コウモリは自分で駆除できる?家庭でできる追い出し・封鎖と業者へ頼む目安

屋根裏から羽音がする、換気口の下に小さな黒い糞が増える、夕方になると家の隙間から小型のコウモリが出てくる。このような状態になると、業者を呼ばずに自分で駆除できないかと考えることがあります。

家庭でできる対策はあります。

ただし、コウモリを「捕まえる・殺すこと」と、外へ追い出して再び入れなくすることは別です。

コウモリは野生鳥獣にあたり、捕獲や殺傷は原則として禁止されています。住宅で自分で対策する場合は、捕獲ではなく、

  1. コウモリが本当に家を利用しているか確認する
  2. 出入りしている場所を安全に確認する
  3. 外へ出られる状態で追い出す
  4. 個体や幼獣が残っていないことを確認する
  5. その後に侵入口を塞ぐ
  6. 必要な糞清掃を行う

という順序で考えます。

作業 家庭での対応目安
夕方の出入り・糞・音の記録 安全にできる
室内に迷い込んだ1匹を外へ逃がす 触らず退出経路を確保できれば対応可能
安全な場所で市販忌避剤を使用 製品表示に従える範囲なら検討可能
地上から侵入口を確認 安全にできる
低い位置の小さな隙間を補修 全個体の不在確認後、住宅機能を妨げない範囲なら検討可能
少量の糞清掃 安全に手が届く場所なら防護して検討
コウモリを捕獲する 自己判断で行わず許可を確認
屋根・高所の封鎖 専門業者を検討
狭い屋根裏・壁内部の作業 専門業者を検討
大量に堆積した糞の清掃 専門清掃を検討
目次

コウモリを自分で「駆除する」とはどういうこと?

検索では「コウモリ駆除」という言葉が一般的に使われていますが、住宅で行うコウモリ対策は、ネズミのように捕獲・殺処分することを前提にしません。

環境省は、野生鳥獣の捕獲・殺傷について、狩猟や許可捕獲などを除いて原則禁止としています。

つまり、家庭での基本は、

追い出す → 中に残っていないことを確認する → 侵入口を塞ぐ

という「排除・再侵入防止」です。

箱や網で捕まえて外へ放してもいい?

自宅の中にいるからといって、自由に捕獲できるわけではありません。

環境省の捕獲許可制度では、野生鳥獣の捕獲・殺傷は原則禁止とされ、生活環境被害等を理由に捕獲する場合も許可制度があります。

そのため、

  • 虫取り網で捕まえる
  • 粘着剤で捕まえる
  • 捕獲器を設置する
  • 捕まえた個体を別の場所へ放す
  • 殺虫剤等で殺す

といった方法を自己判断で行わないでください。

捕獲が必要な状況では、所在地の自治体・都道府県または許可制度に対応できる専門業者へ確認します。

まず本当に家に住み着いているか確認する

夕方に家の近くをコウモリが飛んでいたというだけでは、自宅へ住み着いているとは限りません。

住宅利用を疑う主なサインは、

  • 夕方から日没後に同じ隙間から繰り返し出入りする
  • 換気口・軒下・戸袋等の下に小さな黒い糞が増える
  • 屋根裏や壁の中から羽音・鳴き声がする
  • 特定の場所の下だけ毎日のように糞が落ちる

といったものです。

一つのサインだけではなく、複数の痕跡を組み合わせて確認します。

動物種がまだ分からない場合は、症状・痕跡から探すから候補を整理してください。

室内にコウモリが1匹入った場合

窓や玄関を開けた際に、コウモリが1匹だけ室内へ迷い込むことがあります。

この場合は、屋根裏に住み着いているケースとは分けて考えます。

前橋市は、室内へ侵入した場合について、自然に出ていくのを待つか、窓やドアを開けて外へ放つ方法を案内しています。

対応するときは、

  1. 子どもやペットを別の場所へ移す
  2. コウモリを追い回さない
  3. 素手でつかまない
  4. 外へつながる窓や戸を開ける
  5. 自分で外へ出るのを待つ

程度にとどめます。

家具の後ろなどへ入り込み、自力で安全に出せない場合は無理に手を入れず相談してください。

屋根裏に住み着いている場合は「出口を残して追い出す」

屋根裏や換気口に住み着いている場合、単に窓を開けるだけでは解決しません。

自治体では、市販の忌避剤などを使ってコウモリを外へ追い出し、その後に侵入口を塞ぐ対策を案内している例があります。

重要なのは、コウモリが外へ逃げられる状態を残したまま追い出すことです。

出入口を最初に塞いでから、内部へ忌避剤を使う順番にはしません。

忌避剤は「追い出すための補助」と考える

コウモリ対策用として販売されている忌避スプレーなどは、コウモリが嫌う臭い等を利用して、その場所から離れさせる目的で使われます。

川越市も、屋根裏へ侵入した場合の対策例として市販忌避剤を挙げています。

一方、忌避剤を使っただけでは、侵入口そのものは残っています。

一時的に出ていっても、再び戻る可能性があります。

そのため、

忌避剤だけで「駆除完了」としない

ことが大切です。

使用する場合は、コウモリ対策への使用が表示されている製品を選び、使用場所、換気、火気、電気設備、ペットなどの注意事項を製品表示に従って確認します。

家庭で薬剤・煙・火を自己流に組み合わせる方法は避けてください。

自治体が案内する煙タイプを使う場合も製品表示を優先

北九州市やつくばみらい市では、火を使わない煙タイプの市販製品などを追い出し方法の一例として案内しています。

ただし、住宅ごとに、

  • 火災報知器
  • 換気設備
  • 電気設備
  • 人やペット
  • 屋根裏の構造

が異なります。

どの住宅でも同じ方法・量で使用できるわけではないため、本記事では製品を一律に指定しません。

追い出しの時期はいつがよい?

コウモリ対策では、時期も重要です。

前橋市ではアブラコウモリについて、活動期間を春〜秋、出産期を初夏の7月頃、冬眠を概ね11月頃〜4月頃と案内しています。

北九州市は、冬眠時期と夏の出産時期は追い出しが難しいとして、それ以外の時期の対策を案内しています。

夏の出産期に親だけを外へ追い出して穴を塞ぐと、飛べない幼獣が内部に残る可能性があります。

冬も、建物内部で休眠している個体を閉じ込めるおそれがあります。

そのため、DIYでの追い出し・完全封鎖を考えるなら、暦だけではなく、実際に内部へ個体や幼獣が残っていないことを確認する必要があります。

「7月だから絶対作業不可」「10月なら絶対安全」ではない

アブラコウモリの繁殖や冬眠の時期には地域差や気候差があります。

国立環境研究所では、アブラコウモリは冬眠終了後に受精し、妊娠期間は約70日、2〜4頭程度を出産するとされています。

したがって、月だけで機械的に判断せず、

  • 夕方に何匹出入りするか
  • 内部から鳴き声がしないか
  • 小さな個体が見えないか
  • 継続的に出入りしているか

を確認し、判断できない場合は専門業者へ切り替えます。

侵入口を見つけてもすぐ塞がない

コウモリの再侵入を防ぐには、最終的には侵入口を塞ぐことが重要です。

しかし、内部に個体が残っている状態で完全封鎖すると、

  • 建物内へ閉じ込める
  • 別の隙間から室内側へ出る
  • 内部で死亡して臭いの原因になる
  • 飛べない幼獣が残る

可能性があります。

基本的な順番は、

  1. 侵入口候補を確認する
  2. 外へ出られる状態で追い出す
  3. 出入りがなくなったことを確認する
  4. 内部に個体・幼獣が残っていないことを確認する
  5. その後に侵入口を塞ぐ

です。

家のどこから入る?

アブラコウモリは建物の狭い隙間をねぐらに利用します。

前橋市は住宅への侵入ポイントとして、

  • 窓・ドアの隙間
  • 換気口・通気口
  • エアコン配管周囲の隙間
  • 屋根と壁の隙間

などを挙げています。

学術調査でも、瓦の下、戸袋、窓まわり、屋根と外壁の接合部など、都市住宅に一般的な構造がねぐらとして確認されています。

ただし、侵入口を探すために屋根へ上がる必要はありません。

住宅の場所別に確認するときは住宅の場所から探すも参考にしてください。

低い位置の隙間なら自分で塞げる場合もある

すべてのコウモリが外へ出たことを確認した後で、地上や室内から安全に手が届く小さな隙間であれば、自分で補修できる場合があります。

ただし、

  • 換気口
  • 通気口
  • 排気設備
  • 屋根
  • 外壁上部

などでは、建物の機能を損なわないことが重要です。

換気に必要な開口部をパテなどで完全に塞いではいけません。

必要な通気を残した防虫・防鳥部材を使うなど、構造に合った施工が必要です。

高所の封鎖はDIYしない

つくばみらい市も、高所でのコウモリ対策は危険なため専門業者を検討するよう案内しています。

次の場所ではDIYを避けた方が安全です。

  • 2階以上の軒下
  • 屋根・瓦
  • 高い外壁
  • 脚立を大きく伸ばす必要がある場所
  • 足場が安定しない場所

コウモリ被害そのものより、転落事故の方が重大な危険になります。

屋根裏へ自分で入る必要はない

屋根裏の奥まで入れば状況を詳しく確認できるように思えますが、

  • 天井板の踏み抜き
  • 転落
  • 電気配線
  • 狭い空間
  • 大量の糞
  • 粉じん

など別の危険があります。

点検口から安全に見える範囲を超える調査が必要なら、専門業者へ任せます。

コウモリの糞は自分で掃除できる?

ベランダや窓下など、安全に手が届く場所へ少量の糞が落ちている程度なら、自分で清掃できる場合があります。

ただし、乾いた糞をそのままほうきで勢いよく掃いたり、家庭用掃除機で直接吸って粉じんを広げたりする方法は避けます。

野生動物の排泄物は素手で触らず、粉じんを増やさない方法で回収します。

一方、

  • 屋根裏に大量の糞が堆積している
  • 尿が断熱材へ染み込んでいる
  • 換気設備・ダクト周辺まで汚染している
  • 強い臭いがある
  • 狭い屋根裏へ入る必要がある

場合は専門清掃を検討してください。

掃除だけしても毎日糞が増えるなら解決していない

糞を毎朝掃除しても翌日また落ちている場合は、現在も同じ場所をコウモリが利用している可能性があります。

この状態では清掃だけを繰り返すのではなく、夕方の出入りと侵入口候補を確認します。

コウモリ対策では、

糞をなくすことではなく、新しい糞が増える原因を止めること

が再発防止になります。

超音波機器だけで駆除完了とは考えない

市販のコウモリ対策用品にはさまざまなタイプがありますが、一つの器具を設置するだけで侵入口そのものがなくなるわけではありません。

一時的にその場所から離れたとしても、使える隙間が残れば再び利用される可能性があります。

製品を使う場合も、最終的には出入りの確認と再侵入防止まで考えます。

コウモリに直接触らない

つくばみらい市は、野生コウモリには寄生虫や感染症の原因となる菌・ウイルスが付着している可能性があるとして、素手で触らないよう案内しています。

室内や地面にいる個体を見つけても、

  • 素手でつかむ
  • 子どもに触らせる
  • ペットを近づける
  • 袋へ直接手で入れる

といった対応は避けます。

自治体が無料で駆除してくれるとは限らない

コウモリへの行政対応は地域によって異なります。

横浜市は2026年9月時点で、市によるコウモリの捕獲・駆除を行わず、自分での対応が難しい場合は専門業者へ相談するよう案内しています。

捕獲許可については県の担当窓口へ確認する形です。

つくばみらい市も、市による駆除・捕獲は行わず、追い払い・侵入予防は自分または業者で対応するとしています。

そのため、

「コウモリなら自治体が無料で取ってくれる」

と全国共通に考えず、居住地の最新制度を確認してください。

賃貸・マンションなら管理会社へ連絡する

賃貸住宅や集合住宅では、換気口、外壁、屋根、共用部などを入居者が勝手に加工できない場合があります。

コウモリを疑ったら、

  • どこから出入りしているか
  • どこに糞が落ちているか
  • 何時頃に出入りするか
  • 室内に入ってくることがあるか

を写真・動画で記録し、管理会社・大家へ連絡します。

自力対策から専門業者へ切り替える目安

次のような状態では、DIYを続けるより専門調査を検討します。

  • 侵入口が屋根・2階以上の高所にある
  • 屋根裏の奥へ入らなければ確認できない
  • 壁の中に巣・ねぐらがある可能性がある
  • 侵入口が複数ある
  • 何度追い出しても戻ってくる
  • 夏の出産期で幼獣がいる可能性がある
  • 冬眠中の個体を閉じ込める可能性がある
  • 屋根裏に大量の糞がある
  • 断熱材やダクトへ糞尿が広がっている
  • 強い臭いがある
  • どの隙間を塞げばよいか分からない
  • 捕獲が必要な状態になっている

この段階では、単なる忌避剤散布ではなく、建物全体の侵入口調査、適切な追い出し、封鎖、糞清掃等まで必要になる場合があります。

業者へ依頼するときに確認したいこと

コウモリ対策を業者へ依頼するときは、単に「駆除料金」だけを比較しません。

  • 侵入口をどこまで調査するか
  • 捕獲ではなく追い出しを基本にしているか
  • 施工時期と幼獣・冬眠個体への配慮
  • 何か所封鎖する見積もりか
  • 高所作業費
  • 糞清掃・消毒等が含まれるか
  • 施工後の再発保証
  • 追加料金の条件
  • 捕獲が必要な場合の許可対応

を確認します。

費用は害獣・害虫対策の費用、依頼先を比較するときは業者選びのページも参考にしてください。

自分でコウモリ対策するときの順番

  1. 家を利用しているサインを確認する
    糞・夕方の出入り・物音を記録します。
  2. 侵入口候補を安全な場所から確認する
    屋根や高所へ上りません。
  3. 捕獲ではなく追い出しを考える
    市販品を使う場合は表示どおりに使用します。
  4. 夏の出産期・冬眠期ではないか確認する
    幼獣・休眠個体を閉じ込める可能性がある場合はDIYを避けます。
  5. 全個体が外へ出たことを確認する
  6. 安全に届く侵入口を補修する
    換気機能等を妨げないようにします。
  7. 安全に処理できる少量の糞を清掃する
  8. 新しい糞・出入りが再発しないか確認する
  9. 再発・高所・大量糞・複数侵入口なら専門業者へ切り替える

コウモリの自力対策は「追い出してから塞ぐ」が基本

コウモリが家へ住み着いた場合でも、家庭でできる対策はあります。

ただし、自分で行う対策の中心は、コウモリそのものを捕まえることではありません。

家を利用していることを確認 → 外へ追い出す → 個体・幼獣が残っていないことを確認 → 侵入口を塞ぐ → 必要な清掃を行う

という流れで考えます。

捕獲・殺傷は鳥獣保護管理法上の規制があるため、自己判断では行いません。

また、夏の出産期や冬眠時期は追い出し・完全封鎖が難しくなります。高所、屋根、壁内、狭い屋根裏、複数侵入口、大量の糞、繰り返す再侵入もDIYの限界になりやすい条件です。

このような状態では、さらに薬剤や忌避剤を追加するより、建物全体を確認できる専門調査へ切り替えてください。

害獣全般から原因を整理する場合は害獣のページも参考にしてください。

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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