家の中で羽の付いたアリのような虫が突然大量に出ると、シロアリ被害を心配する人は多いでしょう。
ただし、羽アリが大量にいる=必ずシロアリではありません。普通のアリにも繁殖期には羽アリが現れます。
一方で、住宅の壁、床、浴室、洗面所などの隙間から多数のシロアリの羽アリが出ている場合は、建物の中やその周辺にシロアリが生息している可能性を考える必要があります。
確認したいのは、単純な虫の数よりも、どこから出たか、何時ごろ出たか、窓が開いていたか、同じ場所から繰り返し出るか、虫の触角・羽・胴体がどうなっているかです。
シロアリ全体の特徴や住宅被害については、シロアリ対策の基礎情報もあわせて確認してください。
家の中で羽アリが大量に出たとき最初に確認すること
大量発生を見つけたら、すぐにすべての虫を処理する前に、発生状況を記録しておくと原因を判断しやすくなります。
- 羽アリが出た部屋
- 窓際・浴室・洗面所・玄関・壁際などの位置
- 壁、床、柱、窓枠など、実際に虫が出てきた隙間
- 発生した日と時刻
- 窓やドアが開いていたか
- 電灯の周辺に集中していたか
- 虫の全体写真と接写写真
- 床に大量の羽だけが残っていないか
可能であれば、虫を数匹だけ袋や容器に入れて残しておくと、後から種類を確認するときに役立ちます。
「家の中から出た」のか「外から飛んできた」のかで意味が変わる
家の中に羽アリがいる場合でも、発生源が必ず住宅内部とは限りません。
| 見つけた状況 | 考え方 |
|---|---|
| 壁・床・柱・浴室まわりの隙間から次々に出る | 建物内部やその近くにシロアリが生息している可能性を考え、点検を優先します。 |
| 閉め切った室内で突然多数出た | 室内側のどこかに発生源がないか確認します。 |
| 窓際に大量に集まり、近くに落ちた羽も多い | 室内から窓へ向かった可能性と、外から窓周辺へ飛来した可能性の両方があります。 |
| 夜、照明をつけた窓の近くに集中している | 外部から光へ飛来した羽アリも候補になります。イエシロアリなど夜間に群飛する種類もいます。 |
| 屋外の玄関や窓の外に数匹だけいる | 外部飛来の可能性がありますが、近辺にシロアリがいる可能性を完全には除外できません。 |
窓際で見つかったという理由だけで「外から来ただけ」と断定したり、逆に家の中で見つけたという理由だけで「家が重大な被害を受けている」と判断したりするのは避けます。
シロアリの羽アリと普通のアリは3か所を見る
日本しろあり対策協会は、シロアリと普通のアリを見分ける主なポイントとして、触角・羽・腰の形を挙げています。
| 確認部分 | シロアリの羽アリ | 普通のアリの羽アリ |
|---|---|---|
| 触角 | 数珠状で比較的まっすぐ | 「く」の字状に曲がる |
| 羽 | 4枚がおおむね同じ大きさ・形 | 前の羽が後ろの羽より大きい |
| 腰 | くびれが目立たず寸胴 | 細いくびれがある |
「黒いから普通のアリ」「白くないからシロアリではない」という色だけの判定はできません。ヤマトシロアリの羽アリは黒っぽく見えることがあります。
虫の種類が分からない場合は、住宅で見つけた症状・痕跡から原因を確認するページも参考にしてください。
羽アリが出た時期と時間帯も手掛かりになる
シロアリは種類によって羽アリが飛び出す時期や時間帯に違いがあります。
| 種類 | 羽アリが出やすい時期・時間 |
|---|---|
| ヤマトシロアリ | 主に4〜5月の昼間。地域によって時期が前後します。 |
| イエシロアリ | 主に6〜7月の夕方〜夜間。灯火へ飛来することがあります。 |
| アメリカカンザイシロアリ | 主に6〜9月の日中。 |
| ダイコクシロアリ | 主に5〜8月の夜間。 |
発生時期は種類を絞る補助材料にはなりますが、「5月だから必ずヤマトシロアリ」などと時期だけで確定することはできません。
風呂場や洗面所で羽アリが大量に出ることがある
横浜市は、5〜6月ごろに洗面所や風呂場の窓際へ多数の羽虫が現れるケースについて、シロアリと普通のアリの両方を確認対象として案内しています。
ヤマトシロアリは湿った環境を好み、床下や水回り付近の木材が被害を受けることがあります。
そのため、浴室や洗面所から羽アリが出た場合は、虫だけを見るのではなく、次のような住宅側の状態も確認します。
- 水漏れがないか
- 浴室・洗面所まわりの木部が傷んでいないか
- 床が沈む感じがないか
- 基礎や土台付近に土でできた筋のようなものがないか
- 木材に食害や空洞化がないか
住宅の場所ごとの被害については、家の場所から害獣・害虫トラブルを確認するページも参考にしてください。
窓に大量の羽アリがいる場合
窓際は判断を間違えやすい場所です。
住宅内部から出た羽アリが明るい窓へ向かって集まる場合もあれば、外を群飛していた羽アリが光などに寄って窓周辺へ来ている場合もあります。
確認するときは、窓そのものだけでなく、室内側に虫が出てきた隙間がないか、窓を閉めていたのに室内で増えたのか、同じ場所で翌日以降も発生するかまで見ます。
床に羽だけが大量に落ちている場合も記録する
虫体があまり見当たらず、透明または半透明の羽だけが窓際や床に多数残っていることがあります。
羽だけではシロアリと断定できませんが、羽アリが発生した痕跡として、写真を撮って場所を記録しておきます。
可能であれば、残っている虫体や羽も処分前に少量保存しておくと、後の識別に役立ちます。
「大量に出た=家の被害が重い」とは限らない
目に見えた羽アリの数だけから、柱や土台がどの程度食害されているかを判断することはできません。
羽アリはシロアリの集団の一部であり、群飛の規模や見え方は種類、発生場所、時期などでも変わります。
被害の程度は、羽アリの数だけではなく、次のような痕跡を含めて確認します。
- 蟻道・蟻土
- 木材の食痕
- 床の沈み
- 木材をたたいたときの空洞音
- 建具の立て付けの変化
- 砂粒状の糞
- 水漏れ・雨漏り・湿気
つまり、大量発生は建物を確認するきっかけとして重要ですが、「何匹いたから被害は何段階」という判断材料ではありません。
羽アリへ殺虫剤を大量にかける前に発生場所を残す
目の前を飛ぶ羽アリを見ると、殺虫剤をすぐに吹きかけたくなるかもしれません。
日本しろあり対策協会は、業者を呼ぶ予定がある場合、可能であればそのままにし、殺虫剤を使用する場合もどこから出てきたかを記録し、虫を袋などへ入れて保管して業者へ見せるよう案内しています。
特に、壁や床の隙間へ殺虫剤を大量に噴射してしまうと、発生位置や活動状況を確認しにくくなることがあります。
目に見える羽アリを処理することと、建物内部のシロアリを防除することは別です。
羽アリだけを退治してもシロアリ対策は終わらない
大阪市は、巣から飛び出した羽アリだけを市販の殺虫剤で駆除しても、内部にはほかのシロアリが残るため、建物被害が疑われる場合は専門業者への依頼を勧めています。
室内で大量発生した羽アリを掃除して見えなくなっても、それだけでシロアリがいなくなったと判断しないようにします。
自分で確認できる範囲
危険な床下作業や建材の破壊をしなくても確認できることがあります。
- 羽アリの写真を撮る
- 数匹を保存する
- 発生した場所と時刻を記録する
- 基礎や外周を安全な位置から見る
- 目に見える蟻道や蟻土を確認する
- 水漏れや雨漏りがないか確認する
- 木材や段ボールを地面付近へ長期間放置していないか確認する
一方で、床下へ無理に潜ったり、木材を削って内部を確認したり、壁や床を壊したりする必要はありません。
シロアリは感染症を媒介する衛生害虫ではない
大量の虫が室内に出ると健康被害を心配するかもしれませんが、東京都保健医療局は、シロアリを感染症の媒介や健康被害をもたらす衛生害虫ではなく、家屋や家具などの木材を食害する経済害虫と説明しています。
問題の中心は、人への感染症ではなく住宅への食害です。
必要以上に虫そのものを恐れるより、発生源や建物被害の有無を確認することが重要です。
早めに建物点検を検討したい状態
- 壁・床・柱・浴室などから多数の羽アリが出ている
- 同じ場所から複数日にわたり発生する
- 閉め切った室内で大量に発生した
- 羽アリと一緒に蟻道・蟻土がある
- 木材に食害や空洞化がある
- 床が沈む、ふわふわする
- 大量の羽が同じ場所へ繰り返し落ちる
- 過去にシロアリ被害や防除歴がある
- 雨漏り・水漏れ・木材腐朽もある
日本しろあり対策協会は、玄関前にシロアリの羽アリの死骸が数匹落ちていたケースでも、念のため建物点検を受けるよう案内しています。
したがって、「大量でなければ何もしなくてよい」という基準もありません。
点検を依頼するときに確認すること
羽アリがシロアリの可能性が高い場合は、見えている虫だけではなく住宅全体の発生状況を確認します。
点検時には、次の内容を確認しておくと見積もりを比較しやすくなります。
- 羽アリが出た場所
- シロアリの種類
- 蟻道や食害の場所
- 被害範囲
- 駆除が必要な範囲
- 予防処理だけなのか、既存被害の駆除なのか
- 使用する工法・薬剤
- 修繕工事が別に必要か
- 保証期間と保証対象
- 追加料金が発生する条件
費用の考え方は害獣・害虫駆除の費用と見積もり、依頼先を比較するときは害獣・害虫駆除業者の選び方も確認してください。
よくある質問
家の中で羽アリが大量に出たらシロアリですか?
必ずしもシロアリとは限りません。普通のアリにも羽アリがいます。触角、前後の羽の大きさ、腰のくびれを確認し、発生場所や時期も合わせて判断します。
窓際に大量にいるだけなら外から来たのでしょうか?
外から飛来した可能性もありますが、室内から出た羽アリが明るい窓へ集まる場合もあります。窓が閉まっていたか、壁や床など別の場所から出ていないか、同じ場所で繰り返さないかを確認してください。
風呂場から大量に出たらシロアリの可能性は高いですか?
浴室や洗面所などの水回りは確認したい場所ですが、羽アリだけではシロアリと断定できません。虫の形態と、木部・蟻道・水漏れなどの住宅側の状態を合わせて確認します。
羽だけ大量に落ちています。シロアリですか?
羽だけでは種類を確定できません。ただし、羽アリが発生した痕跡として重要なので、掃除前に写真を撮り、場所を記録してください。
殺虫剤で全部退治すれば大丈夫ですか?
見えている羽アリを処理しても、建物内のシロアリ対策が完了したとは言えません。発生箇所へ大量の殺虫剤を使用する前に、場所や虫体を記録しておく方が後の調査に役立ちます。
1匹や数匹だけなら点検しなくても大丈夫ですか?
数が少ないだけでは判断できません。外部から飛んできた可能性もありますが、日本しろあり対策協会は屋外に数匹の羽アリの死骸があったケースでも、念のため建物点検を勧めています。
夜に大量に飛んできました。何のシロアリですか?
イエシロアリは主に6〜7月の夕方から夜間に群飛するため候補になりますが、時刻だけでは種類を確定できません。触角・羽・腰の形や地域も合わせて確認してください。
家の中の大量発生は「数」より「発生源」を確認する
家の中で大量の羽アリを見つけた場合、重要なのは虫の数だけではありません。
シロアリか普通のアリか、外から入ったのか、壁・床・浴室など住宅内部から出ているのかを切り分ける必要があります。
発生場所・時刻・虫の写真を残し、可能であれば数匹を保管してください。
シロアリの特徴に当てはまる、住宅内部の同じ場所から大量に出る、蟻道や木材被害もある場合は、見えている羽アリだけを処理して終わらせず、建物の点検を検討します。
シロアリ以外の害虫も含めて原因を確認したい場合は、住宅の害虫対策も参考にしてください。
