アライグマを捕獲するには許可が必要?特定外来生物・箱わな・運搬のルール

家の屋根裏や庭にアライグマが出ても、自分の敷地だからといって、市販の箱わなを自由に設置して捕獲できるわけではありません。

アライグマには、主に2つの法律が関係します。

  • 鳥獣保護管理法上の「狩猟鳥獣」
  • 外来生物法上の「特定外来生物」

そのため、「捕まえてよいか」だけではなく、何の制度に基づいて捕獲するのか、捕まえた後に生きたまま運べるのか、別の場所へ放してよいのかまで確認する必要があります。

住宅被害でアライグマを捕獲したい場合は、箱わなを購入する前に、所在地の自治体へ防除事業や捕獲許可について相談する方法が安全です。

アライグマ捕獲前に確認すること
  • 自宅でも無断で箱わなを稼働させない
  • 自治体にアライグマ防除事業があるか確認する
  • 鳥獣保護管理法の許可捕獲か、防除実施計画に基づく捕獲か確認する
  • 狩猟として行うなら免許・登録・期間・区域などを確認する
  • 特定外来生物なので生体の保管・運搬にも規制がある
  • 捕獲個体を自己判断で別の場所へ運んで放さない
  • 箱わなは毎日確認する必要がある制度が多い
  • 別の動物が入った場合は自治体・従事者の指示に従う
  • 捕獲後も侵入口封鎖と糞尿対策が必要
目次

アライグマは「狩猟鳥獣」であり「特定外来生物」

アライグマは、法律上の位置付けが少し複雑です。

環境省が定める狩猟鳥獣46種の中にアライグマが含まれているため、鳥獣保護管理法上は狩猟鳥獣です。

一方、アライグマは外来生物法に基づく特定外来生物にも指定されています。

法律・制度 アライグマの位置付け
鳥獣保護管理法 狩猟鳥獣
外来生物法 特定外来生物

このため、住宅での捕獲を考えるときは、「狩猟鳥獣だから捕獲できる」という一面だけでは判断できません。

自宅ならアライグマを自由に捕獲できる?

自宅の庭や屋根裏であっても、自由に箱わなを使ってよいとは限りません。

鳥獣保護管理法では、野生鳥獣の捕獲は原則として規制されており、

  • 狩猟制度に基づく捕獲
  • 被害防止等を目的とした許可捕獲
  • 外来生物法上の適法な防除事業

など、法令に基づいた形で行う必要があります。

「敷地内だから」「害獣だから」という理由だけで箱わなを稼働させるのは避けてください。

アライグマは狩猟免許があれば捕獲できる?

アライグマは狩猟鳥獣なので、狩猟制度に基づいて捕獲する方法はあります。

ただし、「わな猟免許を持っている=一年中どこでもアライグマを捕まえられる」という意味ではありません。

狩猟として行う場合は、

  • 使用する猟具に対応した狩猟免許
  • 都道府県での狩猟者登録
  • 狩猟期間
  • 狩猟可能な区域
  • 猟法に関する制限

などに従う必要があります。

東京都でも、アライグマは狩猟鳥獣に含まれますが、住宅街だから狩猟制度だけで簡単に箱わなを設置できるということではありません。

狩猟免許がなくても捕獲できる制度はある

一方で、「アライグマを捕獲するなら全国どこでも必ず狩猟免許が必要」とも限りません。

アライグマは特定外来生物であり、各地で外来生物法に基づく防除実施計画が作られています。

環境省は、防除の公示・確認・認定などの手続きを行った防除について、一定の条件を満たす従事者であれば、鳥獣保護管理法上の個別の捕獲許可を受けずに防除へ参加できる仕組みを案内しています。

自治体によっては講習や登録などを経て、防除従事者として箱わなを扱える場合があります。

また、地域によっては、囲われた自宅敷地内など一定条件で、狩猟免許を持たない住民に箱わな捕獲を認める制度もあります。

重要なのは、他地域の制度を自宅にもそのまま適用しないことです。

東京都では防除実施計画に基づいて対策している

東京都は2026年4月に「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画」を改定し、区市町と連携して捕獲等の対策を実施しています。

都の2026年4月時点の情報では、多くの区市町村がアライグマ・ハクビシン対策に参加しています。

東京都内で住宅被害が出ている場合は、個人で箱わなを購入する前に、まず所在地の区市町村へ相談する方法が現実的です。

自治体が箱わなを設置してくれる地域がある

自治体によっては、被害のある住宅へ無料で箱わなを設置する事業を実施しています。

東京都北区の例

北区では、天井裏への侵入、果実の食害、糞尿被害など具体的な被害があり、条件を満たす場合に、専門業者による現地調査と箱わなの設置を行っています。

利用者には、毎日の箱わな確認や、捕獲された場合の速やかな連絡などが求められます。

大田区の例

大田区でも、令和8年度の事業として、現地調査、箱わなの設置、捕獲した個体の回収を無料で実施しています。

ただし、侵入口を塞ぐ作業などは別途必要です。

つまり、自治体による捕獲サービスを利用しても、住宅そのものの再侵入防止工事まで自動的に完了するとは限りません。

「目撃しただけ」で箱わなを置いてくれるとは限らない

自治体によって対象条件も違います。

具体的な住宅侵入や糞尿、農作物・果実被害などを条件にする自治体もあれば、目撃・出没情報をもとに箱わな事業を利用できる地域もあります。

したがって、

  • アライグマを1回見ただけ
  • 庭を通過しただけ
  • 近所で見かけた

といった状況で必ず自治体が捕獲してくれるとは限りません。

相談時には、

  • いつ見たか
  • どこに侵入したか
  • 糞・足跡・食害があるか
  • 被害が継続しているか

を整理して伝えます。

市販の箱わなを買って先に設置してもよい?

先に制度を確認してください。

箱わながホームセンターやインターネットで販売されていても、野生動物を実際に捕獲するための法令上の条件がなくなるわけではありません。

東京都青梅市も、一般市民が無免許で箱わなを設置して捕獲することは禁止されていると案内しています。

また、自分で無断設置した箱わなで捕獲してから自治体へ「回収してほしい」と連絡しても、自治体事業の対象外になる場合があります。

箱わなを購入する前に、

  1. 自治体の箱わな制度があるか
  2. 本人申請ができるか
  3. 狩猟免許が必要か
  4. 防除従事者として登録する方法があるか

を確認した方がよいでしょう。

アライグマは捕獲後の「運搬」にも注意が必要

ここがハクビシンとの大きな違いです。

外来生物法では、特定外来生物について、許可等のない飼養・保管・運搬を原則として禁止しています。

したがって、アライグマを捕まえた後に、

  • 箱わなごと自家用車へ積む
  • 自宅でしばらく保管する
  • 知人や別の業者のところへ運ぶ

といったことを自己判断で行わないでください。

外来生物法に基づく防除の公示・確認・認定など適切な手続きの下では、防除に必要な生体運搬について規制の適用除外となる仕組みがあります。

自治体事業では、捕獲後の回収・運搬・処分まで委託業者が担当する例があります。

捕まえたアライグマを別の山へ逃がしてよい?

自己判断で行わないでください。

特定外来生物は、野外へ放出することも原則として禁止されています。

そのため、

「家では困るので、車で山へ運んで放せばよい」

という対応はしません。

捕獲後は、利用している自治体事業・防除実施計画・捕獲許可の条件に従い、指定された連絡先へ連絡します。

捕獲した箱わなへ近づきすぎない

アライグマは見た目が愛らしく見えることがありますが、野生動物です。

箱わなの中に入った個体は興奮している可能性があり、手や指を近づけると咬まれたり引っかかれたりする危険があります。

捕獲を確認したら、

  • 箱わなへ手を入れない
  • 子どもやペットを近づけない
  • 自分で持ち上げたり移動させない
  • 自治体・委託業者等へ連絡する

ようにします。

アライグマ以外が箱わなに入ったら?

箱わなには、アライグマ以外の動物が入る可能性があります。

これを錯誤捕獲といいます。

自治体の防除計画では、錯誤捕獲を防ぐための見回りや、対象外動物が入った場合の対応が定められていることがあります。

対象外の動物が入っていた場合も、自分の判断で触ったり、遠方へ運搬したりせず、制度上の連絡先へ確認します。

箱わなの毎日確認を求められる制度が多い

自治体が設置する箱わなでも、「設置したら行政に任せて終わり」というわけではありません。

北区や大田区などでは、利用者側に毎日の見回りを求めています。

毎日の確認は、

  • アライグマが捕獲されたか
  • 対象外の動物が入っていないか
  • 箱わなが破損・転倒していないか

を早く把握するために必要です。

自治体制度を申し込む際は、誰が餌を交換するのか、誰が毎日確認するのか、休日に捕獲された場合はどうするのかまで聞いておきます。

捕獲だけでは住宅被害は終わらない

アライグマを1頭捕獲しても、住宅の侵入口が残っていれば別の個体が入る可能性があります。

住宅対策では、

個体の退出・適法な捕獲 → 親子を含む不在確認 → 侵入口封鎖 → 糞尿清掃・必要な建材対応 → 餌資源の管理 → 再発確認

まで考える必要があります。

東京都では、アライグマは一般的に春から初夏に出産しますが、夏以降の繁殖も確認されています。

そのため「秋だから子はいない」「1頭捕まえたから屋根裏は空」と季節だけで判断しないようにします。

捕獲直後に侵入口を全部塞いでもよい?

屋根裏や壁内に別の個体・幼獣が残っている可能性があるなら、すぐ全面封鎖するのは避けます。

特に母親だけが箱わなに入った場合、内部に幼獣が残っている可能性があります。

封鎖する前に、

  • 新しい足音がないか
  • 新しい糞が増えていないか
  • 夕方から夜間の出入りがないか
  • 子の鳴き声などがないか

を確認します。

屋根・軒・高所などの点検は無理に自分で行わないでください。

自治体の箱わな事業と民間業者の違い

確認項目 自治体事業 民間業者
現地調査 制度によって実施 実施する業者が多い
箱わな 無料設置・貸出等の例あり 施工内容に含む場合あり
捕獲後回収 委託業者が行う例あり 契約内容を確認
侵入口封鎖 対象外の場合が多い 施工可能な業者あり
糞尿清掃 対象外の場合が多い 施工範囲を確認
建物修理 通常は別対応 対応可否を確認

自治体の無料捕獲が利用できる場合でも、侵入口封鎖・清掃・断熱材交換などには別途費用がかかる可能性があります。

費用を比較する場合は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先を比較する場合は業者選びを参考にしてください。

業者が「捕獲する」と言ったら許可の根拠を確認する

民間業者だから無条件でアライグマを捕獲できるわけではありません。

見積時に、

  • 追い出しなのか、実際に捕獲するのか
  • 鳥獣保護管理法の許可捕獲なのか
  • 外来生物法上の防除計画・従事者として行うのか
  • 誰が箱わなを設置するのか
  • 捕獲後の生体運搬を誰が行うのか
  • 捕獲個体をどのように回収・処理するのか
  • 侵入口封鎖まで料金に含まれるのか

を確認します。

「アライグマ駆除」とだけ書かれた見積書では、追い出し・捕獲・封鎖・清掃のどこまで含まれるか分かりません。

狩猟として捕獲する場合も外来生物法に注意する

アライグマは狩猟鳥獣なので、適法な狩猟によって捕獲できる場合があります。

しかし、アライグマが特定外来生物であることは変わりません。

そのため、生きた個体を捕獲した後の保管・運搬等については、外来生物法上の規制も考える必要があります。

住宅被害に困っている一般の居住者が、この複数制度を自分で組み合わせて捕獲を進めるより、自治体の防除事業または法令対応を明確に説明できる専門業者へ相談する方が整理しやすいでしょう。

賃貸住宅・集合住宅では管理会社へ連絡する

マンション・アパートでアライグマの侵入が疑われる場合は、自分で共用部分へ箱わなを置いたり、屋根・外壁を封鎖したりする前に管理会社・大家・管理組合へ連絡します。

自治体の住宅向け箱わな事業では、集合住宅を対象外とするケースや、土地・建物管理者の同意を条件とするケースがあります。

被害場所が共用部なのか専有部なのかも確認してください。

アライグマ捕獲で確認するチェックリスト

確認項目 確認する内容
被害 住宅侵入・糞尿・食害など具体的な被害があるか
自治体制度 箱わな設置・貸出・回収制度があるか
捕獲根拠 許可捕獲・狩猟・防除実施計画のどれか
資格・登録 狩猟免許、従事者登録等が必要か
箱わな管理 毎日の確認や餌交換を誰が行うか
捕獲後 誰へ連絡し、誰が回収するか
運搬 生体運搬が適法な制度内で行われるか
錯誤捕獲 別の動物が入った場合の連絡・対応方法
住宅施工 侵入口封鎖・糞尿清掃・修理まで誰が行うか

よくある質問

アライグマは自分で捕獲してもよいですか?

自宅だから無条件で捕獲できるわけではありません。自治体の防除事業、鳥獣保護管理法上の許可捕獲、狩猟制度など、適法な根拠を確認してから行う必要があります。

アライグマの箱わなには狩猟免許が必要ですか?

制度によります。狩猟として箱わなを使う場合はわな猟免許等が必要ですが、外来生物法上の防除計画や自治体制度の下で、一定条件を満たす住民・従事者が狩猟免許なしで参加できる制度例もあります。

アライグマは狩猟鳥獣ですか?

はい。環境省が指定する狩猟鳥獣46種に含まれています。ただし狩猟鳥獣であることは、誰でも自由に捕獲できるという意味ではありません。

アライグマは特定外来生物ですか?

はい。外来生物法上の特定外来生物です。そのため、生きた個体の飼養・保管・運搬、野外への放出などにも規制があります。

捕まえたアライグマを車で山へ運んで放してよいですか?

自己判断で行わないでください。特定外来生物は生体の運搬や野外への放出が原則規制されています。自治体事業や防除計画、捕獲許可の指示に従ってください。

自治体なら無料で捕獲してくれますか?

自治体によります。東京都内にも無料で現地調査・箱わな設置・捕獲個体回収を行う区がありますが、被害条件、住宅形態、設置期間、見回り義務などがあります。制度がない自治体もあります。

箱わなをネットで買ったので置いても大丈夫ですか?

販売されていることと、野生のアライグマを適法に捕獲できることは別です。箱わなを稼働させる前に自治体へ制度・許可を確認してください。

害獣駆除業者なら自由に捕獲できますか?

いいえ。業者も法令の対象です。実際に生体を捕獲するのであれば、どの許可・防除計画等に基づいて行うのか確認してください。

アライグマを捕獲したら、すぐ侵入口を塞いでよいですか?

屋根裏に別個体や幼獣が残っていないことを確認してから封鎖します。1頭捕まえただけで建物内が無人とは限りません。

まとめ

アライグマの捕獲では、鳥獣保護管理法と外来生物法の両方を確認する必要があります。

  • アライグマは鳥獣保護管理法上の狩猟鳥獣
  • 同時に外来生物法上の特定外来生物
  • 自宅でも自由に箱わなを使えるわけではない
  • 狩猟として行うなら免許・登録・期間・区域等を確認する
  • 許可捕獲や自治体の防除実施計画を利用できる場合がある
  • 防除従事者なら狩猟免許なしで参加できる制度例もある
  • 捕獲後の生体保管・運搬・放出にも規制がある
  • 捕まえた個体を自己判断で別の場所へ運んで放さない
  • 自治体の箱わな事業では毎日の見回りを求められることがある
  • 捕獲後も不在確認・侵入口封鎖・糞尿対策が必要

住宅でのアライグマ対策では、「どう捕まえるか」より先に、「自宅ではどの制度を使って適法に対応するのか」を確認することが重要です。

被害の種類から確認する場合は症状・痕跡、侵入場所を確認する場合は住宅の場所から探す、害獣対策全体は害獣、専門業者を比較する場合は業者選びを参考にしてください。

参考にした公的・公式情報

※捕獲許可、狩猟免許の要否、防除従事者制度、箱わな事業、生体運搬、捕獲後の対応は自治体・地域・制度によって異なります。実際に箱わなを使用する前に、所在地の行政機関の最新情報を確認してください。確認日:2026年9月20日。

この記事を共有する
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

目次