風呂場の入口がふかふかする、敷居が柔らかくなった、浴室で羽アリを見つけた。
こうした異変があると、シロアリ被害を心配することがあります。
浴室はシロアリ被害が見つかりやすい場所の一つですが、「湿っている」「木が柔らかい」というだけでシロアリとは断定できません。
水漏れや長期間の湿気によって木材が腐朽し、シロアリ被害と似た症状が出ることもあります。
確認するときは、浴室表面だけでなく、入口の敷居・ドア枠、隣接する洗面所、外周基礎、さらに専門点検では浴室下の土台・床束・配管まわりまで見ていくことが重要です。
風呂場はシロアリ被害が起こりやすい場所
日本しろあり対策協会は、ヤマトシロアリについて、日当たりが悪く、湿気が多く、比較的暖かい場所で多く見られると説明しています。
住宅の中では、
- 風呂場
- 洗面所
- 台所
- トイレ
- 換気の悪い床下
などが代表的です。
特に床下では、土台や床束など地面に近い木部に被害が出ることがあります。
浴室は毎日大量の水を使うため、漏水や湿気が続くと、シロアリだけでなく木材腐朽の条件も重なりやすくなります。
湿気があるだけでシロアリがいるとは限らない
浴室は湿気が多い場所ですが、湿気があること自体はシロアリ被害の証拠ではありません。
日本しろあり対策協会には、「風呂場の敷居がベコベコする」という相談例があります。
協会の回答では、
- 水分によって木材が腐っている場合
- シロアリによって被害を受けている場合
の両方があり、現場を見なければ判断できないとされています。
つまり、浴室まわりの木が柔らかい=シロアリと決めつけず、腐朽・漏水も同時に確認する必要があります。
風呂場で確認したいシロアリ被害のサイン
浴室で次のようなサインが複数重なっている場合は、シロアリ点検を検討します。
- 浴室入口の敷居が柔らかい
- ドア枠の下部が傷んでいる
- 床が局所的に沈む
- 木部を軽くたたくと以前と違う空洞感がある
- 土の筋のような蟻道がある
- 木材の割れ目・継ぎ目に土のようなものが詰まっている
- 木材内部が筋状に食害されている
- 浴室や洗面所から羽アリが多数出る
- 羽だけが大量に落ちている
- 浴室周辺で継続的な水漏れがある
どれか一つだけで確定するのではなく、複数の情報を組み合わせて判断します。
風呂場の敷居がベコベコする場合
浴室入口の敷居は、シロアリと腐朽の両方を考えたい場所です。
浴室からの水が長年かかる、結露する、ドア周辺から水が回るなどの状態が続けば、シロアリがいなくても木材が傷むことがあります。
一方、床下からシロアリが侵入し、敷居や周辺木部まで食害している可能性もあります。
確認したいのは、
- いつから柔らかくなったか
- 常時濡れていないか
- 変色や腐朽臭がないか
- 周囲に蟻道・蟻土がないか
- 春〜夏に羽アリが出ていないか
- 隣接する洗面所の床にも沈みがないか
です。
強度を確認するために何度も強く踏んだり、ドライバーで深くほじったりする必要はありません。
浴室で羽アリが出た場合
浴室や洗面所から羽アリが多数出てきた場合は、虫体を捨てる前に写真を残してください。
シロアリの羽アリと普通のクロアリの羽アリは、見た目が似ることがあります。
シロアリが疑われる場合は、
- 触角
- 腰のくびれ
- 前後の羽の大きさ
- 発生した時間帯
- 発生した場所
などを確認します。
目の前の羽アリだけに殺虫剤を大量に使っても、建物内にシロアリの集団が残っている場合は根本対策にはなりません。
浴室の床・壁の隙間から繰り返し出ている場合は、周辺木部・床下を含めた調査を優先します。
浴室で見る場所は表面だけではない
風呂場でシロアリを疑ったとき、浴槽や床の表面だけを見ても被害範囲を判断できない場合があります。
地中から侵入するヤマトシロアリやイエシロアリでは、基礎や床下を通って建物内の木部へ到達することがあるためです。
確認する場所を分けると、次のようになります。
| 確認場所 | 見るもの |
|---|---|
| 浴室入口の敷居 | 柔らかさ、変色、食害、腐朽 |
| ドア枠下部 | 木部の劣化、水濡れ、食痕 |
| 浴室入口の床 | 沈み、ふかつき、浮き |
| 隣接する洗面所 | 床の沈み、壁際の異常、羽アリ |
| 外周基礎 | 土の筋状の蟻道 |
| 浴室下の床下 | 土台、床束、床板、木部の蟻道・食害 |
| 給排水管周辺 | 漏水、配管貫通部の隙間 |
浴室下の土台・床束も確認する
日本しろあり対策協会は、シロアリが地中から建物へ侵入することが多く、土台、床束、柱下部などが代表的な被害部位になるとしています。
そのため、浴室で被害サインが出た場合は、浴室そのものだけでなく、その下にある床下構造も重要です。
専門点検では、
- 基礎
- 束石
- 土台
- 床束
- 床板
- 配管貫通部
- 木部の含水・腐朽状態
などを確認します。
狭い床下へ無理に自分で潜る必要はありません。
水漏れがある場合はシロアリ対策と漏水修理を分ける
東京都は、湿気を好むヤマトシロアリへの予防策として、床下の換気や、雨漏り・水漏れを放置しないことを挙げています。
浴室で漏水がある場合、シロアリ駆除だけを行って水漏れを残すのは適切ではありません。
反対に、水漏れだけ修理しても、すでにシロアリが活動している場合は防除が必要です。
つまり、
- 水漏れ・湿気の原因を確認する
- シロアリ被害の有無を調査する
- 必要ならシロアリを駆除する
- 腐朽・構造被害を補修する
- 漏水・防水不良を直す
という複数の問題に分けて考えます。
タイル風呂はシロアリ被害に注意した方がよい?
古い住宅では、タイル仕上げの浴室まわりで木部の腐朽やシロアリ被害が見つかることがあります。
重要なのはタイルそのものではなく、その下や周辺にある木造部分が長期間湿っていないかです。
タイルのひび、目地の劣化、浴室入口からの水回りなどが気になる場合は、表面の補修だけで終わらず、周辺木部や床下の状態も確認します。
ユニットバスならシロアリは出ない?
ユニットバスだからシロアリ被害が絶対に起きない、とは考えない方がよいでしょう。
浴室表面が樹脂・金属等で構成されていても、住宅にはその周囲に、
- 土台
- 柱
- 床下木部
- 壁内部の木部
- 給排水設備
があります。
見るべきなのは「浴槽そのもの」より、周辺木部へ水分が回っていないか、床下に蟻道や食害がないかです。
ユニットバスの床や壁を自分で解体して確認する必要はありません。
浴室と洗面所は一緒に確認する
風呂場のすぐ隣に洗面所・脱衣所がある住宅は多くあります。
浴室入口の水分が洗面所側へ回っている場合や、床下で被害が連続している場合もあるため、浴室だけを孤立した場所として見ない方がよいでしょう。
洗面所では、
- 床がふわふわしないか
- 浴室入口近くが沈まないか
- 巾木・柱下部が変色していないか
- 洗面台下に漏水がないか
- 羽アリ・落ちた羽がないか
を確認します。
浴室にクロアリがいたらシロアリ?
普通のクロアリが浴室にいるからといって、シロアリとは限りません。
日本しろあり対策協会には、浴室床下でクロアリの巣が見つかった相談例もあります。
クロアリはシロアリのように建物の木材を食べて直接壊す虫ではありません。
ただし、湿気が多い壁内などに営巣している場合は、木材腐朽等の環境問題が併存していることがあります。
虫の種類を確認せず「アリがいる=シロアリ」と判断しないでください。
浴室でシロアリを見つけても蟻道を全部壊さない
床下や外周基礎に土でできた筋のようなものがある場合、シロアリの蟻道の可能性があります。
写真を撮って位置を記録し、専門点検までできるだけ残しておく方が発生経路を確認しやすくなります。
自分で全部壊したり、内部へ大量の殺虫剤を吹き込んだりする必要はありません。
蟻道の見分け方だけを詳しく確認したい場合は、サイト内のシロアリ関連情報から蟻道の記事へ進んでください。
浴室だけ薬剤処理すれば十分?
浴室で被害が見つかったからといって、浴室部分だけを処理すれば建物全体の対策が完了するとは限りません。
シロアリの侵入経路や被害範囲は、床下や隣接部へ続いている場合があります。
実際にどこまで処理するかは、
- シロアリの種類
- 蟻道の位置
- 被害範囲
- 住宅構造
- 過去の防蟻処理
- リフォーム予定
などによって決まります。
「風呂場だけ安く処理する」という提案を受けた場合は、なぜその施工範囲で十分なのか説明を求めてください。
風呂場だけの施工では保証が付かないことがある
日本しろあり対策協会は、シロアリ工事の保証について協会共通の統一ルールはなく、各業者の判断によるとしています。
そのうえで、一般的には部分施工の場合、保証が付かないことが多いと案内しています。
浴室だけの施工を依頼するときは、
- 保証の有無
- 保証期間
- 保証対象となる場所
- 再発時の再施工範囲
- 浴室以外で再発した場合の扱い
を契約前に確認してください。
浴室リフォーム中にシロアリが見つかった場合
浴室を解体したときに、初めて土台や柱のシロアリ被害が見つかることがあります。
日本しろあり対策協会は、リフォーム中に床下からシロアリが見つかった場合について、被害部材を交換するなら交換後にシロアリ施工を行う方が二度手間にならない場合がある一方、リフォーム後に処理できなくなる場所なら先に施工する必要があるとしています。
つまり、施工順は一律ではありません。
浴室リフォーム業者とシロアリ業者の双方で、
- どの部材を交換するか
- どこを防蟻処理するか
- 完成後に施工できなくなる場所があるか
- 構造補強が必要か
を確認して工程を決めます。
シロアリを駆除すれば柔らかくなった木は元に戻る?
戻りません。
シロアリ駆除は現在のシロアリを処理し、新たな被害を抑えるための工事です。
すでに食害や腐朽によって強度が低下した敷居・床・土台などは、状態に応じて交換・補強等が必要です。
そのため、見積では、
- シロアリ防除費
- 漏水修理費
- 木部・床補修費
- 浴室リフォーム費
を分けて確認すると内容が分かりやすくなります。
自分で確認できる範囲
自宅で確認するなら、安全に手が届く範囲に限定します。
- 浴室入口の敷居を目視する
- ドア枠下部の変色・崩れを確認する
- 浴室入口・洗面所の床が沈まないか確認する
- 羽アリ・落ちた羽がないか確認する
- 水漏れ・水染みを確認する
- 屋外から浴室付近の基礎を見る
- 蟻道らしい土の筋があれば写真を撮る
床下点検口から安全に写真を撮れる場合は記録してもよいですが、狭い床下へ無理に入らないでください。
自分でやらない方がよいこと
- 浴槽や床を解体して探す
- 敷居や柱を深くほじる
- 蟻道を全面的に壊す
- 壁や木材へ自己判断で穴を開ける
- 床下へ大量の殺虫剤を噴霧する
- 市販薬だけで建物全体の駆除が完了したと判断する
- 沈む床を何度も強く踏んで確認する
住宅構造を傷めたり、被害範囲を確認しにくくしたりする可能性があります。
早めに専門点検を検討したい状態
次のような状態なら、シロアリ・腐朽の専門点検を検討します。
- 浴室からシロアリらしい羽アリが大量に出た
- 基礎に蟻道がある
- 敷居・ドア枠が崩れるほど柔らかい
- 浴室入口や洗面所の床が沈む
- 長期間の水漏れがある
- リフォームで土台の食害が見つかった
- 木部内部に特徴的な食痕がある
- 複数の水回りで被害が疑われる
- 以前シロアリ施工をしたが保証期限が切れている
シロアリ全体のサインや予防を確認する場合はシロアリ対策の総合ページ、症状から調べる場合は症状・痕跡から害獣・害虫を調べるも参考にしてください。
住宅の場所別に確認する場合は住宅の場所から害獣・害虫トラブルを調べる、施工費用は害獣・害虫駆除の費用・相場、業者を比較する場合は害獣・害虫駆除業者の選び方で確認できます。
風呂場でシロアリが心配なときの確認順
- 敷居・床・羽アリなど異変を写真に残す
- 水漏れ・水染みがないか確認する
- 腐朽だけかシロアリかを決めつけない
- 浴室入口・洗面所も確認する
- 外周基礎に蟻道がないか安全に見る
- 専門点検では浴室下の土台・床束・配管周辺を確認する
- シロアリ被害と腐朽・漏水を分けて診断する
- シロアリがいれば必要範囲を駆除・防蟻する
- 漏水原因と被害部材を補修する
- 部分施工なら保証範囲を確認する
よくある質問
風呂場はシロアリが出やすいですか?
ヤマトシロアリは湿気が多く比較的暖かい場所を好み、日本しろあり対策協会は風呂場・洗面所・台所・トイレなどを被害が出やすい場所として挙げています。
風呂場の敷居がベコベコならシロアリですか?
シロアリの場合も、水分で木材が腐っているだけの場合もあります。敷居の状態だけでは判断できないため、漏水・腐朽と蟻道・食痕・羽アリ等を一緒に確認します。
ユニットバスならシロアリの心配はありませんか?
ユニットバスの表面材だけでなく、その周囲には土台・柱・床下木部があります。漏水や床下からの侵入が疑われる場合は、周辺構造まで確認します。
風呂場から羽アリが出ました。
普通のクロアリの羽アリとシロアリの羽アリの両方が候補です。虫体と発生場所を写真に残し、シロアリの特徴がある場合は建物点検を検討してください。
浴室だけ薬剤を撒けば駆除できますか?
被害範囲と侵入経路によります。浴室の下や隣接部まで被害が続いている場合があるため、調査せず浴室だけ処理して十分とは判断できません。
風呂場だけのシロアリ工事でも保証は付きますか?
保証は業者ごとに異なります。日本しろあり対策協会によると、統一ルールはなく、一般的には部分施工では保証が付かない場合が多いとされています。契約前に対象範囲を確認してください。
浴室リフォーム中にシロアリを見つけました。
リフォーム工事とシロアリ施工の順番は被害部材や施工後のアクセス状況によって変わります。工務店とシロアリ業者で現場を確認し、部材交換・防蟻施工・補修の順番を決めます。
シロアリ駆除後は敷居のベコベコも直りますか?
駆除だけでは木材の強度は元に戻りません。食害・腐朽した部材は別途補修や交換が必要になる場合があります。
