家の中でコウモリを見つけたときは、室内へ1匹迷い込んだだけなのか、屋根裏・天井裏などをねぐらとして継続的に利用しているのかで対応が変わります。
室内へ迷い込んだ1匹なら、捕まえようとせず外へ出られる経路を作って自然に退出するのを待つ方法があります。一方、屋根裏などに定着している場合は、単に忌避剤を使うだけではなく、侵入口の確認、追い出し、全個体がいなくなったことの確認、侵入口の封鎖までを一連の対策として考えます。
コウモリは野生鳥獣です。無許可で捕まえたり殺傷したりする方法を前提にせず、「捕獲せず外へ出す」ことと「出たあとに再侵入を防ぐ」ことを分けて進めるのが基本です。
最初に「室内への迷い込み」か「建物内への定着」かを分ける
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 部屋の中を1匹だけ飛んでいる | 外から一時的に迷い込んだ可能性を考え、まず自然退出を促す |
| 夕方になると軒下や外壁の隙間から何匹も出てくる | 屋根裏・壁内などをねぐらとして利用している可能性 |
| 天井裏から繰り返し羽音・鳴き声がする | 建物内部を継続利用している可能性 |
| 同じ場所の下に小さな黒い糞が繰り返し落ちる | 出入口・休息場所が近くにある可能性 |
| 一度追い出したのに同じ場所へ戻ってくる | 侵入口が残っている、別の入口があるなど再侵入原因を確認する |
姿を十分に確認できておらず、コウモリか別の小動物か分からない場合は、先に害獣・害虫の症状・痕跡から調べるで、糞・音・侵入場所などを確認してください。
部屋の中へ1匹入った場合は捕まえず外へ出す
窓やドアから室内へ1匹迷い込んだだけで、屋根裏などに定着している様子がない場合は、網や粘着物で捕まえるのではなく、外へ出られる経路を作ります。
前橋市も、室内へコウモリが入り込んだ場合は、自然に出ていくのを待つか、窓やドアを開けて屋外へ放つ方法を案内しています。
室内では次のように対応します。
- 人やペットをコウモリから離す
- 外へ通じる窓やドアを大きく開ける
- 室内の不要な照明を落とし、出口を分かりやすくする
- 棒や網で追い回さない
- 素手でつかまない
- 家具の裏などへ入った場合も無理に手を入れない
窓を開けても出ていかない、飛べない、けがをしているように見える、手が届かない場所へ入り込んだ場合は、無理に触らず自治体や専門業者へ相談します。
屋根裏・天井裏のコウモリを追い出す基本の流れ
屋根裏などを継続的に利用している場合は、追い出しだけを単独で行わず、次の順序で考えます。
| 段階 | 確認すること |
|---|---|
| 1. 出入り場所を探す | 地上など安全な位置から、夕方の出入りや糞の位置を確認する |
| 2. 時期を確認する | 飛べない幼獣や冬眠個体を閉じ込める可能性がないか考える |
| 3. 外へ出る経路を残す | 追い出す前に全ての穴を塞がない |
| 4. 追い出す | 必要に応じ、表示に従った忌避手段を追い出しの補助として使う |
| 5. 不在を確認する | 出入り、音、新しい糞などが続いていないか確認する |
| 6. 侵入口を塞ぐ | 個体が残っていないと判断できてから再侵入防止を行う |
| 7. 糞や汚れを確認する | 大量汚染なら無理に屋根裏へ入らず専門清掃を検討する |
浜松市や鳥取県も、コウモリが建物内にいないタイミングを確認してから侵入口を塞ぐことを案内しています。
侵入口は夕方の出入りから探す
コウモリの侵入口を探すために、いきなり屋根へ上ったり狭い屋根裏へ入ったりする必要はありません。
住宅に生息するアブラコウモリは夕方から活動を始めるため、日没前後に地上など安全な場所から建物を観察すると、出てくる位置を確認できる場合があります。
候補になりやすいのは、
- 軒や屋根周辺の隙間
- 外壁と屋根の取り合い部分
- 換気口周辺
- 戸袋
- 外壁の隙間
- 配管・配線が建物へ入る周辺
などです。
浜松市や鳥取県は、コウモリが1cm程度の小さな隙間からでも建物内へ入り込むことがあると案内しています。そのため、大きな穴だけを探しても侵入口を見落とす場合があります。
住宅のどの部分を確認すればよいか分からない場合は、住宅の場所から害獣・害虫トラブルを調べるも参考にしてください。
忌避スプレーは「追い出す補助」として考える
自治体では、コウモリを外へ出す方法として忌避スプレーを案内している例があります。
前橋市では、換気口などにいる場合の方法として忌避スプレーを紹介しており、川越市も市販の忌避剤を利用する方法を案内しています。
ただし、忌避剤は侵入口を物理的に塞ぐものではありません。
一時的に別の場所へ移動しても、侵入口が残っていれば再び戻ったり、同じ建物の別の隙間へ移動したりする可能性があります。
また、製品によって対象、使用場所、噴射方法、換気、火気への注意などが異なります。
コウモリへの使用や対象場所が製品表示上想定されていることを確認し、ラベルの用法・注意事項に従ってください。
コウモリそのものへ至近距離から大量に薬剤を吹き付け、捕獲や殺傷の代わりにする使い方は避けます。
煙タイプの製品を使う場合も「何でもよい」わけではない
前橋市や北九州市などでは、屋根裏等からコウモリを追い出す方法の例として、煙の出るタイプの製品を紹介しています。
しかし、自治体が一般的な方法として「煙」を紹介していることと、手元にある燻煙剤を目的外使用してよいことは別です。
市販製品には本来の対象害虫や使用場所が設定されています。火災報知器、ガス警報器、ペット、食品、換気設備などへの注意も製品ごとに異なります。
使用を検討する場合は、製品表示を確認し、対象・場所・使用条件に適合しない製品を自己判断で転用しないでください。
また、煙を使って一時的に静かになっても、その時点で侵入口をすべて塞ぐのではなく、個体が残っていないことを確認する工程が必要です。
光などを使う方法も補助手段にとどめる
北九州市では、コウモリがいる場所を明るくすることなど、ねぐらとして利用しにくい環境にする方法も紹介しています。
鳥取県も、光るものや強い臭いなどによって寄り付きにくくなる可能性に触れていますが、効果を保証するものではありません。
そのため、光、臭い、市販の忌避用品などを使う場合も、
「嫌がらせれば終わり」ではなく、不在確認と侵入口封鎖までが対策
と考えます。
超音波機器についても、家庭で設置するだけで恒久的に追い出せると断定せず、侵入口対策の代わりにはしません。
追い出す時期には注意が必要
コウモリの追い出しでは、建物内に飛べない幼獣や冬眠中の個体を残したまま封鎖しないことが重要です。
前橋市はアブラコウモリについて、春から秋に活動し、11月頃から4月頃まで冬眠し、7月頃に出産すると案内しています。
浜松市と鳥取県も、6~8月頃には飛べない子どもがいる可能性があり、冬眠時期とあわせて追い出し・封鎖が難しい時期として注意を促しています。
したがって、単純に「○月なら必ず安全」と決めるのではなく、
- 夕方に実際に出入りしているか
- 内部から鳴き声が聞こえないか
- 複数個体が利用していないか
- 季節的に幼獣が残る可能性がないか
- 冬眠個体がいる可能性がないか
を確認してから封鎖へ進みます。
夕方に出ていったからといって、その日のうちに全て塞がない
夕方に数匹が建物から飛び出したのを確認できても、それだけで内部が空になったとは限りません。
別の個体が残っている、幼獣がいる、別の隙間を使っている可能性があります。
追い出し後は、
- 同じ場所からさらに出入りがないか
- 内部の羽音・鳴き声が続いていないか
- 新しい糞が増えていないか
- 別の場所から出入りしていないか
を確認します。
「一晩姿を見なかった」という1点だけで完全不在と断定するより、複数の痕跡から判断する方が安全です。
不在を確認してから侵入口を塞ぐ
追い出し後に再侵入を防ぐためには、使われていた侵入口を物理的に塞ぐ必要があります。
ただし順番は、
侵入口を見つける → 追い出す → 不在を確認する → 塞ぐ
です。
コウモリが内部にいる状態で先に穴を塞ぐと、個体を閉じ込めたり、別の隙間から建物内部側へ移動させたりする可能性があります。
換気口などは住宅に必要な通気機能を持つため、単純に板や充填材で全面を塞ぐのではなく、通気を維持しながら侵入を防げる構造にする必要があります。
屋根、2階軒下、外壁上部など、転落の危険がある場所の封鎖はDIYで行わないでください。
追い出したあとも音や糞が続く場合
追い出しを行ったあとも羽音や糞が続く場合は、次のような可能性があります。
- まだ建物内に個体が残っている
- 別の侵入口がある
- 追い出した個体が戻っている
- 同じ建物の別の場所へ移動した
- コウモリではない別の小動物がいる
忌避剤を追加するだけで対応を繰り返すより、侵入口と利用場所を再確認します。
外から見えない壁内、複数の屋根構造、狭い隙間などを利用している場合は、自力での原因特定が難しくなります。
糞が大量にある場合は追い出しと清掃を分けて考える
長期間ねぐらとして使われていた屋根裏や壁際では、糞が蓄積していることがあります。
追い出せたからといって、狭い屋根裏へすぐ入って清掃する必要はありません。
大量に乾燥した糞を家庭用掃除機で吸ったり、乾いたまま勢いよく掃いたりすると、粉じんを舞い上げる可能性があります。
大量の糞、強い臭い、断熱材の広範囲な汚染、手が届かない場所の汚染がある場合は、追い出し・封鎖とは別に専門清掃を検討します。
コウモリを網や粘着物で捕まえない
「追い出しても出ないので網で捕まえる」「粘着シートで捕まえる」といった行為は、単なる追い出しではなく捕獲になります。
環境省によると、野生鳥獣の捕獲・殺傷は鳥獣保護管理法のもとで原則禁止され、例外的に許可等の制度があります。
そのため、追い出しでは解決せず捕獲が必要だと考えた場合は、自分で捕獲器具を設置する前に、所在地の自治体や都道府県の制度を確認してください。
野生動物全体の対処については、家に出る害獣の種類と対策も参考にしてください。
自分で追い出さない方がよいケース
次のような場合は、追い出し方法を何度も試すより、自治体または専門業者へ相談する方が安全です。
- 屋根・2階軒下・外壁上部など高所に侵入口がある
- 侵入口が特定できない
- 出入口が複数ある
- 壁の内部など目視できない場所を使っている
- 飛べない幼獣がいる可能性がある
- 冬眠個体が残っている可能性がある
- 追い出しても何度も戻ってくる
- 追い出し後も内部から音が続く
- 大量の糞や強い臭いがある
- 屋根や外壁の修繕まで必要になる
横浜市などでは、自治体自体がコウモリの捕獲・駆除を行っていない場合があります。自治体へ相談すれば必ず無料駆除してもらえるわけではないため、地域ごとの対応範囲を確認してください。
専門業者へ依頼する場合は、追い出しだけでなく、侵入口調査、封鎖、糞清掃、消毒、修繕、再発時の対応までどこまで見積もりに含まれるかを確認します。
料金については害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先の比較方法は害獣・害虫駆除業者の選び方で確認できます。
よくある質問
コウモリ用の忌避スプレーで追い出せますか?
自治体にも忌避スプレーを追い出し方法の一例として紹介しているところがあります。ただし、一時的に外へ移動させる補助手段であり、侵入口を残したままでは再侵入する可能性があります。対象・使用場所を確認し、製品表示に従ってください。
バルサンなどの煙でコウモリを追い出せますか?
自治体には煙が出るタイプの製品を追い出し方法の例として案内しているところがありますが、すべての燻煙製品をコウモリ対策へ使用できるという意味ではありません。対象、使用場所、警報器、火気、換気など製品表示を確認し、表示外の用途へ自己判断で転用しないでください。
コウモリを追い出すなら何時ごろがよいですか?
アブラコウモリは夕方から活動するため、出入り場所を確認するときは日没前後が参考になります。ただし、暗い時間帯に屋根や脚立へ上って作業するのは危険です。観察と実際の作業は分けて考えてください。
コウモリが飛び出したらすぐ穴を塞いでよいですか?
すぐには塞ぎません。ほかの成獣、飛べない幼獣、冬眠個体などが内部に残っていないことを確認してから封鎖します。内部から音がする、不在を判断できない場合は専門業者へ相談してください。
6月・7月・8月でも追い出せますか?
この時期は飛べない幼獣が残る可能性があります。浜松市や鳥取県も6~8月頃の封鎖には注意を促しています。親だけを外へ出して侵入口を塞がないようにしてください。
冬ならコウモリはいないので穴を塞いでよいですか?
そうとは限りません。アブラコウモリは建物内などで冬眠することがあります。冬に出入りが見えないことを「不在」と同じ意味にはせず、冬眠個体を閉じ込める可能性を考えます。
部屋に1匹入った場合はどうすればよいですか?
人やペットを離し、外へ通じる窓やドアを開けて自然に退出するのを待ちます。網などで捕まえようとしたり、素手で触ったりしないでください。飛べないなど異常がある場合は自治体や専門業者へ相談します。
超音波を使えば追い出せますか?
家庭用機器だけで確実かつ恒久的に追い出せるとは考えない方がよいでしょう。補助手段を使う場合でも、実際の不在確認と侵入口封鎖が再侵入防止の中心です。
