庭やベランダ、屋根裏などに5本指のような足跡が残っていると、ハクビシンが来ているのではないかと気になることがあります。
ハクビシンの足は、前足・後ろ足ともに5本指です。農林水産省の中型獣類マニュアルでは、指は丸みがあり、肉球が厚いことが特徴として示されています。
ただし、5本指の足跡を残す動物はハクビシンだけではありません。アライグマ、アナグマ、テンなども5本指です。また、地面の硬さや泥の状態によっては5本すべてがきれいに残らないこともあります。
そのため、「5本指だからハクビシン」と一つの特徴だけで決めず、大きさ・指の形・肉球・発見場所・糞・夜間の物音などを組み合わせて確認します。
| 動物 | 足跡の指 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| ハクビシン | 5本 | 指が独立して丸みがある。足底部も丸みがあり、代表的な足跡は長さ約5cm・幅約4cm |
| アライグマ | 5本 | 指が長く、人の手のように見えやすい。ハクビシンより横幅が広い足跡になることがある |
| タヌキ | 通常4本が残る | イヌに似た足跡。ハクビシンより小さく、爪跡が見えることがある |
| テンなど | 5本 | ハクビシンより小型の足跡になることが多い。5本指だけでは判別できない |
| ネコ | 通常4本 | 丸みがあり、通常は爪跡が残りにくい |
ハクビシンの足跡で確認したい特徴
前足も後ろ足も5本指
ハクビシンを見分けるうえで最初に確認したいのが指の数です。
農林水産省の令和6年3月版「野生鳥獣被害防止マニュアル 中型獣類編」では、ハクビシンについて前肢・後肢とも丸形の5本指とされています。
泥やほこりに状態のよい足跡が残れば、中央の肉球の前に5個の指跡が確認できます。
ただし、地面が硬い場合や足を斜めに着いた場合には、一部の指しか残らないことがあります。「4本しか見えないからハクビシンではない」とも断定できません。
指は細長いというより丸みがある
同じ5本指でも、ハクビシンとアライグマでは印象が異なります。
農林水産省の足跡判別フローチャートでは、アライグマは指が長い方向へ、ハクビシンは指が独立して丸い方向へ分類されています。
人の手を広げたような細長い指がはっきり並んでいればアライグマを疑う材料になり、丸みのある5本指であればハクビシンを考える材料になります。
中央の肉球も丸みがある
指だけでなく、中央に残る大きな肉球部分も確認します。
農林水産省の判別資料では、5本指で指が丸い動物の中でも、中心の足底球が円形に近いものをハクビシンとして分類しています。
実際の足跡では泥の崩れや重なりで輪郭が不鮮明なこともあるため、1個だけでなく複数の足跡を探した方が判断しやすくなります。
ハクビシンの足跡の大きさは何cm?
東京都ペストコントロール協会では、ハクビシンの代表的な足跡について、長さ約5cm、幅約4cmとしています。
ただし、これは足跡を見分けるための目安であり、毎回きれいな5×4cmの跡が残るわけではありません。
後足では、着地の仕方によって前足より縦長に見えることがあります。農林水産省の資料に掲載された実際の前後足の写真でも、後足側が前足より長く残っている例が確認できます。
足跡を測る場合は、足跡そのものへ触れる必要はありません。定規やメジャーを横へ置き、真上から写真を撮影しておくと比較できます。
爪跡があればハクビシンではない?
爪跡の有無だけで判断するのは避けます。
農林水産省の最新マニュアルでは、ハクビシンは小さな爪を持つとされています。東京都ペストコントロール協会も、ハクビシンの足跡では爪跡が付くことがあるとしています。
一方、泥の深さや歩き方によっては爪がきれいに残らないこともあります。
そのため、
- 爪跡がないからハクビシン
- 爪跡があるからハクビシンではない
という判定はしません。
指の数・形・肉球・大きさを優先し、爪跡は補助的な情報として使います。
ハクビシンとアライグマの足跡の違い
住宅周辺で最も混同しやすいのがアライグマです。
どちらも前後の足に5本の指があるため、「5本指」という条件だけでは区別できません。
| 比較 | ハクビシン | アライグマ |
|---|---|---|
| 指の数 | 5本 | 5本 |
| 指の形 | 比較的短く丸みがある | 長く、手の指のように見える |
| 代表的なサイズ | 長さ約5cm・幅約4cm | 前足約5.5×6cm、後足約6.5〜8×5〜6.5cm |
| 外見 | 鼻から額に白い筋、細く長い尾 | 目の周りの黒いマスク、縞模様の尾 |
アライグマの足跡は、5本の指がはっきり長く伸び、人の手形に近く見えるのが特徴です。
一方、ハクビシンは指がより丸く、全体としてコンパクトな足跡になります。
足跡が不鮮明な場合は、夜間に見えた動物の顔や尾も重要な判定材料です。
ハクビシンは鼻から額に白い線があり、尾は細く長いのに対し、アライグマは目の周囲が黒く、尾に複数の縞があります。
ハクビシンとタヌキの足跡の違い
タヌキとの比較では、指の数が大きな手掛かりになります。
タヌキは足自体には5本目の指がありますが、通常の足跡では4本の指跡が残ります。
東京都ペストコントロール協会では、タヌキの足跡を長さ約3.5cm・幅約3cmとしています。
そのため、きれいな足跡であれば、
- 丸みのある5本指、約5cm前後 → ハクビシン候補
- 4本指でイヌに近い形、約3〜4cm → タヌキ候補
という絞り込みができます。
ただし、ハクビシンの5本目の指が地面にきれいに付かなかった場合は4本に見えることがあります。指の数だけで即断しないことが大切です。
ネコや犬の足跡との違い
住宅街では野生動物だけでなく、ネコや犬の足跡も多く残ります。
ネコの足跡は通常4本指です。また、普段は爪を引っ込めて歩くため、鮮明な足跡でも爪跡が残らないことが多くあります。
犬も通常は4本指が目立ち、爪跡が残ることがあります。
公道・庭・駐車場のようにペットが通れる場所では、足跡だけを見て野生動物だと決めないようにします。
イタチ・テンなどの5本指の動物にも注意
5本指だからハクビシンかアライグマ、というわけでもありません。
テンなどのイタチ科動物も5本の指を持ちます。
農林水産省の中型獣類の足跡判別フローでは、テンについて、5本指の痕跡から足底球の形や大きさなどを使って区別しています。
特に小さな5本指の足跡では、写真1枚だけからハクビシンと断定するのは難しくなります。
住宅内で正体を確認するときは、害獣の種類から探すや症状・痕跡から探すもあわせて確認してください。
足跡はどこに残りやすい?
雨上がりの庭や土
土が少し湿っていると、指と肉球が比較的鮮明に残ります。
庭の果樹の下や建物周囲で足跡を見つけた場合は、食害された果実や糞がないかも確認します。
ベランダ・屋根・雨どい周辺
ハクビシンは木登り能力が高く、農林水産省は雨どいのような滑りやすい柱も登れると説明しています。
実際にはコンクリートや金属面へ明瞭な「足形」が残るとは限りませんが、泥の付いた足で移動した場合などは、表面へ足跡や汚れが残ることがあります。
ただし、足跡を確認するために屋根や高所へ登ることは避けてください。
屋根裏・天井裏
ほこりがたまった床面や断熱材の上では、足跡や通った痕跡が残ることがあります。
農林水産省の現行マニュアルにも、天井裏に残ったハクビシンの足跡の実例が掲載されています。
一方、足跡を確認するためだけに天井裏の奥まで入り込む必要はありません。
狭い天井裏では転落、踏み抜き、電気配線、糞尿汚染など別の危険があります。
足跡を見つけたら、消す前に写真を残す
足跡が比較的きれいに残っている場合は、掃除する前に写真を残しておきます。
確認に使いやすい写真は次のようなものです。
- 足跡全体を真上から撮った写真
- 定規やメジャーを横へ置いた写真
- 同じ方向へ続く複数の足跡
- 足跡が見つかった場所全体の写真
- 周囲に糞や食害があれば、その位置関係が分かる写真
靴や手を横へ置いてサイズを比較するより、定規を使った方が後から寸法を確認しやすくなります。
足跡1個だけではハクビシンと断定しない
野生動物の足跡は、図鑑のイラストのように毎回きれいな形では残りません。
泥の硬さ、水分量、歩く速さ、足を着く角度によって、指の一部が消えたり、足底部が大きく崩れたりします。
農林水産省の資料でも、足跡などのフィールドサインだけで判断する際は、条件によって形が異なることを踏まえて見る必要があります。
そのため、足跡と次のような別のサインを組み合わせます。
- 夜に屋根や天井裏から大きめの足音がする
- 同じ場所にまとまった糞が増える
- 天井に尿によるシミがある
- 獣臭・糞尿臭がする
- 庭の果実が食べられる
- 夜間に細長い動物を見た
- 鼻から額に白い筋がある
- 細く長い尾がある
- 屋根・軒・床下などに侵入口らしい隙間がある
家全体のどこを確認すればよいかは、住宅の場所から探すでも整理しています。
足跡が庭にあるだけなら、家に住みついているとは限らない
庭にハクビシンらしい足跡があったとしても、それだけで屋根裏や床下に住みついているとは限りません。
夜間の移動経路として庭を通過しただけの可能性もあります。
住宅への侵入を疑うのは、
- 建物方向へ足跡が続いている
- 夜間に天井裏から足音がする
- 屋根や軒へ動物が出入りする
- 屋根裏に糞尿がある
- 天井にシミが出ている
- 同じ場所で目撃が繰り返される
といった住宅内部のサインも重なる場合です。
足跡の近くに糞があれば、別の判定材料になる
足跡の近くに糞がある場合は、種類を絞る情報が一つ増えます。
ハクビシンは果実を好み、糞に種子が含まれることがあります。また、ねぐらなどで同じ場所へ繰り返し排泄することがあります。
ただし、糞の形や内容は食べ物によって変化します。
種類を調べるために糞を手で触る、割る、直接臭いを嗅ぐといった確認は避けてください。
夜間に動物を見たら顔と尾も記録する
足跡だけでハクビシンとアライグマの区別が難しい場合、実際の姿は重要な情報になります。
ハクビシンでは、
- 鼻から額に白い線
- 細長い体
- 体と同程度に長い尾
が特徴です。
アライグマでは、
- 目の周りの黒いマスク模様
- 比較的ずんぐりした体
- 黒と茶色の縞がある尾
が大きな違いになります。
撮影する場合は近づかず、室内や十分に離れた位置から倍率を使います。
ハクビシンらしい足跡を見つけても自分で捕まえない
ハクビシンは野生鳥獣です。
鳥獣保護管理法では、野生鳥獣の捕獲や殺傷は、狩猟や許可を受けた場合などを除いて原則として禁止されています。
そのため、ハクビシンらしい足跡があったという理由だけで、市販の箱わなを設置して自己判断で捕まえる方法は勧められません。
自治体によってはハクビシン対策として捕獲事業や箱わなの貸し出し等を行っている場合もあるため、所在地の自治体制度を確認してください。
足跡を見つけた直後に侵入口を全部塞がない
建物の近くに足跡があり、軒や床下などに穴を見つけても、すぐにすべて塞ぐのは避けます。
内部にハクビシンなどの動物が残っている状態で出口を完全に塞ぐと、建物内へ閉じ込める可能性があります。
基本的には、
- 現在も利用しているか確認する
- 動物の種類を絞る
- 必要な追い出し・適法な対応を行う
- 内部に個体が残っていないことを確認する
- 侵入口を封鎖する
という順序で考えます。
専門調査を検討した方がよい状態
- 同じ足跡が繰り返し現れる
- 足跡が建物への侵入口まで続いている
- 夜間に天井裏から大きな足音がする
- 屋根裏や床下に糞尿がある
- 天井にシミや強い臭いが出ている
- 屋根や高所に侵入口らしい場所がある
- アライグマなど別の動物と区別できない
- 家の内部へすでに定着している可能性がある
このような場合は、足跡の判定だけでなく、侵入口・糞尿汚染・現在の在不在まで含めて調査する必要があります。
調査や駆除を依頼する場合の費用は害獣・害虫対策の費用、依頼先を比較するときは業者選びのページも参考にしてください。
ハクビシンの足跡は5本指と丸みを手掛かりにする
ハクビシンの足跡を見分けるときは、最初に5本の指があるかを確認します。
さらに、
- 指が細長すぎず、独立して丸い
- 中央の肉球にも丸みがある
- 代表的な足跡が長さ約5cm・幅約4cm
といった特徴を照合します。
ただし、アライグマやテンなどにも5本指の動物がおり、地面の状態によって足跡の形も変わります。
足跡だけで種類や家屋への侵入を確定せず、糞、夜間の足音、果実被害、顔や尾、侵入口など複数の情報を組み合わせることが重要です。
足跡は触らず、寸法が分かる写真を残します。屋根や天井裏へ無理に入ったり、種類が確定していない状態で捕獲したりせず、被害が継続している場合は安全な現地調査へ進みます。
