」と誤認して先に塞がない
  • 高所・屋根・狭い屋根裏は専門業者へ相談する
目次

コウモリは無許可で捕獲・殺傷できない

コウモリは鳥獣保護管理法の対象となる野生鳥獣です。

環境省や自治体は、野生鳥獣について、狩猟や法令上の例外を除き、許可なく捕獲・殺傷することを原則禁止しています。

これは、自宅の屋根裏へ侵入している場合でも同じです。

そのため、

  • 網で捕まえる
  • 粘着器具で捕らえる
  • 箱や容器へ閉じ込める
  • 直接殺す
  • 殺傷を目的として薬剤等を使用する

といった行為を、「害獣だから」という理由だけで自己判断しないでください。

生活環境被害を防ぐために捕獲が必要な場合は、所在地を管轄する行政機関へ捕獲許可について確認します。

狩猟免許を持っていればコウモリを捕まえられる?

狩猟免許を持っているだけでは、コウモリを狩猟対象として捕獲できません。

環境省は、狩猟によって捕獲できる鳥獣として46種類の「狩猟鳥獣」を定めていますが、コウモリ類はこの中に含まれていません。

つまり、

「わな猟免許があるから、住宅にいるアブラコウモリを箱や網で捕獲できる」

という仕組みではありません。

これは、前の記事で扱ったハクビシンとの重要な違いです。ハクビシンは狩猟鳥獣ですが、コウモリ類は狩猟鳥獣ではありません。

動物 狩猟鳥獣 住宅被害時の考え方
ハクビシン 該当 有害鳥獣捕獲と狩猟制度を分けて確認
コウモリ類 非該当 狩猟免許だけでは捕獲できず、必要なら捕獲許可を確認

捕獲許可はどこへ申請する?

捕獲許可の申請先は、地域や対象となる鳥獣、捕獲目的などによって異なります。

環境省の地方環境事務所では、生活環境・農林水産業等への被害防止などを目的とした捕獲について許可制度があると案内しています。

ただし、実際の許可権限が、

  • 国
  • 都道府県
  • 市区町村

のどこにあるかは事案によって異なります。

そのため、自分で申請先を決めつけず、まず所在地の市区町村の環境・鳥獣担当部署へ相談し、許可窓口を確認するとよいでしょう。

横浜市の例

横浜市は、住宅にコウモリが住み着いている場合、市による捕獲・駆除は行っていないと案内しています。

捕獲許可については神奈川県自然環境保全課への相談を案内しており、自力で対応できない場合は専門業者への依頼を選択肢としています。

綾瀬市の例

綾瀬市も、野生鳥獣は原則として捕獲・殺傷できないと説明し、捕獲したい場合は捕獲許可申請が必要としています。

また、動物種によって許可を行う行政機関が国・県・市などに分かれるため、事前確認を求めています。

このように、「コウモリなら市役所へ申請すれば必ずよい」と全国一律には言えません。

捕獲許可はどんな場合に検討する?

捕獲許可制度には、生活環境への被害防止などを目的とした捕獲があります。

ただし、住宅にコウモリがいるからといって、最初から捕獲を選ぶ必要があるとは限りません。

住宅内に定着するアブラコウモリなどでは、自治体が案内する対策も、

  1. 侵入口・利用場所を調べる
  2. コウモリを建物外へ追い出す
  3. 全個体が外へ出たことを確認する
  4. 侵入口を塞ぐ

という非捕獲型の対応が中心です。

捕獲が必要かどうかは、追い出しでは対応できない事情があるかも含めて、自治体や専門業者へ相談します。

「捕獲」と「追い出し」は同じではない

対応 内容 法令上の考え方
捕獲 網・わな等でコウモリを拘束する 原則禁止。必要な場合は許可確認
殺傷 個体を殺す・傷つける 原則禁止
追い出し 建物内から自力で外へ退出させる 捕獲・殺傷を伴わない方法として住宅対策に利用
侵入口封鎖 不在確認後、再び入れないよう隙間を塞ぐ 内部へ個体を閉じ込めないことが重要

住宅に住み着いたコウモリを「駆除する」という言葉が使われることがありますが、実際には捕まえたり殺したりするのではなく、追い出しと侵入口封鎖によって再侵入を防ぐ施工が中心です。

室内にコウモリが1匹入ってきた場合は?

室内へ1匹迷い込んだだけなら、無理につかまえるのではなく、外へ出られる経路を作って自然に退出させる方法が基本です。

窓や外へ通じる扉を開け、室内側の扉を閉めるなどして、外への出口を分かりやすくします。

コウモリへ素手で触れたり、追い回して網で捕まえようとしたりする必要はありません。

高い位置にとまった場合も、脚立へ乗って捕まえようとせず、落ち着いて自然退出を待ちます。

何度も室内へ入ってくる場合は、単発の迷入ではなく建物内に侵入口がある可能性を考えます。

被害の場所を整理する場合は住宅の場所から探すも参考にしてください。

網・粘着器具・箱などを使って捕まえてもよい?

捕獲許可を確認せず、捕獲を目的として使用しないでください。

「殺さずに捕まえるだけなら問題ない」とは限りません。鳥獣保護管理法でいう捕獲には、生きた状態で拘束する行為も含まれます。

特に粘着性のある器具は、コウモリを傷つける可能性があります。

住宅対策では、捕獲器具を増やすより、夕方の出入りを確認し、適切な時期に追い出した後、侵入口を物理的に塞ぐ方法を検討します。

殺虫剤などでコウモリを殺してもよい?

自己判断による殺傷は避けてください。

コウモリは昆虫ではなく、鳥獣保護管理法の対象となる哺乳類です。

害虫用殺虫剤を大量に使用して殺傷を試みる方法は、法令だけでなく、居住空間での薬剤使用や死骸が壁内・屋根裏に残る問題にもつながります。

市販の忌避用品を使用する場合も、「殺すため」ではなく、製品表示に従った追い出し目的として考えます。

追い出した後にすぐ穴を塞いではいけない

コウモリ対策では、捕獲しない代わりに「追い出して穴を塞ぐ」という方法が使われますが、順番を誤ると内部へコウモリを閉じ込める可能性があります。

浜松市は、コウモリが家にいない時間帯を確認してから、侵入口を網などで塞ぐ方法を案内しています。

また、コウモリは約1cm程度の隙間から出入りできるとしており、一つの穴だけでなく建物全体の隙間を確認する必要があります。

基本的には、

出入り確認 → 追い出し → 不在確認 → 侵入口封鎖

の順で対応します。

6〜8月ごろは飛べない子コウモリに注意する

侵入口を塞ぐ時期にも注意が必要です。

浜松市は、6〜8月ごろは飛べない幼獣がいる可能性があるため、この時期の穴塞ぎを避けるよう案内しています。

親だけが夕方に外へ出たタイミングで穴を塞ぐと、飛べない幼獣が建物内部に取り残される可能性があります。

その結果、

  • 壁内・屋根裏で死亡する
  • 臭いが発生する
  • 親が出入口周辺へ戻ってくる
  • 別の隙間から室内側へ出てくる

といった問題が起こる可能性があります。

春・秋であっても月だけで判断せず、実際に全個体が退出していることを確認します。

冬も「飛んでいない=いない」と判断しない

アブラコウモリは冬眠するため、冬に夕方の出入りが見えなくても、建物内部にいないとは限りません。

浜松市は冬眠前後についても穴塞ぎを避けるよう案内しています。

冬の静かな時期に「もういなくなった」と思って侵入口を塞ぐと、冬眠個体を閉じ込める可能性があります。

追い出し・封鎖を行う時期は、単にコウモリを見かけるかどうかではなく、活動時期・幼獣・冬眠も含めて判断します。

市役所はコウモリを捕獲してくれる?

自治体によって異なりますが、住宅のコウモリを自治体が直接捕獲してくれるとは限りません。

横浜市は、市では捕獲や駆除を行っていないと案内しています。

つくばみらい市も、市によるコウモリの捕獲・駆除は行わず、住宅に住み着いた場合は追い払い・侵入防止を行い、自分で対応できない場合は専門業者へ相談するよう案内しています。

自治体へ問い合わせる目的は、「必ず無料で捕まえてもらう」ことではなく、

  • 捕獲許可の申請先
  • 自治体独自の支援制度の有無
  • 相談可能な専門団体
  • 地域の法令運用

を確認することだと考えるとよいでしょう。

業者なら許可なくコウモリを捕まえられる?

害獣駆除業者であっても、鳥獣保護管理法の対象外になるわけではありません。

業者から「コウモリを捕獲します」と説明された場合は、

  • 実際には追い出し施工なのか
  • 生きた個体を拘束する捕獲を行うのか
  • 捕獲する場合は誰が許可を取得するのか
  • 捕獲許可の対象区域・期間に自宅が含まれるか
  • 捕獲後の個体をどう扱うのか

を確認します。

「駆除」という言葉だけでは、追い出しなのか捕獲なのか分かりません。

見積書にも、

  • 追い出し
  • 侵入口封鎖
  • 糞尿清掃
  • 消毒・消臭
  • 捕獲を伴う場合の法令対応

を分けて記載してもらうと比較しやすくなります。

業者の選び方は業者選び、費用は害獣・害虫駆除の費用・相場も参考にしてください。

捕獲したコウモリを自分で遠くへ放してよい?

捕獲許可を受けていない状態で、まず自分で捕まえること自体を避けてください。

許可を受けて捕獲する場合も、捕獲後の扱いは許可条件・行政機関の指示に従います。

「生かしたままなら自由に運搬・放獣できる」と自己判断しないようにします。

捕獲後の措置まで含めて、許可を出す行政機関へ事前に確認してください。

賃貸住宅やマンションでは管理会社へ先に相談する

賃貸住宅や集合住宅で、外壁・軒・換気口・屋根・共用部分からコウモリが侵入している場合は、自己判断で穴を塞いだり施工業者と契約したりする前に、管理会社・大家・管理組合へ連絡します。

外壁や屋根などは入居者が自由に加工できる場所ではないことがあります。

また、他住戸や共用部までコウモリが利用している場合、自室だけの対策では再侵入を防げない可能性があります。

専門業者へ相談した方がよいケース

  • 屋根・2階外壁など高所に侵入口がある
  • 複数の侵入口が疑われる
  • 屋根裏・壁内へ多数が住み着いている
  • 飛べない幼獣がいる可能性がある
  • 冬眠個体が残っている可能性がある
  • どこから出入りしているか分からない
  • 追い出したのに繰り返し再発する
  • 大量の糞尿が堆積している
  • 建物補修を伴う
  • 捕獲が必要かどうか判断できない

コウモリの出入り場所が分からない場合は、危険な屋根や狭い屋根裏へ自分で入らず、安全な地上から夕方の飛び出し位置を確認するところまでにします。

被害の痕跡から原因を確認したい場合は症状・痕跡も参考にしてください。

よくある質問

コウモリを捕まえるには許可が必要ですか?

原則として必要な確認があります。コウモリは鳥獣保護管理法の対象で、捕獲・殺傷は自由にできません。生活環境被害等で捕獲が必要な場合は、所在地の自治体・都道府県などへ捕獲許可の窓口を確認してください。

アブラコウモリも捕獲禁止ですか?

アブラコウモリも鳥獣保護管理法の対象です。住宅へ住み着いていても、無許可で捕獲・殺傷する前提にはできません。

狩猟免許を持っていればコウモリを捕まえられますか?

狩猟免許だけでは捕獲できません。コウモリ類は環境省が指定する狩猟鳥獣46種に含まれていません。住宅被害で捕獲が必要なら、捕獲許可の制度を確認してください。

自宅の中なら自由に捕まえてよいですか?

自宅内だから鳥獣保護管理法が適用されなくなるわけではありません。室内へ迷い込んだ1頭なら、無理につかまず窓などから自然退出させる方法を検討してください。

追い出すだけでも許可が必要ですか?

捕獲・殺傷を伴わず、建物内から自力で外へ退出させる対策は、住宅で一般的に案内されている方法です。ただし追い出した後に個体・幼獣・冬眠個体を内部へ閉じ込めないよう確認してから封鎖してください。

市役所に連絡すればコウモリを捕まえてもらえますか?

自治体によります。横浜市やつくばみらい市のように、市では住宅のコウモリを捕獲・駆除しないと明記している自治体もあります。自治体には、許可窓口や制度、相談先を確認する目的で問い合わせるとよいでしょう。

害獣駆除業者なら許可は不要ですか?

不要になるわけではありません。業者が実際に捕獲を行うのであれば、どの許可に基づいて誰が捕獲するのかを確認してください。追い出しのみなら捕獲とは別です。

捕まえたコウモリを山へ逃がしてもよいですか?

自己判断で捕獲・運搬・放獣しないでください。許可捕獲を行う場合は、捕獲後の扱いも許可条件や行政機関の指示を確認します。

まとめ

住宅に住み着いたコウモリへの対策では、「捕まえれば解決」と考えないことが重要です。

  • コウモリは鳥獣保護管理法の対象
  • 捕獲・殺傷は原則として自由にできない
  • コウモリ類は狩猟鳥獣ではない
  • 狩猟免許を持っているだけではコウモリを捕獲できない
  • 捕獲が必要なら自治体・都道府県等へ許可窓口を確認する
  • 自治体が直接捕獲してくれるとは限らない
  • 住宅対策では追い出し→不在確認→侵入口封鎖が中心
  • 6〜8月の幼獣期や冬眠前後は閉じ込めに注意する
  • 業者が「捕獲」を行う場合は許可主体を確認する

コウモリ対策では、捕獲することより、適法に建物外へ退出させ、コウモリを内部へ残さず再侵入できない状態にすることが住宅対策の中心になります。

害獣対策全体は害獣、被害場所から調べる場合は住宅の場所から探す、専門業者へ依頼する場合は業者選びを参考にしてください。

参考にした公的・公式情報

※捕獲許可の権限・申請先や自治体の対応制度は、地域・対象種・捕獲目的によって異なります。実際に捕獲を行う前に、所在地を管轄する行政機関の最新情報を確認してください。確認日:2026年9月20日。

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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