賃貸の蜂の巣駆除は誰が払う?大家・管理会社・入居者の費用負担と連絡順

賃貸アパートやマンションのベランダ、軒下、外壁などに蜂の巣を見つけたとき、「駆除費用は大家が払うのか、それとも入居者が払うのか」で迷うことがあります。

費用負担は、「蜂の巣がある場所」だけで一律に決められるものではありません。

確認したいのは、

  • 賃貸借契約書・特約
  • 巣がある場所の管理区分
  • 建物側の破損や隙間などが原因になっていないか
  • 入居者の故意・過失や管理状況
  • 蜂の巣を発見してから管理会社へいつ連絡したか
  • 誰が業者を手配することになっているか

です。

特にベランダ・バルコニーは、「その住戸しか使わない場所だから入居者負担」と単純に判断しない方がよいでしょう。

マンションではバルコニーが共用部分の専用使用部分として扱われる例もあり、実際の管理規約や賃貸借契約を確認する必要があります。

目次

賃貸で蜂の巣を見つけたら、業者より先に管理会社・大家へ連絡する

賃貸住宅では、自分で駆除業者を手配する前に管理会社または大家へ連絡するのが基本です。

連絡するときは、安全な場所から確認できる範囲で、

  • 巣がある場所
  • 巣のおおよその大きさ
  • 地面からのおおよその高さ
  • 蜂の種類が分かればその候補
  • 蜂が何匹程度出入りしているか
  • 玄関やベランダなど生活動線に近いか
  • いつ気づいたか

を伝えます。

写真を撮る場合も、巣へ近づいて撮影する必要はありません。

特にスズメバチ、種類不明の蜂、大きな巣、高所、壁内・天井裏などの場合は、撮影のために近づかないでください。

「大家負担」「入居者負担」を場所だけで決めない

賃貸住宅では、共用廊下や外壁なら貸主側、室内なら借主側、と説明されることがあります。

実際には、それだけで費用負担を確定するのは難しい場合があります。

国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、貸主が住宅を使用するために必要な修繕を行い、借主の故意・過失によって修繕が必要になった場合は借主が費用を負担する、という考え方が示されています。

ただし、蜂の巣駆除は設備修理とは性質が異なり、すべてのケースを「修繕」として処理できるわけではありません。

そのため、蜂の巣では、

  1. 契約書・特約
  2. 巣の場所
  3. 管理主体
  4. 建物側の原因
  5. 入居者側の管理状況
  6. 発見後の対応

を合わせて判断します。

共用廊下・階段・エントランスの蜂の巣

共用廊下、共用階段、エントランスなど、複数の入居者が使用する場所に蜂の巣がある場合は、入居者個人で駆除業者を手配するより、管理会社・大家へ連絡してください。

こうした場所は建物全体の管理に関係し、他の入居者にも危険が及ぶためです。

入居者が自分だけの判断で薬剤を大量散布したり、外壁へ穴を開けたりすることも避けます。

外壁・軒下・屋根に蜂の巣がある場合

外壁、軒下、屋根、雨どい周辺などの巣も、建物外装に関係するため、まず管理会社・大家へ連絡します。

特に、

  • 2階以上
  • 脚立・はしごが必要
  • 屋根へ上る必要がある
  • 外壁の隙間から蜂が出入りしている

場合は入居者が自分で作業しない方が安全です。

外壁の穴や軒天の隙間へ蜂が出入りしているからといって、活動中にその穴を先に塞ぐのも避けます。

壁内などに巣がある場合、蜂を建物内部へ閉じ込める可能性があります。

ベランダの蜂の巣は誰が払う?

賃貸の蜂トラブルで判断が分かれやすいのがベランダ・バルコニーです。

マンション標準管理規約では、バルコニーを共用部分のうち特定住戸が使用する「専用使用部分」として扱う例が示されています。

ただし、これはすべてのマンションにそのまま適用されるルールではありません。

また、マンション管理上は共用部分であっても、日常的な清掃や簡易な管理を入居者側へ求める契約になっている場合があります。

したがって、

「ベランダだから入居者負担」

または、

「共用部分だから大家負担」

と、それだけで決めないようにします。

管理会社へ、

  • バルコニーの管理区分
  • 蜂の巣駆除についての契約上の費用区分
  • 管理会社側が業者を手配するのか

を確認してください。

ベランダの室外機に蜂の巣がある場合

エアコン室外機の内部・裏側・架台周辺などに蜂が巣を作ることがあります。

室外機周辺では、蜂の危険だけでなく電気設備の問題もあるため、自己流で分解しないでください。

費用負担については、

  • 室外機が貸主設備か入居者所有か
  • 巣が室外機そのものにあるのか
  • 建物壁面・配管穴周辺にあるのか
  • 賃貸借契約の設備管理条項

なども確認します。

玄関ポーチ・専用庭の場合

専用庭や玄関ポーチも、物件によって管理上の扱いが異なります。

その住戸だけが使う場所であっても、建物・土地としては貸主や管理組合の管理対象になっている場合があります。

蜂の巣ができた場所だけを見て自己判断せず、契約書や使用細則を確認してください。

賃貸戸建ての庭に蜂の巣がある場合

一戸建ての賃貸では、庭を含めて入居者が日常管理する契約になっているケースがあります。

その場合、集合住宅の共用廊下とは判断が異なる可能性があります。

一方で、

  • 屋根
  • 高い軒下
  • 外壁内部
  • 建物設備

など、通常の庭管理とは異なる場所に営巣している場合もあります。

戸建て賃貸でも、契約内容を確認せず「庭だから全部借主負担」と決めない方がよいでしょう。

建物の隙間が原因なら貸主側になる?

蜂が外壁の破損、軒天の穴、換気口周辺など建物側の不具合を利用して営巣している場合は、駆除だけでなく建物修繕が必要になることがあります。

この場合、

  • 蜂の駆除費
  • 巣の撤去費
  • 外壁・軒天等の修繕費
  • 再侵入防止工事

を分けて考える必要があります。

建物を適切に使用するために必要な修繕については、国土交通省の標準契約書では原則として貸主が行うモデルになっています。

蜂駆除そのものと建物修繕を一つにまとめず、管理会社へ施工範囲を確認してください。

入居直後に蜂の巣を見つけた場合

入居して間もなく、大きく成長した蜂の巣が見つかった場合は、入居前から存在していた可能性も考えます。

発見したら、

  • 入居日
  • 発見日
  • 巣の大きさ
  • 写真

を残して、早めに管理会社へ連絡してください。

入居直後なのに、確認せず自費で業者を呼んでしまうと、その後の費用負担について話が複雑になる可能性があります。

蜂の巣を放置すると入居者負担になる?

発見後の対応も費用負担を考える材料になる場合があります。

たとえば、まだ小さい段階で巣に気づいていたにもかかわらず、管理会社へ長期間連絡せず、大きくなって高額な専門作業が必要になった場合です。

このようなケースでは、「誰が最初の発生原因を作ったか」だけではなく、通知後の対応や被害拡大との関係も問題になる可能性があります。

そのため、蜂の巣を見つけたら、費用負担が分からなくても先に管理会社へ連絡して記録を残しておくことが重要です。

管理会社へ連絡するときは記録を残す

電話だけでも相談できますが、費用負担に関係する場合は、LINE、メール、管理アプリなど記録が残る方法も併用すると確認しやすくなります。

たとえば、

  • 「○月○日にベランダ上部で蜂の巣を確認した」
  • 「巣は約○cm程度に見える」
  • 「蜂の種類は不明」
  • 「自分で業者を手配してよいか」
  • 「駆除費用はどちらの負担になるか」

と伝えます。

駆除後に「誰が払う話だったか」が曖昧にならないよう、作業前に確認しておく方が安全です。

勝手に業者を呼んで後から大家へ請求できる?

賃貸では、原則として管理会社・大家へ相談してから業者を手配する方がトラブルを避けやすくなります。

貸主側が指定業者を使っている場合もありますし、管理会社が契約している害虫業者がいる場合もあります。

また、入居者が自分で高額な業者を選び、作業後に請求書だけを大家へ渡しても、その全額が当然に支払われるとは限りません。

安全上、直ちに対応が必要な状況を除き、

  1. 発見を通知する
  2. 誰が手配するか確認する
  3. 費用負担を確認する
  4. 必要なら業者へ依頼する

という順番にします。

管理会社がすぐ対応してくれない場合

連絡しても返答がない場合は、巣の危険度を確認しながら再度記録付きで連絡します。

特に、

  • 玄関のすぐ横
  • 共用廊下
  • 子どもが通る場所
  • ベランダ出入口付近
  • スズメバチらしい巣

などでは、安全上の問題が大きくなります。

「○日に連絡済みだが、生活動線上に蜂がいて危険なため対応方法を確認したい」と具体的に伝えます。

それでも進まない場合は、契約書に記載された貸主・管理会社の窓口、自治体の住宅相談、消費生活相談等の利用も検討してください。

自治体が無料で駆除してくれることもある?

自治体の蜂の巣対応は全国共通ではありません。

地域によって、

  • 自治体が直接無料駆除する
  • スズメバチだけ無料対応する
  • 専門業者費用の一部を助成する
  • 防護服等だけ貸し出す
  • 業者紹介のみ行う
  • 私有地は対応しない

など大きく異なります。

たとえば稲城市は、公共施設は市が対応する一方、私有地は所有者対応とし、2026年度にはスズメバチ駆除費の助成制度を設けています。

賃貸物件では、制度上の申請者が所有者なのか居住者でもよいのかも確認します。

自治体制度を利用する予定なら、先に業者へ依頼すると助成対象外になる制度もあるため、依頼前に当年度の条件を確認してください。

共益費を払っていれば大家が払う?

共益費を支払っていることだけで、個別の蜂の巣駆除費用を貸主が必ず負担するとまでは言えません。

国土交通省の標準契約書では、共益費は階段・廊下等の共用部分の維持管理に必要な光熱費や清掃費等へ充てるものとして整理されています。

実際の蜂駆除をどの費目で扱うかは契約や管理内容によります。

「共益費を払っているから全部無料」とは考えず、管理会社へ確認してください。

スズメバチなら大家負担になる?

蜂の種類だけで費用負担者が決まるわけではありません。

ただしスズメバチは危険性が高いため、管理会社・大家が専門業者を手配する判断になりやすい場面があります。

費用負担とは別に、安全上はDIYを避けて専門対応を優先します。

稲城市もスズメバチについて攻撃性が強く危険性が高いため、専門業者への委託を推奨しています。

アシナガバチの小さい巣なら自分で取ってよい?

自己所有の住宅なら条件によってDIYが検討できる小規模巣でも、賃貸では建物管理の問題が加わります。

特に、

  • 外壁
  • 軒天
  • 共用部
  • 室外機設備
  • 高所

へ薬剤を使ったり工作したりする場合は、先に管理会社へ確認してください。

入居者が勝手に外壁へ穴を開けたり、部材を外したりしないようにします。

高い場所の蜂の巣は入居者が取る必要はない

費用を誰が払うかとは別に、高所の蜂の巣を入居者自身で取る必要はありません。

脚立、はしご、屋根、窓から身を乗り出す作業が必要ならDIYは避けます。

巣が小さい春先でも、高所作業そのものに転落の危険があります。

管理会社へ確認する内容

蜂の巣を報告したら、次の事項を確認しておくとスムーズです。

  • 管理会社側で現地確認するか
  • 大家・管理会社が業者を手配するか
  • 入居者が業者を選んでよいか
  • 駆除費用を誰が負担するか
  • 費用上限があるか
  • 自治体制度を使うか
  • 高所作業費等の追加料金を誰が負担するか
  • 外壁・軒天などの補修も必要か
  • 再発した場合はどうするか

業者を自分で手配することになった場合

管理会社から「入居者側で手配してください」と案内された場合も、できれば費用負担について先に確認します。

蜂の巣駆除は、

  • 蜂の種類
  • 巣の大きさ
  • 高さ
  • 屋根裏・壁内等の場所
  • 巣を完全に撤去できるか
  • 複数の巣があるか

などによって料金が変わります。

依頼前に、作業後ではなく作業前の総額と追加料金条件を確認してください。

費用の比較は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先の確認は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。

場所別の確認先

蜂の巣の場所 最初の確認先 費用判断で見るもの
共用廊下・階段 管理会社・大家 管理区分、契約
外壁・軒下・屋根 管理会社・大家 建物管理、修繕範囲
ベランダ 管理会社・大家 管理規約、専用使用部分、賃貸契約
室外機 管理会社・大家 設備所有者、設置場所、契約
室内 管理会社・大家へ報告 侵入原因、契約、借主側原因の有無
専用庭 管理会社・大家 庭の管理義務、契約特約
駐車場・敷地 管理会社・大家 使用契約、共用管理範囲

この表は費用負担者を確定するものではなく、誰へ先に確認するかの目安です。

賃貸で蜂の巣を見つけたときの対応順

  1. 巣へ近づかず、人やペットを遠ざける
  2. 安全な場所から巣の位置・大きさ等を記録する
  3. 賃貸借契約書・特約を確認する
  4. 管理会社・大家へ連絡する
  5. 巣の場所の管理区分を確認する
  6. 誰が業者を手配するのか確認する
  7. 費用負担を作業前に確認する
  8. 自治体の無料駆除・助成制度を確認する
  9. 必要なら専門業者へ依頼する
  10. 作業前に総額・追加料金を確認する
  11. 施工後の記録・領収書を保管する

よくある質問

賃貸の蜂の巣駆除は大家が払うのですか?

必ず大家負担とは限りません。契約書、巣の場所、建物側の原因、入居者の故意・過失、管理状況などから判断します。まず管理会社・大家へ連絡してください。

ベランダの蜂の巣は入居者負担ですか?

一律には判断できません。マンションではバルコニーが共用部分の専用使用部分として扱われる例もあります。管理規約と賃貸借契約を確認してください。

共用廊下の蜂の巣を自分で取る必要がありますか?

通常はまず管理会社・大家へ連絡します。複数住戸へ関係する場所なので、個人で薬剤散布や施工をするのは避けてください。

入居直後に大きな蜂の巣がありました。

入居前から存在していた可能性もあるため、写真と発見日を残し、すぐ管理会社へ連絡してください。自分で業者を手配する前に費用負担を確認します。

管理会社に連絡する前に業者へ依頼してもよいですか?

緊急事情がない限り、先に管理会社・大家へ連絡する方がよいでしょう。指定業者がある場合や、貸主側で手配する契約になっている場合があります。

蜂の巣を放置していたら自分の負担になりますか?

放置だけで自動的に全額借主負担になるとは限りません。ただし、発見後の長期間の放置によって被害や費用が拡大した場合は、費用負担の判断材料になる可能性があります。発見時点で早めに通知してください。

スズメバチでも自分で駆除しないといけませんか?

費用負担とは別に、スズメバチは危険性が高いためDIYを避け、管理会社・自治体・専門業者へ相談してください。

自治体が無料で取ってくれますか?

地域によって異なります。無料駆除、費用助成、防護服貸出、業者案内だけなど制度はさまざまです。賃貸では所有者・管理会社の申請が必要な場合もあるため、依頼前に自治体公式情報を確認してください。

共益費を払っているので大家負担ですか?

共益費を支払っていることだけで個別の蜂駆除が必ず貸主負担になるとは言えません。契約内容と管理会社の費用区分を確認してください。

管理会社が「入居者負担」と言っていますが従うしかありませんか?

まず、その根拠となる契約条項・特約・管理区分を確認してください。建物側の不具合や共用部分に関係する場合などは事情が異なる可能性があります。判断がまとまらない場合は住宅相談や消費生活相談等も利用できます。

参考情報

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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