屋根の上に鳩が何度も来る、朝から鳴き声がする、ベランダや玄関前へ糞が落ちてくる場合は、屋根・軒・庇・太陽光パネル周辺を鳩が止まり場やねぐらとして利用している可能性があります。
そのまま巣作りまで進むと、単に追い払うだけでは対策しにくくなります。
ただし、屋根の鳩対策には2つ大きな注意点があります。
- 屋根上の作業には転落の危険がある
- 巣に卵・ヒナがいる場合は鳥獣保護管理法上、勝手に撤去できない
そのため、屋根へ自分で上って鳩を追い回すのではなく、まず地上から「鳩がどこを使っているか」「巣があるか」「卵・ヒナがいるか」を切り分けます。
鳥の種類自体がまだ分からない場合は症状・痕跡から原因を確認する、屋根・軒・換気口など住宅の場所ごとに確認したい場合は家の場所別の害獣・害虫トラブルも参考にしてください。
屋根の鳩対策は被害段階で変わる
| 状態 | 考えたい対策 |
|---|---|
| たまに屋根へ止まる | 止まりやすい場所を確認し、早期の寄せ付け防止を検討 |
| 毎日同じ場所へ止まる・糞が増える | ワイヤー・剣山等による止まり場対策を検討 |
| 軒・庇・隙間へ長時間滞在する | 防鳥ネット等による物理的な侵入防止を検討 |
| 巣材がある・営巣している | 卵・ヒナの有無を確認して法令判断 |
| 太陽光パネル下へ出入りする | パネル周囲の侵入防止を専門業者へ相談 |
被害が軽いうちほど選択肢が多く、巣が完成する前の方が対策しやすくなります。
まず屋根へ上らず鳩の動きを確認する
屋根被害を確認するために、自分で屋根へ登る必要はありません。
地上や室内から、次のような情報を記録します。
- 鳩が止まる屋根の位置
- 飛来する時間帯
- 何羽程度いるか
- 同じ場所へ毎日戻っているか
- 鳴き声が聞こえる場所
- 糞が落ちてくる位置
- 枝・草などの巣材が見えるか
- 太陽光パネル下へ出入りしているか
スマートフォンのズームや双眼鏡を安全な場所から使う方が、屋根へ上るより安全です。
屋根へ鳩が来るだけならすぐ「巣」とは限らない
屋根へ数羽が止まっているだけなら、休憩場所や周囲を見渡す場所として利用している場合があります。
一方、
- 毎日長時間同じ場所にいる
- 朝夕に繰り返し出入りする
- 屋根から鳴き声が続く
- 枝や草が見える
- 糞が急激に増えている
場合は、ねぐら化・営巣を疑います。
鳩は春だけ巣を作るわけではない
「冬だから卵はいない」「春だけ巣作りする」と季節だけで判断しないでください。
横浜市は、ドバトについて繁殖期は1年中で、年に数回産卵すると案内しています。
屋根に巣がある場合は、季節にかかわらず卵・ヒナの有無を確認する必要があります。
卵・ヒナがいない巣なら法令上は撤去できる
鳥の巣そのものだけで、卵・ヒナがいない場合は、鳥獣保護管理法上の捕獲許可を必要とせず撤去できます。
横浜市も2026年9月の案内で、卵やヒナがいない巣の撤去には許可が不要としています。
ただし、「法令上撤去できる」と「自分で屋根へ登って撤去して安全」は別問題です。
屋根・2階軒下・太陽光パネル周辺など、高所にある空の巣も専門業者へ依頼する方が安全です。
卵・ヒナがいる巣は勝手に撤去しない
野生鳥獣の捕獲・殺傷や鳥類の卵の採取は、鳥獣保護管理法によって原則禁止されています。
ドバトも対象です。
そのため、巣に、
- 卵がある
- ヒナがいる
- 親鳥が抱卵している
状態で、巣ごと勝手に撤去したり卵を捨てたりしないでください。
生活環境被害などにより巣立ちまで待てない事情がある場合は、自治体の鳥獣担当窓口へ捕獲等許可について相談するか、許可手続に対応できる専門業者へ相談します。
「親鳩が留守なら卵を捨ててよい」ではない
親鳥が一時的に巣を離れている状態でも、卵の採取が自由になるわけではありません。
巣の状態を確認するときは、「親がいるか」だけではなく、卵・ヒナそのものの有無を基準にします。
鳩の巣立ちまで待つ場合
大阪市は、ドバトについて卵が16〜18日ほどで孵化し、ヒナは約30日で巣立つと案内しています。
横浜市も孵化から巣立ちまで約30〜40日としています。
実際の時期は状況によって変わるため、固定日数で撤去日を決めず、親鳥・ヒナがいなくなったことを確認してから巣材を撤去します。
巣立ち後は巣材を残さない
卵・ヒナがいなくなった後は、巣材を残したままにせず、再び利用されない状態にします。
ただし屋根上であれば、自分で撤去・清掃へ行くのではなく、高所作業として専門業者へ依頼することを優先してください。
巣だけ撤去して対策を終えると、同じ場所や近くへ再び巣を作られる場合があります。
屋根の鳩対策は「止まらせない」と「入らせない」を分ける
防鳥用品はすべて同じ目的ではありません。
| 対策 | 主な役割 |
|---|---|
| ワイヤー・テグス | 屋根端部・手すり等へ止まりにくくする |
| 剣山・防鳥スパイク | 狭い水平面・梁・庇等への着地を防ぐ |
| 防鳥ネット | 鳩が入り込む空間そのものを物理的に遮断する |
| 忌避剤 | 一時的に近づきにくくする補助 |
屋根の形状と鳩の利用場所に合わせて選ぶ必要があります。
屋根の端や棟に止まる鳩にはワイヤー・剣山
横浜市は、鳩が止まりやすい場所へテグスを張ったり、とげ状の器具を設置したりする方法を案内しています。
さいたま市も、ハトの停留対策として防鳥ネット、防鳥用剣山、釣り糸等を挙げています。
つまり、鳩が「上に止まっている」だけなら、止まり場を物理的に使いにくくする方法が候補になります。
ただし、屋根へ剣山やワイヤーをDIYで取り付けることは勧めません。
転落に加えて、屋根材へ不適切な穴を開ける、防水層を傷めるなどの別の住宅トラブルにつながる可能性があります。
軒下や庇の空間へ入り込むなら防鳥ネット
鳩が屋根の上へ止まるだけではなく、軒・庇の奥へ入り込んでいる場合は、止まり場対策だけでなく「空間へ入れない」対策が必要になります。
横浜市や大和市では、鳩対策として防鳥ネットが案内されています。
防鳥ネットは、開口部を隙間なく覆い、鳩が物理的に入り込めない状態を作る方法です。
ネットの端に大きな隙間が残っていれば、その場所から侵入される可能性があります。
防鳥ネットは「広く張ればよい」ではない
ネットを設置するときは、
- 鳩が入れる隙間を残さない
- 風で外れないようにする
- 排水を妨げない
- 換気口等の住宅機能を損なわない
- 点検・修理のためのアクセスを考える
必要があります。
屋根上ではこれらを安全に確認しながら施工する必要があるため、専門工事向きです。
剣山を置けば屋根全体の鳩対策になる?
必ずしもなりません。
剣山は鳩が止まる面を使いにくくする方法なので、設置していない別の場所へ止まり場が移ることがあります。
また、太陽光パネルの下や軒奥にすでに入り込んでいる場合は、剣山だけでは「中に入ること」を防げません。
鳩が、
- どこへ着地しているのか
- どこへ入り込んでいるのか
を分けて対策します。
忌避剤だけで屋根対策を完了させない
大和市は、鳩対策では剣山型器具や防鳥ネットなどの物理的対策を勧め、忌避剤は効果が一時的な場合があるとしています。
屋根へ繰り返し鳩が来る状態では、忌避剤を置き続けるだけではなく、物理的に止まりにくい・入りにくい構造へ変えることを検討します。
太陽光パネル下へ鳩が入っている場合
太陽光パネルと屋根の間は空間があるため、鳩が入り込んで巣を作るケースがあります。
この場合は、単純に屋根へ剣山を置くより、パネルと屋根の隙間へ鳩が入れないよう周囲を物理的に遮断する方法が中心になります。
専用の金網・フェンス・防鳥ネットをパネル周囲へ設置する施工があります。
太陽光パネル周りを自分で施工しない
太陽光パネル対策は特にDIYを避けた方がよい場所です。
理由は、
- 傾斜した屋根からの転落
- パネル表面の破損
- 架台や屋根材の損傷
- 配線への接触
- 防水部分への穴開け
- メーカー・施工保証への影響
などがあるためです。
防鳥材を設置する場合も、太陽光パネル・屋根へ不要な穴を開けず、設備点検や排水を妨げない施工が必要です。
太陽光パネル下の鳩対策は、別記事でさらに詳しく扱います。
太陽光パネル下に巣がある場合も先に卵・ヒナを確認する
「パネル下にネットを付けたい」という場合でも、すでに内部へ巣があり、卵・ヒナがいる状態で入口を完全に塞いではいけません。
巣の状態を確認し、鳥獣保護管理法上必要な対応を行った後で侵入防止施工へ進みます。
鳩がパネル下にいるまま周囲を塞がない
内部に鳩が残ったままパネル周囲を完全封鎖すると、鳩を閉じ込める可能性があります。
巣・卵・ヒナ・現在の出入りを確認したうえで施工してください。
高所で確認できない場合は、最初から業者へ調査を依頼します。
屋根から大量の糞が落ちてくる場合
地面・ベランダ・車などへ毎日糞が落ちる場合、その真上に鳩の停留場所がある可能性があります。
糞の場所と屋根上の鳩の位置を照合すると、対策位置を絞りやすくなります。
ただし、白色部分を含む鳥糞だけで「鳩」と断定するのではなく、実際の鳩の飛来・鳴き声・羽・巣材なども確認してください。
屋根上の乾燥した糞を自分で掃きに行かない
屋根上に大量の糞が堆積していても、自分で屋根へ上って清掃しないでください。
転落の危険があり、乾燥した糞や羽毛を掃き立てれば粉じんも発生します。
屋根・庇・太陽光パネル周辺の大量糞は、清掃と防鳥施工をまとめて業者へ依頼する方が安全です。
雨樋周辺にも糞や巣材がないか確認する
屋根で営巣している場合、糞や巣材が屋根面から雨樋周辺へ落ちることがあります。
地上から確認できる範囲で、雨水の流れに異常がないか見ます。
詰まりが疑われても、屋根・雨樋へ自分で上らず、必要なら屋根業者・鳥害対策業者へ相談してください。
鳩へ餌を与えない
横浜市は、人が鳩へ餌を与えることが個体数の増加や特定場所への集中につながる可能性があると案内しています。
自宅で餌を与えていなくても、
- ペットフード
- 屋外へ放置した食べ物
- 生ごみ
など、鳩が利用できるものがないか確認します。
屋根の鳩を石・棒・強い水流で追い払わない
屋根上の鳩へ物を投げる、棒で巣を突く、高圧の水を当てるといった方法は避けてください。
巣に卵・ヒナがいる可能性があるほか、屋根・太陽光パネル・近隣住宅を傷めるおそれがあります。
鳩そのものを捕獲・殺傷する方法も、許可なく行わないでください。
毒餌を使う鳩対策はしない
鳩は野生鳥獣であり、自己判断で殺傷することはできません。
毒餌や危険な薬品を使うのではなく、止まり場・侵入空間を物理的に使えなくする予防対策を中心に考えます。
屋根上のDIYを避けるべき理由
屋根の鳩対策は、一見するとネットや剣山を付けるだけに見えます。
しかし実際には、
- 傾斜面で作業する
- 屋根材を傷つけず固定する
- 台風・強風でも脱落しないようにする
- 防水を損なわない
- 卵・ヒナの有無を確認する
- 複数の飛来場所を見極める
必要があります。
脚立で届くように見えても、身を乗り出して作業する場所はDIY対象から外してください。
1階の庇なら自分で剣山を付けてもよい?
地上から安定した状態で安全に作業できる特殊なケースを除き、庇でも高所作業になります。
脚立へ乗る、窓から身を乗り出す、屋根材の上へ移動する必要があるなら、自分で施工しない方が安全です。
屋根の鳩対策で業者へ依頼したいケース
- 屋根・2階軒下へ鳩がいる
- 太陽光パネル下へ出入りしている
- 卵・ヒナがある可能性がある
- 屋根上に大量の糞・巣材がある
- ネットを屋根全体へ施工する必要がある
- 複数箇所へ鳩が止まっている
- 一度対策したのに別の場所へ移動した
- 屋根材や雨樋の補修も必要
- 高所作業用の足場が必要
依頼費用については害獣・害虫駆除の費用と見積もり、施工会社を比較する場合は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。
業者へ見積もりを頼むときに伝えること
- 鳩が止まる位置
- 太陽光パネルの有無
- 糞が落ちる場所
- 巣材が見えるか
- 卵・ヒナを確認できるか
- 何羽程度来るか
- 毎日来るか
- 過去に行った対策
- 屋根の写真
地上から撮れる写真でも現地調査前の参考になります。
鳩対策業者の見積もりで確認する項目
| 確認項目 | 見る内容 |
|---|---|
| 調査範囲 | 屋根全体、軒、庇、太陽光パネルまで確認するか |
| 巣対応 | 卵・ヒナがある場合の許可対応 |
| 清掃 | 糞・巣材の撤去を含むか |
| 防鳥施工 | ネット、剣山、ワイヤー等の設置範囲 |
| 足場 | 必要な場合の料金 |
| 太陽光設備 | パネル・配線・架台を傷めない施工か |
| 再発対応 | 再点検・保証の有無 |
対策後も別の場所へ移ることがある
一つの止まり場だけ使えなくすると、同じ屋根の別の場所、隣の庇、太陽光パネル周辺などへ場所を変えることがあります。
そのため現地調査では、現在鳩がいる一点だけでなく、周囲の利用可能な場所も確認します。
対策後にまた来る場合の原因・メンテナンスは別記事で詳しく扱います。
よくある質問
屋根に鳩がいるだけでも対策した方がよいですか?
一時的な停留だけなら営巣とは限りません。ただし毎日同じ場所へ長時間来る、糞が増える、巣材が見える場合は、営巣前の早い段階で寄せ付け防止を検討するとよいでしょう。
屋根の鳩の巣は自分で撤去できますか?
卵・ヒナがいない空の巣なら、鳥獣保護管理法上は許可なく撤去できます。ただし屋根上は転落リスクがあるため、実際の撤去は専門業者を優先してください。
卵が1個だけなら巣を捨ててもよいですか?
いいえ。鳥類の卵の採取は原則禁止されています。生活被害上撤去が必要なら自治体の捕獲許可窓口等へ相談してください。
ヒナがいる巣はどうすればよいですか?
原則として巣立ちを待ちます。待てない生活環境被害がある場合は、自治体または許可対応できる専門業者へ相談してください。
鳩は春だけ巣を作りますか?
いいえ。横浜市はドバトの繁殖期を1年中とし、年に数回産卵すると案内しています。季節だけで卵・ヒナ不在と判断しないでください。
屋根には剣山と防鳥ネットのどちらがよいですか?
目的が違います。狭い止まり場を使いにくくするなら剣山・ワイヤー、軒奥や太陽光パネル下など空間への侵入を防ぐならネット等の物理遮断が候補になります。
剣山を屋根全部へ置けばよいですか?
必ずしも適切ではありません。鳩がどこへ止まり、どこへ入り込んでいるか確認し、場所に合わせて方法を選びます。
忌避剤だけでも鳩は来なくなりますか?
一時的に近づきにくくなる場合はありますが、大和市も忌避剤は効果が一時的な場合があるとしています。反復飛来・営巣では物理的な侵入防止を検討します。
太陽光パネルの下に鳩がいます。自分でネットを付けられますか?
勧めません。屋根上の転落リスクに加え、パネル・配線・屋根材・メーカー保証へ影響する可能性があります。太陽光設備に対応できる鳥害対策業者へ相談してください。
パネル下に鳩がいるままネットで塞いでもよいですか?
いいえ。内部に鳩・卵・ヒナがいないことを確認する必要があります。現在出入りしている状態で完全封鎖しないでください。
屋根の糞だけ掃除すれば鳩は来なくなりますか?
清掃だけで再飛来を止められるとは限りません。鳩が使っている止まり場・ねぐら・侵入空間を確認し、物理的な再侵入防止を組み合わせます。
自治体が屋根の鳩を駆除してくれますか?
自治体によって対応が異なります。横浜市や大和市のように、私有地の鳩駆除・巣撤去自体は行わず、所有者側で対策するよう案内している自治体もあります。
屋根の鳩対策は「巣の状態」と「鳩が使っている場所」を先に確認する
屋根に鳩が来る場合は、いきなり市販の剣山やネットを買うより、
- 地上から鳩の止まり場所を確認する
- 糞・鳴き声・巣材から滞在段階を確認する
- 巣があれば卵・ヒナの有無を確認する
- 止まり場か、侵入する空間かを切り分ける
- 状態に合った物理対策を選ぶ
という順番が重要です。
止まり場ならワイヤー・剣山等、軒・庇・太陽光パネル下などへ入り込んでいる場合は防鳥ネット等による物理遮断が候補になります。
ただし、卵・ヒナがいる巣は無許可で撤去できません。
また、空の巣であっても屋根上作業そのものには転落リスクがあります。
屋根・2階軒下・太陽光パネル周辺は、自分で登って対策する場所ではなく、地上から状況を記録して専門業者へ引き継ぐ範囲と考えるのが安全です。
