夜になると、屋根裏や天井裏から「クルクル」「キュー」「グルル」と聞こえるような声がする。
さらに、ドタドタと重量感のある足音まで聞こえると、「アライグマが家に入っているのでは」と気になることがあります。
アライグマは実際にさまざまな声を出す動物です。
ただし、特定の鳴き声だけでアライグマと判断することはできません。
屋根裏へ入る動物には、ハクビシン、イタチ、ネズミなどもいます。鳥やネコの声が屋根・軒周辺から聞こえてくることもあります。
アライグマを疑う場合は、鳴き声と一緒に、
- 屋根裏を歩く大きな足音
- 人の手のような5本指の足跡
- 柱や雨どいを登った爪跡
- 天井のシミ
- 糞尿
- 建物の破損
- 夜に屋根や庭を歩く姿
などがないか確認してください。
アライグマはどんな鳴き声を出す?
アライグマの鳴き声は一種類ではありません。
海外の公的な野生動物機関では、アライグマの発声として、
- 細かく連続するチャッター音
- 低いうなり声
- 威嚇するような唸り・鼻息
- 甲高い叫び声
- 弱く鳴く声
- 喉を鳴らすような声
など複数のタイプが確認されています。
そのため、インターネットでよく見かける「この鳴き声ならアライグマ」という一つの擬音だけでは判定できません。
日本では「クルクルという甲高い声」が侵入サインとして紹介されている
日本のアライグマ被害対策資料では、家屋へアライグマが入り込んでいる可能性を示すサインの一つとして、
天井裏から「クルクル」という甲高い鳥のような声が聞こえる
という例が使われています。
実際、鳥の声と聞き間違えるような高い声が屋根裏から聞こえる場合があります。
ただし、これはアライグマが出すすべての声を表したものではなく、また「クルクル」という音なら必ずアライグマという意味でもありません。
子どもがいると高い声が聞こえることがある
アライグマは家屋の屋根裏などを休息・繁殖場所として利用することがあります。
東京都では、一般的に冬から春先に交尾し、春から初夏に出産するとしていますが、夏以降の繁殖も確認されています。
子どもがいる場所では、成獣だけが利用している場合より、高い声や複数個体の物音が聞こえることがあります。
ただし、高い声がするから「赤ちゃんのアライグマ」と断定する必要はありません。
鳥、ネコ、ほかの中型動物も候補に残します。
低い唸り声や激しい声を出すこともある
アライグマは甲高い声だけでなく、低く唸るような声や、威嚇時に激しい声を出すことがあります。
北米の公的な野生動物資料では、
- growl
- snarl
- hiss
- scream
- chatter
など複数の発声が記録されています。
そのため、「アライグマはいつもキューキュー鳴く」「いつもグルルと鳴く」と一つのパターンへ固定しない方がよいでしょう。
夜に声が聞こえやすい理由
アライグマは夜行性です。
東京都も、アライグマについて夜行性で、昼間は樹洞、納屋、家屋や寺社の屋根裏などで休息すると説明しています。
そのため住宅へ侵入している場合、
- 夜に屋根裏を移動する
- 夜間に外へ出る
- 明け方に戻る
といった動きに伴って声や足音へ気づきやすくなります。
ただし昼間に声がしたからアライグマではない、という判断もできません。
鳴き声より「足音」の方が住宅では重要なサインになる
アライグマを住宅で見分けるときは、鳴き声だけでなく足音も重要です。
東京都は、アライグマ・ハクビシンが家屋へ侵入している可能性を示す項目として「屋根裏で大きな音がする」ことを挙げています。
ネズミのような小動物では、
- カサカサ
- カリカリ
- 細かく走る音
として聞こえることがあります。
一方、中型動物が屋根裏を歩けば、
- ドタドタ
- ドン
- 天井板を踏むような音
と感じる場合があります。
ただし、音量だけでアライグマとハクビシンを区別することはできません。
「大きな足音+声」が続く場合に確認したいもの
夜間の声と大きな足音が同じ場所から聞こえるなら、次の痕跡を確認します。
| 痕跡 | 確認ポイント |
|---|---|
| 足跡 | 長い指が5本あるか |
| 爪跡 | 柱・雨どいなどを上方向へ登っているか |
| 天井 | シミ・汚れ・板のずれがないか |
| 糞 | 屋根裏などに中型動物らしい糞がないか |
| 外見 | 目の周りの黒いマスク・縞模様の尾があるか |
| 建物 | 軒・屋根・換気口周辺の破損がないか |
アライグマの足跡は5本指
アライグマの足跡は特徴的です。
行田市では、指が長く、足跡には5本の指が人の手形のように残ることを特徴として紹介しています。
前足は長さ約5.5cm・幅約6cm、後足は長さ約6.5〜8cm・幅約5〜6.5cmという目安も示されています。
庭の泥、雨どい周辺、屋根裏のほこりなどに5本指の足跡が残っていれば、声だけより強い判断材料になります。
5本指ならアライグマで確定?
確定ではありません。
ハクビシンも前後の足に5本の指があります。
そのため、
- 足跡の形
- 尾の模様
- 顔
- 糞
- 被害内容
まで組み合わせます。
アライグマは、人の手のように長く開いた指が目立ち、尾にはリング状の縞があります。
夜に屋根の上で見た場合
鳴き声がする時間帯に、庭や屋根を歩く動物を安全な場所から確認できれば、大きな識別材料になります。
アライグマの代表的な外見は、
- 目の周りの黒いマスク模様
- 灰色〜褐色の体
- 長い尾
- 尾のリング状の縞
です。
夜間で見えにくい場合は近づかず、室内や地上からズーム撮影できる範囲で記録します。
ハクビシンの鳴き声との違いは?
鳴き声だけで両者を正確に区別するのは困難です。
どちらも住宅の屋根裏を利用し、夜行性で、中型動物として大きな物音を出す可能性があります。
そのため、ハクビシンとの区別では声そのものより、外見・足跡・糞などを確認します。
| 特徴 | アライグマ | ハクビシン |
|---|---|---|
| 顔 | 目の周りが黒いマスク状 | 鼻から額へ白い線 |
| 尾 | リング状の縞 | 基本的に縞は目立たない |
| 足 | 5本指・人の手に近い印象 | 5本指 |
| 糞 | 食べ物で形状が変わる | 同じ場所へのため糞が特徴になりやすい |
「鳴き声だけでアライグマかハクビシンかを決める」のではなく、別の痕跡を優先してください。
鳥のような声なら鳥の可能性も残す
「クルクル」「キュー」のような高い声が天井裏から聞こえても、鳥そのものが屋根や軒へ入り込んでいる場合があります。
確認するのは、
- 朝に声が集中するか
- 羽音がするか
- 外から鳥が出入りしているか
- 小枝・羽などの巣材があるか
- 同時に大きな四足歩行の足音がするか
です。
甲高い声だけでアライグマとは決めません。
ネコの声との違いは?
屋根や床下の周辺では、屋外のネコの声が建物内部から聞こえているように感じる場合もあります。
特に繁殖期のネコは大きな声を出します。
ネコの場合、建物外での鳴き声だけで、
- 天井シミ
- 屋根裏の大量の糞尿
- 柱を登る5本指の跡
- 軒下の破損
まで一緒に出るとは限りません。
声がどこから聞こえているかを録音し、室内・屋根裏側なのか屋外なのか確認します。
鳴き声を録音しておく
原因動物が分からない場合、スマートフォンで鳴き声を録音しておくと相談時の材料になります。
記録するのは、
- 何時ごろか
- どの部屋で聞こえるか
- 何分程度続くか
- 声だけか足音もあるか
- 1匹らしいか複数らしいか
です。
「ギャー」「キュー」など自分が感じた擬音だけで説明するより、録音そのものがある方が情報を共有しやすくなります。
屋根裏へ鳴き声を確認しに行かない
声の正体を確認するために、屋根裏へ直接入る必要はありません。
屋根裏では、
- 野生動物との接触
- 噛まれる・引っかかれる
- 糞尿への接触
- 天井の踏み抜き
- 電気配線との接触
などの危険があります。
特に親子で利用している場合、野生動物へ近づくのは避けてください。
侵入口を見つけても先に全部塞がない
声や足音が現在も聞こえている状態なら、屋根や軒の穴を先に完全封鎖しないようにします。
内部に成獣や幼獣が残っている可能性があるためです。
内部に残った状態で出口を塞ぐと、別の場所から脱出しようとしたり、室内側へ移動したりする可能性があります。
現在の利用状況を確認し、不在を確認してから侵入口対策へ進みます。
アライグマの侵入を疑うその他のサイン
東京都は、アライグマ・ハクビシンの住宅侵入について、次のような状態を要注意サインとして挙げています。
- 屋根裏で大きな音がする
- 天井にシミができた
- 雨どいやベランダの一角にまとまった糞がある
- 夜に庭や屋根で見慣れない動物を見る
- 庭木の果実が食べられる
- 池の金魚などがいなくなる
鳴き声とこれらが複数重なるなら、アライグマまたはハクビシンなどの中型動物が住宅を利用している可能性が高まります。
家のどこから侵入する?
アライグマは木登りが得意で、柱なども登ります。
住宅では、
- 床下通風口
- 換気口
- 軒下
- 戸袋
- 屋根の重なり
- 増築部の接合部分
- 破損した外壁
などが侵入口になる場合があります。
声が聞こえる場所だけではなく、地上から安全に確認できる建物外周も記録します。
住宅の場所別に確認したい場合は住宅の場所から探すページを利用できます。
アライグマを自分で捕まえて遠くへ逃がしてよい?
この方法は行わないでください。
アライグマは環境省の特定外来生物に指定されています。
外来生物法では、特定外来生物の飼養・保管・運搬や、野外への放出などが原則として規制されています。
そのため、
- 自分で捕まえる
- 生きたまま車へ載せる
- 山など別の場所へ運ぶ
- そこで放す
という対応を自己判断で行いません。
自治体の防除制度や、必要な法令手続きのもとで対応できる専門事業者へ相談します。
自治体へ相談できる場合がある
東京都では、アライグマ・ハクビシン対策について区市町村と連携した防除を実施しています。
東京都は、アライグマ・ハクビシンの被害が疑われる場合、まず居住する区市町の環境担当部署などへ問い合わせるよう案内しています。
自治体によって、
- 相談のみ
- 現地調査
- 箱わなの設置
- 捕獲個体の回収
など対応範囲が異なります。
侵入口封鎖・糞尿清掃・建物修繕まで自治体が行うとは限らないため、対応範囲を確認してください。
専門業者へ相談した方がよい状態
- 夜ごとに屋根裏から大きな足音がする
- 鳴き声が数日以上続く
- 複数個体らしい声・足音がする
- 天井シミや強い糞尿臭がある
- 5本指の足跡・爪跡がある
- 屋根・軒に侵入口らしい破損がある
- 夜に縞模様の尾の動物を見た
- 幼獣がいる可能性がある
- 自分ではアライグマとハクビシンを区別できない
依頼するときは「鳴き声がする」だけではなく、録音、足跡写真、天井シミ、糞、侵入口候補などを伝えます。
業者へ依頼する場合の費用は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先を比較する場合は駆除業者の選び方も確認できます。
よくある質問
アライグマはどんな鳴き声ですか?
一種類ではありません。甲高い声、チャッター音、唸り、鼻を鳴らすような音、威嚇する声、叫び声などさまざまな発声があります。「この擬音ならアライグマ」と一つに決めないでください。
「クルクル」と鳴くのはアライグマですか?
日本のアライグマ侵入チェック資料では、天井裏から聞こえる「クルクルという甲高い鳥のような声」がサインの一例として紹介されています。ただし鳥やほかの動物の可能性もあるため、足跡・足音・糞等を確認します。
夜に屋根裏から大きな声と足音がします
アライグマやハクビシンなどの中型動物が候補になります。アライグマを疑う場合は、5本指の足跡、爪跡、縞のある尾、天井シミなどが重ならないか確認してください。
赤ちゃんのアライグマは高い声で鳴きますか?
親子間のコミュニケーションなどで高い声を出すことがあります。ただし高い声だけで幼獣とは断定できません。春〜初夏は繁殖・子育てが起こりやすい時期ですが、東京都では夏以降の繁殖も確認されています。
アライグマとハクビシンは鳴き声で区別できますか?
鳴き声だけでの確実な区別は困難です。アライグマの縞模様の尾、目の周囲の黒いマスク、人の手のような5本指足跡など、別の特徴を組み合わせてください。
鳥のような声が天井裏からします
アライグマの可能性もありますが、実際に鳥が営巣していることもあります。大きな四足歩行の足音、5本指の足跡、糞尿、天井シミなどが一緒にないか確認してください。
屋根裏を開けて確認してもよいですか?
鳴き声の正体を確認するために屋根裏へ入ることは勧めません。野生動物との接触や転落・踏み抜きなどの危険があります。室内と地上から記録できる範囲に留めてください。
アライグマを捕まえて山へ逃がせますか?
自己判断では行わないでください。アライグマは特定外来生物で、生体の保管・運搬・野外への放出などが外来生物法で原則規制されています。自治体の防除制度等を確認してください。
鳴き声がしなくなったので侵入口を塞いでもよいですか?
声が止まっただけでは内部にいないとは確認できません。特に幼獣が残っている可能性もあるため、不在を確認してから侵入口を塞ぎます。
アライグマの鳴き声は「声+大きな足音+住宅痕跡」で見分ける
アライグマは、甲高い声だけでなく、唸り、チャッター音、威嚇音、叫び声など複数の発声を行います。
日本の住宅被害資料で使われる「クルクルという甲高い鳥のような声」も、その一例です。
そのため、鳴き声を文字に置き換えてアライグマと決めるのではなく、
- 夜間・屋根裏から聞こえるか
- 重量感のある大きな足音もあるか
- 5本指の足跡・爪跡があるか
- 縞模様の尾・黒いマスクの動物を見たか
- 天井シミ・糞尿があるか
- 建物が破損しているか
を重ねます。
複数のサインが一致した場合は、屋根裏へ自分で入り込んだり、箱わなで捕獲して別の場所へ運んだりせず、自治体の防除制度や適法に対応できる専門業者へ相談してください。
まだ動物種が分からない場合は症状・痕跡から探すページ、害獣全般を比較する場合は住宅に侵入する害獣の総合ページから確認できます。
