アライグマを屋根裏から追い出したり、自治体の制度などで捕獲したり、侵入口を塞いだりしたのに、数日後や数か月後に再び足音や糞が見つかることがあります。
このとき、「前にいたアライグマが戻ってきた」と考えたくなりますが、必ずしも同じ個体とは限りません。
八王子市も、アライグマ等について、侵入個体を捕獲してもすぐ別の動物が侵入する可能性があり、侵入口も1か所とは限らないと案内しています。
再発には、建物内に個体や幼獣が残っていた、別の侵入口を見落としていた、封鎖部分が破損した、新しい隙間ができた、別個体が侵入した、餌や移動経路が残っているなど、複数の原因があります。
再び被害が出たら、忌避剤や捕獲をすぐ繰り返すのではなく、何が再発したのかを最初から切り分け直すことが重要です。
まだ本当にアライグマか分からない場合は、症状・痕跡から原因を確認するか、住宅に侵入する害獣の基礎情報から候補を整理してください。
アライグマ駆除後に再発する主な原因
| 考えられる原因 | 再発時の特徴 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 個体・幼獣が残っていた | 施工直後から音が続く | 全個体の不在確認を行ったか |
| 別の侵入口が残っていた | 封鎖部分は無傷なのに再び入られる | 建物全体を調査したか |
| 封鎖部分が壊れた | 金網・板・固定部が浮く、外れる | 施工箇所の状態 |
| 新しい隙間ができた | 以前と違う場所に痕跡が出る | 屋根・軒天・外壁の劣化 |
| 別個体が侵入した | 駆除から時間がたって再び被害が出る | 住宅が侵入可能な状態ではないか |
| 餌や移動経路が残っている | 庭や屋根周辺で目撃が続く | 果実、生ごみ、ペットフード、庭木 |
| 忌避剤・捕獲だけで終了した | 一度静かになった後に再発 | 侵入口封鎖まで完了したか |
「同じアライグマが戻った」と決めつけない
アライグマ駆除後の再発について、「帰巣本能が強いから必ず同じ個体が戻る」と説明されることがあります。
しかし、住宅で再び足音や糞が出たという事実だけから、同じ個体かどうかを判断することはできません。
八王子市は、捕獲しても別の動物がすぐ侵入する可能性があるとしており、侵入口を残したままでは個体を捕まえるだけで住宅被害を止められないことを示しています。
東京都でも、アライグマ対策は捕獲だけではなく、餌資源や繁殖場所をなくすことを組み合わせて行うよう案内しています。
再発時は「前と同じ1頭をどうするか」より、住宅が今もアライグマに利用できる状態かを確認します。
施工直後から足音がする場合は新しい再侵入とは限らない
追い出しや封鎖工事をした当日から数日以内に屋根裏の音が続く場合は、新しいアライグマが侵入したとは限りません。
次のような可能性があります。
- 一部の個体が屋根裏に残っていた
- 幼獣が残っていた
- 建物内の別空間にいた個体を見落としていた
- 別の出口・侵入口が残っていた
- 音の原因がアライグマ以外だった
東京都によると、アライグマは一般的に春から初夏に出産しますが、夏以降の繁殖も確認されており、一度に約1〜6頭を出産します。
そのため、特定の季節だから幼獣はいないと断定することはできません。
施工直後から内部で物音が続く場合は、自分でさらに穴を塞がず、元の施工業者へ早めに再点検を依頼してください。
原因1.別の侵入口を見落としていた
アライグマの侵入口は一つとは限りません。
八王子市も、住宅周囲を確認するときに侵入口が複数ある可能性を明記しています。
確認対象になるのは次のような場所です。
- 軒下・軒天の隙間
- 床下通気口
- 換気口
- 戸袋
- 屋根と外壁の接合部
- 増築部分との接合部
- 配管・設備周辺
- 外壁や屋根の破損部分
前回一つの穴だけを補修した場合は、別経路が残っていないか建物全体を再調査します。
屋根・2階外壁・高所へ自分で上る必要はありません。高い場所の点検は専門業者へ依頼してください。
原因2.封鎖した場所が壊れた
以前の侵入口を塞いでいても、施工箇所が再び開けば侵入可能になります。
安全な位置から、次のような状態を確認します。
- 金網が浮いている
- 固定具が外れている
- 板と建物の間に隙間がある
- 補修材が剥がれている
- 軒天や木材そのものが壊れている
アライグマは前足が器用で、建物の隙間をこじ開けて侵入することもあると自治体が案内しています。
ただし、壊れた封鎖部分を見つけても、内部に個体がいる状態でそのまま追加封鎖しないでください。
原因3.施工後に新しい隙間ができた
前回施工した場所に問題がなくても、別の場所が経年劣化などで破損する場合があります。
例えば、次のような変化です。
- 軒天の腐食
- 屋根材のずれ
- 外壁の破損
- 換気口カバーの破損
- 増築部分の継ぎ目の劣化
この場合は、前回の侵入口が再び開いたのではなく、新しい侵入口が発生した可能性があります。
業者の再発保証でも、新しく生じた破損や施工対象外だった場所は扱いが異なることがあるため、契約内容を確認します。
原因4.別のアライグマが侵入した
一度捕獲できても、それだけでは別のアライグマがその家へ入れなくなるわけではありません。
八王子市が示すように、住宅に利用できる侵入口が残れば、別個体が侵入する可能性があります。
特に周辺地域にアライグマが生息している場合は、「1頭捕獲した=住宅のアライグマ問題が終わった」とは考えず、侵入口を物理的に塞ぐ必要があります。
原因5.餌になるものが住宅周辺に残っている
東京都は、アライグマ対策で捕獲と同時に餌資源をなくすことを重要な対策として挙げています。
再発時は、次のようなものが残っていないか確認します。
- 庭木の柿・ビワなどの果実
- 落下した果実
- 家庭菜園の作物
- 屋外の生ごみ
- ペットフードの食べ残し
- 池の魚
- 屋外に置かれた供え物など
建物へ入れなくしても、餌が豊富なら敷地へアライグマが近づき続ける可能性があります。
再侵入防止では、建物の補修と周辺環境の管理をセットで考えます。
原因6.屋根へ登る経路が残っている
東京都や渋谷区は、住宅への侵入経路になる庭木の枝を切ることを対策として案内しています。
アライグマは木登りが得意なので、庭木などを経由して屋根付近まで到達できる状態では、屋根・軒下の弱い部分を利用される可能性があります。
確認するのは次のような場所です。
- 屋根へ接している庭木
- 物置や塀から屋根へ移れる配置
- 雨どい周辺
- 建物と樹木が近接している場所
高い枝の剪定や電線周辺の作業は、自分で無理に行わず専門業者・設備管理者へ相談してください。
原因7.忌避剤だけで対策を終えていた
くん煙剤などの忌避刺激によって、一時的にアライグマが外へ出る場合があります。
しかし東京都は、忌避剤はその場から追い出せる可能性がある一方、根本的な個体数減少にはつながらず、環境によっては効果が得られない場合もあると説明しています。
一度静かになっても侵入口が残っていれば、再び利用される可能性があります。
再発時は忌避剤の量を増やすより、追い出し後に物理封鎖まで行ったか確認します。
原因8.捕獲だけで住宅対策を終えていた
自治体によっては、アライグマによる住宅被害がある場合に箱わなを設置する事業があります。
ただし、捕獲と侵入口封鎖は別の作業です。
板橋区では、アライグマの被害対策事業とは別に、侵入路を塞ぐ施工や糞尿の撤去・清掃等は自己負担で専門業者へ依頼するものとしています。
つまり、自治体の箱わなで1頭捕獲できても、住宅側の侵入口が残れば再発の可能性があります。
再発なのか、古い痕跡が残っているだけなのか確認する
駆除後に糞を見つけても、それが新しくされた糞とは限りません。
前回の清掃で取り残したものの場合もあります。
再発判断では、次のような記録が役立ちます。
- 清掃後の写真を残す
- 新しい糞が増えた日時を記録する
- 新しい足跡があるか確認する
- 屋根裏の音が再開した日時を記録する
- 新しい尿シミが広がっていないか見る
- 夜間に実際の個体を再び目撃したか記録する
糞を素手で触ったり、種類確認のために潰したりする必要はありません。
再発したら最初に記録する5項目
- 再発に気づいた日時
- 足音・糞・足跡・尿シミ・目撃の場所
- 前回封鎖した箇所との位置関係
- 封鎖材に破損・浮きがないか
- 庭木・果実・ごみなど周辺環境の変化
写真や動画があると、元の施工業者へ再点検を依頼するときにも状況を伝えやすくなります。
再発時に以前の封鎖箇所を自分で開けない
施工後に屋根裏から音がするからといって、「前の出口を開ければ逃げる」と自己判断するのは避けた方がよいでしょう。
本当にアライグマが残っているのか、幼獣がいるのか、別の出入口があるのかによって対応は変わります。
以前の封鎖部分を開ければ、外から再び入り込める経路を作ることにもなります。
まず元の施工業者へ連絡し、現在の状態を確認してもらいます。
再発保証があるなら期間だけでなく対象範囲を確認する
以前専門業者へ依頼している場合は、新しい業者を探す前に見積書・契約書・保証書を確認します。
保証内容は会社や施工内容によって異なるため、「5年保証」「10年保証」といった期間だけでは判断できません。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 対象害獣 | アライグマの再侵入が対象か |
| 対象箇所 | 施工した穴だけか、建物全体か |
| 別の侵入口 | 前回とは違う場所の侵入も対象か |
| 建物劣化 | 施工後に新しく生じた破損の扱い |
| 再点検 | 現地調査が保証に含まれるか |
| 再施工 | 追い出し・封鎖のどこまで対象か |
| 追加工事 | 新規侵入口が見つかった場合の料金 |
保証については、AR-172では再発時に確認すべき入口までとし、保証条件そのものの比較は別記事で詳しく扱います。
再施工では「前と同じ作業」を繰り返すだけにしない
再発した場合は、前回と同じ場所へ同じ忌避剤を使うだけではなく、再発原因に合わせて施工内容を決めます。
再施工で確認したいのは次の項目です。
- 現在もアライグマが内部にいるか
- 幼獣が残っていないか
- 以前の封鎖箇所は正常か
- 別の侵入口がないか
- 新しい破損箇所がないか
- 建物全体を再調査するか
- 餌資源・庭木等も見直すか
- 新しい糞尿汚染が発生していないか
- 再施工後の保証条件はどうなるか
費用を確認するときは害獣・害虫駆除の費用と見積もり、依頼先を比較するときは害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。
再発したから自分で箱わなを置くのは避ける
何度も被害が出ると、自分で捕獲したくなるかもしれません。
しかしアライグマは鳥獣保護管理法の対象であり、さらに外来生物法上の特定外来生物です。
野生鳥獣の捕獲には法令上の手続きが関係し、特定外来生物は生体の飼育・保管・運搬や野外への放出も原則として規制されています。
そのため、自己判断で箱わなを設置し、捕まえたアライグマを車で別の場所へ運んで放す、といった対応はしないでください。
捕獲が必要な場合は、居住地域の自治体の防除制度や、適法に対応できる事業者へ相談します。
自治体へ再び相談できる場合もある
東京都では区市町と連携してアライグマの捕獲を行っており、自治体ごとに住宅被害向けの箱わな事業等を設けている場合があります。
ただし、対象条件や対応期間、依頼できる人、捕獲後の住宅補修の有無は自治体ごとに異なります。
再発した場合は、「以前利用したからもう相談できない」と決めつけず、現在の制度を確認してください。
一方で、自治体が再捕獲を行えても、侵入口封鎖・糞尿清掃・建物修繕まですべて実施するとは限りません。
再発したから別業者へ変えるべき?
一度再発しただけで、前の業者が必ず不適切だったとは判断できません。
建物の別の場所が新しく壊れたり、前回の施工対象外から別個体が入った可能性もあります。
最初に元の施工業者へ次を確認します。
- 今回の状態は保証対象か
- 再点検に費用がかかるか
- どこから侵入したと判断するか
- 前回施工箇所に問題があるか
- 追加施工が必要なら、その理由は何か
- 総額はいくらか
説明が曖昧なまま高額な追加工事を即決する必要はありません。
国民生活センターも、害虫・害獣駆除サービスについて、広告表示と実際の料金が大きく異なる、サービス内容が契約書面に具体的に記載されていないなどのトラブルを注意喚起しています。
再発で不安になっている場合ほど、作業範囲と総額を確認し、必要なら複数社で比較します。
施工後も再発防止の状態を維持する
一度しっかり施工した後も、住宅や庭の状態は変化します。
安全な位置から、ときどき次の状態を確認します。
- 封鎖材が浮いていないか
- 軒天や外壁に新しい破損がないか
- 新しい糞や足跡がないか
- 屋根裏の物音が戻っていないか
- 庭木の枝が屋根へ届いていないか
- 果実が大量に放置されていないか
- 生ごみ・ペットフードが屋外に残っていないか
異常を見つけても、屋根へ上る必要はありません。写真等を残し、施工業者や専門業者へ確認してもらいます。
よくある質問
アライグマは一度追い出してもまた戻ってきますか?
再び住宅を利用される可能性はあります。ただし同じ個体とは限りません。八王子市も、捕獲後に別個体が侵入する可能性を案内しています。侵入口・餌資源など住宅側の条件を確認してください。
侵入口を塞いだのにまた音がします。なぜですか?
別の侵入口、封鎖部の破損、新しくできた隙間、内部に残っていた個体・幼獣、別の動物などが考えられます。建物全体の再点検が必要です。
駆除翌日から物音があります。もう再発ですか?
新しい個体が侵入したとは限りません。内部に個体や幼獣が残っている可能性もあるため、追加封鎖せず元の施工業者へ早めに連絡してください。
忌避剤をもう一度使えばよいですか?
一時的に追い出せる可能性はありますが、東京都は忌避剤だけを根本的な解決とはしていません。侵入口と餌資源を再確認してください。
1頭捕獲すれば再発しませんか?
保証できません。別個体が侵入する可能性があり、侵入口が複数残っている場合もあります。捕獲と住宅の再侵入防止は別の工程です。
保証期間内なら必ず無料で再施工できますか?
契約内容によります。施工した場所だけが対象なのか、別の侵入口や建物劣化も対象か、再点検・追加工事が含まれるかを保証書で確認してください。
再発したので自分で捕獲して山へ放してよいですか?
しないでください。アライグマは特定外来生物で、生体の保管・運搬・野外放出は原則規制されています。捕獲についても自治体や法令上の制度を確認する必要があります。
自治体で一度捕獲してもらった後でも再度相談できますか?
自治体によって制度が異なります。現在の被害状況を伝えて、再び対象になるか確認してください。ただし、侵入口封鎖や清掃は別途自己負担になる地域があります。
アライグマ再発では「同じ個体」より住宅の侵入条件を確認する
アライグマ駆除後に再び被害が出ても、以前の個体が戻ったと決めつける必要はありません。
残存個体・幼獣、未封鎖の別侵入口、封鎖部の破損、新しい隙間、別個体、餌資源や屋根への移動経路などを順番に確認します。
特に施工直後から物音が続く場合は、さらに穴を塞がず元の施工業者へ再点検を依頼してください。
施工から時間がたって再発した場合は、以前の施工箇所だけでなく、建物全体と周辺環境を再確認します。
再施工では追い出しや捕獲だけで終わらず、不在確認、侵入口の物理封鎖、必要な糞尿清掃、餌資源・移動経路の管理まで含めて再発条件を減らすことが重要です。
参考にした公的情報
- 八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」
- 東京都環境局「被害を防ぐために」
- 東京都環境局「アライグマ・ハクビシンについて」
- 渋谷区「ハクビシン・アライグマによる被害を防ぐために」
- 板橋区「アライグマ(特定外来生物)の被害について」
- 東京都環境局「野生鳥獣の捕獲について」
- 環境省「特定外来生物等一覧」
- 環境省「何が禁止されているの?」
- 環境省「防除に関する基本的な事項」
- 国民生活センター「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意」
