自宅に蜂の巣ができて業者への依頼を検討すると、「火災保険で駆除費を払えるのでは」と考えることがあります。
ここで分けて考えたいのが、火災保険の保険金と、火災保険契約者向けに提供される住宅トラブルの付帯サービスです。
火災保険に加入しているからといって、蜂の巣駆除費が保険金として全国一律に補償されるわけではありません。
一方で、保険会社や商品によっては、契約者向けサービスとして蜂の巣駆除業者を派遣し、基本作業を無料にしている例があります。
そのため、蜂の巣を見つけたときは、すぐ自分で駆除業者を手配する前に、
- 加入中の火災保険・家財保険の付帯サービス
- 所在地自治体の駆除・補助・貸出制度
- それでも対象外なら民間業者
の順に確認すると、利用できる制度を見落としにくくなります。
蜂の巣駆除に火災保険は使える?
「火災保険が使える」という言葉には、少なくとも2つの意味があります。
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| 保険金 | 契約で定められた事故によって建物・家財等に損害が出た場合に支払われる |
| 付帯サービス | 契約者向けに水回り、鍵、蜂の巣などの住宅トラブルへ業者を派遣するサービス |
蜂の巣駆除で特に確認したいのは後者です。
「火災保険で蜂の巣駆除が無料」という情報の中には、蜂の巣駆除費が損害保険金として支払われるという意味ではなく、保険契約に付属する無料サービスを利用できるという意味のものがあります。
蜂の巣があるだけで保険金が支払われるとは限らない
火災保険は、契約で定められた事故によって建物や家財に生じた損害を補償する保険です。
同じ「火災保険」という名称でも、補償内容は保険会社・商品・契約タイプによって異なります。
そのため、
「蜂の巣ができたので駆除業者へ払った費用」
が、そのまま通常の損害保険金として支払われるとは考えない方がよいでしょう。
加入している商品でどう扱われるかは、保険証券・約款・契約者ページを確認し、分からなければ保険会社または代理店へ直接確認します。
火災保険に「蜂の巣駆除サービス」が付いている場合がある
住宅向け火災保険の中には、保険金とは別に「住まいのサポート」「アシスタンスサービス」などの名称で、住宅トラブル対応を提供している商品があります。
対象になるサービスには、
- 水漏れ・排水詰まり
- 鍵のトラブル
- 給湯器・エアコンのトラブル
- ガラスのトラブル
- 蜂の巣駆除
などがあります。
自分の保険に同じサービスがあるとは限らないため、商品名だけで判断せず契約内容を確認してください。
日新火災では蜂の巣駆除の付帯サービス例がある
日新火災の一部の住宅向け保険では、「すまいのサポート24」として蜂の巣の調査・駆除サービスを提供しています。
対象商品では、指定されたフリーダイヤルへ連絡することで、業者手配や一定範囲の蜂の巣駆除を受けられます。
重要なのは、先に自分で業者を呼ばないことです。
日新火災のサービスでは、指定窓口を経由せず自分で業者を手配すると、無料サービスの対象にならない場合があります。
すでに巣を見つけている場合は、まず契約者向け窓口へ連絡し、対象か確認します。
賃貸向け火災保険にも蜂の巣サービス例がある
日新火災の賃貸住宅向け商品「お部屋を借りるときの保険」にも、住宅トラブルサービスがあります。
ただし、賃貸では巣の場所が重要です。
たとえば、専有部分で利用できるサービスでも、軒下などの共用部分は対象外とされる場合があります。
賃貸住宅で蜂の巣がある場合は、
- 巣が専有部分か共用部分か確認する
- 管理会社・大家へ連絡する
- 自分の保険付帯サービスが使える範囲を確認する
という順に進めるとよいでしょう。
賃貸の蜂の巣駆除費については、契約や巣の場所によって管理会社・貸主・入居者の負担が変わるため、一律に入居者負担とは決められません。
チューリッヒでは基本作業無料・特殊作業有料の例がある
チューリッヒのネット火災保険では、「住まいのアシスタンスサービス」の中に蜂の巣駆除があります。
公式案内では、
- 蜂の巣駆除の基本出動
- 基本作業
を無料対応とする一方、
- 高所の蜂の巣
- 床下の蜂の巣
- 家屋等を一部破壊する必要がある作業
- 基本作業で対応できない大きさ・巣の形態
などは有料になると案内されています。
この例からも、付帯サービスがあることと、どんな巣でも0円で撤去できることは同じではありません。
「無料」と書いてあっても確認したい条件
保険の蜂の巣駆除サービスを見つけたら、次の項目を確認します。
- 自分の契約商品が対象か
- 保険始期日による制限があるか
- 持家・賃貸のどちらが対象か
- 専有部分・共用部分のどちらが対象か
- 巣の調査だけか、撤去まで含むか
- 無料作業時間は何分か
- 高所は有料か
- 床下・屋根裏・壁内は有料か
- 複数の巣でも対象か
- 壁や天井の開口作業が必要な場合の費用
- 蜂の種類による制限
- 指定業者以外でも利用できるか
高所のスズメバチ巣でも無料とは限らない
蜂駆除で費用が上がりやすいのは、巣そのものより作業条件が難しいケースです。
たとえば、
- 2階以上の軒下
- 屋根周辺
- 屋根裏
- 壁の内部
- 床下
- 地中
- 大きなスズメバチ巣
などです。
付帯サービスが「基本作業無料」であっても、このような条件では追加料金が発生したり、無料サービスの範囲外になる場合があります。
業者が来る前または現地見積後に、無料範囲を超えた場合の料金を確認してください。
蜂の巣駆除サービスがなければ自治体を確認する
加入保険に蜂の巣駆除サービスがなければ、次に所在地自治体の制度を確認します。
自治体の蜂対応には、
- 自治体による無料駆除
- 専門業者の駆除費用を一部助成
- 防護服・駆除用具の無料貸出
- 駆除業者・業界団体の紹介
- 私有地は原則として所有者対応
などがあります。
全国で同じ制度ではありません。
稲城市では2026年度からスズメバチ駆除費の助成例がある
稲城市では2026年度から、専門業者へスズメバチの巣駆除を依頼した場合の費用を一部助成しています。
一方、アシナガバチやミツバチなどは助成対象外です。
さらに、自分で駆除する人向けに防護服等の貸出も行っています。
同じ自治体の中でも、
助成対象になる蜂と、防護服貸出を利用できるケース
は別に確認する必要があります。
八王子市では私有地の巣を市が直接駆除しない
八王子市は、私有地にある蜂の巣について市による直接駆除を行わず、自主駆除用の用具貸出や協定事業者の案内を行っています。
このように、「市役所へ電話すれば無料で取ってもらえる」とは限りません。
保険付帯サービスと同様に、自治体の制度も実際の作業範囲を確認することが重要です。
自治体助成と保険付帯サービスは別制度
自治体の助成金と保険会社の付帯サービスは、まったく別の仕組みです。
| 保険付帯サービス | 自治体制度 | |
|---|---|---|
| 利用条件 | 対象保険の契約者 | 対象地域・巣・申請者等 |
| 業者 | 保険会社指定業者の場合が多い | 自治体指定・自己手配など制度ごと |
| 費用 | 基本作業無料など | 無料駆除、一部助成、貸出等 |
| 確認先 | 保険会社・サービス窓口 | 市区町村 |
どちらか一方しか調べてはいけないわけではありません。
加入保険と自治体制度の双方を確認し、重複利用の可否もそれぞれの窓口へ確認してください。
自治体の補助金は駆除前に条件を確認する
自治体の助成制度では、
- 対象となる蜂の種類
- 活動中の巣であること
- 私有地か
- 申請者が所有者・管理者か
- 駆除前の巣の写真
- 駆除後の写真
- 領収書
- 申請期限
- 補助上限額
などが条件になることがあります。
業者へ依頼してすべて撤去した後に制度を調べると、必要な写真等がなく申請できない場合もあります。
危険なく撮影できる場合に限り、制度の必要書類を先に確認します。
蜂が建物を傷めた場合は火災保険を確認できる?
蜂の巣ができたことと、建物に損害が出たことは分けて考えます。
たとえば、蜂の巣を撤去するために壁を開ける必要がある場合や、巣の周辺で建物の一部に異常が見つかった場合でも、修理費が火災保険から必ず支払われるとは限りません。
確認する必要があるのは、
- どの部分が壊れているか
- 何が直接の損害原因か
- いつ発生したのか
- その事故原因が契約上の補償対象か
- 免責金額はいくらか
です。
駆除費、壁を開ける費用、建物修理費を一つの金額にまとめず、見積書上でも分けておくと保険会社へ説明しやすくなります。
台風で壊れた場所に蜂が巣を作った場合
たとえば台風で軒天や外壁が破損し、その後、その穴から蜂が入り込んで営巣したとします。
この場合、
- 台風による建物損害
- その後に発生した蜂の巣
- 蜂の駆除費
を分けて考えます。
台風による直接損害が風災補償の対象になったとしても、後から発生した蜂の巣駆除費まで自動的に同じ保険金の対象になるとは限りません。
事故状況を事実どおり保険会社へ伝え、個別に判断してもらいます。
保険申請のために危険な場所へ写真を撮りに行かない
保険会社・自治体・駆除業者から写真を求められる場合があります。
しかし、
- 屋根へ上る
- 脚立で巣へ近づく
- スズメバチの巣へ接近する
- 壁内の巣を開ける
といった行為は行わないでください。
安全な場所から撮影できない場合は、その旨を保険会社・自治体・業者へ伝えます。
スズメバチ・種類不明・高所ならサービス確認後も無理にDIYしない
「保険サービスの対象外だった」「自治体の助成対象外だった」という理由で、危険な蜂の巣を自分で取る必要はありません。
特に、
- スズメバチ
- 蜂の種類が分からない
- 蜂の数が多い
- 巣が大きい
- 高所にある
- 屋根裏・壁内・床下・地中にある
- 玄関・通路など人が頻繁に通る場所にある
場合は専門業者への相談を優先します。
「保険で必ず無料になる」という業者には注意
蜂の巣駆除や住宅修理の業者から、
「火災保険を使えば必ず無料になります」
「保険金が出るので自己負担はありません」
などと言われた場合は、その場で契約しない方が安全です。
保険金が支払われるかを最終的に判断するのは保険会社です。
国民生活センターも、「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」といった勧誘について、事業者と契約する前に加入先の保険会社へ直接連絡するよう注意喚起しています。
事実と異なる事故原因で保険金を申請することも避けてください。
保険付帯サービスを使うなら先に保険会社へ連絡する
蜂の巣駆除サービスでは、保険会社が提携業者を派遣する仕組みになっていることがあります。
その場合、先に自分で駆除会社を呼んで支払い、後から保険会社へ請求しても無料サービスとして精算されない場合があります。
確認する順番は、
- 保険会社のサービス窓口
- 利用条件確認
- 保険会社による業者手配
- 無料範囲を超える場合の見積
- 作業依頼
と考えると分かりやすくなります。
蜂の巣を見つけたときに確認する順番
- 巣へ近づかず、人・子ども・ペットを遠ざける
- 安全な位置から巣の場所・蜂の出入りを確認する
- 火災保険・家財保険の契約内容を確認する
- 「住まいのサポート」「アシスタンスサービス」等を確認する
- 蜂の巣駆除サービスがあれば指定窓口へ連絡する
- 無料作業範囲・追加費用を確認する
- 保険サービスがなければ自治体制度を確認する
- 助成がある場合は業者依頼前に必要書類を確認する
- どちらも対象外なら専門業者を比較する
- 建物損傷がある場合は駆除費と修理費を分けて保険会社へ相談する
業者へ依頼する場合に見積書で確認すること
保険・自治体制度の対象外部分を自己負担する場合は、見積書を確認します。
- 基本駆除料金
- 蜂の種類
- 巣の大きさ
- 高所作業費
- 屋根裏・壁内・床下等の追加費
- 巣撤去費
- 建物開口費
- 開口部の復旧費
- 戻り蜂対応
- 再発保証
費用の確認は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先の比較は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。
よくある質問
蜂の巣駆除費は火災保険から保険金が出ますか?
一律には決まりません。通常の損害保険金と、契約者向けの蜂の巣駆除付帯サービスは別です。まず加入中の商品・約款・サービス内容を確認してください。
火災保険に入っていれば蜂の巣を無料で取ってもらえますか?
すべての火災保険ではありません。一部商品では無料の基本駆除サービスがありますが、高所、床下、特殊作業等は有料になる場合があります。
自分で業者を呼った後でも保険サービスを使えますか?
利用できない場合があります。保険会社指定窓口を経由した業者手配が無料サービスの条件になっている商品があるため、先に保険会社へ確認してください。
スズメバチも保険付帯サービスで駆除できますか?
商品・巣の場所・作業条件によります。蜂種だけでなく、高所、巣の大きさ、壁内・床下等かどうかも確認されます。
屋根裏や壁の中の蜂の巣も無料ですか?
基本作業を超える扱いとなる場合があります。壁の開口や特殊作業、高所作業等は追加料金になる可能性があるため事前確認が必要です。
賃貸住宅でも火災保険の蜂駆除サービスを使えますか?
賃貸向け保険にもサービス例があります。ただし共用部分が対象外になる商品もあります。まず管理会社と保険会社へ巣の場所を伝えて確認してください。
自治体と火災保険の両方を使えますか?
制度によります。保険会社の付帯サービスと自治体助成は別制度ですが、重複利用の可否や領収書の扱い等はそれぞれの窓口へ確認してください。
自治体なら無料で駆除してくれますか?
自治体によって異なります。直接無料駆除、一部助成、防護服貸出、業者紹介、私有地は対応しないなど制度が分かれます。
蜂が壁を傷めた場合は火災保険で修理できますか?
損害原因と契約内容によります。蜂の巣があるだけで修理費が自動的に補償されるわけではありません。駆除費と建物修理費を分けて保険会社へ確認してください。
業者から「火災保険で0円」と言われました。信用してよいですか?
保険金が支払われるかを判断するのは保険会社です。先に契約せず、加入先の保険会社・代理店へ直接確認してください。
写真を撮らないと保険や補助金を使えませんか?
制度によって写真を求められる場合がありますが、危険な場所へ近づいて撮影する必要はありません。安全に撮影できない場合は窓口へ相談してください。
