屋根裏や庭、ベランダなどに、見慣れない動物の糞がまとまっている。
何度掃除しても同じ場所へ糞が増え、果物の種のようなものまで混じっている。
こうした状態では、ハクビシンの「ため糞」を疑います。
ハクビシンの糞には、典型例として、
- 同じ場所へ繰り返し排泄する
- 棒状
- 長さ5〜15cm程度になることがある
- 果実の種が混じることがある
という特徴があります。
ただし、糞の形や大きさは食べた物・時期・個体によって変化します。
果物の種が入っていないこともあり、糞だけではネコやほかの野生動物と区別できない場合もあります。
ハクビシンかどうかを確認するときは、糞そのものだけではなく、排泄場所、ため糞になっているか、夜間の足音、天井シミ、果実被害、足跡なども組み合わせて判断してください。
ハクビシンの糞を見分ける5つのポイント
| 確認項目 | ハクビシンを疑う特徴 |
|---|---|
| 排泄方法 | 同じ場所へ繰り返す「ため糞」 |
| 形 | 典型例では棒状 |
| 長さ | 5〜15cm程度の例がある |
| 内容物 | 果実の種などが混じることがある |
| 場所 | 屋根裏・ベランダ・雨どい・通路など |
このうち一つだけでハクビシンとは決めず、複数の特徴が一致するかを確認します。
一番重要なのは「ため糞」になっているか
ハクビシンを見分けるうえで重要な特徴の一つが「ため糞」です。
ため糞とは、同じ場所を繰り返し排泄場所として利用し、糞が一か所へ蓄積していく状態です。
例えば屋根裏で、
- 同じ梁の近く
- 断熱材の同じ場所
- 天井板の同じ位置
へ糞が重なるように増えていれば、ため糞の可能性があります。
農林水産省も、ハクビシンはねぐらなどにため糞をするとしています。
雨どい・ベランダの一角にもまとまって糞をすることがある
ため糞は屋根裏だけとは限りません。
東京都は、アライグマ・ハクビシンが住宅へ侵入している可能性を示すサインとして、雨どいやベランダの一角にまとまった糞がある状態を挙げています。
そのため、
- 雨どい
- ベランダの角
- 屋根
- 物置周辺
- 庭の一定箇所
などに同じような糞が増えている場合も確認します。
典型的な糞は棒状
農林水産省では、ハクビシンの典型的な糞を「棒状」としています。
町田市の住宅被害資料でも、ハクビシンの糞として棒状の例が掲載されています。
ただし、毎回きれいな棒状になるわけではありません。
食べた物、水分量、排泄後の乾燥などによって、
- 形が崩れる
- 複数に分かれる
- 柔らかくなる
- 色が変わる
ことがあります。
「棒状ではないからハクビシンではない」とも判断しないでください。
大きさは5〜15cm程度が目安になる
町田市の資料では、ハクビシンの糞について、長さ5〜15cm程度の棒状の例が示されています。
一方、同じ資料で紹介されているネズミの糞は、長さ約1cmの細長い米粒状です。
そのため、屋根裏で、
- 数mm〜1cm程度の小さな糞が多数ある
場合と、
- 数cm以上ある棒状の糞がまとまっている
場合では、候補となる動物が異なります。
ただし5cm未満、15cm超なら絶対にハクビシンではない、という境界ではありません。
果物の種が混じることがある
ハクビシンは雑食性ですが、特に果実を好みます。
そのため、糞の中に、
- 柿
- ビワ
- ブドウ
- その他の果実
などに由来する種子が混じることがあります。
町田市も、果物の種が混じることをハクビシンの可能性を高める材料として紹介しています。
屋根裏で棒状の糞が一か所に大量にあり、その中へ種子が多く混じっていれば、ハクビシンを疑う材料は増えます。
種が入っていなければハクビシンではない?
そうとは限りません。
ハクビシンは果実だけを食べている動物ではありません。
小動物、昆虫、農作物、生ごみなどさまざまな物を食べます。
そのため、食事内容によっては果物の種がほとんど入らない糞も考えられます。
「種がある=ハクビシン候補として有力になる」「種がない=ハクビシンを除外できる、ではない」
と考えます。
糞の臭いでハクビシンを見分けられる?
町田市の資料では、ハクビシンが甘い果物を好むため、糞から果物のような香りを感じる場合があると説明されています。
ただし、糞へ顔を近づけて臭いを確認する方法は勧めません。
野生動物は寄生虫や細菌などを保有している可能性があります。
臭いは周囲で自然に感じる範囲の補助情報に留め、形・大きさ・内容物・排泄場所を優先して確認してください。
ハクビシンとネズミの糞の違い
| 特徴 | ハクビシン | ネズミ |
|---|---|---|
| 大きさ | 典型例では5〜15cm程度 | 町田市資料では約1cmの例 |
| 形 | 棒状 | 細長い米粒状 |
| 排泄 | 同じ場所にためることがある | 活動経路に多数見つかることがある |
| 内容物 | 果実の種が混じることがある | 同じ特徴は判断材料にしにくい |
| 物音 | 中型動物らしい大きな足音の場合がある | カサカサ・カリカリなど比較的軽い音の場合がある |
特に、1cm程度の小さな米粒状の糞と、5cm以上ある棒状の糞では大きさがかなり違います。
ハクビシンとアライグマの糞の違い
アライグマとハクビシンは、どちらも住宅へ侵入する中型動物なので混同しやすい存在です。
農林水産省の中型獣類マニュアルでは、
- ハクビシン:典型的には棒状で、ねぐらなどにため糞をする
- アライグマ:食べ物によって泥状〜固形状まで変化し、同資料ではため糞をしない
と整理されています。
ただし糞の形は食事で大きく変化するため、糞だけでの確定は避けます。
アライグマを疑う場合は、
- 尾の縞模様
- 目の周囲の黒いマスク状模様
- 爪跡の残りやすい5本指の足跡
など別の痕跡も確認します。
ハクビシンとネコの糞は見分けられる?
糞だけでは難しい場合があります。
町田市も、庭にある糞がネコなのか野生動物なのかを判断するとき、果物の種が混じるなどハクビシンらしい特徴がない場合には判別が難しくなると説明しています。
そのため、
- 一か所へ継続的に大量にたまる
- 屋根裏にも同様の糞がある
- 夜に屋根・電線でハクビシンらしい動物を見る
- 果実被害がある
- 顔中央に白い線のある動物を確認した
などを合わせて判断します。
タヌキも「ため糞」をするので注意
「ため糞をする動物=ハクビシン」でもありません。
農林水産省は、タヌキも屋外の畑・竹林・庭などで比較的大きなため糞をすると説明しています。
そのため庭に大量の糞があるだけなら、タヌキも候補になります。
一方、住宅の屋根裏に大量の棒状糞があり、夜間に天井裏の大きな足音がするなど、住宅侵入の痕跡が重なる場合はハクビシンを疑いやすくなります。
屋根裏のため糞で起こる問題
ハクビシンが屋根裏を継続的にねぐらとして利用すると、同じ場所への糞尿が蓄積することがあります。
板橋区は、家屋内へ侵入したハクビシンによって、
- 糞尿による悪臭
- カビ
- 建物の汚損
- 破損
などの被害が生じると案内しています。
ため糞が長期間続けば、単に糞を一度取り除くだけではなく、周囲の汚染状態も確認する必要があります。
天井にシミがある場合
糞だけではなく尿も同じ場所へ蓄積すると、天井材へシミが出る場合があります。
東京都も、アライグマ・ハクビシンの侵入サインとして、
- 屋根裏の大きな音
- 天井シミ
- まとまった糞
などを挙げています。
糞と天井シミが同じ場所で確認されるなら、屋根裏を継続利用している可能性を考えます。
庭で見つけた場合に確認するもの
庭の糞の場合は、住宅内部より候補となる動物が多くなります。
糞だけでなく、
- 果実が食べられていないか
- 5本指の足跡がないか
- 夜間に動物を見ていないか
- 屋根へ続く木や雨どいを利用していないか
を確認します。
ハクビシンは木登りが得意で、電線を移動することもあります。
糞を見つけたときに記録する5項目
清掃前に、安全な位置から次を記録しておくと種類を判断しやすくなります。
- 糞全体の写真
- 定規などを置いた大きさの写真
- 見つけた場所
- 一か所に何個・どの程度堆積しているか
- 種や毛など内容物が目視できるか
さらに、翌日以降も同じ場所へ新しい糞が増えるかを確認すると、現在も利用されているか判断する材料になります。
糞を割って中身を確認する必要はない
果実の種などを確認するために、糞を手で崩したり割ったりする必要はありません。
表面から見える内容物と写真で十分です。
ハクビシンは野生動物で、寄生虫や細菌を保有している可能性があります。
素手では触らないでください。
少量の糞を掃除するとき
庭やベランダなど安全に手が届く場所へ少量だけある場合は、
- 使い捨て手袋
- マスク
- 回収用の袋
- 使い捨てペーパー等
を用意します。
乾燥した糞を勢いよく掃いて粉じんを立てるのではなく、必要に応じて軽く湿らせ、静かに回収します。
回収後は周囲を清掃し、使用した手袋等を処分して手を洗います。
大量のため糞は無理に自分で清掃しない
屋根裏へ長期間ため糞されている場合、表面に見える以上の範囲が汚染されていることがあります。
例えば、
- 大量の糞が何層にも堆積している
- 尿が断熱材へ染み込んでいる
- 天井材へシミが出ている
- 強い異臭がある
- 虫が発生している
- 屋根裏奥へ入らないと清掃できない
場合です。
この状態では、糞の除去だけではなく、汚染した断熱材等の処理が必要になる場合もあります。
無理に屋根裏へ入り込まず、専門業者への相談を検討してください。
糞を掃除するだけでは再発することがある
現在もハクビシンが住宅へ出入りしている状態なら、糞を取り除いても同じ場所へ再び排泄される可能性があります。
必要なのは、
- 現在もハクビシンが利用しているか確認する
- 必要な防除・捕獲制度を確認する
- 建物内部に残っていないことを確認する
- 侵入口を塞ぐ
- 糞尿・汚染材を清掃する
- 再侵入がないか確認する
という流れです。
先に侵入口を全部塞がない
屋根裏に現在ハクビシンが残っている可能性がある場合、先に全ての侵入口を完全封鎖する方法は避けます。
内部に成獣・幼獣が残る可能性があります。
まず利用状況を確認し、不在を確認してから侵入口対策へ進みます。
住宅のどこから入っているか確認する場合は住宅の場所から探すページも利用できます。
ハクビシンは自由に捕獲できるわけではない
糞が見つかったからといって、自宅へ箱わなを置いて自由に捕獲できるとは限りません。
鳥獣保護管理法では、野生鳥獣の捕獲は狩猟などの例外を除いて原則として禁止されています。
住宅被害への対応では、自治体の捕獲事業や捕獲許可制度を確認します。
東京都内でも、自治体によってアライグマ・ハクビシンの箱わな設置や委託業者による捕獲制度を設けています。
自治体へ相談するときは糞の写真を残しておく
町田市などでは、アライグマ・ハクビシンによる住宅・糞被害について自治体事業を行っています。
一方、現地調査までに糞を清掃すると、痕跡がなくなってしまう場合があります。
清掃が必要なら、先に、
- 糞の写真
- 大きさ
- 堆積場所
- 天井シミ
- 足跡
などを記録しておくと相談しやすくなります。
専門業者へ相談した方がよい状態
- 屋根裏に大量のため糞がある
- 清掃しても毎日同じ場所へ増える
- 天井シミが広がっている
- 断熱材へ糞尿が染み込んでいる
- 夜間に大きな足音が続いている
- 高所に侵入口がある
- ハクビシンかアライグマか判断できない
- 幼獣がいる可能性がある
- 自治体制度だけでは清掃・封鎖まで対応できない
費用については害獣・害虫駆除の費用・相場、業者へ依頼する場合は駆除業者の選び方も確認してください。
よくある質問
ハクビシンの糞はどのくらいの大きさですか?
町田市の住宅被害資料では、種が混じった棒状で長さ5〜15cm程度の例が紹介されています。ただし個体や食べ物によって変わるため、この範囲だけで判断しません。
ハクビシンは同じ場所に糞をしますか?
はい。ハクビシンには、ねぐらなど同じ場所へ繰り返し排泄する「ため糞」の習性があります。
果物の種が入っていればハクビシンですか?
有力な判断材料ですが確定はできません。ハクビシンは果実を好むため種子が混じることがありますが、ほかの雑食性動物でも植物質が糞へ混じる可能性があります。
種が入っていないならハクビシンではありませんか?
いいえ。食べた物によって糞の内容は変わります。種がなくても、ため糞、棒状の形、排泄場所、夜間の足音などが一致すれば候補に残ります。
ネズミの糞とはどう違いますか?
町田市の資料では、ハクビシンは5〜15cm程度の棒状、ネズミは約1cmの細長い米粒状の例が示されています。大きさに大きな差があります。
アライグマもため糞をしますか?
農林水産省の中型獣類マニュアルでは、ハクビシンはため糞をし、アライグマはため糞をしないと整理されています。ただし、実際の種判別は糞以外の痕跡も含めて行ってください。
ネコの糞との違いは?
糞だけでは区別が難しい場合があります。町田市も、果物の種などハクビシンらしい特徴がない場合には、ネコか野生動物か判別しにくいとしています。
甘い臭いがすればハクビシンですか?
果実を多く食べた糞で果物のような臭いを感じる場合がありますが、臭いだけで判断しません。また、確認するために糞へ顔を近づけて嗅ぐことは避けてください。
糞を見つけたら自分で箱わなを置いてよいですか?
住宅被害があっても自由に捕獲できるわけではありません。自治体の捕獲事業や鳥獣保護管理法上の許可制度を確認してください。
ハクビシンの糞は「ため糞+形+種子+ほかの痕跡」で見分ける
ハクビシンの糞を確認するときに重要なのは、一つの特徴だけで判断しないことです。
特に確認したいのは、
- 同じ場所へ繰り返し堆積するため糞か
- 棒状か
- 5〜15cm程度の大きさか
- 果実の種が混じっているか
- 屋根裏・雨どい・ベランダ等の同じ場所にあるか
- 夜間の大きな足音があるか
- 天井シミ・果実被害・5本指の足跡などがあるか
です。
糞は食べ物や時期で変わるため、種がない、形が少し違うという理由だけではハクビシンを除外できません。
逆に、ため糞や種子があるだけで確定することも避けます。
まだ原因動物を絞れていない場合は症状・痕跡から探すページや住宅に侵入する害獣の総合ページからほかの動物と比較してください。
