蜂の巣は同じ場所にまたできる?駆除後の戻り蜂と再発防止

蜂の巣を撤去したあと、以前と同じ場所を蜂が飛んでいたり、翌年になってまた近くに巣を作られたりすることがあります。

ここで分けて考えたいのが、駆除直後に元の巣の位置へ戻ってくる蜂と、翌年以降に新しい女王蜂が新しく巣を作ることです。

横浜市は、一般的なスズメバチやアシナガバチの巣について、巣は1年限りで、翌年に同じ巣を使うことはないと案内しています。つまり、翌年に同じ軒下へ巣ができても、前年の古い巣をそのまま再利用しているとは限りません。

一方、雨風を避けられる軒下や、戸袋、換気口、庭木、屋根裏など、蜂が巣を作れる構造や環境がそのまま残っていれば、翌年も営巣場所の候補になる可能性があります。

再発防止では、巣を撤去しただけで終わらせず、「駆除直後」と「翌春」の2段階で確認することが大切です。

目次

蜂の巣を駆除したあとに蜂が戻ってくることはある

巣を撤去したあと、しばらく同じ場所の周囲を蜂が飛ぶことがあります。

駆除作業をしたときに巣の外へ出ていた働き蜂などが、元の巣があった場所へ戻ってくる現象は、一般に「戻り蜂」と呼ばれます。

市販の蜂用製品でも、「巣退治後に戻ってきた蜂」を対象とする使用用途が設定されているものがあり、駆除後に蜂が戻ること自体は想定されています。

ただし、蜂が数匹飛んでいるだけで「また巣を作られた」とは判断できません。

状況 考え方
撤去直後から同じ位置の周囲を蜂が飛ぶ 元の巣へ戻ってきた働き蜂などの可能性
同じ穴へ何匹もの蜂が繰り返し出入りする 壁内・屋根裏などに巣が残っている可能性も確認
翌春に新しい小さな巣ができた 新しい女王蜂による新規営巣の可能性
前年と同じ軒下だが、古い巣とは別の新しい巣がある 同じ場所が再び営巣場所として選ばれた可能性

駆除直後に蜂が飛んでいる場合と、数か月後・翌年に新しい巣ができた場合では、対策が異なります。

駆除後すぐに巣が作り直される場合は「戻り蜂」だけとは限らない

蜂の巣を撤去した直後に同じ場所やその近くで再び巣作りが始まった場合、巣の外にいた働き蜂が戻ってくる「戻り蜂」だけが原因とは限りません。

特にキイロスズメバチでは、7~8月頃に元の巣が手狭になると、新しい場所へ巣を移す「引越し」が起こることがあります。引越しの途中では元の巣と新しい巣の両方を働き蜂が行き来するため、新しい巣だけを撤去しても、元の巣から働き蜂が再び来て巣作りを続けるように見える場合があります。

駆除後すぐ同じ場所で多数のスズメバチが出入りしている、短期間で巣が作り直される、近くの壁内・屋根裏・閉鎖空間にも出入りがある場合は、自分で巣を繰り返し撤去せず、周辺に別の巣や引越し元がないか専門業者による確認を検討してください。

前年の蜂の巣を翌年また使うのか

住宅周辺でよく問題になるスズメバチやアシナガバチでは、前年の巣を翌年そのまま使用するのが通常ではありません。

横浜市港北区は、蜂の巣について「1年限り」で、翌年同じ巣を使わないと案内しています。

横浜市南区の2026年5月の広報資料でも、スズメバチについて「昨年と同じ巣は使わない」とされています。

秋になると翌年の女王となる新女王蜂が巣を離れ、越冬します。春になると、越冬した女王蜂が新しく巣を作り始めます。

そのため、翌年同じ場所に巣を見つけても、

  • 前年の巣が復活した
  • 前年の働き蜂がそのまま越冬して再開した

とは考えない方が適切です。

ただし、ミツバチはスズメバチ・アシナガバチとは生活史が異なります。練馬区の資料でも、ミツバチについては同じ巣を複数年使用する場合があるとされています。

住宅の壁内や屋根裏などにミツバチが営巣している場合は、スズメバチ・アシナガバチと同じ前提で判断しないようにしてください。

なぜ翌年も同じ場所に蜂の巣ができるのか

「前年の巣を再利用していないのに、なぜ同じ場所にできるのか」と疑問に感じるかもしれません。

住宅には、毎年大きく変わらない場所があります。

  • 軒下
  • ひさしの内側
  • ベランダ上部
  • 戸袋
  • 換気口周辺
  • 屋根裏や壁内へ入れる隙間
  • 庭木・生垣
  • 物置

横浜市も、天井裏・壁の中・床下・戸袋・植え込み・木の洞などを、蜂の巣が作られやすい場所として挙げています。

前年に蜂の巣ができた場所は、翌年も構造が変わっていなければ、蜂が巣を作れる条件が残っている可能性があります。

そのため、再発防止は「古い巣をどうするか」だけではなく、その場所自体をもう一度点検する必要があります。

駆除後に最初に確認したいこと

自分で巣を撤去した場合でも、業者へ依頼した場合でも、次の点を確認します。

  • 巣そのものが撤去されているか
  • 巣があった場所へ蜂が繰り返し戻っていないか
  • 近くの別の隙間へ出入りしていないか
  • 壁内・屋根裏などに別の巣が残っていないか
  • 駆除後の保証や再訪対応があるか

横浜市泉区はアシナガバチの駆除後について、処理した巣をそのまま残すと、繭の中から新しい蜂が出てくることがあるため、巣を撤去するよう案内しています。

ただし、活動中の蜂がいる巣へ再び近づいたり、自分で高所へ上って巣を取ったりする必要はありません。

スズメバチ、蜂種不明、高所、壁内、屋根裏などの場合は、無理に確認せず施工した業者や自治体、専門業者へ相談してください。

活動中の出入口を先に塞がない

前年と同じ換気口や壁の隙間へ蜂が出入りしていると、穴をすぐ塞ぎたくなるかもしれません。

しかし、現在その奥に蜂や巣がある状態で出入口を完全に塞ぐのは避けます。

壁内や屋根裏などでは、外へ出られなくなった蜂が別の隙間を探し、建物内部側へ移動する可能性も考える必要があります。

同じ場所へ複数の蜂が繰り返し出入りしている場合は、

  1. 離れた安全な位置から出入りを記録する
  2. 穴の位置を写真に残す
  3. 巣の有無を専門業者等に確認してもらう
  4. 蜂がいない状態を確認した後に必要な侵入防止を行う

という順番で考えます。

屋根・はしご・脚立を使う高さや、屋根裏・壁内を開ける必要がある場所は、自分で確認する範囲を超えています。

再発防止は春の点検が重要

スズメバチやアシナガバチでは、春に越冬を終えた女王蜂が新しく巣作りを始めます。

横浜市は、4月から6月ごろまでを、最初の働き蜂が羽化する前の時期として、自宅周辺の点検を勧めています。

2026年5月の横浜市南区資料でも、5月ごろから女王蜂1匹で巣を作り始めると説明されています。

前年に巣を作られた住宅では、春になったら特に次の場所を確認します。

  • 前年に巣があった位置
  • 軒下・軒天
  • ベランダの天井側
  • 室外機周辺
  • 戸袋
  • 換気口周辺
  • 物置
  • 庭木・植え込み

点検は地上や安全な場所から行い、巣を見つけても顔を近づけたり、枝を揺らしたり、巣をつついたりしないでください。

建物側の条件を見直す

前年と同じ場所へ繰り返し巣を作られる場合は、巣そのものだけでなく建物側も確認します。

不要な隙間がある

壁内・屋根裏・戸袋などへつながる破損や不要な隙間がある場合は、蜂が活動していないことを確認した後に修繕を検討します。

ただし、換気口や通気部は住宅設備として必要なものがあります。

「蜂が入るから」と換気口自体を完全に塞ぐのではなく、建物の換気性能や設備機能を損なわない方法を選ぶ必要があります。構造が分からない場合は住宅施工業者等へ相談してください。

庭木や植え込みが確認しにくい

庭木や生垣は蜂が営巣する場所になることがあります。

枝葉が極端に密集していて内部を全く確認できない場合は、蜂が活動していない時期に適切に管理しておくことで、翌春の点検もしやすくなります。

ただし、蜂の出入りや巣を確認している状態で剪定を始めると、巣を揺らして蜂を刺激する危険があります。

蜂の巣予防スプレーは使えるのか

市販の蜂用殺虫剤の中には、駆除だけでなく「巣作り予防」を用途として表示している製品があります。

たとえばアース製薬の一部製品では、前年に蜂が巣を作った場所や、巣を作りそうな場所へ事前に散布する使用方法が設定されています。

同社の製品には、女王蜂が単独で巣作りを始める時期に備えて、3月・4月の使用を案内しているものもあります。

ただし、蜂用スプレーなら何でも同じ使い方ができるわけではありません。

製品によって、

  • 対象となる蜂の種類
  • 巣への使用可否
  • 巣作り予防への使用可否
  • 屋内・屋外の使用場所
  • 持続期間
  • 再処理の条件
  • 使用時の防護
  • 火気への注意

が異なります。

「巣作り予防」と製品表示に明記されているものを、ラベルの用法・用量どおりに使用してください。

スズメバチの活動中の巣へ、市販薬を使ったDIY駆除を積極的に行うことは勧めません。

予防スプレーだけに頼らない

薬剤による予防効果には、使用環境によって限界があります。

雨、水、紫外線、施工面の状態などによって効果が変わり、製品ごとに持続期間も異なります。

そのため、

  • 前年に巣ができた場所を覚えておく
  • 春に定期的に目視する
  • 不要な隙間や破損を確認する
  • 庭木等を管理する
  • 必要に応じて表示のある予防製品を使う

という組み合わせで考えた方がよいでしょう。

ダミーの蜂の巣を吊るせば防げるのか

検索すると、「蜂は他の巣を避けるため、ダミーの蜂の巣を吊るせば再発を防げる」という方法が紹介されることがあります。

しかし、今回確認した自治体等の一次情報では、住宅の蜂の巣再発防止策としてダミー巣を標準的に推奨する根拠は確認できませんでした。

同様に、木酢液などの臭いだけで確実に巣作りを防げるとも断定できません。

再発防止の中心は、春の早期点検と、前年に巣を作られた場所の環境・構造を見直すことです。

「古い巣のフェロモンで翌年も呼び寄せる」は断定しない

民間の蜂駆除記事では、「古い巣に残ったフェロモンが翌年の蜂を呼び寄せる」と説明されることがあります。

しかし、今回確認した国内自治体等の一次情報からは、それを住宅で同じ場所に再営巣する主要原因として一般化できる十分な根拠を確認できませんでした。

そのため、本記事では再発理由をフェロモンに限定しません。

前年と同じ場所に巣ができた場合でも、

  • 雨風を避けられる
  • 外から見えにくい
  • 営巣できる空間がある
  • 建物内へ入れる隙間がある

など、その場所の条件が残っている可能性を先に確認します。

業者へ依頼した場合は「再発保証」の中身を見る

蜂の巣駆除業者の中には、施工後の戻り蜂や同一場所への再営巣について一定期間の保証を設けている事業者があります。

ただし、保証内容は会社ごとに異なります。

確認したい項目 内容
保証期間 施工後何日・何か月までか
戻り蜂対応 駆除後に蜂が戻った場合の再訪が含まれるか
再営巣 再び巣を作った場合に無料対応するか
対象場所 同じ場所だけか、同じ住宅全体か
対象種 同じ蜂種のみか
追加費用 高所・壁内・足場等が別料金になるか

「保証あり」という表示だけで判断せず、何が起きた場合に無償対応になるのかを作業前に確認しておくと、再発時のトラブルを減らせます。

蜂の巣駆除全体の依頼先を比較する場合は、害獣・害虫駆除業者の選び方も確認してください。

駆除後にまた蜂が飛んでいるときの判断目安

状況 対応
撤去直後に数匹が周辺を飛ぶ 近づかず、施工業者へ戻り蜂対応の有無を確認
同じ穴へ何匹も繰り返し出入りする 巣の残存・別の隠れ巣を疑い、穴を塞がず調査
翌春に数cmの新しい巣を見つけた 早期段階だが蜂種と場所で危険度を判断
スズメバチらしい巣がある 近づかず自治体・専門業者へ相談
屋根裏・壁内・高所で巣が見えない DIY確認をせず専門調査を検討

蜂の巣を見つけた直後の安全判断については、蜂・蜂の巣対策の総合ページも参考にしてください。

毎年同じ場所にできる場合の再発防止チェック

  • 前年の営巣場所を写真で残している
  • 春4〜6月に前年の場所を定期的に確認する
  • 軒下・ベランダ・戸袋・庭木も確認する
  • 壁や屋根周辺の破損・不要な隙間を確認する
  • 活動中の蜂がいる穴を先に塞がない
  • 換気口など住宅機能が必要な部分を無理に塞がない
  • 予防薬剤を使う場合は「巣作り予防」表示を確認する
  • スズメバチ・高所・屋根裏・壁内は無理にDIYしない
  • 業者を使う場合は戻り蜂・再営巣保証を確認する

よくある質問

去年と同じ場所に蜂の巣ができました。去年の巣を再利用していますか?

スズメバチやアシナガバチでは、通常、前年の巣を翌年そのまま使うわけではありません。自治体も巣は1年限りと案内しています。翌年同じ場所に新しい巣ができた場合は、新しい女王蜂による営巣と考えるのが基本です。

蜂の巣を取ったのに蜂がまだ飛んでいます。

駆除時に巣の外へ出ていた蜂などが元の位置へ戻っている可能性があります。ただし、同じ穴への出入りが続く場合は、別の巣や巣の残存も考えられるため、穴を塞がず施工業者等へ確認してください。

古い蜂の巣は残しておいてよいですか?

活動中の巣へ近づいて自分で撤去する必要はありません。一方、アシナガバチの駆除後について横浜市は、巣を残すと繭から蜂が羽化することがあるため、処理後の巣を撤去するよう案内しています。安全に撤去できない場所は業者へ依頼します。

蜂の巣予防スプレーはいつ使いますか?

「巣作り予防」用途を表示している製品では、春の女王蜂の巣作り開始前後の使用を案内しているものがあります。使用時期・対象種・持続期間は製品ごとに異なるため、必ず製品表示を確認してください。

前年に巣があった穴を塞げばよいですか?

現在蜂が出入りしている状態では先に塞がないでください。蜂や巣が残っていないことを確認した後、住宅の換気・排水など必要な機能を損なわない範囲で修繕や侵入防止を検討します。

蜂の巣を完全に再発しないようにできますか?

住宅の屋外環境で、将来の営巣を100%防ぐと断定することはできません。前年の営巣場所を把握し、春の早期点検、建物や庭木の管理、必要に応じた予防製品の適正使用によって、早期発見と再発リスク低減を目指します。

参考情報

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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