ハクビシンの侵入口を見つけても、すぐに穴を塞ぐのは避けてください。
建物の中にハクビシンが残っている状態で出入口を完全に塞ぐと、屋根裏や壁内へ閉じ込める可能性があります。親だけが外へ出て、幼獣が内部に残っている可能性も考えなければなりません。
自治体でも、基本的な順序は「侵入口を確認する → 追い出す → 外へ出たことを確認する → 侵入口を塞ぐ」とされています。
侵入口の封鎖は再侵入防止の重要な工程ですが、順番を間違えないことが前提です。
ハクビシンの侵入口は「追い出した後」に塞ぐ
八王子市は、アライグマ・ハクビシン対策について、まず侵入口を確認し、動物を建物から追い出した後に、侵入口を金網等で塞ぐ流れを案内しています。
藤枝市も、侵入口から遠い場所から忌避剤を使ってハクビシンを外へ誘導し、家から出た後に侵入口を塞ぐ方法を示しています。
したがって、侵入口を見つけたときの順番は次のように考えます。
- 侵入口候補をすべて確認する
- 現在も出入りしているか記録する
- ハクビシンを外へ追い出す
- 内部に別個体や幼獣が残っていないことを確認する
- 侵入口を物理的に塞ぐ
- 封鎖後も新しい音・糞・出入りがないか確認する
「穴を見つけたから先に塞ぐ」ではなく、退出確認が封鎖より先です。
中に残っていないことをどう確認する?
ハクビシンが一度外へ出た姿を見たとしても、それだけで住宅内が空になったとは限りません。
複数個体を利用している場合や、幼獣が残っている場合があります。
鎌倉市は、侵入口を塞ぐ前には必ず動物が出て行ったことを確認する必要があるとし、出入りを確認する方法として粉や紙を利用した痕跡確認を紹介しています。
夜間の出入りを離れた場所から確認する
ハクビシンは夜行性です。
侵入口と思われる場所を安全な距離から観察し、夜間に出て行く個体や戻ってくる個体がいないか確認します。
スマートフォンや防犯カメラなど、安全な場所から撮影できる方法も利用できます。
侵入口周辺の痕跡を見る
地面など安全に確認できる場所では、次のような情報も参考になります。
- 新しい足跡
- 泥や汚れ
- 毛
- 擦れ跡
- 侵入口周辺の紙などが動いた形跡
痕跡を確認するために屋根へ上ったり、軒下の奥へ手を入れたりする必要はありません。
屋根裏の音も確認する
夜になっても天井裏から足音や鳴き声が続いているなら、完全に退出したとは考えない方がよいでしょう。
一晩静かだったという一点だけで確実な不在を断定することも避けます。
複数の侵入口がある、内部が広く確認できない、幼獣の可能性がある場合は、自分で完全封鎖まで進めず専門調査を検討してください。
季節だけで「子はいない」と判断しない
ハクビシンは、特定の短い繁殖期しか子を産まない動物ではありません。
東京都環境局は、ハクビシンについて一年中繁殖が可能で、1回に約1〜4頭を出産するとしています。
そのため、
「秋だから子はいない」
「冬だから親だけだろう」
と月だけを根拠に侵入口を塞ぐのは避けた方がよいでしょう。
実際の出入り、鳴き声、複数個体の気配などから確認し、不在を判断できない場合は専門業者へ切り替えます。
侵入口は1か所とは限らない
八王子市は、アライグマ・ハクビシンの侵入口について、1か所とは限らないと明記しています。
よく利用される侵入口だけを塞いでも、別の隙間が残っていれば再び住宅内へ入る可能性があります。
封鎖前には、建物の下部から上部まで確認します。
- 床下通気口
- 基礎周辺
- 戸袋
- 外壁の破損部分
- 換気口・通気口
- 軒下・軒天
- 屋根と外壁の取り合い
- 屋根材の隙間
- 増築部分と既存建物の接続部
- 配管などが建物へ入る周囲
侵入口そのものを見つける方法については、公開後に侵入口特定の記事から詳細へ分岐します。
住宅の部位ごとに確認したい場合は、住宅の場所から害獣・害虫を探すページも参考にしてください。
ハクビシンはどのくらいの隙間から入る?
東京都環境局は、ハクビシンが8cm四方の隙間にも入り込むとしています。
北区では、8cm四方、6cm×12cm程度の長方形、直径10cm程度の円形などを侵入可能な隙間の目安として案内しています。
ただし、この数値を「8cm未満なら絶対に安全」という境界として使うのは適切ではありません。
穴の形、建物の構造、個体差などがあるため、ハクビシンが利用できそうな破損や隙間は総合的に確認します。
侵入口を塞ぐなら金網などの物理的な材料を使う
複数の自治体が、ハクビシンの侵入口対策として金網を案内しています。
八王子市は追い出した後に侵入口を金網等で塞ぐよう案内し、北区・町田市・船橋市なども、換気口や軒下などの隙間を金網で塞ぐ方法を挙げています。
侵入口対策では、臭いで寄せ付けなくするだけではなく、動物が物理的に通過できない状態を作ることが重要です。
換気口・床下通気口
換気口や床下通気口は代表的な侵入口です。
金網・防獣用の格子などを使い、ハクビシンが通れない状態にします。
ただし、換気のために設けられた開口を板などで完全に密閉し、本来必要な通気を失わせる方法は避けてください。
既存の格子が錆びている、外れている場合は、単に上から応急的に塞ぐのではなく、適切に固定・補修します。
外壁・軒天の破損
板の剥がれや外壁の破損部分が侵入口になっている場合は、穴を金網で覆うだけではなく、建物そのものの修理が必要になることがあります。
雨仕舞いや外壁性能に関わる場所は、工務店や住宅施工業者へ相談した方がよいでしょう。
屋根周辺
屋根材の隙間、屋根と外壁の接合部分、増築部の取り合いなども侵入口になります。
これらは高所作業になるため、自分で屋根へ上って金網や板金を施工することは勧めません。
石や物を置くだけの応急処置で終わらせない
鎌倉市は、侵入口をコンクリートブロックや重い石などで塞いでも、動物によって動かされることがあるとして、金属の網や柵による修繕を勧めています。
ハクビシン対策でも、
- 物を置いただけ
- 外れやすい網を軽く載せただけ
- 簡単なテープ止めだけ
といった一時的な状態を、長期的な再侵入防止策とは考えない方がよいでしょう。
特に風雨を受ける外部では、固定方法や建材との取り合いも重要です。
換気口を完全に密閉してはいけない理由
床下・屋根裏の換気口は、住宅内部の通気を確保するために設けられていることがあります。
害獣を入れたくないからといって、開口部自体を板や充填材で完全に塞ぐと、本来の機能を損なう可能性があります。
こうした場所では、
- 通気を確保する
- ハクビシンが通れない物理的な網・格子を設ける
- 既存設備の排気や給気を妨げない
ことを両立させます。
どの開口が住宅に必要な換気設備なのか判断できない場合は、害獣業者だけでなく工務店・住宅施工業者へ確認してください。
庭木も再侵入経路になる
侵入口そのものを塞いでも、ハクビシンが屋根へ簡単に到達できる状態が残っていることがあります。
東京都環境局、練馬区、町田市などは、屋根へ届く庭木の枝を剪定することを侵入防止策として挙げています。
ハクビシンは木登りが得意で、雨どい、柱、樹木などを利用して高所へ移動します。
そのため封鎖後は、
- 屋根へ接している枝
- ベランダへ届く枝
- 雨どい付近へ伸びる枝
なども確認します。
高所の剪定や電線付近の作業は自分で行わないでください。
封鎖した後も再侵入サインを確認する
侵入口を塞いだら作業終了ではありません。
数か所ある侵入口の一部を見落としている場合や、別の破損部分を利用される場合があります。
封鎖後は、
- 天井裏の新しい足音
- 新しい糞
- 天井の新しい尿シミ
- 封鎖部分のずれ・破損
- 別の隙間への出入り
がないか確認します。
対策後にまた侵入された場合は、初回の封鎖方法を繰り返すだけではなく、未封鎖箇所や別の侵入口、庭の餌資源などを改めて確認する必要があります。
封鎖と糞尿清掃は別の作業
侵入口を塞いでも、屋根裏に残った糞尿がなくなるわけではありません。
長期間ハクビシンが利用していた場合は、ため糞、尿、断熱材の汚損、天井のシミなどが残ることがあります。
大量の乾燥した糞を、
- 素手で触る
- 家庭用掃除機で直接吸う
- ほうきで激しく掃いて粉じんを広げる
- 種類確認のために潰したり直接嗅いだりする
方法は避けてください。
糞尿清掃の詳細は、専用記事を公開した段階で分岐します。
侵入口を塞ぐことと捕獲は別
建物の隙間を修理して再侵入を防ぐことと、箱わななどでハクビシンを捕獲することは別の行為です。
鳥獣保護管理法では、野生鳥獣の捕獲・殺傷は、狩猟など法律上認められた場合を除いて原則禁止されています。
被害対策として捕獲が必要な場合は、自治体の制度や捕獲許可を確認します。
侵入口を塞げないからといって、自己判断で箱わなを置く方法へ切り替えないでください。
DIYで塞げる範囲
自分で対応を検討できるのは、少なくとも次の条件がそろう場合です。
- 地上など安定した場所から作業できる
- 侵入口を明確に確認できる
- ハクビシンや幼獣が内部に残っていないと確認できる
- 必要な換気・排気設備を損なわない
- 建物の大規模な修繕を伴わない
- 金網等を安全に確実に固定できる
これらを満たさない場合は、DIYで完全封鎖する必要はありません。
専門業者・工務店へ切り替えたいケース
| 状態 | 相談先の目安 |
|---|---|
| 屋根・2階以上・高所の隙間 | 害獣業者・工務店 |
| 侵入口が複数あり特定できない | 害獣業者 |
| ハクビシン・幼獣の不在を確認できない | 害獣業者・自治体 |
| 外壁・軒天・屋根が破損している | 工務店・屋根/外装業者 |
| 換気設備の機能が分からない | 工務店・設備業者 |
| 大量の糞尿・断熱材汚染がある | 害獣業者・専門清掃 |
| 捕獲が必要 | 自治体・適法な捕獲対応業者 |
| 封鎖したのに再発した | 害獣業者による建物全体の再調査 |
依頼するときは、「見つけた1か所を塞ぐだけ」なのか、建物全体の侵入口調査と封鎖まで行うのかを確認します。
費用を見る場合は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先を比較するときは害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。
ハクビシンの侵入口を塞ぐ流れ
| 段階 | 確認すること |
|---|---|
| 1. 侵入口候補を探す | 換気口・軒下・床下・屋根周辺などを安全な範囲から確認 |
| 2. 複数経路を確認 | 1か所だけとは限らない |
| 3. 追い出す | 侵入口を塞ぐ前に建物外へ退出させる |
| 4. 不在を確認 | 夜間の出入り・足音・痕跡、幼獣の可能性を確認 |
| 5. 物理封鎖 | 金網等を使い、必要な通気等を維持して固定 |
| 6. 周辺を再点検 | 未封鎖の隙間、庭木などの侵入経路を確認 |
| 7. 経過確認 | 新しい音・糞・破損・別経路からの出入りを確認 |
よくある質問
ハクビシンが中にいる状態で侵入口を塞いでもよいですか?
避けてください。自治体も、追い出した後に侵入口を塞ぐ順序を案内しています。内部に別個体や幼獣が残っていないことを確認してから封鎖します。
何cmの穴まで塞げばよいですか?
東京都はハクビシンが8cm四方の隙間にも入り込むとしています。ただし8cmを絶対的な境界にはせず、利用可能な破損・隙間を広く確認してください。
金網で塞げば大丈夫ですか?
換気口や床下通気口などでは、自治体も金網等による封鎖を案内しています。ただし、外壁の破損や屋根の隙間などでは建物自体の補修が必要になる場合があります。
床下換気口を板で完全に塞いでもよいですか?
勧めません。換気のための開口であれば、住宅本来の機能を損なう可能性があります。通気を確保したまま動物の侵入を防げる金網・格子等を検討し、構造が分からない場合は工務店等へ確認してください。
追い出した当日に塞いでもよいですか?
日数だけでは判断できません。外へ出る姿を確認したとしても、別個体や幼獣が残っている可能性があります。出入り、音、痕跡などを組み合わせて不在を確認してください。
冬なら子どもはいないので塞いでよいですか?
季節だけでは判断できません。東京都は、ハクビシンは一年中繁殖可能としています。実際の個体・幼獣の在不在を確認することを優先します。
侵入口が1つ見つかったら、そこだけ塞げばよいですか?
十分とは限りません。八王子市も侵入口は1か所とは限らないと案内しています。建物全体の隙間を確認し、別の経路が残っていないか再点検します。
ハクビシンを自分で捕まえてから塞げばよいですか?
自己判断で捕獲しないでください。野生鳥獣の捕獲は鳥獣保護管理法による規制があり、被害防止の捕獲は自治体等の許可制度を確認する必要があります。
参考情報
- 東京都環境局「被害を防ぐために」
- 東京都環境局「アライグマ・ハクビシンについて」
- 東京都環境局「野生鳥獣の捕獲について」
- 八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」
- 鎌倉市「アライグマ・ハクビシン・タイワンリスの被害でお困りの方」
- 東京都北区「アライグマ・ハクビシンの被害を防ぐために」
- 藤枝市「自宅にハクビシンが住み着いてしまったら」
- 酒田市「ハクビシンにご注意ください」
