シロアリの羽アリが出る時期は、種類によってかなり違います。
住宅でよく問題になるヤマトシロアリは主に4~5月、イエシロアリは6~7月が目安です。一方、アメリカカンザイシロアリは6~9月にも羽アリが見られるため、「7月を過ぎたからシロアリではない」とは判断できません。
さらに、普通のアリにも羽アリがいます。見つけた月は種類を絞る重要な手掛かりですが、時期だけでシロアリと断定せず、時間帯、地域、触角、羽、胴体の形、どこから出てきたかを合わせて確認することが大切です。
シロアリの羽アリが出る時期を種類別に比較
| 種類 | 羽アリの主な時期 | 時間帯 | 時期を見るときの注意 |
|---|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 主に4~5月 | 昼間 | 沖縄では2月頃、東北・北海道では6月頃になることがある |
| イエシロアリ | 主に6~7月 | 夕方~夜 | 光に集まることがあり、窓や照明周辺でも見つかる |
| アメリカカンザイシロアリ | 主に6~9月 | 昼間 | ヤマト・イエより遅い時期にも羽アリが見られる |
| ダイコクシロアリ | 主に5~8月 | 夜 | 主に南西諸島など分布地域を考慮する |
公益社団法人日本しろあり対策協会では、羽アリの群飛時期と時間帯は、シロアリの種類を判断する手掛かりになるとしています。
ただし、気温、地域、その年の気象条件によって時期は前後します。カレンダーだけで種類を確定するのではなく、「候補を絞る材料」として使います。
4月に羽アリが出た場合
4月の昼間に羽アリを見つけた場合、まず候補になるのがヤマトシロアリです。
ヤマトシロアリは日本の広い地域に分布しており、一般的には4~5月に羽アリが群飛します。
東京都保健医療局では、ヤマトシロアリの羽アリについて、主に4~5月の雨上がりで、その後晴れて風がある日の昼間に飛ぶと案内しています。
そのため、春に雨が降った翌日などに黒っぽい羽アリがまとまって現れた場合は、ヤマトシロアリも候補に入ります。
ただし、4月に出たというだけではシロアリ確定ではありません。触角が数珠状か、4枚の羽がほぼ同じ大きさか、胴体に強いくびれがないかなども確認します。
5月に羽アリが出た場合
5月もヤマトシロアリの代表的な群飛時期です。
特に、浴室、洗面所、玄関、床や壁の隙間など、建物の特定箇所からまとまって羽アリが出てきた場合は、外から飛んできただけなのか、建物内部や近くに生息場所があるのかを確認する必要があります。
一方、普通のアリ類も春から秋にかけて羽アリを出します。横浜市では、さまざまなアリ類が5~10月頃に結婚飛行を行うと案内しています。
したがって、「5月の羽アリだからシロアリ」と月だけで決めないことが重要です。
6月は複数のシロアリが候補になる
6月は、羽アリを時期だけで判断しにくくなる月です。
主な候補には次のようなものがあります。
- 東北・北海道など、時期が遅い地域のヤマトシロアリ
- イエシロアリ
- アメリカカンザイシロアリ
- 普通のアリ類の羽アリ
このため6月は、月に加えて時間帯と地域を見ることが特に重要です。
昼間に出たのか、夕方から夜なのか。窓の外から照明へ飛んできたのか、床・壁・浴室などの隙間から出ているのかを記録してください。
6~7月の夕方から夜にまとまって現れ、照明へ集まる場合はイエシロアリの生態と合いますが、時間帯だけで確定はできません。
7月に羽アリが出てもシロアリの可能性はある
7月になるとヤマトシロアリの一般的な群飛時期からは外れてきますが、シロアリの可能性がなくなるわけではありません。
イエシロアリは6~7月、アメリカカンザイシロアリは6~9月頃まで羽アリが見られることがあります。
また、普通のアリ類の羽アリも多くなる時期です。
したがって7月は、月だけで判断するよりも、次の特徴を合わせて確認します。
- 触角が数珠状か、「く」の字形か
- 前後の羽がほぼ同じ大きさか
- 胴体に強いくびれがあるか
- 昼か夜か
- 照明に集まったのか
- 窓から入った可能性があるか
- 壁、床、柱などの特定箇所から出ていないか
8月・9月の羽アリでもシロアリを完全には除外できない
8月や9月になると、ヤマトシロアリやイエシロアリの一般的な群飛時期は過ぎています。
しかし、アメリカカンザイシロアリは6~9月頃に羽アリが飛ぶとされており、地域によってはダイコクシロアリなど別種も候補になります。
そのため、夏の終わりに羽アリを見つけた場合も「シロアリの季節は終わったから問題ない」と決めつけず、虫そのものの形と建物の痕跡を確認します。
冬に羽アリがいなければシロアリはいない?
羽アリが見られる時期と、建物にシロアリがいるかどうかは同じ意味ではありません。
羽アリは巣から新しい繁殖場所へ飛び立つ特定の時期に目立つため、羽アリを見ない季節でも、蟻道や木材の食害など別のサインが残っていることがあります。
また、ヤマトシロアリでも地域差があり、日本しろあり対策協会では沖縄では2月頃から羽アリが出る場合があるとしています。
季節だけで被害の有無を判断せず、気になる痕跡がある場合は害獣・害虫の症状・痕跡から調べるも確認してください。
「雨上がりに羽アリが出る」はすべてのシロアリに当てはまるわけではない
春の雨上がりに羽アリが大量に出た、という相談はよくあります。
東京都ではヤマトシロアリについて、4~5月の雨上がりで、その後晴れて風がある日の昼間に羽アリが飛ぶと案内しています。
ただし、これは特にヤマトシロアリを判断するときの手掛かりです。
イエシロアリは6~7月の夕方から夜、アメリカカンザイシロアリは6~9月の昼間など、種類によって条件は異なります。
「雨上がりだからシロアリ」「雨が降っていないからシロアリではない」という判断は避けてください。
地域によって羽アリの時期はずれる
同じヤマトシロアリでも、日本全国で同じ日に羽アリが出るわけではありません。
日本しろあり対策協会では、ヤマトシロアリの一般的な群飛期を4~5月としながら、沖縄では2月頃、東北・北海道では6月頃になるとしています。
イエシロアリも温暖な地域を中心に分布するため、地域によって遭遇する可能性は変わります。
東京都保健医療局は、東京都内でイエシロアリが見られることは稀としつつ、島しょ部は例外としています。
羽アリを見たときは、全国一律の月だけでなく、居住地域も合わせて考えます。
時期だけでシロアリと普通のアリを見分けない
普通のアリにも羽のある繁殖個体がいます。
横浜市は、さまざまなアリ類が5~10月に結婚飛行を行うと説明しています。つまり、シロアリの群飛時期と普通のアリの羽アリが出る時期には重なりがあります。
そのため、羽アリを見つけたら時期に加えて次の3点を確認します。
| 確認項目 | シロアリの羽アリ | 普通のアリの羽アリ |
|---|---|---|
| 触角 | 数珠状で比較的まっすぐ | 途中で曲がった「く」の字形 |
| 羽 | 前後4枚がほぼ同じ大きさ | 前の羽が後ろの羽より大きい |
| 胴体 | くびれが目立たず寸胴 | 腰の部分がくびれる |
色だけでは判定しません。ヤマトシロアリの羽アリも黒っぽく見えるため、「黒いから普通のアリ」という判断はできません。
羽アリを見つけたら月・時間・場所を記録する
シロアリかもしれない羽アリを見つけたときは、すぐに発生場所を壊したり、大量の殺虫剤を吹き付けたりする前に、次の情報を残しておくと種類や発生源を判断しやすくなります。
- 見つけた日付と月
- 昼・夕方・夜のどの時間帯か
- 当日と前日の天候
- 家の中か屋外か
- 窓際、浴室、洗面所、玄関、床、壁など具体的な場所
- 一匹・数匹か、多数出ているか
- 窓から飛んできたように見えるか
- 床や壁など特定の隙間から次々出ているか
- 触角・羽・胴体が分かる写真
可能であれば数匹を袋などに保管しておくと、後で確認するときの材料になります。
公益社団法人日本しろあり対策協会も、調査を依頼する場合は、羽アリが出た場所を記録し、出てきた虫を保管するよう案内しています。
大量発生や建物内部から出ている場合は時期だけで様子を見ない
羽アリの時期がシロアリの群飛期と一致していても、羽アリの数だけで建物被害の程度を判断することはできません。
一方で、次のような状態では、時期の確認だけで終わらせず建物の点検を検討します。
- 床や壁、柱、巾木、浴室周辺などから多数出ている
- 室内に大量の羽が落ちている
- 同じ場所から何日も続けて出る
- 基礎や木部に泥状の筋がある
- 木材に食害や空洞化が疑われる
- 床が沈む、ふかふかするなど別の異常もある
蟻道らしいものを見つけても、確認のためにすべて壊す必要はありません。位置と状態を写真で残し、安全な範囲から確認します。
床下へ無理に潜ることも避けてください。
シロアリ全般の確認ポイントはシロアリ対策の基礎知識、建物のどの場所に異常が出ているかを確認したい場合は住宅の場所から害獣・害虫トラブルを調べるから確認できます。
点検や駆除を依頼するときは料金の範囲も確認する
羽アリを見つけたからといって、その場ですぐ契約する必要はありません。
調査を依頼する場合は、シロアリの種類、被害範囲、施工面積、使用する工法、保証期間、追加工事の条件などを確認します。
料金を見るときは、広告に表示された最低価格だけでなく、実際に必要となる施工範囲を含めた総額で比較してください。
費用の考え方は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先を比較するときの確認事項は害獣・害虫駆除業者の選び方で整理しています。
よくある質問
4月に羽アリが出たらシロアリですか?
4月の昼間はヤマトシロアリの群飛時期と一致しますが、月だけでは確定できません。触角、前後の羽の大きさ、胴体のくびれ、発生場所なども確認します。
5月の黒い羽アリはヤマトシロアリですか?
ヤマトシロアリの羽アリは4~5月頃に多く、黒っぽく見えるため候補になります。ただし普通のアリの羽アリもいるため、色だけで判断しません。
6月に羽アリが出た場合は何シロアリですか?
地域によっては時期の遅いヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリなど複数の候補があります。地域と、昼か夕方~夜かを合わせて確認します。
7月の夜に出た羽アリはイエシロアリですか?
6~7月の夕方から夜はイエシロアリの群飛時期と合います。ただし普通のアリ類も羽アリを出す時期なので、夜という条件だけで断定しません。
雨上がりに羽アリが出たらシロアリですか?
ヤマトシロアリでは、4~5月の雨上がりの晴れた日に群飛することがあります。ただし、雨上がりだけでシロアリと判断することはできません。
8月や9月ならシロアリではありませんか?
そうとは限りません。アメリカカンザイシロアリは6~9月頃にも羽アリが見られます。地域によってはほかのシロアリも候補になるため、虫の形と建物の痕跡を確認します。
羽アリが出る時期以外ならシロアリ被害はありませんか?
羽アリが見えない季節でも、蟻道や食害など別のサインが残っている場合があります。羽アリの有無だけで建物内のシロアリの有無を判断しない方が安全です。
