家の屋根裏や軒下にコウモリが住み着いた場合、対策はいつ行っても同じではありません。
特に注意したいのが、まだ飛べない幼獣がいる時期と冬眠時期です。
自治体の案内では、住宅で多く問題になるアブラコウモリについて、6〜8月ごろの幼獣期や冬眠前後に侵入口を塞ぐことを避けるよう注意されています。
一方で、「4〜5月と9〜10月なら必ず安全」と月だけで決めることもできません。地域、年ごとの気温、建物内部の環境によって活動時期はずれるためです。
実際には、季節を確認したうえで、夕方にコウモリが外へ出ているか、幼獣や冬眠個体が内部に残っていないかを確認してから追い出し・封鎖することが重要です。
まだ本当にコウモリが住み着いているか分からない場合は、先に症状・痕跡から原因を確認するか、住宅に侵入する害獣の基礎情報から確認してください。
コウモリ駆除・追い出しはいつ行う?
住宅で問題になるアブラコウモリの生態を基準にすると、時期は概ね次のように考えられます。
| 時期の目安 | コウモリの状態 | 追い出し・封鎖の考え方 |
|---|---|---|
| 1〜3月ごろ | 冬眠中または活動が非常に少ない | 不在確認が難しく、全面封鎖は慎重に判断する |
| 4〜5月ごろ | 冬眠から活動を再開 | 比較的検討しやすいが、地域・気温によって冬眠明けがずれるため実際の出入りを確認する |
| 6〜8月ごろ | 出産・育児、飛べない幼獣が残る可能性 | 無理な追い出し・全面封鎖を避ける |
| 9〜10月ごろ | 幼獣が成長し、冬眠前の活動期 | 比較的検討しやすいが、寒冷地では活動低下が早いこともあるため実際の出入りを確認する |
| 11〜12月ごろ | 冬眠へ移行 | 活動していないように見えても内部に残る可能性があり、全面封鎖は慎重に判断する |
この表は全国共通の施工日程ではありません。
重要なのは「今日は何月か」より、その住宅のコウモリが現在外へ飛び出しているかです。
アブラコウモリは春から秋に活動する
東京動物園協会のアブラコウモリの解説では、4〜10月には日没後30分ほどでねぐらから飛び立ち、11月ごろから徐々に冬眠へ入り、3月までほとんど動かず過ごすとされています。
前橋市も、アブラコウモリの活動期間を春〜秋、冬眠を11月ごろ〜4月ごろとしています。
この違いからも分かるように、冬眠明けや冬眠開始を全国一律の日付で決めることはできません。
暖かい地域、寒い地域、その年の気温によって活動の始まりと終わりには幅があります。
6〜8月は飛べない幼獣がいる可能性がある
コウモリ対策で特に注意したいのが夏です。
福岡県はアブラコウモリの出産シーズンを6〜7月としています。
東京動物園協会では6月ごろに1〜4頭を出産し、子どもは約1か月で親とほぼ同じ大きさまで成長すると説明しています。
ただし、出産日には個体差があります。
そのため浜松市や鳥取県は、より安全側に考えて6〜8月を「まだ飛べない幼獣がいる時期」として、侵入口の封鎖を避けるよう案内しています。
夏に親だけ追い出して穴を塞ぐと何が起きる?
親コウモリは夕方になると餌を取りに外へ出ます。
そのタイミングで「今はいない」と判断して穴を塞いでも、屋根裏や壁内にまだ飛べない幼獣が残っている可能性があります。
幼獣だけが取り残されると、自力で外へ出られず、建物内部で死亡するおそれがあります。
死骸が残れば、臭いや虫の発生源になることもあります。
そのため、6〜8月ごろにコウモリを見つけた場合は、侵入口を発見しても即座に全面封鎖しない方が安全です。
「8月31日を過ぎれば安全」という意味ではない
6〜8月という期間は、生態を踏まえた安全側の目安です。
8月になればすべての幼獣が確実に飛べる、9月1日なら必ず封鎖できるという意味ではありません。
出産時期は個体・地域・年によってずれるためです。
夏の終わりから秋に施工する場合も、夕方の出入りや内部の音などを確認し、幼獣を含む全個体が外へ出られる状態かを確認します。
冬はコウモリがいないのではなく、内部で冬眠していることがある
冬に数週間まったくコウモリを見なくなると、「もういなくなった」と考えることがあります。
しかしアブラコウモリは冬になると、建物の隙間などで冬眠することがあります。
東京動物園協会では11月ごろから3月まで、前橋市では11月ごろから4月ごろまで冬眠期とされています。
冬眠中は活動が大きく低下するため、夕方に出てこないことだけでは不在を証明できません。
この状態で侵入口を完全に塞ぐと、内部で冬眠していた個体を閉じ込める可能性があります。
冬眠前後も封鎖を急がない
浜松市と鳥取県は、6〜8月だけでなく冬眠前後の時期も侵入口封鎖を避けるよう案内しています。
冬眠直前は、気温低下によって外へ出る頻度が減り始めます。
冬眠明けも、暖かくなったからといって毎日必ず外へ出るとは限りません。
そのため、3月・4月や10月・11月の境目では、カレンダーだけではなく実際の活動状況を確認することが特に重要です。
4〜5月は比較的追い出しを検討しやすい
冬眠が明け、出産前の活動期に入っていることを確認できれば、春は追い出しと封鎖を検討しやすい時期です。
ただし4月上旬などは、地域によってまだ気温が低く、活動が安定していないことがあります。
「4月になった」という理由だけで封鎖せず、日没前後に実際に外へ飛び出していることを確認します。
春に対策する利点は、夏の出産・育児期へ入る前に侵入を止められる可能性があることです。
9〜10月も比較的追い出しを検討しやすい
夏に生まれた幼獣が飛べるようになり、まだ冬眠へ入っていない時期であれば、秋も追い出し・封鎖を検討しやすくなります。
ただし、10月になれば全国どこでも同じ状態になるわけではありません。
東京動物園協会でも、アブラコウモリは11月ごろから徐々に冬眠へ入るとされています。
気温が低い地域や冷え込みの早い年には、10月でも活動が低下する可能性があります。
秋も、夕方の出入りが確認できる期間に施工を検討します。
「4〜5月・9〜10月が適期」は絶対的なルールではない
検索すると、コウモリ駆除の適期として「4〜5月と9〜10月」と説明する情報を多く見かけます。
これは、アブラコウモリの一般的な活動・出産・冬眠サイクルから考えると分かりやすい目安です。
一方、自治体の一次情報はより慎重で、浜松市・鳥取県は「6〜8月と冬眠前後を避ける」、北九州市は「冬眠時期と夏の出産時期以外に対策する方が効果的」としています。
したがって本サイトでは、4〜5月・9〜10月を比較的実施しやすい目安とはしますが、「この月なら無条件で追い出して穴を塞いでよい」という基準にはしません。
月よりも夕方の出入りを確認する
アブラコウモリは夜行性です。
東京動物園協会では、活動期には日没後30分ほどでねぐらから飛び立つとされています。
侵入口を特定している場合は、安全な場所から夕方〜日没後の出入りを観察することで、現在その場所を利用しているか判断する材料になります。
確認したいのは次のような状態です。
- 同じ隙間からコウモリが出てくる
- 複数個体が時間差で出てくる
- 日没後も内部に音が残っている
- 新しい糞が増えている
- 翌朝また同じ場所へ戻っている
ただし、出入りを確認するために屋根へ登ったり、侵入口へ顔を近づけたりする必要はありません。
1匹出たから「全部出た」と判断しない
夕方に1匹が外へ飛び出したとしても、内部に他の個体や幼獣が残っていないとは限りません。
特に複数個体がねぐらとしている住宅では、時間差で外へ出ることがあります。
追い出し後の全面封鎖では、全個体の不在確認が必要です。
自分で確認できない構造なら、専門業者へ調査を依頼する方が安全です。
気温だけで「今日は追い出せる」と決めない
気温はコウモリの活動に影響しますが、「○℃以上なら必ず出る」という一つの数字だけで施工日を決めるのも適切ではありません。
同じ気温でも、雨、風、地域、季節、建物内部の温度などによって活動状況が変わります。
時期と天候を参考にしつつ、実際の出入りを確認します。
雨や強風の日は活動確認が難しくなる
施工予定日が活動期であっても、雨や強風などでコウモリが外へ出にくいことがあります。
その日に出てこなかったという理由だけで「家の中は空」と判断すると、閉じ込めにつながります。
不在確認が不十分な日は、全面封鎖を延期する判断も必要です。
6〜8月にコウモリ被害へ気づいたら何もしない?
夏だからといって、秋まで完全に放置する必要はありません。
この時期でも、安全な場所から次の作業はできます。
- 侵入口候補を記録する
- 夕方の出入りを観察する
- 糞が落ちる位置を記録する
- 建物の破損箇所を地上から確認する
- 専門業者へ現地調査を依頼する
- 幼獣の有無を含め、いつ施工できるか相談する
避けたいのは、幼獣の存在を確認しないまま親だけを追い出し、出入口を全面封鎖することです。
冬に被害へ気づいたらどうする?
冬でも、糞や臭いなどからコウモリの存在に初めて気づくことがあります。
この場合も、すぐ侵入口を塞ぐのではなく、現在内部に冬眠個体がいる可能性を考えます。
冬の間にできるのは、建物の状態や侵入口候補を調査し、活動が再開する時期に合わせて追い出し・封鎖を計画することです。
ただし、室内へコウモリが出てくるなど緊急性のある状態では、時期を理由に放置せず専門業者や自治体の相談窓口へ確認してください。
室内に1匹迷い込んだだけなら季節判断は別
窓やドアから室内へ偶発的に1匹だけ入ったケースと、屋根裏や壁内をねぐらとして利用しているケースは分けて考えます。
室内へ迷い込んだ場合は、触ったり捕まえたりせず、人とペットを離して窓などから自然に退出できるようにします。
一方、同じ隙間へ繰り返し出入りし、糞も蓄積している場合は、ねぐらとして継続利用している可能性があります。
コウモリは自己判断で捕獲・殺傷しない
時期を選んでも、自分でコウモリを捕獲・殺傷してよいという意味ではありません。
コウモリは鳥獣保護管理法の対象となる野生鳥獣です。
環境省は、野生鳥獣の捕獲・殺傷について、狩猟や許可を受けた場合などを除いて原則禁止としています。
住宅では、捕獲よりも追い出しと侵入口の再侵入防止を中心に考えます。
適した時期でも高所・壁内ならDIYしない
9月で活動が確認できるからといって、すべての住宅で自分で施工できるわけではありません。
次のような場合は専門業者へ相談してください。
- 屋根や2階以上に侵入口がある
- 壁の中に出入りしている
- 侵入口が複数ある
- 幼獣の有無を確認できない
- 何匹いるか分からない
- 屋根裏の奥まで入る必要がある
- 大量の糞尿がある
- 断熱材まで汚染されている
- 一度追い出しても再発している
住宅の部位ごとの侵入箇所については家の場所別の害獣・害虫トラブルも参考にしてください。
業者へ依頼するときも「何月ですか」だけで判断しない
業者へ依頼するときは、「今月なら施工できます」と言われたかだけではなく、次を確認します。
- 現在コウモリが活動していることをどう確認したか
- 幼獣がいないことをどう判断するか
- 冬眠個体が残っていないかどう確認するか
- 追い出した後の不在確認を行うか
- 侵入口を何か所確認するか
- 全面封鎖をいつ行うか
- 糞尿清掃まで含まれるか
「9月だから大丈夫」だけでなく、現場ごとの確認工程があるかを見ることが重要です。
業者選びは害獣・害虫駆除業者の選び方、施工費用は害獣・害虫駆除の費用と見積もりも参考にしてください。
よくある質問
コウモリ駆除に一番よい時期は何月ですか?
一般には春と秋が比較的対策しやすく、4〜5月・9〜10月が目安として挙げられます。ただし全国共通の絶対的な適期ではありません。実際の出入り、幼獣の有無、冬眠状態を確認して判断します。
6月にコウモリを追い出してもよいですか?
慎重な判断が必要です。アブラコウモリは6〜7月ごろが出産期とされ、自治体は6〜8月を飛べない幼獣がいる可能性のある時期として封鎖を避けるよう案内しています。
8月末ならすぐ穴を塞いでも大丈夫ですか?
日付だけでは判断できません。出産時期には個体差があるため、幼獣を含む全個体が外へ出られる状態か確認してから封鎖します。
9月ならコウモリ駆除に適していますか?
一般には比較的対応しやすい時期ですが、実際の活動状況を確認する必要があります。夕方に外へ出ているか、不在確認ができるかを優先してください。
冬ならコウモリはいないので穴を塞げますか?
いいえ。冬は建物内部で冬眠している可能性があります。外へ飛ばないから不在とは判断できません。
4月になれば冬眠は終わっていますか?
地域や気温によります。東京動物園協会では4月に活動を再開するとしていますが、前橋市では冬眠を11月ごろ〜4月ごろとしています。実際の出入りを確認してください。
夏に見つけたら秋まで何もできませんか?
侵入口調査、出入りの観察、専門業者への相談などはできます。幼獣の存在を確認せず追い出しと全面封鎖を行うことを避けます。
夕方に1匹出ていけば穴を塞いでよいですか?
1匹出たことだけでは、他の個体や幼獣が残っていないとは判断できません。全個体の不在確認が必要です。
コウモリの駆除時期は「月」より「今、外へ出られる状態か」で判断する
アブラコウモリは、一般に春から秋に活動し、夏に出産・育児、冬に冬眠します。
そのため、6〜8月ごろの飛べない幼獣期と冬眠前後は、追い出しや全面封鎖を慎重に考える必要があります。
4〜5月・9〜10月は比較的施工を検討しやすい目安ですが、全国共通の保証された適期ではありません。
地域、気温、その年の気候によって活動時期はずれます。
実際の夕方の出入りを確認し、全個体・幼獣が外へ出たことを確認してから侵入口を塞ぐことが、カレンダー上の月より重要です。
高所、壁内、複数の侵入口、幼獣・冬眠個体の有無が判断できない場合は、無理に時期を自己判断せず専門業者へ相談してください。
参考にした公的・一次情報
- 浜松市「家にコウモリが住み着いて困っている」
- 鳥取県「野生鳥獣の捕獲等に係るよくある質問」
- 北九州市「よくある相談と対策【コウモリ】」
- 前橋市「コウモリについて 市街地にも姿を現します」
- 東京動物園協会「アブラコウモリ」
- 福岡県 生物多様性情報総合プラットフォーム「アブラコウモリ」
- 環境省「捕獲許可制度の概要」
