蜂の巣駆除は自治体に頼める?無料駆除・補助金・防護服貸出の違い

自宅に蜂の巣を見つけたとき、「市役所に電話すれば無料で取ってもらえるのでは」と考える方もいるかもしれません。

しかし、蜂の巣駆除に対する自治体の対応は全国共通ではありません。

自治体によって、

  • 条件を満たすスズメバチの巣を無料で駆除する
  • 専門業者へ払った駆除費の一部を補助する
  • 防護服や駆除器具だけを貸し出す
  • 駆除方法の相談や業者紹介だけを行う
  • 私有地の蜂の巣には原則対応しない

など、大きく異なります。

また、同じ「無料駆除」がある自治体でも、スズメバチ限定、巣が見えていること、一定の高さ以下であること、現在も蜂が出入りしていることなど、細かな条件が設定されている場合があります。

民間業者を先に手配してしまうと自治体制度を利用できない場合もあるため、緊急性が高くない場合は、業者へ依頼する前に所在地の自治体公式ページを確認するのが基本です。

目次

蜂の巣駆除に対する自治体の対応は主に5種類

2026年9月時点の自治体公式情報を見ると、蜂の巣への対応はおおむね次の5つに分けられます。

自治体の対応 内容
無料駆除 自治体または委託業者が、条件を満たす巣を公費で駆除
駆除費の補助・助成 利用者が専門業者へ支払い、後から費用の一部を自治体が補助
防護服・器具の貸出 自治体自身は駆除せず、防護服等を無料で貸し出す
相談・業者紹介 蜂種の確認、対処方法、専門団体・業者等を案内
私有地は原則対応なし 土地・建物の所有者または管理者が自己負担で対応

同じ自治体が複数の制度を組み合わせている場合もあります。

たとえば「私有地は自治体が直接駆除しないが、スズメバチには補助金があり、自分で対応する人には防護服を貸す」といった仕組みです。

自治体が無料で駆除してくれる地域もある

自治体によっては、危険性の高いスズメバチの巣を無料で駆除しています。

東京都杉並区では、民有地にあるスズメバチの巣について区が駆除を行っています。一方、アシナガバチの巣は区では駆除していません。

新宿区も、スズメバチやアシナガバチの巣が生活上の支障となる場合に、区へ相談できる制度を設けています。

さいたま市でも、対象となるスズメバチの巣について、市が費用を負担する駆除制度があります。

伊勢崎市では2026年度も、活動中のスズメバチの巣を対象に無料駆除事業を実施しています。

ただし、「スズメバチだから全国どこでも無料」という制度ではありません。

無料駆除でも巣の場所・高さなどに条件がある

自治体が無料駆除を行っていても、すべての巣が対象になるわけではありません。

船橋市では2026年度、主に次の条件を満たすスズメバチの巣について、市の委託事業者による無料駆除制度を設けています。

  • スズメバチの巣である
  • 巣が外から目視できる
  • 地面から7m以内
  • 現在もスズメバチが生息している
  • 原則として依頼者が立ち会える

反対に、

  • アシナガバチやミツバチ
  • 屋根裏
  • 床下
  • 壁の中
  • 戸袋
  • 室外機や換気扇の内部
  • 樹洞
  • 地中

など、巣が露出していないケースは無料対象外とされています。

目黒区の2026年度制度でも、私有地のスズメバチ巣が対象ですが、概ね3m以上の高所、屋根や塀など足場確保が困難な場所、天井裏・壁内・地中など構造物の開口や破壊を必要とする場所は対象外です。

つまり、「自治体に無料駆除制度があるか」だけでなく、自宅の巣がその制度の作業条件に入っているかまで確認する必要があります。

補助金だけを出す自治体もある

自治体が直接蜂の巣を撤去せず、専門業者へ依頼した費用の一部を補助する制度もあります。

このタイプでは、一度利用者が業者へ料金を支払い、その後に領収書等を添えて自治体へ申請する形が一般的です。

稲城市の例

稲城市では2026年度から、一定条件を満たすスズメバチの巣について駆除費の助成を実施しています。

対象はスズメバチで、アシナガバチやミツバチは対象外です。

助成額は2026年度時点で上限2,000円です。

申請には、

  • 申請書
  • スズメバチの巣を撤去したことが分かる領収書
  • 駆除前の巣の写真
  • 駆除後の写真

などが必要です。

予算がなくなれば受付が終了する制度なので、利用する場合は当年度の状況を確認する必要があります。

青梅市の例

青梅市の2026年度制度では、スズメバチだけでなく、アシナガバチやミツバチも補助対象に含まれています。

専門業者による巣除去費用の2分の1、上限1万円が補助されます。

同じ「蜂の巣駆除補助金」でも、対象となる蜂の種類や上限額は自治体ごとに違います。

業者へ電話する前に補助制度を確認した方がよい理由

自治体制度によって申請の順番が異なるためです。

「駆除後に領収書を出せばよい」という制度もあれば、自治体側の受付や指定方法に従う必要がある制度もあります。

三鷹市では、一定条件を満たしたスズメバチの巣を公費で駆除しますが、自治体の手続きを通さず自分で業者を手配した場合は公費駆除制度とは別扱いになります。

そのため、巣がすぐ人を襲う位置になく、安全を確保できている場合は、民間業者を呼ぶ前に次を確認してください。

  1. 自治体が直接無料駆除するか
  2. 対象となる蜂の種類
  3. 対象となる住宅・土地
  4. 巣の高さや場所の条件
  5. 事前申請が必要か
  6. 自分で業者を手配してよいか
  7. 指定業者があるか
  8. 補助金の上限額
  9. 予算が残っているか
  10. 必要な写真・領収書

自治体が駆除せず、防護服だけ貸している場合もある

私有地の蜂の巣を市が撤去しない代わりに、防護服や駆除用品を貸し出している自治体があります。

八王子市は私有地の巣を市では駆除していませんが、防護服、殺虫剤、噴霧用伸縮竿などの駆除用具を無料で貸し出しています。また、自力駆除が難しい場合には有料の協定事業者を案内しています。

稲城市でも防護服等の無料貸出制度があります。

ただし、自治体が防護服を貸していることと、その巣を自分で安全に駆除できることは別です。

次のようなケースでは、防護用品の貸出制度があってもDIYを前提にしないでください。

  • スズメバチ
  • 蜂の種類が分からない
  • 巣が大きい
  • 蜂の数が多い
  • 脚立・はしごが必要
  • 2階軒下・屋根など高所
  • 壁の中・屋根裏・床下
  • 地中
  • 玄関など生活動線上
  • 過去に蜂刺傷で強いアレルギー症状が出た人がいる

蜂対策全体の安全判断については、蜂・蜂の巣対策の総合ページも確認してください。

自治体は駆除せず「相談・業者紹介だけ」の地域もある

大阪市は、私有地の蜂の巣について原則として市では駆除せず、土地や建物の所有者・管理者が対応する仕組みです。保健福祉センターでは駆除方法の相談や、有料の専門業者の案内を行っています。

千葉市も個人住宅・敷地内の蜂の巣を市では駆除せず、専門業者への依頼を案内しています。

八王子市も直接駆除はせず、用具貸出や有料の協定事業者案内という形です。

このタイプでは、市役所へ電話しても職員や委託業者が無料で巣を取ってくれるわけではありません。

「自治体が駆除しない」地域でも相談する意味はある

市区町村が直接施工しない場合でも、自治体へ相談する意味はあります。

自治体によっては、

  • 蜂の種類の確認
  • 巣の危険度に関する助言
  • 専門業者団体の案内
  • 防護服貸出
  • 補助金の説明
  • 公共施設の場合の担当部署案内

などを行っています。

「駆除してくれないなら電話しても意味がない」とは限りません。

公共施設・公園・道路の蜂の巣は管理者へ連絡する

自宅ではなく、

  • 公園
  • 市役所などの公共施設
  • 市が管理する街路樹
  • 公共用地

に蜂の巣がある場合は、その施設や土地を管理している行政部署が対応することがあります。

千葉市は、市が管理する公園などにできた巣について、管理部署が対応するとしています。

川崎市でも、市の管理する公園や街路樹について一定条件を満たす活動中のスズメバチ・アシナガバチの巣を駆除対象としています。

私有地と公共用地では担当が違うため、市役所へ連絡するときは「どこの敷地にある巣か」を最初に伝えてください。

賃貸住宅は先に管理会社・大家へ確認する

賃貸住宅の場合、自分で業者を手配する前に管理会社・大家へ連絡した方がよいでしょう。

特に、

  • 共用廊下
  • 共用階段
  • 建物外壁
  • 屋根
  • 軒
  • 共用植栽
  • 建物設備

などは、入居者が自由に施工できる場所ではない場合があります。

自治体の無料制度でも、所有者・管理者からの申込みや承諾を条件としているケースがあります。

三鷹市は、賃貸集合住宅では大家または管理会社、分譲集合住宅では管理会社または管理組合から問い合わせるよう案内しています。

隣の家や空き家に蜂の巣がある場合

他人の土地・建物にある巣について、近隣住民が直接自治体へ頼めば無条件で立ち入って駆除してくれるとは限りません。

自治体が私有地へ入るには、所有者や管理者の承諾が必要になるケースがあります。

杉並区でも空き家・空き地について所有者の了解が必要で、三鷹市も本人以外からの依頼ではなく所有者から申し込むよう案内しています。

危険を感じても自分で隣地へ立ち入ったり、巣へ薬剤をかけたりせず、自治体へ相談して所有者への対応方法を確認してください。

アシナガバチは自治体の無料駆除対象外になることが多い

自治体の無料駆除制度は、危険性の高いスズメバチに限定されていることがあります。

杉並区ではスズメバチの巣を区が駆除しますが、アシナガバチは対象外です。

三鷹市でも市の公費駆除対象はスズメバチで、ミツバチ・アシナガバチは対象外です。

目黒区の制度もスズメバチ限定です。

一方で、青梅市の補助制度のように、スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチをまとめて補助対象にしている自治体もあります。

「蜂なら対象」「スズメバチ以外は全国すべて対象外」というどちらの言い方もできません。

壁の中・屋根裏の蜂の巣は自治体制度から外れることがある

巣が壁内や屋根裏にある場合、自治体が無料駆除制度を設けていても対象外になることがあります。

理由は、巣の撤去に、

  • 壁や天井の開口
  • 屋根裏への進入
  • 建物部材の取り外し
  • 高所作業

などが必要になるためです。

船橋市は、屋根裏・床下・壁の中・戸袋・室外機・換気扇等の内部にある非露出巣を無料駆除の対象外としています。

目黒区も、天井裏・壁内・戸袋・縁の下・樹洞・地中など、構造物の解体や破壊を必要とする場所を区の駆除対象外としています。

壁や換気口へ蜂が繰り返し出入りしている場合は、外側の穴を先に塞いだり、自分で壁を開けたりしないでください。

補助金を申請するときは「駆除前の写真」を忘れない

蜂の巣駆除補助金では、駆除前の状態を証明する写真を求める自治体があります。

稲城市では、駆除前の巣の写真と駆除後の写真が必要です。

そのため、業者が来てすぐ撤去してしまった後に補助制度を知ると、必要書類を揃えられない可能性があります。

ただし写真を撮るために蜂の巣へ近づく必要はありません。

安全な場所から撮影できない場合は、自治体や業者へ、どのような証明方法が認められるか確認してください。

自治体へ相談するときに伝える内容

電話やオンライン申請の前に、次の情報を安全に確認できる範囲で整理しておくと話が進みやすくなります。

  • 巣がある住所
  • 戸建て・賃貸・マンション等の区分
  • 自分が所有者・居住者・管理者のどれか
  • 巣がある場所
  • 地面からのおおよその高さ
  • 巣が外から見えているか
  • 蜂が現在出入りしているか
  • スズメバチらしいか、種類不明か
  • 生活動線に近いか
  • 巣の写真を安全な場所から撮れるか

種類を確認するために巣へ接近する必要はありません。

自治体制度が使えない場合は民間業者へ

自治体制度の対象外になる代表例には、

  • 自治体自体が私有地を駆除していない
  • アシナガバチ・ミツバチ
  • 高所
  • 壁内・屋根裏・床下
  • 地中
  • 空になった古い巣
  • 巣の位置が分からない
  • 所有者の承諾が取れない
  • 補助金の予算が終了した

などがあります。

民間業者へ依頼する場合は、自治体制度を利用できないことを確認したうえで、作業前に総額と追加料金を確認してください。

駆除費用については害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先を比較する場合は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。

消防署や119番に蜂の巣駆除を頼む?

通常の蜂の巣撤去について、119番を自治体の駆除窓口代わりに利用するものではありません。

119番は消防車・救急車が必要な緊急時の通報です。

蜂の巣そのものの相談は、市役所・区役所の環境、生活衛生、保健所等の担当部署や、住宅の管理者へ確認してください。

一方、蜂に刺された後に、

  • 呼吸が苦しい
  • 意識がおかしい・意識を失った
  • 急速に全身症状が進む
  • アナフィラキシーが疑われる

などの緊急症状がある場合は、直ちに119番通報が必要です。

自治体ページを検索するときの探し方

検索するときは、

  • 「市区町村名 蜂の巣 駆除」
  • 「市区町村名 スズメバチ 駆除」
  • 「市区町村名 蜂 補助金」
  • 「市区町村名 防護服 蜂」

などで探します。

自治体制度は年度ごとに変更される場合があるため、民間業者のまとめ記事だけでなく、必ず自治体公式サイトで現在の制度を確認してください。

2026年度の自治体対応例

自治体 2026年度に確認できる主な対応
新宿区 生活に支障となる蜂の巣について区へ相談可能
杉並区 民有地のスズメバチ巣を区が駆除。アシナガバチは対象外
船橋市 条件を満たす活動中のスズメバチ巣を無料駆除
目黒区 私有地のスズメバチ巣を条件付きで駆除。高所・壁内等は対象外
稲城市 スズメバチの業者駆除費を上限2,000円助成、防護服等の貸出
青梅市 スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチの業者駆除費の2分の1、上限1万円を補助
八王子市 私有地の市駆除なし。用具貸出と有料協定事業者案内
千葉市 個人住宅・敷地内の市駆除なし。有料専門業者を案内
大阪市 原則として私有地の市駆除なし。相談・有料業者案内

この表は自治体を比較評価するものではなく、制度が全国で大きく異なることを示すための例です。

制度は変更されるため、実際に利用するときは所在地自治体の最新情報を確認してください。

よくある質問

蜂の巣は市役所に電話すれば無料で取ってくれますか?

自治体によります。無料駆除する自治体もあれば、補助金のみ、防護服貸出のみ、業者紹介のみ、私有地は対応しない自治体もあります。

スズメバチなら自治体が無料で駆除しますか?

全国共通ではありません。スズメバチ限定の無料制度がある自治体でも、巣の高さ・場所・露出状態・活動状況などで対象外になる場合があります。

アシナガバチの巣も無料ですか?

対象外としている自治体が多くあります。一方、補助金制度ではアシナガバチまで対象にしている自治体もあるため、所在地の制度を確認してください。

蜂の巣駆除の補助金はいくらですか?

自治体によって異なります。2026年度では、稲城市は対象となるスズメバチ駆除に上限2,000円、青梅市は対象となる蜂の巣除去費の2分の1・上限1万円としています。全国共通額ではありません。

業者へ駆除してもらった後から補助金を調べても間に合いますか?

制度によります。駆除後申請の自治体でも、駆除前写真、領収書の記載内容、申請期限等が指定されている場合があります。可能なら業者を手配する前に制度を確認してください。

自治体から防護服を借りればスズメバチも自分で駆除できますか?

防護服貸出は、自力駆除の安全を保証する制度ではありません。スズメバチ、種類不明、高所、大きな巣、壁内・屋根裏等は専門業者への相談を優先してください。

マンションの共用部に蜂の巣があります。

管理会社または管理組合へ連絡してください。自治体制度を利用する場合も、所有者・管理者からの申込みや承諾が必要になるケースがあります。

公園に蜂の巣があります。

公園を管理している自治体部署へ連絡してください。私有地の制度とは別に、行政が管理する公園・公共施設・街路樹では管理部署が対応する場合があります。

隣の空き家にスズメバチの巣があります。

勝手に敷地へ入って駆除せず、自治体へ相談してください。自治体が駆除する制度でも、所有者・管理者の承諾が必要となる場合があります。

消防署に電話すれば蜂の巣を取ってもらえますか?

通常の蜂の巣駆除は、市区町村の環境・生活衛生等の担当部署や建物管理者へ相談します。119番は消防車・救急車が必要な緊急通報です。蜂刺傷後に呼吸困難や意識障害などがある場合は直ちに119番通報してください。

参考情報

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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