新築でもシロアリ対策は必要?防蟻処理・ベタ基礎・5年後の点検を確認

新築住宅を建てるとき、「新しい家ならシロアリ対策は必要ないのでは」「ベタ基礎だから大丈夫だろう」と考えることがあります。

ベタ基礎や新しい防蟻工法はシロアリ対策として有効ですが、新築であること自体がシロアリ被害を防ぐわけではありません。

新築住宅では、完成してから対処するよりも、設計・基礎工事・上棟などの段階で防蟻仕様を決めておく方が対策しやすいという大きな利点があります。

確認したいのは、単に「薬剤を使ったか」だけではありません。

  • どのような防蟻工法を採用しているか
  • ベタ基礎・布基礎のどちらか
  • 基礎の打継ぎや配管貫通部をどう処理するか
  • 玄関・勝手口周辺に対策があるか
  • 基礎断熱を採用するか
  • 木部・土壌へどのような処理をするか
  • 施工証明書が残るか
  • シロアリ保証は何年間か
  • 保証対象になるシロアリの種類・施工範囲はどこか
  • 築後の点検・再施工をどう行うか

新築時にこれらを確認しておくと、築5年・10年と経過した後のメンテナンス判断もしやすくなります。

目次

新築住宅でもシロアリ対策は必要

シロアリは「古い木」だけを狙う虫ではありません。

ヤマトシロアリやイエシロアリは地中から建物へ侵入することが多く、住宅に利用できる木材や断熱材等があれば、新築か築30年かという築年数だけで侵入可否が決まるわけではありません。

公益社団法人日本しろあり対策協会も、新築時にシロアリ被害を予防するための処理を行うことを防除方法の一つとして位置付けています。

新築時は床・壁が完成する前に施工できるため、既存住宅より防蟻処理しやすい部分があります。

新築のシロアリ予防は法律上どうなっている?

建築基準法施行令第49条第2項では、木造建築物について、構造耐力上主要な柱、筋かい、土台のうち地面から1m以内の部分に有効な防腐措置を行うとともに、必要に応じてシロアリなどの虫による害を防止する措置を行うことが定められています。

ここで注意したいのは、法律が「特定の防蟻薬剤を必ず散布しなければならない」と定めているわけではないことです。

住宅の構造や地域、使用する木材・工法などに応じた防蟻措置を考えます。

新築住宅の打ち合わせでは、「シロアリ対策しています」という説明だけで終わらせず、具体的にどの部位へ、どの方法で、どの製品・工法を使うのかまで確認するとよいでしょう。

新築時のシロアリ対策にはどんな方法がある?

新築住宅の防蟻方法は一つではありません。

日本しろあり対策協会の防除施工では、代表的な方法として土壌処理と木部処理があります。

土壌処理

地中から建物へ侵入するシロアリを防ぐため、基礎内側やシロアリが通過する可能性のある地盤部分などへ防蟻処理を行います。

工法によっては薬剤散布だけではなく、防蟻シートや被膜形成型の方法等が使われる場合があります。

木部処理

土台、柱、水回り周辺などの木部へ防蟻処理を行います。

日本しろあり対策協会の施工標準では、新築時の木部について地面から1m程度までの部材や、水回りなどを重点的な処理部位としています。

防腐・防蟻処理された木材

工場段階で防腐・防蟻処理を施した木材を使用する方法もあります。

薬剤を現場で吹き付ける施工だけが新築の防蟻対策ではありません。

物理的な侵入防止

シロアリが通過しにくい材料や構造を使い、建物への侵入経路そのものを遮断する考え方もあります。

特に基礎の打継ぎ部、配管貫通部などは、新築時だからこそ施工しやすい場所です。

ベタ基礎ならシロアリ対策はいらない?

ベタ基礎はシロアリ対策という面では有利な基礎です。

布基礎では床下の地盤が露出する構造がありますが、ベタ基礎では底盤全体を鉄筋コンクリートで覆います。

日本しろあり対策協会も、シロアリ対策だけを比較するなら、布基礎よりベタ基礎の方が優れているとしています。

さらに同協会では、厚さ10cmの一体打ち鉄筋コンクリートを使ったベタ基礎の貫通試験を行い、クラック等の欠陥がない場合、10年後までシロアリがコンクリートを貫通しなかったと報告しています。

つまり、健全なベタ基礎のコンクリート自体は、地中から直接侵入するシロアリに対して大きな障壁になります。

一方で、実際の住宅にはコンクリートだけではない部分があります。

ベタ基礎でも確認したい侵入経路

ベタ基礎住宅で特に確認したいのは、コンクリートそのものよりも隙間・接合部・貫通部です。

基礎底盤と立ち上がりの打継ぎ

一般的なベタ基礎では、底盤と立ち上がりを別の工程で打設する場合があります。

その接合部に生じるわずかな隙間などは、防蟻上の確認箇所になります。

給排水管の貫通部

給水管・排水管などがコンクリートを貫通する場所には、管と基礎との取り合いがあります。

施工状態によっては、この周囲がシロアリの侵入経路になる可能性があります。

基礎のひび割れ

小さな表面ひびがすべてシロアリ侵入につながるわけではありません。

ただし、基礎を貫通するような隙間ができれば確認対象になります。

玄関・勝手口

玄関土間、ポーチ、勝手口などは、一般的な床下とは異なる納まりになる部分があります。

床下から見えにくい部分でもあるため、新築時にどのような防蟻処理を行う設計なのか確認しておくとよいでしょう。

基礎断熱

基礎断熱では、基礎の内側または外側へ断熱材を施工します。

日本しろあり対策協会は、発泡スチロールや発泡ウレタン系の断熱材もシロアリ被害を受けることがあるとしています。

また、基礎断熱住宅に保証を付けるかどうかについては、協会共通の一律ルールではなく、各施工業者が判断するとされています。

基礎断熱を採用する場合は、

  • 内断熱か外断熱か
  • 断熱材そのものに防蟻性能があるか
  • 基礎打継ぎ部の処理
  • 配管貫通部の処理
  • 蟻道を目視できる構造か
  • 保証対象になる範囲

を確認しておくことが重要です。

コンクリート住宅ならシロアリは関係ない?

鉄筋コンクリート造でもシロアリ被害がなくなるわけではありません。

シロアリが建物内部へ侵入すれば、内部に使われている木材、造作材、家具、断熱材などが被害を受ける場合があります。

「シロアリがコンクリートを食べて栄養にしている」という理解より、コンクリート建物にも隙間や配管部分などを利用して侵入し、内部の材料を加害する可能性があると考えた方が実態に近くなります。

ベタ基礎・コンクリート床下の侵入経路について詳しく確認したい場合は、住宅の場所から害獣・害虫を調べるも参考にしてください。

ベタ基礎なら土壌処理をしなくてもよい?

防蟻仕様は住宅の設計・施工方法によって異なるため、「ベタ基礎なら土壌処理は必ず不要」と一律には決められません。

日本しろあり対策協会では、ベタ基礎住宅の新築予防工事について、基本的にはベタ基礎打設前の土壌移動がない段階で土壌処理を行う方法を案内しており、打設後に表面処理する方法もあるとしています。

一方、薬剤とは異なる防蟻工法を採用する住宅もあります。

注文住宅なら、設計打ち合わせの段階で「ベタ基礎だから何もしない」のか、「別の防蟻工法を採用している」のかを区別して確認してください。

新築だからこそ防蟻処理の内容を記録しておく

新築直後は、「施工会社が分かっているから必要になったら聞けばよい」と考えがちです。

しかし、5年後・10年後には担当者が変わったり、施工業者との関係が切れたりすることがあります。

引渡し時には、次の資料をまとめて保管しておくと、その後の点検・再処理で役立ちます。

  • 防蟻施工証明書
  • 施工日
  • 施工会社
  • 使用薬剤・製品・工法
  • 施工範囲
  • 施工写真
  • シロアリ保証書
  • 保証開始日・満了日
  • 保証対象種
  • 修復補償の有無・上限
  • 定期点検条件
  • 保証継続に必要なメンテナンス条件

新築のシロアリ保証は5年が多い理由

一般的な薬剤によるシロアリ防除では、5年という期間が一つの基準になります。

日本しろあり対策協会では、認定薬剤の有効期間を5年とし、防除施工標準仕様書でも5年を目途に再処理するとしています。

このため、新築住宅でも5年間のシロアリ保証を設ける施工会社・防除会社があります。

ただし、保証5年=5年間絶対にシロアリが出ないという意味ではありません。

また、5年以内に発生すれば建物修理まで無条件で全額補償されるとも限りません。

保証内容は業者によって異なります。

5年保証で確認したいこと

保証書では少なくとも次の内容を確認します。

  • 保証期間
  • 保証対象となるシロアリの種類
  • 保証対象となる施工範囲
  • 再発時の再施工が無料か
  • 木材・構造部分の修復費を含むか
  • 修復補償の上限額
  • 定期点検を受ける必要があるか
  • 漏水・増改築等による免責
  • 基礎断熱部分の扱い
  • 保証を行う会社

「5年保証」という名称だけでは内容まで分かりません。

新築住宅の10年保証とシロアリ5年保証は別

新築住宅には、住宅品質確保法等に基づき、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任があります。

住宅瑕疵担保履行法は、その責任を履行するために新築住宅を供給する事業者へ保険加入または保証金供託などの資力確保措置を求めています。

これは、シロアリ防除業者が設定する「シロアリ5年保証」とは別の制度です。

そのため、

「新築住宅は10年保証だから、シロアリ被害も10年間すべて自動的に補償される」

とは考えない方がよいでしょう。

シロアリ被害が起きた場合の扱いは、原因、施工上の瑕疵の有無、契約内容、シロアリ保証等を個別に確認します。

築5年になったら必ず再施工する?

一般的な認定薬剤によるバリア処理では、5年が再処理を検討する目安になります。

ただし、築5年の誕生日になった瞬間にシロアリ被害が始まるわけではありません。

一方、「5年を過ぎても見た目に問題がないから何十年も何もしなくてよい」と判断するのも適切ではありません。

築5年前後になったら、

  • 新築時の施工方法
  • 使用薬剤・工法
  • 保証満了日
  • これまでの点検履歴
  • 基礎や床下に蟻道がないか
  • 羽アリが出ていないか
  • 漏水がないか

を確認し、点検・再処理を判断します。

工法によっては5年ごとの全面的な薬剤再施工とは異なる維持管理方法が設定されているため、新築時の資料を確認してください。

築1〜4年でも異変があれば5年を待たない

新築時に防蟻処理をしていても、次のサインがあれば保証満了まで待たずに確認します。

  • 室内や家の周囲からシロアリの羽アリが大量に出た
  • 基礎に土でできた筋のようなものがある
  • 玄関枠・床・水回りの木部がおかしい
  • 床が局所的に沈む
  • 水漏れ・雨漏りが起きた
  • 増築・リフォームで防蟻処理部分を変更した

シロアリのサインか分からない場合は症状・痕跡から害獣・害虫を調べるから確認できます。

新築時に水回りも確認する理由

シロアリ被害では、水分環境も重要です。

新築時に適切な対策をしていても、その後、

  • 浴室からの漏水
  • 洗面台・給排水管からの水漏れ
  • 雨漏り
  • 床下の結露

などが発生すれば建物条件が変わります。

「新築時に防蟻処理をしたから、その後の漏水は関係ない」ということではありません。

新築の外周で避けたい状態

引渡し後の生活でも、基礎周辺を点検しやすい状態にしておくことが重要です。

たとえば、

  • 木材を基礎へ密着させて長期間置く
  • 段ボールを屋外で地面へ放置する
  • 基礎外周を物で埋めて確認できなくする
  • 水漏れ・排水不良を放置する

といった状態は避けます。

庭の木やウッドデッキがあるだけで直ちにシロアリ被害が起きるわけではありませんが、建物と地面との取り合いを定期的に見られる状態を維持すると異常に気づきやすくなります。

これから新築する人が工務店へ聞きたいこと

注文住宅なら、契約前から次の内容を確認できます。

  1. どの防蟻工法を標準採用しているか
  2. 薬剤処理なら使用薬剤と施工範囲はどこか
  3. 木部処理だけか、土壌・基礎周辺にも処理するか
  4. ベタ基礎の打継ぎ部はどう対策するか
  5. 配管貫通部はどう処理するか
  6. 玄関・勝手口周辺はどう処理するか
  7. 基礎断熱を採用する場合の防蟻方法
  8. 床下全体を将来点検できる構造か
  9. 施工写真・施工証明書を受け取れるか
  10. シロアリ保証は何年間か
  11. 保証満了後はどんな点検・再施工が必要か

建売住宅なら引渡し前に何を見る?

すでに完成した建売住宅では、施工前の様子を自分で見ることはできません。

その代わり、引渡し前に書類を確認します。

  • 防蟻処理を行ったか
  • 施工年月日
  • 施工会社
  • 使用した工法・薬剤
  • シロアリ保証書
  • 保証満了日
  • 点検条件
  • 基礎断熱の仕様

「ベタ基礎です」という説明だけでなく、防蟻仕様がどうなっているかを確認しておくと将来のメンテナンス計画を立てやすくなります。

床下を点検できる構造も重要

どれほど防蟻対策をしても、将来の状態を確認できなければ早期発見が難しくなります。

新築時には、

  • 床下点検口があるか
  • 床下の主要部分へ移動できるか
  • 配管等が人通口を塞いでいないか
  • 基礎内側を目視できるか

といった維持管理性も確認しておくとよいでしょう。

自分で狭い床下へ入る必要はありません。将来、専門点検ができる構造になっているかが重要です。

防蟻処理をした新築でも定期点検は必要

防蟻処理は「施工したら二度と確認しなくてよい」ものではありません。

建物の状態は、入居後の漏水、増改築、外構工事、地震等によって変わることがあります。

定期点検では、

  • 基礎の蟻道
  • 配管周囲
  • 土台・木部
  • 玄関周辺
  • 水回り
  • 羽アリ
  • 漏水・湿気

などを確認します。

新築のシロアリ対策で業者を比較するとき

新築防蟻工事をオプションで依頼する場合や、築後に再施工業者を選ぶ場合は、単価だけではなく施工範囲を確認します。

比較したいのは、

  • 工法
  • 施工範囲
  • 使用薬剤・材料
  • 施工資格・体制
  • 施工写真の有無
  • 保証期間
  • 再発時の無料再施工
  • 修復補償
  • 定期点検
  • 保証対象外条件

です。

費用を確認する場合は害獣・害虫駆除の費用・相場、施工会社の比較は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。

新築住宅のシロアリ対策を確認する流れ

  1. 建築会社へ防蟻仕様を確認する
  2. 基礎形式を確認する
  3. 基礎打継ぎ・配管貫通部・玄関の対策を確認する
  4. 基礎断熱の場合は専用の防蟻仕様を確認する
  5. 木部・土壌等の施工範囲を確認する
  6. 施工写真・施工証明書を受け取る
  7. 保証期間と保証条件を確認する
  8. 引渡し後も基礎・水回りを定期的に確認する
  9. 一般的な薬剤処理なら築5年前後で点検・再処理を検討する
  10. 羽アリ・蟻道・漏水等があれば年数を待たず調査する

シロアリ対策全体はシロアリ対策の総合ページ、住宅内の場所ごとの確認は住宅の場所から害獣・害虫を調べるから確認できます。

よくある質問

新築でもシロアリ対策は必要ですか?

必要です。新築時は防蟻対策を行いやすい時期です。建築基準法施行令でも、木造の地面から1m以内の主要構造部について、必要に応じたシロアリ等への措置が定められています。

新築なら何年くらいシロアリの心配はありませんか?

築年数だけでは判断できません。一般的な認定薬剤による防蟻処理では5年が一つの目安ですが、工法によって維持管理条件は異なります。

ベタ基礎なら防蟻処理はいりませんか?

ベタ基礎はシロアリ対策上有利ですが、住宅全体の侵入可能性がゼロになるわけではありません。打継ぎ、配管貫通部、玄関、基礎断熱等を含めた防蟻仕様を確認してください。

シロアリはコンクリートを食べて入ってきますか?

健全な一体打ちコンクリートは大きな障壁になります。日本しろあり対策協会の試験では、欠陥のない厚さ10cmの一体打ち鉄筋コンクリートを10年間貫通しませんでした。実住宅では打継ぎ・ひび・配管周囲等の隙間を重点的に確認します。

新築時の防蟻処理は義務ですか?

建築基準法施行令は、木造の柱・筋かい・土台のうち地面から1m以内について有効な防腐措置と、必要に応じた防蟻措置を求めています。ただし、特定の薬剤散布だけを義務付けているわけではありません。

新築のシロアリ保証は5年ですか?

5年保証は多く見られますが、全国一律の保証期間ではありません。一般的な認定薬剤の有効期間5年が背景にあります。工法・施工会社によって保証条件が異なるため保証書を確認してください。

住宅の10年保証があればシロアリ保証はいりませんか?

同じ制度ではありません。新築住宅の法定10年責任は構造耐力上主要な部分と雨水侵入防止部分の瑕疵を対象とします。シロアリ専用保証の期間・対象・補償条件は別に確認してください。

築5年になったら必ず防蟻処理をやり直しますか?

一般的な認定薬剤による防蟻処理では5年を目途に再処理する考え方があります。ただし工法ごとに条件が異なります。まず新築時の施工証明書・保証書を確認します。

築3年なのに羽アリが出ました。5年まで待ってよいですか?

待たないでください。羽アリや蟻道など疑わしいサインがある場合は、保証期間や次回点検時期を待たず施工会社・専門業者へ確認します。

基礎断熱の家はシロアリに弱いですか?

仕様によります。断熱材の位置・防蟻性能、打継ぎや配管部の処理、点検性などでリスク管理が変わります。基礎断熱住宅の保証条件も業者ごとに確認してください。

建売住宅では何を確認すればよいですか?

施工日、施工会社、防蟻工法、使用薬剤・材料、施工範囲、施工証明書、保証書、保証期間、定期点検条件を確認して保管してください。

参考情報

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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