屋根裏から大きな足音がする、同じ場所に糞がたまる、天井にシミができた。こうした症状からハクビシンを疑ったとき、「業者を呼ばずに自分で駆除できないか」と考える人も多いでしょう。
家庭でできる対策はあります。
ただし、ハクビシンを自分で「捕まえること」と、寄せ付けない・追い出す・再び入られないようにすることは別です。
ハクビシンは野生鳥獣であり、自己判断で箱わなを設置して捕獲することはできません。捕獲には鳥獣保護管理法上の許可や、自治体の防除制度などの確認が必要です。
自分で対策する場合は、捕獲ではなく、
- ハクビシンかどうかを確認する
- 餌になるものを減らす
- 安全な範囲で侵入経路を確認する
- 必要に応じて忌避対策を行う
- すべての個体が外へ出たことを確認する
- その後に侵入口を直す
という流れを基本にします。
| 作業 | 自分で行う目安 |
|---|---|
| 音・糞・足跡等の記録 | 安全にできる |
| 生ごみ・果実・ペットフードの管理 | 自分でできる |
| 地上から庭木・建物外周を確認 | 自分でできる |
| 安全に届く庭木の剪定 | 高所作業にならなければ検討できる |
| 市販の忌避対策 | 製品表示を確認し、安全に使用できる場所に限定 |
| 安全に届く場所の侵入口補修 | ハクビシンと子が残っていないことを確認してから |
| 少量の糞の清掃 | 安全に手が届く場所なら防護して検討 |
| 箱わなによる捕獲 | 自己判断で行わず自治体・許可を確認 |
| 屋根・高所の封鎖 | 専門対応を検討 |
| 狭い屋根裏への侵入 | 専門対応を検討 |
| 大量の糞尿・断熱材汚染 | 専門清掃を検討 |
ハクビシンを「自分で駆除する」とは何をすること?
「駆除」という言葉には、捕獲、追い出し、侵入防止、糞尿清掃など複数の作業が混ざっています。
このうち一般家庭が自分で取り組みやすいのは、主に寄せ付けない・追い出す・再侵入を減らす対策です。
一方、ハクビシンそのものを箱わななどで捕まえる場合は、別に法令上の手続きが関係します。
「自宅の中に入っている動物だから自由に捕まえてよい」という扱いにはなりません。
ハクビシンの捕獲は許可なく行わない
東京都は、鳥獣保護管理法により、対象外となる一部のネズミ類などを除く野生鳥獣について、狩猟制度や許可捕獲などの場合を除き捕獲できないと案内しています。
ハクビシンも有害鳥獣捕獲の対象として扱われています。
そのため、
- 市販の箱わなを買って勝手に設置する
- 捕まえた個体を自分で別の場所へ運ぶ
- 捕まえた後の扱いを決めずにわなを置く
といった方法は避けます。
自治体によっては、被害が確認された住宅へ箱わなを設置する制度があります。
逆に、自治体では捕獲を行わず、専門業者を案内する地域もあります。
実際の対応は居住地によって異なるため、捕獲を考える段階では所在地の環境・鳥獣担当窓口へ確認してください。
屋外で見かけただけなら、すぐ駆除が必要とは限らない
庭や道路でハクビシンを一度見かけただけで、自宅へ住み着いているとは限りません。
夜間の移動中に敷地を通過しているだけの場合もあります。
家屋への侵入を疑うのは、
- 夜に屋根裏から大きな足音がする
- 天井に新しいシミがある
- 雨どい・ベランダ・屋根裏など同じ場所に糞がたまる
- 夜に屋根の上で繰り返し目撃する
- 庭の果実が繰り返し食べられる
- 同じ建物の隙間へ出入りしている
といった症状が重なった場合です。
まだ動物種が分からない場合は、症状・痕跡から探すから候補を整理してください。
自分でできる対策1|餌になるものを減らす
ハクビシンを住宅周辺へ寄せ付けにくくするために、最初にできるのが餌資源の管理です。
東京都は対策例として、
- 庭木の果実や落果を放置しない
- 生ごみを屋外へ放置しない
- ペットの餌の食べ残しを残さない
- 屋外で飼育している魚を金網等で防護する
ことを挙げています。
柿、ビワ、ブドウなどの果実が毎年大量に残る庭では、建物だけを対策しても周囲が餌場のままになる場合があります。
「何を使って追い払うか」より先に、ハクビシンが繰り返し来る理由を減らします。
自分でできる対策2|屋根へ近づく庭木を確認する
ハクビシンは木登りが得意で、住宅の屋根へ伸びた枝などを移動経路として利用することがあります。
東京都や複数の自治体も、家屋への侵入経路になる枝を剪定することを予防策として挙げています。
地上から安全に作業できる小枝などであれば対策できます。
一方、
- 脚立を高く伸ばす必要がある
- 屋根へ上る必要がある
- 電線に近い
- 太い枝を切る必要がある
場合はDIYで無理をしません。
害獣対策以前に、高所作業や電気設備への接触による事故が問題になります。
自分でできる対策3|侵入口候補を地上から確認する
ハクビシンが屋根裏へ入っているなら、建物のどこかに出入りできる場所があります。
自治体では、
- 床下通気口
- 軒下
- 換気口
- 外壁の破損部
- 屋根周辺の隙間
- 戸袋
などが侵入口候補として挙げられています。
ただし、侵入口を見つけるために屋根へ上ったり、天井裏の奥へ入ったりする必要はありません。
地上から安全に見える範囲を確認し、同じ場所へハクビシンが出入りしている様子を撮影できれば記録します。
住宅の場所別に確認したい場合は、住宅の場所から探すも参考にしてください。
自分でできる対策4|忌避剤は「追い出しの補助」と考える
自治体によっては、ハクビシンを屋根裏等から追い出す方法として市販の忌避剤などを紹介しています。
一方、東京都は、忌避剤によってその場所から追い出せる可能性はあるものの、個体数を減らす根本的な解決にはならないと説明しています。
また、空間の構造によっては成分が十分に行き渡らず、そのまま屋根裏に残ることもあります。
したがって、忌避剤は、
「使えば駆除完了」ではなく、外へ出るきっかけを作る補助手段
として考えます。
使用する場合は、ハクビシン対策として使用できることを製品表示・説明で確認し、用法・使用場所・換気・火気・ペットなどの注意事項に従ってください。
複数の薬剤を自己流で混ぜたり、火や煙を自作して屋根裏へ送り込んだりする方法は避けます。
追い出した後にすぐ侵入口を塞いでよい?
侵入口を塞ぐこと自体は再発防止で重要です。
ただし、ハクビシンがまだ屋根裏にいる可能性がある状態で、すべての出口を完全に塞ぐのは避けます。
内部へ閉じ込めると、
- 別の場所を壊して脱出しようとする
- 建物内部へさらに入り込む
- 子どもだけが内部に残る
- 内部で死亡して臭いや衛生問題が発生する
可能性があります。
侵入口対策は、
- ハクビシンが現在利用しているか確認する
- 必要な追い出しを行う
- 親だけでなく子どもも残っていないことを確認する
- 出入りがなくなったことを確認する
- その後に侵入口を補修する
という順序で考えます。
子どもがいる可能性がある場合はDIYの難易度が上がる
ハクビシンが家屋を子育て場所として利用することがあります。
砺波市も、自分で追い払いできる場合がある一方、ハクビシンの子どもがいると追い出しが難しくなるため、専門業者への依頼を勧めています。
親だけが外へ出たタイミングで穴を塞ぐと、子どもが建物内へ残る可能性があります。
次のような場合は、自分だけで完全封鎖へ進まず専門調査を検討します。
- 屋根裏から複数の鳴き声がする
- 小さな個体を見た
- 長期間ねぐらとして利用されている
- 複数の出入口がある
- 内部を安全に確認できない
安全に届く侵入口なら自分で直せる場合もある
地上や室内から安全に手が届き、ハクビシンが完全にいなくなったことを確認できる場所であれば、破損した防虫網や小さな開口部などを補修できる場合があります。
ただし、
- 屋根
- 高い軒
- 外壁上部
- 複雑な屋根の取り合い
- 換気機能を持つ設備
は別です。
換気口など本来必要な開口部を完全に塞ぐと、住宅側の機能を損ねる場合があります。
また、侵入口が1か所に見えても、別の開口部が残っているケースがあります。
建物の補修が必要な場合は、害獣業者だけでなく工務店等へ相談する方法もあります。
糞は自分で掃除できる?
ベランダなど安全に手が届く場所へ少量の糞がある程度なら、自分で清掃できる場合があります。
野生動物には寄生虫や病原体を持つ個体もいるため、素手では触らず、手袋などを使用します。
一方、屋根裏に大量のため糞がある場合は状況が違います。
- 乾燥した糞が大量にある
- 尿が断熱材へ染み込んでいる
- 天井板までシミが出ている
- 強い悪臭がする
- ノミやダニ等が疑われる
- 狭い天井裏へ入る必要がある
場合は、家庭清掃の範囲を超えることがあります。
大量の乾燥した糞をほうきで勢いよく掃いたり、家庭用掃除機で直接吸って粉じんを広げたりする方法は避けます。
ハクビシンそのものへ近づかない
板橋区や中野区は、野生のハクビシンには寄生虫や細菌等を保有している場合があるとして、触らないよう注意を呼びかけています。
屋根裏や庭でハクビシンを見つけても、
- 手で捕まえようとする
- 棒などで追い詰める
- 出口をふさいで捕まえようとする
- ペットを近づける
ことは避けます。
弱って動けない個体や、皮膚病などが疑われる個体でも素手で触らず、自治体へ相談してください。
箱わなをホームセンターで買えば捕獲できる?
箱わなが販売されていることと、誰でも自由にハクビシンを捕獲できることは別です。
ハクビシンの捕獲には、原則として鳥獣保護管理法上の許可等が必要です。
自治体によっては、自治体側の防除計画に基づいて専門業者が箱わなを設置したり、住民が毎日確認することを条件に捕獲事業を実施したりしています。
捕獲制度を利用する場合は、
- 誰がわなを設置するのか
- 誰が見回るのか
- 捕獲されたら誰へ連絡するのか
- 個体を誰が回収するのか
- 侵入口封鎖や清掃は制度に含まれるのか
まで確認します。
自治体による捕獲が無料でも、家屋の穴塞ぎ、糞尿清掃、断熱材や天井の修繕まで無料とは限りません。
毒餌や粘着剤で駆除しようとしない
ハクビシンはネズミとは異なり、野生鳥獣として捕獲等が規制されています。
家庭で毒餌や粘着剤を使って捕らえたり殺したりする方法は行いません。
法律だけでなく、対象外の動物やペットへの影響、建物内部で死亡した場合の悪臭・衛生問題もあります。
「音を出して追い払えば終わり」ではない
自治体によっては、音や臭いを使った追い払い方法を紹介しています。
ただし、屋根裏から一時的に姿を消しても、侵入口と餌場がそのままであれば戻ってくる可能性があります。
自力対策では、追い出しそのものより、
- どこから入っているか
- 何が餌になっているか
- 本当に全個体が外へ出たか
- 別の侵入口が残っていないか
を確認することが重要です。
庭だけに来るハクビシンなら対策は少し違う
ハクビシンが屋根裏へ入っておらず、庭の果実や生ごみを目的に訪れているだけなら、家屋内の追い出しは必要ありません。
まず、
- 落ちた果実を回収する
- 熟した果実を放置しない
- ペットフードを屋外へ置きっぱなしにしない
- 生ごみを適切に管理する
- 池の魚などを必要に応じて防護する
といった誘引要因を減らします。
単なる通過個体に対して、捕獲から始める必要はありません。
賃貸住宅なら先に管理会社・大家へ連絡する
賃貸住宅で屋根裏や外壁の隙間からハクビシンが侵入している場合、入居者が勝手に建物へ穴を開けたり金網等を固定したりすると、別の問題になる可能性があります。
施工業者を自分で手配する前に、
- 物音がする場所
- 発生時期
- 糞や天井シミの有無
- 夜間の目撃
- 侵入口候補
を写真・動画等で記録し、管理会社や大家へ連絡します。
自治体へ相談した方がよいケース
ハクビシン対策の制度は自治体ごとに異なります。
東京都では、多くの区市町村がアライグマ・ハクビシン対策に取り組んでおり、被害があった場合はまず各自治体の環境部署等へ問い合わせるよう案内しています。
特に、
- 箱わなによる捕獲を考えている
- 捕獲許可が必要か確認したい
- 自治体に無料の捕獲事業があるか知りたい
- 専門業者をどこへ相談すればよいか分からない
場合は自治体へ確認する価値があります。
専門業者へ切り替えた方がよい状態
次のような場合は、自分でできる対策を重ねるより、現地調査を検討した方がよいでしょう。
- 屋根・高所に侵入口がある
- 狭い天井裏へ入らないと確認できない
- 侵入口が複数あり絞れない
- 追い出しても繰り返し戻ってくる
- 子どもがいる可能性がある
- 大量のため糞がある
- 尿が断熱材・天井材へ染み込んでいる
- 天井に大きなシミやたわみがある
- 強い悪臭が続いている
- ノミ・ダニ等の二次被害が疑われる
- 捕獲が必要になっている
- 何の動物か確定できない
この段階では、単に動物を外へ出すだけでなく、侵入口調査、法令対応、清掃、消毒、建物補修、再侵入防止まで必要になる場合があります。
依頼費用については害獣・害虫対策の費用、依頼先を比較するときは業者選びのページを参考にしてください。
自分で対策するときの順番
- ハクビシンらしいサインを記録する
夜間の足音、ため糞、天井シミ、足跡、目撃などを確認します。 - 餌になるものを減らす
果実、生ごみ、ペットフードなどを放置しません。 - 安全な場所から侵入口候補を確認する
屋根や高所には上りません。 - 必要に応じて忌避対策を行う
製品表示を守り、一時的な追い出し手段として使います。 - ハクビシンと子が残っていないか確認する
- 不在確認後に安全に届く侵入口を補修する
- 安全に処理できる少量の糞だけ清掃する
- 再び物音・糞等が出ないか確認する
- 再発・高所・大量汚染・捕獲が必要なら自治体や専門業者へ切り替える
ハクビシン対策は「捕まえること」から始めない
ハクビシンを自分で対策するとき、家庭でできることは少なくありません。
餌になるものを減らす、安全な範囲で侵入口候補を確認する、必要に応じて忌避対策を行う、すべての個体が出たことを確認してから安全に届く開口部を補修する、といった方法です。
一方、箱わな等での捕獲は自己判断で行うものではありません。
また、忌避剤だけを使っても侵入口が残っていれば再び入られる可能性があります。
「追い出す → 全個体・子の不在を確認する → 侵入口を直す → 糞尿汚染へ対処する」までを一つの対策として考えることが重要です。
屋根、高所、狭い天井裏、大量の糞尿、複数の侵入口、子どもがいる可能性、繰り返す再侵入などがある場合は、DIYの範囲を超えていると考え、自治体制度や専門調査へ切り替えてください。
害獣全般から原因を整理したい場合は害獣のページも参考にしてください。
