空になった蜂の巣は撤去する?翌年の再利用と放置してよい条件

軒下や庭木、ベランダなどに大きな蜂の巣が残っているのに、蜂がまったく見当たらないことがあります。

スズメバチやアシナガバチの巣で、冬になって完全に活動が終わった古い巣なら、その巣が翌年そのまま営巣に使われることはありません。生活に支障がなければ、必ず撤去しなければならないものでもありません。

ただし、「今、蜂が見えない」ことと「巣が完全に空になった」ことは同じではありません。春から秋の活動期では、外へ出ている蜂が一時的に見えないだけの場合があります。

さらに、ミツバチはスズメバチ・アシナガバチとは生活史が異なり、群れで巣の中に残って冬を越します。蜂の種類を確認せず、すべての蜂の巣を「冬には空になる」と考えないことが重要です。

蜂の種類や巣の形が分からない場合は、まず蜂の種類と住宅での対策を確認してください。

目次

空になった蜂の巣は撤去しなくても大丈夫?

スズメバチまたはアシナガバチの前年の巣で、冬になって完全に蜂がいなくなっていることが確認できるなら、古い巣を残したままにしても、翌年その巣が再び営巣に使われるわけではありません。

港区や八王子市など複数の自治体は、スズメバチ・アシナガバチの巣は1年限りで、冬に空になった巣を翌年再利用しないと案内しています。

状態 考え方
冬のスズメバチの古巣で蜂がいない 翌年同じ巣を営巣に再利用することはありません。生活上問題がなければ放置も選択肢です。
冬のアシナガバチの古巣で蜂がいない 前年の巣は再利用されません。安全に手が届く位置なら撤去することもできます。
春〜秋で一時的に蜂が見えない 空巣とは断定できません。近づいたり巣を壊したりしないでください。
蜂の種類が分からない スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチで扱いが異なるため、種類を確認してから判断します。
ミツバチの巣 冬でも群れが巣内で越冬するため、スズメバチ等の空巣と同じ扱いにしません。
高所・屋根裏・壁内にある 蜂がいないように見えても、転落や閉鎖空間での作業リスクがあるため無理に撤去しません。

スズメバチの巣が冬に空になる理由

スズメバチの巣は春から作られ、夏から秋にかけて大きくなります。

その年に生まれた新しい女王蜂は交尾後、巣とは別の場所で越冬します。旧女王、働き蜂、雄蜂は冬までに死滅し、使われていた巣は放棄されます。

そのため、軒下などに前年の大きなスズメバチの巣が冬まで残っていても、中が空になっていることがあります。

川口市や八王子市も、スズメバチの巣は1年限りで、冬の空巣が翌年使われることはないと案内しています。

アシナガバチの巣も翌年は使わない

アシナガバチも基本的な流れは同じです。

堺市は、秋に新しい女王蜂と雄蜂が生まれた後、冬には新女王だけが巣以外の場所で越冬し、旧女王・働き蜂・雄蜂は死に、巣は空になると説明しています。

前年に使われたシャワーヘッド状・ハスの実状の巣が春まで残っていても、翌年その古い巣を使って子育てを再開するわけではありません。

古い巣は使わなくても、同じ場所に新しい巣はできる

ここは混同されやすい部分です。

「前年の巣を再利用する」ことと、「翌年また同じ場所に新しい巣を作る」ことは別です。

葛飾区は、アシナガバチの前年の巣は再利用されない一方、春から夏にかけて同じ場所に別の蜂が新しい巣を作る可能性があるため、周囲を確認するよう案内しています。

豊中市も、同じ巣は再利用しないものの、蜂にとって巣を作りやすい場所には再び新しい巣ができる可能性があるとしています。

例えば次のような場所は、翌春も点検しておくとよいでしょう。

  • 雨が直接当たりにくい軒下
  • ベランダの屋根や物陰
  • 室外機の周辺
  • 物置
  • 庭木や生垣
  • 戸袋やひさしの下
  • 換気口・外壁のくぼみ周辺

住宅のどこに蜂が巣を作りやすいかは、家の場所から害獣・害虫トラブルを確認するページも参考にしてください。

「蜂がいない」だけでは空巣と断定できない

冬の古巣と、夏の巣で蜂が見えない状態は分けて考える必要があります。

活動期には、働き蜂が餌を探すため外へ出ています。そのため、観察した瞬間に蜂が見えなかったとしても、後から巣へ戻ってくる可能性があります。

特に次のような場合は、「空だから取ってよい」と自己判断しない方が安全です。

  • 春〜秋の活動期
  • 数日前まで蜂の出入りがあった
  • 大きなスズメバチの巣
  • 巣の内部が見えない
  • 屋根裏・壁内・換気口など閉鎖空間にある
  • 巣の周辺を蜂が飛んでいる
  • 種類が分からない

大きさや時期から危険度を判断したい場合は、症状・痕跡から原因を調べるページから確認してください。

ミツバチの巣は同じ考え方にしない

「蜂の巣は冬になると空になり、翌年使われない」という説明は、蜂全体に当てはめることはできません。

ミツバチは群れで冬を越します。

農林水産省は、冬でもミツバチが休眠するわけではなく、巣の中で働き蜂が集まって女王蜂を囲み、蜂球を作って発熱しながら越冬すると説明しています。

大阪市も、ミツバチでは古い巣を新しい女王蜂が引き続き使用すると案内しています。

したがって、板状の巣板がある、蜜蝋の巣が壁内・屋根裏にある、ミツバチらしい蜂が出入りしていた場合は、冬だから空だと判断して巣を壊さないでください。

空になったスズメバチ・アシナガバチの巣は放置してもよい

冬に完全に空になったスズメバチやアシナガバチの巣は、翌年営巣に再利用されません。

三鷹市は、空になった巣は撤去しなくても問題ないと案内しています。

そのため、次のような状態なら、古い巣をそのまま残すこともできます。

  • 明らかに前年のスズメバチ・アシナガバチの古巣
  • 冬で蜂の活動が終わっている
  • 生活動線から離れている
  • 建物設備の使用を妨げていない
  • 見た目が気にならない

「古い巣を残すとその巣にスズメバチが戻ってきて2年目になる」と心配する必要はありません。

ただし、翌春に同じ場所の近くへ新しい巣が作られる可能性は別にあるため、春以降は周囲を確認します。

撤去しておいた方がよい場合

古い巣そのものが蜂の再利用原因になるわけではありませんが、次のような理由があれば撤去を検討できます。

  • 玄関・ベランダなど目につく場所にある
  • 建物の点検・補修の邪魔になる
  • 庭木の剪定など今後の作業場所にある
  • 古い巣なのか現在使われている巣なのか家族が毎回判断に迷う
  • 管理物件で古巣を残しておく必要がない

ただし、撤去する必要性があることと、自分で安全に撤去できることは別です。

自分で撤去を検討できるのは「空であることが明確で安全な場所」

自治体には、冬に空になった巣は自分で撤去できると案内している例があります。

目安になるのは次のような条件です。

  • スズメバチまたはアシナガバチの古巣と判断できる
  • 冬になり活動が終了している
  • 蜂の出入りがない
  • 地上から安全に手が届く
  • 脚立・はしご・屋根作業が必要ない
  • 屋根裏や壁の内部ではない

撤去する場合も、古い巣や死んだ蜂を素手で触る必要はありません。手袋を使用し、巣を刺激した際に蜂が現れた場合は作業を中止してください。

高い場所の空巣を無理に取る必要はない

冬の空巣自体に蜂の活動がなくても、脚立・はしご・屋根などでの作業には転落の危険があります。

翌年同じ巣が使われないのであれば、「蜂のために今すぐ取らなければならない」という理由で高所へ上る必要はありません。

高所、屋根裏、壁内などで撤去したい事情がある場合は、専門業者へ相談する方が安全です。

費用を確認するときは、害獣・害虫駆除の費用と見積もりの見方、依頼先の確認は害獣・害虫駆除業者の選び方を参考にしてください。

古い巣があるから蜂が呼び寄せられるとは限らない

検索すると、「古い巣の匂いやフェロモンが残るから翌年また蜂が来る」といった説明を見かけることがあります。

しかし、今回確認した自治体の一次情報では、スズメバチ・アシナガバチについて、前年の巣そのものが翌年の営巣に再利用されるとはされていません。

確認できるのは、同じ巣を使うのではなく、巣を作りやすい場所には翌年も新しい巣が作られる可能性があるということです。

そのため、古い巣を取り除くだけで再発を完全に防げるとは考えず、翌春に周辺を点検する方が実用的です。

翌春に確認したい場所

前年に蜂の巣ができた住宅では、春になったら同じ場所とその周辺を安全な位置から確認します。

  • 古い巣があった軒下
  • ベランダの天井や物陰
  • 庭木・生垣
  • 室外機の周辺
  • ひさし・戸袋
  • 換気口や外壁のくぼみ

小さな巣を見つけても、種類が分からない状態で触ったり壊したりしないでください。

前年の巣とは別に、新しい女王蜂が新しく作り始めている可能性があります。

空になった原因が「冬」ではない場合

春や夏に作られていた巣から突然蜂がいなくなる場合もあります。

巣作りの途中で女王蜂が死んだ、天敵や環境変化などで営巣が失敗した、誰かが駆除したなど複数の可能性がありますが、外観だけから原因を特定することは難しい場合があります。

活動期に巣が空に見える場合は、原因を推測して近づくより、現在も蜂の往来が残っていないか安全な位置から確認することを優先してください。

よくある質問

冬のスズメバチの巣はそのままにして大丈夫ですか?

完全に空になった前年の巣なら、翌年同じ巣を営巣に再利用することはありません。生活に支障がなければ、必ず撤去する必要はありません。

アシナガバチも古い巣へ戻ってきますか?

前年の古い巣を翌年そのまま使用することはありません。ただし、同じ場所が営巣に適していれば、翌年に別の女王蜂が近くへ新しい巣を作ることがあります。

古い蜂の巣を残すと新しい蜂を呼びますか?

スズメバチ・アシナガバチについて、古い巣そのものを翌年使うわけではありません。同じ場所に再び巣ができることはありますが、それと古巣の再利用は分けて考えます。

夏なのに蜂がいなくなりました。巣を取っても大丈夫ですか?

その時点で蜂が見えないだけでは、完全な空巣とは判断できません。活動期は外へ出ている蜂が戻る可能性があるため、巣へ近づいて確認したり壊したりしないでください。

空になった巣はいつ撤去するのが安全ですか?

スズメバチ・アシナガバチの場合、冬になり活動が終了し、蜂がいないことが明確な時期の方が判断しやすくなります。ただし、高所や閉鎖空間での作業は蜂の有無とは別に危険です。

ミツバチの巣も冬になれば空になりますか?

同じではありません。ミツバチは巣の中で群れを作って越冬します。ミツバチの可能性がある巣を、冬だから空だと判断して撤去しないでください。

空の大きなスズメバチの巣を見つけました。危険ですか?

冬の前年巣で完全に空なら、活動中の巣と同じ危険度ではありません。ただし、「大きいから古巣」とは判断できないため、季節、蜂の出入り、巣の状態を合わせて確認してください。

空の巣は「古巣の再利用」と「同じ場所への新しい営巣」を分けて考える

スズメバチとアシナガバチは、冬になると前年の巣を放棄し、翌年その同じ巣を使って営巣を続けることはありません。

完全な空巣で生活に支障がなければ、残しておくこともできます。安全に手が届く場所なら撤去しても構いません。

ただし、前年に巣を作られた場所が翌年も営巣に適していれば、新しい女王蜂が近くへ新しい巣を作る可能性があります。

また、春から秋に蜂が見えなくなっただけでは空巣と判断せず、ミツバチの巣についても別に考える必要があります。

種類や活動状況が分からない場合は、無理に近づかず、蜂の種類と対策から確認してください。

参考にした公的情報

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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