家の中や窓際に、羽の付いたアリのような虫が何匹もいる。浴室や玄関の隙間から突然出てきた。床には虫だけでなく、取れた羽も落ちている。
こうした羽アリを見つけると、「シロアリではないか」と心配になるかもしれません。
羽アリはシロアリだけではありません。一般的なアリの仲間にも、繁殖の時期になると羽を持つ個体が現れます。
そのため、羽があるというだけではシロアリとは判断できません。
一方、シロアリとアリの羽アリには、触角、羽、胴体の形に比較的分かりやすい違いがあります。
このページでは、家の中で羽アリを見つけたときに、シロアリか普通のアリかを自分で確認できる範囲、発生時期、見つけた後に残しておきたい情報、建物点検を考えた方がよい状態まで整理します。
シロアリの種類、被害、蟻道、予防、駆除までまとめて確認したい場合は、シロアリ対策の総合ページをご覧ください。
シロアリの羽アリと普通のアリは3か所を見る
公益社団法人 日本しろあり対策協会は、シロアリとアリを見分けるポイントとして、
- 触角
- 翅(羽)
- 腰のくびれ
の3点を挙げています。
| 確認する場所 | シロアリの羽アリ | 普通のアリの羽アリ |
|---|---|---|
| 触角 | 数珠状で、比較的まっすぐに見える | 途中で曲がった「く」の字状 |
| 羽 | 前後4枚がほぼ同じ大きさ・形 | 前の羽が後ろの羽より大きい |
| 胴体 | 腰のくびれが目立たず寸胴 | 腰がはっきり細くくびれる |
虫の色より、まずこの3点を見てください。
1.触角|シロアリは数珠状、アリは「く」の字
比較しやすい特徴の一つが触角です。
シロアリの触角は、小さな粒が連なったような数珠状をしています。
一方、普通のアリの触角は途中で折れ曲がり、「く」の字のように見えます。
羽が取れてしまっていても触角が残っていれば、判断材料になります。
2.羽|シロアリは4枚がほぼ同じ大きさ
羽が残っている場合は、前後の羽の大きさを比較します。
シロアリには4枚の羽があり、前側と後ろ側の羽がほぼ同じ大きさ・同じ形をしています。
普通のアリも4枚ありますが、前の羽の方が後ろの羽より大きくなります。
虫体そのものを細かく確認できない場合でも、床や窓際へ落ちた羽が残っていれば手掛かりになることがあります。
3.胴体|シロアリは寸胴、アリは腰がくびれる
横からではなく上から体全体を見ると分かりやすい特徴です。
普通のアリは胸部と腹部の間が細く、はっきりと「腰」があります。
シロアリはこの部分のくびれが目立たず、全体として寸胴に見えます。
羽がすでに取れている場合には、触角と腰の形が特に重要な確認点になります。
黒い羽アリなら普通のアリ?
黒いから普通のアリとは限りません。
シロアリという名前から、白い虫を想像するかもしれませんが、羽アリの体色は働きアリのような白色とは限りません。
例えばヤマトシロアリの羽アリは黒褐色系に見えるため、色だけを見れば一般的な黒いアリと混同する可能性があります。
「黒い=クロアリ」「白い=シロアリ」という判別はせず、
- 触角
- 前後の羽の大きさ
- 腰のくびれ
を確認してください。
茶色い羽アリならシロアリ?
茶色・黄褐色に見えることも、シロアリを確定する材料にはなりません。
光の当たり方、種類、虫体の状態によっても色は違って見えます。
色は補助情報と考え、体の形を優先して判断します。
羽が取れていてもシロアリか見分けられる?
羽アリは飛翔後に羽を落とすことがあります。
そのため、見つけた虫に羽が付いていなくても、「羽がないからシロアリではない」とは言えません。
羽が取れている場合は、
- 触角が数珠状か
- 腰が寸胴か、くびれているか
- 周囲に同じような羽が多数落ちていないか
- どこから出てきたか
を確認します。
羽だけ大量に落ちている場合も確認する
窓際、浴室、玄関、床などに同じ形の羽が大量に落ちている場合も、羽アリが発生した痕跡になります。
シロアリの羽アリは飛び立った後に羽を落とすため、虫体がすでに見当たらなくても、発生場所周辺に羽が残ることがあります。
掃除する前に写真を撮り、どこに集中して落ちていたか記録しておくと、後の確認に役立ちます。
発生した時期と時間帯も種類を絞る手掛かりになる
シロアリの種類によって、羽アリが現れやすい時期と時間帯が異なります。
日本しろあり対策協会が示している代表的な群飛時期は次のとおりです。
| 種類 | 主な時期 | 主な時間帯 |
|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 4〜5月ごろ | 昼間 |
| イエシロアリ | 6〜7月ごろ | 夜 |
| アメリカカンザイシロアリ | 6〜9月ごろ | 昼間 |
| ダイコクシロアリ | 5〜8月ごろ | 夜 |
ヤマトシロアリについては地域差があり、沖縄では2月ごろ、東北・北海道では6月ごろが目安とされています。
時期は種類を絞る補助材料になりますが、時期だけでシロアリか普通のアリかを断定するものではありません。
4〜5月の昼間に羽アリが出た場合
本州などで4〜5月の日中にまとまった羽アリが発生した場合は、ヤマトシロアリの群飛時期と重なります。
特に、
- 浴室
- 洗面所
- 玄関
- 床の隙間
- 柱の根元
- 窓枠周辺
など、建物内部の特定箇所からまとまって出てきた場合は、形を確認したうえで建物点検を検討します。
6〜7月の夜に灯りへ集まる羽アリ
6〜7月の夜に飛び、照明へ集まる場合はイエシロアリの群飛時期とも重なります。
ただし、夏の夜には普通のアリや他の昆虫も照明へ集まります。
窓の外から飛来しただけなのか、室内の壁・床・木部などから出てきたのかも重要です。
6〜9月の昼間に何度も少数ずつ出る場合
アメリカカンザイシロアリでは、6〜9月ごろの日中に、何度かに分けて羽アリが出ることがあります。
この種類は、ヤマトシロアリなどとは異なり、乾燥した木材にも生息できます。
東京都保健医療局は、アメリカカンザイシロアリについて、乾燥した材を食害し、材の排出口から顆粒状の特徴的な糞を出すことを案内しています。
窓枠・木材・家具などの下に、乾燥した砂粒やケシの実のような粒が繰り返したまる場合は、羽アリとは別の重要な痕跡になります。
羽アリが数匹いただけでもシロアリ被害なのか
窓際に数匹いただけなら、屋外から飛来した可能性もあります。
そのため、数匹見つけただけで「家がシロアリに食べられている」と断定する必要はありません。
一方、日本しろあり対策協会は、ゴールデンウィークごろに玄関前でシロアリの羽アリと思われる死骸が数匹見つかったケースでも、念のため建物を点検するよう案内しています。
少数でも形態がシロアリに一致する場合は、発生場所と建物側の痕跡を確認する価値があります。
家の中から大量に出てきた場合
室内へ多数の羽アリが突然現れた場合は、どこから出てきたのかを確認します。
特に、
- 床と壁の隙間
- 柱の根元
- 浴室周辺
- 玄関枠
- 窓枠
- 畳周辺
など、建物内部の一か所から継続して出ている場合は、その場所の近くにシロアリ被害がないか確認する理由があります。
東京都保健医療局も、シロアリの羽アリが飛翔している付近ではシロアリ被害がある可能性があるとして、早期発見・早期対応を案内しています。
家の外から飛んできた羽アリとの違い
羽アリが家に入ったからといって、必ず家の中から発生したとは限りません。
群飛期には屋外から飛んできた羽アリが、
- 開いた窓
- 網戸の隙間
- 玄関
- 換気口
などから入り込むことも考えられます。
確認したいのは、
- 特定の床や壁の隙間から出てくるか
- 窓際に外から飛来しただけか
- 何十匹、何百匹という単位でまとまって出たか
- 翌年も同じ場所で発生するか
です。
毎年同じ時期に同じ場所から出る場合
毎年4〜5月ごろなど、ほぼ同じ時期に建物内部から羽アリが出る場合は、点検を考えた方がよい状態です。
日本しろあり対策協会も、毎年5月ごろに羽アリが出るという相談に対して、シロアリの羽アリである可能性が高いため専門業者による確認を勧めています。
羽アリ以外に確認したいシロアリのサイン
羽アリだけでなく、建物に別の痕跡がないか確認すると判断しやすくなります。
蟻道
シロアリは地中から建物へ入るとき、基礎や束石などの表面に土でできたトンネル状の通路を作ることがあります。
日本しろあり対策協会は、この「蟻道」を代表的な発見サインとして挙げています。
木材内部の食害
シロアリは木材の内部を食害するため、表面上は大きな変化がなくても内部が空洞化している場合があります。
床がふわふわ・ぶかぶかする
床下の木材が被害を受けている場合、床の感触に変化が出ることがあります。
玄関・浴室周辺の木部異常
湿気の多い場所はヤマトシロアリ被害の確認ポイントになります。
砂粒のような糞
乾燥した木材や窓枠などの下へ、硬い砂粒のような糞が繰り返し落ちる場合は、アメリカカンザイシロアリも候補になります。
江戸川区も、乾燥したケシの実のような俵型の粒がアメリカカンザイシロアリの糞だった相談事例を紹介しています。
シロアリは人を刺したり感染症を広げたりする虫ではない
シロアリを見つけると健康被害を心配するかもしれませんが、住宅で問題になる中心は建物への食害です。
東京都保健医療局は、シロアリを家屋・家具などの木材を食害する経済害虫とし、感染症の媒介や健康被害をもたらす衛生害虫ではないと説明しています。
したがって、人への感染症を過度に心配する必要はありません。
重要なのは、建物内部に被害があるかを確認することです。
羽アリを見つけたら、すぐ殺虫剤を隙間へ大量に吹き込まない
羽アリが突然出ると、市販の殺虫剤を発生している隙間へ大量に噴射したくなるかもしれません。
しかし、日本しろあり対策協会は、点検を依頼する予定がある場合、虫が逃げてしまうため可能であればそのままにしておくことを案内しています。
殺虫剤を使用する場合でも、どこから出てきたかを記録し、虫体を袋などに残して業者へ見せることが勧められています。
見えている羽アリを処理することと、建物内のシロアリ被害を解決することは別です。
最初に写真を撮る
清掃する前に、スマートフォンで次を記録しておくと判断材料になります。
- 虫体全体
- 触角
- 羽
- 胴体
- 落ちている羽
- 発生した場所
- 周囲の床・壁・木部
可能であれば数匹を潰さず袋や容器に残しておくと、後で種類を確認しやすくなります。
発生した日時も記録する
シロアリでは発生時期と時間帯も種類を絞る重要な材料です。
例えば、
- 4月下旬の昼
- 5月の雨上がりの日中
- 6月の夜
- 7月の夜に照明へ集まった
といった情報を残してください。
黒い羽アリだから殺虫して終わり、にはしない
外から飛来した普通のアリなら、建物内部の食害対策は必要ない場合があります。
しかし、形態がシロアリに一致している場合、目の前の羽アリを殺虫して見えなくなっても、木材内部のシロアリまでいなくなったとは判断できません。
「羽アリが消えた=シロアリ被害が解決した」とは考えないようにします。
点検を考えた方がよい状態
- 触角・羽・胴体がシロアリの特徴に一致する
- 室内の床・壁・柱の隙間から大量に出た
- 毎年同じ場所から羽アリが出る
- 4〜5月の日中に建物内部から多数出た
- 6〜7月の夜に建物内部から多数出た
- 基礎などに蟻道がある
- 床がぶかぶかする
- 木材内部が空洞化しているように感じる
- 砂粒状の糞が繰り返したまる
このような状態では、羽アリだけを処理するのではなく、建物のどこまで被害があるか確認する意味があります。
一匹見つけただけなら緊急工事が必要?
羽アリを一匹見つけただけで、すぐ高額な駆除工事を契約する必要はありません。
屋外から飛来した可能性もあります。
まず、
- 虫の形を確認する
- 写真を撮る
- 発生場所を記録する
- 同じ場所から続けて出るか確認する
- 建物側に蟻道など別の痕跡がないか確認する
と進めます。
シロアリの特徴に一致する場合には点検を検討します。
床下へ自分で潜る必要はない
シロアリか確かめるために、自分で無理に床下へ入る必要はありません。
床下には、
- 狭い空間
- 配管
- 電気設備
- 釘や金具
- 湿気
- カビ
などがあり、安全に移動できない住宅もあります。
基礎の外側など、安全に見られる場所から蟻道を確認する程度にとどめても構いません。
住宅のどの部位を確認するかは住宅の場所から害獣・害虫を探すでも整理しています。
賃貸住宅で羽アリが出た場合
アパートや賃貸住宅で、床・壁・洗面所など建物部分から羽アリが出た場合は、勝手に大規模な施工を依頼する前に管理会社や大家へ連絡します。
日本しろあり対策協会も、アパートの床の隙間から羽アリが出たケースについて、まず管理会社・大家へ連絡して業者に確認してもらう相談例を掲載しています。
連絡するときは、
- 発生日時
- 発生した部屋
- どの隙間から出たか
- 虫の写真
- 羽の写真
- おおよその数
を伝えると状況を共有しやすくなります。
業者へ相談するときに確認したいこと
羽アリを見つけたからといって、その場で高額な工事契約を急ぐ必要はありません。
点検を依頼するときは、
- 羽アリの種類を確認するか
- 発生場所を調べるか
- 床下・木部の被害範囲を確認するか
- 蟻道などの痕跡を説明してくれるか
- 施工が必要な理由を示すか
- 施工範囲
- 使用する薬剤・工法
- 料金の内訳
- 追加料金の条件
- 保証内容
を確認します。
点検の結果、シロアリではなかった場合にも、その根拠を説明してもらえると判断しやすくなります。
訪問販売でその場の契約を急がない
シロアリは床下など普段見えない部分を扱うため、利用者側が施工の必要性を判断しにくい分野です。
江戸川区も、害虫駆除について、訪問して駆除を持ちかけ、必要のない処理を行って料金を請求する悪質業者に注意するよう案内しています。
緊急性がない場合は、説明内容と施工条件を確認してから判断します。
依頼先の比較方法は害獣・害虫駆除業者の選び方でも整理しています。
費用は建物・被害範囲・施工方法で変わる
シロアリ対策の費用は、羽アリの数ではなく、
- 建物面積
- 被害範囲
- シロアリの種類
- 床下へ入れるか
- 駆除か予防か
- 使用する工法
- 保証内容
などによって変わります。
この記事では「羽アリの識別」に検索意図を限定しているため、価格については害獣・害虫駆除の費用と相場で確認してください。
羽アリを見つけたら「色」より触角・羽・腰を見る
シロアリの羽アリか普通のアリかを見分けるときに、最も重要なのは黒・茶色といった色ではありません。
確認する順番は、
- 虫体と発生場所を写真に撮る
- 触角が数珠状か、くの字かを見る
- 前後4枚の羽がほぼ同じ大きさかを見る
- 腰が寸胴か、くびれているかを見る
- 羽がない場合は触角と腰を確認する
- 発生した月と時間帯を記録する
- 蟻道・木部・床などに別の異常がないか確認する
という流れが分かりやすいでしょう。
数珠状の触角、前後ほぼ同じ大きさの4枚の羽、くびれのない胴体がそろう場合は、シロアリを強く疑う特徴です。
反対に、くの字の触角、前翅の方が大きい、腰がはっきりくびれている場合は、一般的なアリの羽アリの特徴に一致します。
シロアリらしいと判断した場合は、目の前の羽アリを処理して終わりにせず、シロアリ対策の総合ページで蟻道や住宅被害も確認してください。
シロアリかどうかまだ判断できない場合は、症状・痕跡から害獣・害虫を探す、害虫全体から確認する場合は害虫対策の総合ページも利用できます。
参考にした主な情報
- 公益社団法人 日本しろあり対策協会「シロアリの見分け方を教えてください」
- 公益社団法人 日本しろあり対策協会「羽アリが飛ぶ時期はいつごろですか?」
- 公益社団法人 日本しろあり対策協会「羽アリが発生したので業者を呼びました。その間気持ち悪いので殺虫剤をスプレーしてもよいでしょうか。」
- 公益社団法人 日本しろあり対策協会「誰でも簡単に確かめられるシロアリ発見法を教えて下さい」
- 東京都保健医療局「シロアリ」
- 江戸川区「相談事例から『砂粒のような木くずは虫のフン?』」
- 横須賀市「シロアリの確認について」
生態・自治体情報は2026年9月13日時点で確認しています。羽アリの発生時期には地域差・気象条件による変動があります。色や発生月だけで種類を確定せず、触角・羽・胴体・発生場所などを組み合わせて判断してください。
