夜に羽アリが出たらシロアリ?イエシロアリの時期・見分け方

夜に照明の周りや窓際へ羽アリが集まっていると、「シロアリではないか」と不安になることがあります。

夜に飛ぶシロアリは実際にいます。日本しろあり対策協会では、イエシロアリの羽アリは6〜7月の夜に群飛し、電灯へ飛来するとしています。

一方で、夜に見つけた羽アリがすべてイエシロアリというわけではありません。普通のアリの羽アリもいますし、地域によっては別種のシロアリも候補になります。

判断するときは、「何時に出たか」だけではなく、月・地域・光への集まり方・どこから出てきたか・触角・羽・胴体の形を組み合わせることが重要です。

シロアリ全体の基礎情報はシロアリ対策、原因がまだ分からない場合は害獣・害虫の症状・痕跡も参考にしてください。

目次

夜に出る羽アリはシロアリなのか

夜に飛ぶ羽アリの中にはシロアリが含まれます。

住宅で問題になりやすいシロアリの群飛時期・時間帯は、おおむね次のように異なります。

種類 群飛時期の目安 時間帯の目安
ヤマトシロアリ 4〜5月頃
※地域差あり
昼間
イエシロアリ 6〜7月頃 夕方〜夜
アメリカカンザイシロアリ 6〜9月頃 昼間
ダイコクシロアリ 5〜8月頃 夕方〜夜

したがって、6〜7月の夕方から夜に羽アリが大量に出た場合、イエシロアリは確認すべき候補です。

ただし、時間帯だけで種類を確定することはできません。

6〜7月の夜ならイエシロアリの可能性が上がる

日本しろあり対策協会は、イエシロアリの羽アリについて、6〜7月の夜に群飛して電灯へ飛来すると説明しています。

東京都も、イエシロアリの羽アリは主に6〜7月頃の夕方に多く、夜間にも飛翔することがあるとしています。

次の条件が重なるほど、イエシロアリを確認する理由が増えます。

  • 6〜7月頃である
  • 夕方〜夜に出た
  • 照明・街灯・窓の光へ集まっている
  • 同じ夜に多数見つかった
  • 羽が4枚ともほぼ同じ大きさに見える
  • 触角が数珠状に見える
  • 胴体にアリのようなくびれがない

一つだけではなく、複数の特徴を確認してください。

イエシロアリの羽アリはなぜ照明へ集まる?

イエシロアリの羽アリには光へ向かう性質があります。

そのため群飛した夜には、室内照明、窓、玄関灯、街灯などの周辺へ多数集まることがあります。

東京都ペストコントロール協会も、イエシロアリは夕暮れから夜に一斉に飛び出し、街灯などの光をめがけて飛来すると説明しています。

この性質があるため、夜に窓際で大量の羽アリを見つけても、「自宅の窓の中に巣がある」と即断することはできません。

屋外の別の場所から群飛した羽アリが、家の照明へ寄ってきた可能性もあります。

窓際の羽アリは外から来た?家の中から出た?

夜の羽アリで特に重要なのが、外から光へ飛来したのか、建物内部やその近くから出てきたのかを分けて考えることです。

見つかり方 考え方
窓の外側に大量に付いている 外部から灯りへ飛来した可能性も考える
窓を開けた後に室内へ数匹入った 外部飛来も十分考えられる
閉め切った室内で多数出た 建物内部・別経路からの発生も確認する
床・巾木・壁の隙間から次々出る その周辺の建物内部を点検する理由が強くなる
浴室・洗面所・玄関の同じ場所から繰り返し出る 周辺の床下・木部・隙間を確認する
透明な羽だけ大量に残っている 群飛後に羽を落とした可能性を含めて確認する

「窓際にいた」という一点だけでは、外部飛来と住宅内部発生のどちらとも断定できません。

窓の内側・外側のどちらに多かったか、窓を開けていたか、室内の特定の隙間から出ていなかったかも記録します。

夜の羽アリでもヤマトシロアリとは限らない

日本で住宅被害が多い代表種の一つがヤマトシロアリですが、典型的な羽アリの群飛時間は夜ではありません。

日本しろあり対策協会では、ヤマトシロアリは4〜5月頃の昼間に群飛するとしています。

東京都も、主に4〜5月の雨上がりで、晴れて風のある日の昼間に飛翔すると説明しています。

そのため、6〜7月の夜という条件は、典型的なヤマトシロアリの群飛とは一致しにくいと考えられます。

ただし、発見した時間だけでヤマトシロアリを完全に除外するのではなく、形や地域、発生場所も確認します。

地域によってはイエシロアリ自体が少ない

時間帯だけで判断できない理由の一つが分布です。

日本しろあり対策協会によると、イエシロアリは主に千葉県以西の温暖な海岸線沿い、南西諸島、小笠原諸島などに分布しています。

東京都も、イエシロアリは低温に比較的弱く、島しょ部を除く東京都内では見られることは稀としています。

したがって、同じ「6月の夜の羽アリ」でも、地域によって候補の重みは変わります。

南西地域ではダイコクシロアリも夜に飛ぶ

夜に群飛するシロアリはイエシロアリだけではありません。

日本しろあり対策協会では、ダイコクシロアリも5〜8月の夜に少数ずつ群飛し、電灯へ集まるとしています。

ダイコクシロアリは主に奄美大島以南など南方地域に分布するため、全国の住宅で同じ確率で候補になるわけではありません。

沖縄・南西諸島などでは、夜間発生という条件だけでイエシロアリに限定しないことが重要です。

夜に出ても普通のアリの羽アリかもしれない

羽アリはシロアリだけではありません。

普通のアリにも、新しい巣を作るために飛ぶ羽アリがいます。

シロアリかどうかを確認するときは時間帯よりも、体の形を見る方が直接的な判断材料になります。

確認部分 シロアリの羽アリ 普通のアリの羽アリ
触角 数珠状 「く」の字状
羽 4枚がほぼ同じ大きさ 前翅が後翅より大きい
腰 くびれが少なく寸胴 細くくびれている

色だけでの判断は避けてください。

ヤマトシロアリの羽アリは黒っぽく見えることもあり、「黒いから普通のクロアリ」とは限りません。

羽が取れていたらどう見分ける?

群飛後のシロアリは羽を落とすため、床や窓際に胴体だけが残ることがあります。

羽がない場合でも、触角と腰の形は確認材料になります。

また、周囲に落ちている羽を確認し、同じ大きさの羽が複数まとまっていないかを見ることもできます。

羽や個体を確認するときに、潰したり分解したりする必要はありません。

夜に家の中で大量に出た場合

数匹を窓際で見つけたケースと、室内の床・壁などから大量に出てくるケースは分けて考えます。

次のような状態なら、住宅内部またはその近くの発生源を確認する優先度が上がります。

  • 閉め切った室内で大量発生した
  • 床・巾木・柱・壁の隙間から次々出る
  • 浴室や洗面所の同じ場所から大量に出る
  • 毎年同じ場所で発生している
  • 周辺に大量の落ちた羽がある
  • 蟻道・食痕・木部の空洞音など別のサインもある

一方で、羽アリの数だけから建物被害の大きさまで判断することはできません。

大量発生した場合は、羽アリだけでなく建物側の点検が必要です。

夜に羽アリを見つけたら時刻を記録する

シロアリの種類によって群飛する時期・時間帯が異なるため、「夜だった」という情報には意味があります。

可能なら次の内容を記録してください。

  • 発見した日付
  • 何時ごろか
  • 天候
  • 窓を開けていたか
  • 窓の内側か外側か
  • どの照明へ集まっていたか
  • どこから出てきたように見えたか
  • おおよその数

「6月15日の20時ごろ、閉めた浴室の床と壁の隙間から多数出た」のように記録すると、単に「夜に羽アリがいた」より調査時の情報量が増えます。

数匹は袋などに残しておく

日本しろあり対策協会は、羽アリが発生した場合、出てきた場所を記録し、虫を袋などへ入れて保管し、業者が来たときに見せるよう案内しています。

スマートフォンで写真を撮る場合は、次の角度があると確認しやすくなります。

  • 体全体
  • 触角
  • 4枚の羽
  • 胴体のくびれ
  • 発生場所が分かる引きの写真

発生口へ大量の殺虫剤を噴射しない

夜に何十匹も羽アリが出てくると、殺虫剤を大量に噴射したくなるかもしれません。

日本しろあり対策協会は、できればそのままにしておく方がよく、殺虫剤を使う場合でも、発生した箇所を記録し、個体を残して業者に見せるよう案内しています。

見えている羽アリを殺したとしても、建物内部のシロアリ集団まで駆除できたとは限りません。

特に、どこから出ているか分かる状態なら、発生口を確認できなくなるほど薬剤を吹き込む前に記録してください。

窓へ飛来する羽アリを減らすためにできること

イエシロアリの羽アリが光へ集まる性質を考えると、群飛が起きている夜は、必要のない屋外灯を消す、カーテンを閉める、窓を閉めるなどで室内への飛び込みを減らせる場合があります。

ただしこれは、屋外から光へ飛来する羽アリへの一時的な対策です。

建物内部から羽アリが出ている場合は、照明を消しても建物内のシロアリ被害そのものは解決しません。

夜に羽アリを見つけても健康被害を過度に心配しなくてよい

東京都は、シロアリについて、木材などを食害する経済害虫であり、感染症を媒介する衛生害虫ではないと説明しています。

夜に大量の羽アリが飛んでいる状況は不快ですが、問題の中心は「人へ病気をうつすこと」ではなく、住宅の木材等に被害がないか確認することです。

大量発生という見た目だけで健康被害を過度に恐れる必要はありません。

夜の羽アリを見つけた後に確認したい建物サイン

シロアリらしい羽アリだった場合は、羽アリ以外のサインも確認します。

  • 基礎や束石に泥状の筋がある
  • 木材表面に土のようなものが付いている
  • 木を軽くたたくと空洞音がする
  • 床が沈む・ふわつく
  • 建具の動きが以前より悪い
  • 羽が大量に同じ場所へ落ちている
  • 乾いた木材周辺に砂粒状の糞がある

一つのサインだけで被害を確定せず、複数の状況を見て点検の必要性を判断します。

6〜7月の夜でも東京では地域差に注意する

例えば東京都の場合、都はイエシロアリについて、島しょ部を除く都内では見られることが稀と説明しています。

つまり東京都本土で6〜7月の夜に羽アリを見つけても、「時間帯が合うからイエシロアリ」と即断するのは適切ではありません。

一方、西日本の温暖な海岸地域や南西諸島など、イエシロアリが分布する地域では候補としての重要度が高くなります。

月・時刻・地域の3つをセットで確認してください。

夜の羽アリで専門点検を考えたい状態

  • シロアリの形態に当てはまる
  • 6〜7月の夕方〜夜に多数発生した
  • 床・壁・柱など室内の特定箇所から出ている
  • 閉め切った室内で大量に発生した
  • 同じ場所で複数回発生する
  • 大量の羽が残っている
  • 蟻道や木材の食痕もある
  • 床の沈みや木材の空洞音もある

点検費用を確認する場合は害虫・害獣駆除の費用と見積もり、業者を比較する場合は駆除業者の選び方も確認してください。

よくある質問

夜に出る羽アリはシロアリですか?

夜に群飛するシロアリはいますが、夜というだけではシロアリと断定できません。6〜7月の夜ならイエシロアリが候補になりますが、普通のアリの羽アリや地域によって別種も考えられます。

6月の夜に羽アリが大量発生しました。イエシロアリですか?

時期と時間帯はイエシロアリの典型的な群飛条件に合います。ただし、触角・羽・腰の形、発生場所、地域も確認して判断してください。

7月の夜に照明へ羽アリが集まります

イエシロアリには光へ集まる性質があり、6〜7月の夕方〜夜に灯火へ飛来します。ただし、窓の外へ集まっているだけなら、別の場所から飛来した可能性もあります。

夜に窓際へ羽アリがいるなら家がシロアリ被害を受けていますか?

窓際にいたことだけでは判断できません。外部から照明へ飛来した可能性があります。閉め切った室内の床や壁の隙間から出ている場合などは、建物側の点検優先度が上がります。

ヤマトシロアリも夜に飛びますか?

典型的な群飛は4〜5月頃の昼間です。そのため「初夏の夜」という条件は典型的なヤマトシロアリとは合いにくいですが、時間帯だけで種類を確定・除外しないようにしてください。

黒い羽アリならクロアリですか?

色だけでは判断できません。シロアリの羽アリも黒っぽく見える種類があります。数珠状の触角、ほぼ同じ大きさの4枚の羽、寸胴な胴体かを確認してください。

羽アリに殺虫剤をかけてもよいですか?

目の前の個体への処理はできますが、建物内部のシロアリ対策とは別です。可能なら発生位置と個体を先に記録・保管してください。発生口へ大量に噴射して手掛かりを失わない方が調査につなげやすくなります。

夜に出た羽アリは何匹から危険ですか?

「○匹以上ならシロアリ被害」という公的な基準はありません。数よりも、シロアリの形態か、室内の特定箇所から出ているか、蟻道・食痕など他のサインがあるかを確認します。

電気を消せばシロアリ対策になりますか?

屋外から光へ飛来する羽アリを減らす助けにはなる場合がありますが、建物内部にシロアリがいる場合の駆除・予防にはなりません。

夜の羽アリは「時刻だけ」で決めず、形・月・地域・発生場所で判断する

6〜7月の夕方から夜に、照明へ向かって羽アリが集まる状況は、イエシロアリの群飛パターンと一致します。

しかし、「夜に飛んでいる」という一点だけではイエシロアリともシロアリとも断定できません。

ヤマトシロアリは主に4〜5月の昼間、アメリカカンザイシロアリは主に6〜9月の日中、南西地域のダイコクシロアリは5〜8月の夜など、種類によって群飛パターンは異なります。

夜に羽アリを見つけたら、日時・発生場所・窓や照明との位置関係を記録し、数匹を残したうえで、触角・羽・腰の形を確認してください。

窓の外へ集まっているだけなら外部飛来も考えられますが、床・壁・巾木など特定の場所から次々と出ている場合は、住宅内部の点検につなげることが重要です。

参考にした公的・一次情報

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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