コウモリの糞の掃除方法|乾いたまま掃かない手順と業者へ任せる目安

ベランダや窓の下、換気口まわりなどにコウモリの糞が数個落ちている程度で、安全に手が届く場所なら、自分で清掃できる場合があります。

一方、乾燥した糞をそのまま掃いたり、家庭用掃除機で直接吸ったりすると、細かな粉じんを空気中へ広げる可能性があります。

掃除するときの基本は、「乾いたまま舞い上げない」「軽く湿らせて静かに回収する」ことです。

天井裏に大量の糞がたまっている、断熱材まで汚れている、高所や狭い場所へ入る必要があるといったケースは、家庭での少量清掃とは分けて考えます。

状態 対応の目安
ベランダ等に数個〜少量 安全に手が届けば、粉じんを立てない方法で清掃を検討
毎日のように新しい糞が増える 掃除だけでなく、現在の出入りと侵入口を確認
天井裏に広範囲の糞 専門清掃を検討
断熱材や建材へ糞尿が染み込んでいる 清掃だけでなく汚染部材への対応も検討
換気ダクト・空調設備内に入っている 専門業者へ相談
屋根・高所・狭い天井裏での作業が必要 DIYで無理に作業しない
目次

コウモリの糞を乾いたまま掃かない

コウモリの糞は乾燥すると、崩れやすい状態になることがあります。

この状態でほうきなどを使って勢いよく掃くと、糞そのものや周囲のほこりが舞い上がります。

清掃時に最も避けたいのは、乾燥した堆積物を必要以上に空気中へ舞わせることです。

糞がある場所へ強い風を当てたり、エアダスターを使ったりする必要もありません。

室内の場合は、作業前に扇風機などで糞のある場所へ強く風を送るのも避けます。

家庭用掃除機で直接吸うのは避ける

床に落ちている小さな糞を見ると、掃除機で吸えば簡単に片付くように見えます。

しかし、乾いた糞を家庭用掃除機で直接吸引すると、糞や周囲の微細な粉じんを吸い込み、排気とともに細かな粒子が広がる可能性があります。

家庭で少量のコウモリ糞を処理する場合は、掃除機よりも軽く湿らせてから使い捨てペーパー等で回収する方法を優先します。

専門的な汚染除去では、高性能フィルターを備えた産業用の吸引設備が使われることがありますが、一般家庭用掃除機とは分けて考える必要があります。

掃除前に用意しておきたいもの

少量で、安全に手が届く場所を清掃する場合は、作業を始めてから道具を取りに行かなくて済むよう準備します。

  • 使い捨て手袋
  • 長袖など皮膚を露出しにくい服装
  • マスク
  • 必要に応じて目を保護するもの
  • 霧吹きなど低い圧力で湿らせられるもの
  • 使い捨てペーパーやウエス
  • 小さなヘラ等
  • 回収物を入れる袋
  • 清掃する材質に使用できる洗浄剤・消毒剤

屋内で粉じんが多い、大量の堆積物がある、天井裏など閉鎖性の高い場所で作業する場合は、一般的な家庭清掃の範囲を超えます。

このような環境では粒子用の防じんマスクなど、より確実な呼吸用保護具が必要になる場合があります。大量汚染を前提に家庭で装備だけそろえて作業するより、専門対応を検討した方が安全です。

コウモリの糞を掃除する手順

1.子どもやペットを作業場所から離す

まず、掃除中に他の人が糞を踏んだり触ったりしないようにします。

特に小さな子どもやペットがいる場合は、清掃が終わるまで作業場所へ入らないようにします。

2.手袋などを着用する

コウモリを含む野生動物の糞は素手で触りません。

使い捨て手袋を着用し、必要に応じてマスクや目の保護具を使います。

3.乾いた糞を低い圧力で軽く湿らせる

糞へ霧吹きなどで少量の水分を与え、乾燥した粉じんが舞いにくい状態にします。

勢いよく水を当てる必要はありません。

目的は糞を洗い流すことではなく、回収するときに粉じんが舞い上がるのを抑えることです。

大量の水を勢いよく噴射したり、高圧洗浄機で糞を吹き飛ばしたりすると、周囲へ汚れを広げる可能性があります。

4.静かに回収する

湿らせた糞を使い捨てペーパーやウエスで取り除きます。

粒が多い場合は、小さなヘラなどで静かに集めても構いません。

糞を種類判定のために指で潰したり、割ったりする必要はありません。

5.袋へ入れて口を閉じる

回収した糞と使用した使い捨てペーパーなどを袋へ入れ、周囲へこぼれないよう口を閉じます。

ごみの扱いは自治体によって異なるため、最終的な分別・廃棄方法は居住地域のルールに従います。

6.糞があった表面を清掃する

固い床やベランダなどは、残った汚れを拭き取ります。

必要に応じて家庭用の表面用洗浄剤・消毒剤を使用できますが、材質に使用できる製品を選び、希釈・接触時間・換気などは製品表示に従ってください。

複数の薬剤を自己流で混ぜることは避けます。

7.手袋を外して手を洗う

作業が終わったら、糞が付いた面へ直接触れないよう手袋を外し、石けんと流水で手を洗います。

作業に使った再利用品がある場合も、その用品の材質とメーカー表示に合った方法で清掃します。

コウモリの糞は何で消毒すればいい?

ここは「特定の消毒液をかければすべて解決する」と考えない方がよい部分です。

コウモリや鳥の糞との関連が知られる真菌の一つにヒストプラスマがありますが、環境中のヒストプラスマを確実に除去する目的で、家庭向けの特定消毒剤を使えば安全になると単純に言い切れるものではありません。

清掃で優先したいのは、

  1. 乾燥した糞を舞い上げない
  2. 軽く湿らせる
  3. 物理的に糞を取り除く
  4. 残った表面汚れを清掃する

という順序です。

そのうえで日常的な衛生管理として消毒剤を使う場合は、床・金属・木材など清掃対象の材質に適した製品を、表示どおりに使用してください。

「アルコールをかければヒストプラスマ対策は完了」「漂白剤なら必ず胞子を死滅できる」といった断定は避けるべきです。

コウモリの糞から感染症になるのが心配な場合

コウモリの糞と関連して検索されることが多い感染症が、ヒストプラスマ症です。

ヒストプラスマ症は、病原体を含む土壌やコウモリ・鳥の糞などから生じた微粒子を吸入することで感染することがあります。

一方、日本はヒストプラスマ症の主要な流行地域ではありません。

国立健康危機管理研究機構は、現在の日本の患者について、主として海外の流行地域で感染した輸入例と考えられ、年間数例程度としています。

したがって、日本の住宅でコウモリの糞を少量見つけたことだけを理由に、重い感染症になると考える必要はありません。

ただし、「家庭の少量の糞を掃除した場合に感染する確率」が日本で何%なのかを示す十分なデータもありません。

過度に恐れるのではなく、乾燥した糞や大量の堆積物をむやみに舞い上げず、吸入曝露を減らす方法で掃除するのが合理的です。

免疫が低下している人は大量の糞清掃を避ける

ヒストプラスマ症は、免疫機能が低下している人では重症化することがあります。

免疫抑制薬を使用している、臓器移植後など明らかな免疫抑制状態にある人が、天井裏に大量に堆積したコウモリ糞を自分で除去するのは避けた方がよいでしょう。

このような条件では、清掃作業自体を専門業者へ任せることを検討します。

ベランダに少量の糞がある場合

ベランダの床など、屋外で安全に手が届き、糞が少量の場合は比較的DIYで清掃しやすい場所です。

ただし、清掃後も翌日・数日後に同じ場所へ新しい糞が増える場合は、掃除の問題ではなく、真上にコウモリが休息・出入りする場所がある可能性を考えます。

換気口、軒、シャッターボックス、外壁と屋根の隙間、エアコン配管周辺などを、地上や室内側から安全な範囲で確認します。

住宅周辺で何の糞か分からない場合は、症状・痕跡から探すから他の動物も含めて確認できます。

室外機の上に糞が落ちている場合

エアコン室外機の上へコウモリ糞が落ちている場合、室外機そのものに住んでいるとは限りません。

その真上の軒、外壁の隙間、配管周辺などを一時的な休息場所として利用し、その下へ糞が落ちている場合があります。

室外機の上面を清掃する場合は、エアコンの電装部分や内部へ水・消毒剤を大量に流し込まないようにします。

ファンや機械内部へ糞が入り込んでいる場合は、家庭で室外機を分解して掃除しません。

天井裏のコウモリ糞はベランダと同じ扱いにしない

天井裏では、数個の糞を拭き取るだけで済まないケースがあります。

長期間コウモリが利用していると、

  • 広い範囲への糞の堆積
  • 尿による汚染
  • 断熱材への付着
  • 強い臭い
  • 狭い空間での粉じん
  • 配線・梁・天井材による作業上の危険

が重なる可能性があります。

天井裏へ入るには、衛生面だけでなく踏み抜き・転落・電気設備などのリスクもあります。

点検口から見ただけでも大量の糞がある場合は、自分で奥まで入り込まず、専門清掃を検討してください。

住宅の場所別に確認したい場合は、住宅の場所から探すも参考にしてください。

断熱材に大量の糞尿が付いている場合

断熱材は、固い床のように表面だけ簡単に拭き取れる素材ではありません。

大量の糞や尿が染み込み、臭いが残っている場合は、表面へ消毒剤を吹き付けるだけでは汚染物そのものが残ります。

汚染範囲によっては、糞の除去だけでなく断熱材や周辺部材の交換を検討することがあります。

このレベルでは、コウモリ対策と建物側の復旧を分けて見積もることが重要です。

換気口・ダクト内に糞がある場合

換気設備やダクトの内部に糞が大量に入っている場合は、見える部分だけ掃除して終わりにしない方がよいケースがあります。

設備内部を自分で分解した結果、糞やほこりを室内へ落とす可能性もあります。

設備内まで汚染が続いている場合は、コウモリ対策業者だけでなく、必要に応じて換気設備側の点検も検討します。

掃除しても毎日糞が落ちる場合

毎日または繰り返し新しい糞が増えるのであれば、清掃だけでは原因が残っています。

コウモリが現在も、

  • 建物内部へ出入りしている
  • 軒や外壁で休息している
  • 戸袋や換気口を利用している

可能性を確認する必要があります。

夕方から日没後に、建物から少し離れた安全な場所で、同じ隙間から小型のコウモリが出てこないか観察すると判断材料になります。

ただし、屋根へ上ったり、高所で穴を直接覗いたりする必要はありません。

糞を掃除した直後に侵入口を塞がない

コウモリの糞がある場所の近くに隙間を見つけても、現在コウモリが内部に残っている可能性がある状態で完全に封鎖するのは避けます。

建物内に個体が残ったまま出口を塞ぐと、内部へ閉じ込めることがあります。

基本的には、

  1. 現在利用しているか確認する
  2. 必要な追い出しを行う
  3. 内部に個体が残っていないことを確認する
  4. 侵入口を塞ぐ
  5. 糞尿汚染を清掃する

という考え方になります。

ただし、繁殖状況や建物内部の個体を家庭側だけで判断しにくい場合があります。位置や時期が分からない場合は専門業者へ相談します。

コウモリを捕まえたり殺したりしない

コウモリは野生の哺乳類であり、鳥獣保護管理法の対象です。

野生鳥獣の捕獲や殺傷は、許可を受けた場合などを除き原則として禁止されています。

糞被害があるからといって、粘着剤や捕獲器などで自己判断による捕獲・殺傷を行う方法は勧められません。

掃除と、個体への対応は別問題として考えてください。

すでに掃除機で吸ってしまった場合

一度掃除機を使ったからといって、それだけで感染症になると決めつける必要はありません。

ただし、以後は乾いた糞を家庭用掃除機で直接吸う方法を続けず、粉じんを立てない方法へ切り替えます。

コウモリ糞を吸った一般家庭用掃除機を、その後どのように処理すべきかについて、住宅用掃除機を対象にした統一的な国内公的指針は確認できません。

自己流で本体を分解して粉じんを広げるよりも、紙パック・フィルター等の取り扱いを含め、掃除機メーカーの清掃・交換方法に従ってください。

大量の乾燥糞を室内で長時間掃除機吸引した、作業後に発熱・咳・息苦しさなどの症状が出たといった場合は、必要に応じて医療機関へ相談し、コウモリ糞を清掃したことを伝えます。

専門業者へ掃除を任せた方がよいケース

  • 天井裏に大量の糞が堆積している
  • 糞尿が断熱材へ広く染み込んでいる
  • 天井材にシミや強い臭いがある
  • 換気設備・ダクト内部まで汚染している
  • 屋根や高所での作業が必要
  • 狭い天井裏へ入り込む必要がある
  • 糞を掃除しても繰り返し増える
  • 侵入口が複数あり、現在の在不在を判断できない
  • コウモリの追い出しから必要
  • 作業者が免疫抑制状態にある

コウモリが長期間建物内に定着しているケースでは、糞掃除だけでなく、追い出し、侵入口の特定と封鎖、必要な消毒・害虫対策、汚染建材の処理などが一連の作業になる場合があります。

見積もりでは、単に「コウモリ駆除」の総額を見るのではなく、

  • 追い出し
  • 侵入口調査
  • 封鎖
  • 糞清掃
  • 消毒等
  • 断熱材等の撤去・交換
  • 再発時の保証

のどこまで含まれるか確認します。

費用の確認は害獣・害虫対策の費用、業者比較は業者選びのページを参考にしてください。

コウモリの糞掃除は「湿らせて静かに回収」が基本

安全に手が届く場所の少量のコウモリ糞なら、自分で清掃できることがあります。

その場合は、

  1. 子どもやペットを近づけない
  2. 手袋等を着用する
  3. 乾燥した糞を掃かない
  4. 低い圧力で軽く湿らせる
  5. 使い捨てペーパー等で静かに回収する
  6. 袋へ入れて口を閉じる
  7. 表面を清掃する
  8. 作業後に手を洗う

という流れで考えます。

家庭用掃除機で乾燥糞を直接吸う方法や、強い風・高圧の水で飛ばす方法は避けます。

日本ではヒストプラスマ症は主に海外流行地からの輸入例と考えられており、家庭で少量のコウモリ糞を見つけたからといって過度に恐れる必要はありません。

一方、大量に堆積した糞や天井裏の汚染は別です。粉じんを増やさないことを優先し、DIYで対応できる範囲を超えている場合は専門清掃へ切り替えてください。

そして、掃除しても糞が再び増える場合は、清掃だけを繰り返すのではなく、コウモリの現在の出入りと侵入口を確認することが再発防止につながります。

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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