春から秋にかけて家の周りを飛んでいたコウモリが、寒くなった途端に見えなくなることがあります。
屋根裏から聞こえていた物音もなくなると、「冬になったからどこかへ移動したのだろう」と考えたくなります。
しかし、住宅でよく見られるアブラコウモリは、冬になると家からいなくなるとは限りません。
屋根裏、壁の隙間、戸袋、換気口の奥など、外気の影響を受けにくい場所に残り、そのまま冬眠している可能性があります。
そのため、冬に音がしなくなったことだけを理由に「もういない」と判断して侵入口を塞ぐのは避けた方が安全です。
冬になるとコウモリは家からいなくなる?
冬になるとアブラコウモリの活動は大きく減ります。
前橋市は、市街地で見られるアブラコウモリについて、春から秋に活動し、11月頃から4月頃まで冬眠すると案内しています。
つまり、秋まで住宅を利用していたコウモリが、冬になったから必ず別の場所へ移動したとは限りません。
それまで使っていた住宅の隙間や屋根裏などを冬越しの場所として利用している可能性があります。
家のどこで冬眠する?
住宅では、コウモリが普段ねぐらとして利用する場所と、冬に潜む場所が重なることがあります。
候補になるのは、次のような場所です。
- 屋根裏・天井裏
- 瓦の下
- 屋根と外壁の隙間
- 壁の内部
- 換気口・通気口の奥
- 雨戸の戸袋
- シャッターボックス
- 軒下の隙間
これらは雨風を避けやすく、人の出入りも少ない場所です。
秋まで同じ場所からコウモリが出入りしていたのであれば、冬になって姿が見えなくなっても、その場所を候補から外さない方がよいでしょう。
冬に屋根裏の物音がなくなる理由
アブラコウモリは冬眠すると、春〜秋のようには頻繁に飛び回りません。
そのため、
- 天井裏のカサカサ音がなくなった
- 夕方に飛び出す姿を見なくなった
- 新しい糞が目立たなくなった
といった変化が起こります。
ただし、これは住宅から完全に退去した証拠ではありません。
活動量が大きく落ちたことで、人が気づきにくくなっている可能性があります。
冬眠していても暖かい日は飛ぶことがある
「冬眠」という言葉から、春まで一度も起きない状態をイメージするかもしれません。
実際には、アブラコウモリが冬眠中に一時的に目覚めることがあります。
京都市動物園は、冬眠中でも春を思わせるような暖かい日には体温が上がり、目を覚ます個体がいると紹介しています。
神奈川県も、冬は冬眠するものの、暖かい日には起きて外へ出る場合があると案内しています。
そのため、冬に一度コウモリが飛んでいるのを見たからといって、冬眠期ではないと断定することもできません。
「冬でも飛んでいる=家には住んでいない」でもない
暖かい日に一時的に外へ出て、再び建物内部へ戻る個体も考えられます。
冬の一度の観察だけで、
- 全個体が出た
- ねぐらを放棄した
- 侵入口を塞いでも問題ない
とは判断しないようにします。
侵入口を本格的に封鎖する際は、コウモリが活動する時期に実際の出入りを確認し、建物内部へ残っていないことを確かめることが重要です。
冬に侵入口を塞いでもよい?
冬にコウモリの物音がなくなったからといって、そのまま穴や換気口を塞ぐ方法は勧められません。
鳥取県や浜松市は、コウモリの侵入口を塞ぐ時期について、冬眠前後を避けるよう案内しています。
冬眠中の個体が建物内部に残ったまま完全に封鎖すると、外へ出られなくなる可能性があります。
コウモリを閉じ込めるとどうなる?
建物内部へコウモリを閉じ込めると、次の問題につながることがあります。
- 別の出口を探して住宅内部へ入り込む
- 室内側へ出てくる
- 建物内部で死亡する
- 死骸による臭気が発生する
- 死骸を発生源として虫が出る
「今は静かだから」という理由だけで全面封鎖するのではなく、内部に個体がいないことを確認してから施工します。
冬はコウモリを追い出しやすい?
活動が少ない冬なら、簡単に駆除できそうに感じるかもしれません。
実際には反対で、冬眠時期は追い出しが難しい時期です。
北九州市も、冬眠時期はコウモリの追い出しが難しいため、それ以外の時期に対策する方が効果的としています。
活動して外へ飛び出す時期であれば、退出を確認してから侵入口を塞ぐことができます。
冬眠中はその確認が難しくなります。
冬だから春まで何もしなくてよい?
冬に追い出し・封鎖を急がないことと、何も確認しなくてよいことは別です。
冬の間にも、安全な範囲で次の内容を確認しておくと、その後の対策につながります。
- 秋までコウモリが出入りしていた場所
- 糞が多く落ちている場所
- 外壁・屋根・換気口の隙間
- 戸袋・シャッター周辺
- 天井のシミ
- 糞尿臭
- 暖かい日の飛翔
屋根へ上ったり、狭い屋根裏へ無理に入ったりする必要はありません。
冬でも新しい糞が落ちることはある?
冬眠中も完全に一度も動かないとは限らないため、新しい糞が確認される場合があります。
一方、秋以前から残っている古い糞との区別が難しいこともあります。
糞があるから現在も活発に出入りしている、あるいは糞が増えないから退去した、と単独では判断しない方がよいでしょう。
過去の飛び出し場所、音、暖かい日の活動などを合わせて確認します。
冬に部屋の中へコウモリが出てきた場合
冬でも、建物内にいたコウモリが室内側へ出てくることがあります。
室内を飛んでいる場合は、人やペットを離し、可能であれば外へ通じる窓や扉を開け、自然に出ていくのを待ちます。
無理に網で捕まえたり、素手でつかんだりするのは避けてください。
コウモリは野生鳥獣であり、捕獲・殺傷は鳥獣保護管理法によって原則として禁止されています。
冬に動けないコウモリを見つけた場合
地面やベランダ、室内でほとんど動かないコウモリを見ることがあります。
冬眠や低温によって活動が鈍くなっている可能性もあり、動かないから死亡しているとは限りません。
神奈川県も、冬には冬眠する一方で暖かい日に活動することがあるとし、コウモリには感染症の可能性もあるため素手で触らないよう案内しています。
自分でつかんで移動させようとせず、必要に応じて自治体の野生鳥獣担当などへ相談してください。
死んでいるように見えても素手で触らない
コウモリは体が小さく、冬の低温下ではほとんど動かない場合があります。
生死が分からない個体を素手で持ち上げるのは避けます。
子どもやペットも近づけないようにしてください。
冬に屋根工事・外壁工事をする場合
雨漏り、外壁破損、屋根修理など、春まで待てない工事が必要になることもあります。
過去にコウモリの出入りがあった場所を冬に塞ぐ必要がある場合は、施工前にコウモリが内部へ残っていないか確認できる専門業者へ相談する方が安全です。
特に、
- 屋根内部
- 壁の中
- 戸袋内部
- 複数の侵入口
- 大量の糞がある場所
では、外から見ただけで不在を確認するのが難しい場合があります。
冬に防鳥ネットやパテで塞ぐのは?
材料そのものが問題なのではなく、塞ぐタイミングが重要です。
換気口や配管周囲の隙間を金網、ネット、パテ、シーリング材等で塞ぐ方法は、追い出し後の再侵入防止に使われます。
ただし、冬眠個体が内部にいる可能性がある時期に全面封鎖すると閉じ込めるおそれがあります。
冬の間に侵入口候補を記録し、活動期に不在確認をした後で封鎖する方法を検討します。
春になったら何を確認する?
気温が上がり、コウモリが活動を再開したら、夕方の出入りを確認しやすくなります。
春以降は、
- 日没前後に建物外から観察する
- どの場所から飛び出すか確認する
- 複数の侵入口がないか確認する
- 追い出しを行う
- 全個体が外へ出たことを確認する
- 侵入口を封鎖する
- 糞・汚染箇所を清掃する
- 再発がないか確認する
という流れを取ります。
ただし、春の後には出産・幼獣期も来るため、単純に「春から夏ならいつでもよい」とは限りません。
6〜8月頃も封鎖には注意
冬眠期だけでなく、飛べない幼獣が残る時期にも注意が必要です。
鳥取県と浜松市は、6〜8月頃の飛べない幼獣がいる時期にも侵入口封鎖を避けるよう案内しています。
つまり、コウモリ対策は、
冬だから駄目、夏だから駄目、という月だけの判断ではなく、内部に取り残す個体がいないか
を確認することが中心です。
冬のコウモリ対策で避けたいこと
- 音が止まっただけで不在と判断する
- 冬眠している可能性がある状態で全侵入口を塞ぐ
- 屋根裏へ入り棒などで起こして追い出す
- コウモリを素手でつかむ
- 網・粘着器具等で無許可捕獲する
- 殺傷する
- 高所へ上って侵入口をDIY施工する
冬のうちに業者へ相談する意味はある?
冬にその場で追い出し・封鎖できないケースでも、調査を依頼する意味はあります。
たとえば、
- 侵入口候補の調査
- 糞の堆積範囲の確認
- 建物内部の利用状況の確認
- 春以降の施工計画
- 高所部分の点検
- 雨漏り・建物損傷との切り分け
などです。
「冬なので何もできません」という意味ではなく、冬眠個体を閉じ込めない形で何を進められるかを確認します。
専門相談を検討した方がよい状態
- 屋根裏・壁内に多数いる可能性がある
- 冬でも室内へコウモリが出てくる
- 大量の糞がある
- 強い臭いがある
- 侵入口が屋根や2階以上にある
- 侵入口が複数ある
- 冬の工事で開口部を塞ぐ必要がある
- 内部に残っているか判断できない
費用を確認する場合は害獣・害虫駆除の費用・相場、業者を比較するときは害獣・害虫駆除業者の選び方も確認してください。
コウモリかどうか分からない場合は症状・痕跡から害獣・害虫を調べる、屋根裏・換気口など住宅の場所から調べる場合は住宅の場所から害獣・害虫を調べる、害獣全般は害獣対策の総合ページから確認できます。
冬にコウモリが家にいるときの確認順
- 冬になる前に出入りしていた場所を思い出す
- 糞・物音・臭いを安全な場所から確認する
- 音が止まっただけで退去と判断しない
- 暖かい日の飛翔・新しい糞も参考にする
- 冬眠個体が残る可能性がある状態で全面封鎖しない
- 屋根・高所・壁内は無理に確認しない
- 春以降に活動が戻ったら夕方の出入りを確認する
- 追い出し後に全個体の不在を確認する
- その後で侵入口を封鎖する
- 捕獲が必要な場合は許可制度を確認する
よくある質問
冬になれば家のコウモリはいなくなりますか?
必ずしもいなくなりません。春〜秋に利用していた屋根裏や壁の隙間などで、そのまま冬眠する可能性があります。
コウモリはいつ頃冬眠しますか?
前橋市はアブラコウモリについて11月頃〜4月頃を冬眠期としています。ただし地域、気温、建物環境などで活動時期は変わるため、全国一律の開始日・終了日として扱わない方がよいでしょう。
冬に屋根裏の音がしなくなりました。もういませんか?
音がなくなっただけでは判断できません。冬眠して活動量が落ちている可能性があります。
冬でもコウモリが飛ぶことがありますか?
あります。京都市動物園や神奈川県は、冬眠中でも暖かい日に目を覚まして活動することがあると案内しています。
冬に侵入口を塞いでもよいですか?
冬眠個体を内部へ閉じ込める可能性があるため注意が必要です。鳥取県・浜松市は冬眠前後の封鎖を避けるよう案内しています。
冬ならコウモリを簡単に追い出せますか?
むしろ活動が少ないため退出確認が難しくなります。北九州市も冬眠時期は追い出しが難しいとしています。
冬に部屋へコウモリが入りました。捕まえてよいですか?
自己判断で捕獲しないでください。コウモリを含む野生鳥獣の捕獲・殺傷は原則として禁止されています。室内を飛んでいる場合は人・ペットを離し、外へ通じる窓等から自然退出させる方法を検討します。
地面で動かないコウモリを見つけました。
冬は低温や冬眠によって動きが鈍い場合があります。生死を自己判断して素手で触らず、必要なら自治体へ相談してください。
冬の間は何も対策できませんか?
侵入口候補、糞、建物損傷の調査や、春以降の施工計画を立てることはできます。冬眠個体を閉じ込めないことを優先します。
春になったらすぐ塞いでよいですか?
まず夕方の出入りを確認し、追い出し後に内部へ個体が残っていないことを確かめます。また6〜8月頃の飛べない幼獣期にも注意が必要です。
参考情報
- 前橋市「コウモリについて 市街地にも姿を現します」
- 京都市動物園「冬のコウモリ」
- 鳥取県「野生鳥獣の捕獲等に係るよくある質問」
- 浜松市「家にコウモリが住み着いて困っている」
- 北九州市「よくある相談と対策【コウモリ】」
- 神奈川県「野生動物に関するよくあるご質問」
- 環境省「捕獲許可制度の概要」
