隣の家の軒下や庭木に蜂の巣があり、自宅の庭や玄関、ベランダまで蜂が飛んでくると、「こちらで駆除してしまいたい」と感じることがあります。
しかし、蜂の巣がある場所が自分の所有・管理する敷地ではない場合は、勝手に敷地へ入ったり、自分で巣を撤去したりしないことが基本です。
複数の自治体でも、近隣の民家などにできた蜂の巣は、その物件の所有者・管理者へ対応を相談するよう案内しています。
まず安全な位置から巣の場所や蜂の出入りを確認し、隣家なら所有者・居住者、共同住宅なら管理会社などへ事実を伝えます。空き家で所有者が分からない場合は、自治体の空き家相談窓口などへ情報提供できる場合があります。
蜂の種類や巣の危険度を確認したい場合は、蜂の種類と住宅での対策も参考にしてください。
近所の蜂の巣は誰が駆除する?
私有地にある蜂の巣は、その土地・建物の所有者や管理者側で対応するという案内が一般的です。
武蔵野市は、近隣の民家にできた蜂の巣について、駆除できるのはその物件の所有者・管理者であり、近所の人が無断で駆除したり、市が勝手に駆除したりすることはできないと案内しています。
国分寺市も、自宅以外の場所、たとえば隣の家に巣がある場合は、まずその敷地の管理者・居住者等へ対応を依頼するよう案内しています。
| 蜂の巣がある場所 | 最初の連絡先 |
|---|---|
| 隣の戸建て住宅 | その住宅の所有者・居住者・管理者 |
| 賃貸アパート・マンション | 管理会社・大家など |
| 分譲マンションの共用部分 | 管理会社・管理組合など |
| 公共施設・公園など | その施設・土地の管理部署 |
| 空き家 | 所有者・管理者。分からなければ自治体の空き家相談窓口等 |
隣家の蜂の巣を勝手に駆除しない
自宅側から見える位置に巣があっても、他人の敷地にある巣へ勝手に手を出すのは避けてください。
武蔵野市も、近隣の民家にできた蜂の巣について、無断で自分で駆除することはできないと明記しています。
次のような行動はしない方が安全です。
- 隣家の敷地へ無断で入る
- 塀を越えて棒などで巣を落とす
- 自宅側から隣家の巣へ殺虫剤を大量に噴射する
- 脚立などを使って境界を越えて作業する
- 巣を石や物で刺激する
蜂を刺激する危険だけでなく、他人が所有・管理する場所での作業になるため、まず管理者へ連絡します。
蜂が飛んでくるだけでは隣家に巣があるとは断定できない
自宅の庭へ蜂が何度も飛んでくると、近所に巣があると考えたくなります。
しかし、飛んでいる蜂を見ただけでは、巣がどこにあるかは分かりません。
花、樹液、水場などへ餌を取りに来ている可能性もあります。
国分寺市も、飛んでいる蜂そのものだけでは駆除対象にならず、巣の位置が分からなければ対応できない場合があるとしています。
巣を確認できていない段階で、「隣の家に巣がある」と断定して相手へ伝えるのは避けた方がよいでしょう。
確認する場合も、自分の敷地や室内など安全な位置から、同じ場所へ蜂が繰り返し出入りしていないかを見る程度にします。
隣の家へ伝えるときは「事実」を中心にする
相手は蜂の巣に気づいていない可能性があります。
隣家側からは見えない軒裏や庭木の裏に巣があり、自宅側からだけ見えることもあります。
伝えるときは、責任を追及する言い方より、確認できた事実を共有する方がトラブルになりにくくなります。
例えば、次のような情報を伝えます。
- どこに巣らしいものが見えるか
- いつごろ気づいたか
- 蜂が出入りしているか
- 自宅の玄関・庭・ベランダなどへ蜂が来ているか
- 子どもや高齢者などが通る場所に近いか
- スズメバチらしい場合はその可能性
「駆除してください」といきなり強く要求するより、「こちら側から蜂の巣のようなものが見えるので、一度確認していただけますか」と共有する形でも十分です。
隣家が賃貸住宅・マンションなら管理会社へ
隣の建物が賃貸アパートやマンションの場合、住んでいる人自身が建物外壁や共用部分の巣を自由に撤去できないことがあります。
小平市は、団地、アパート、マンション等に蜂の巣がある場合、それぞれの管理会社等へ連絡するよう案内しています。
そのため、管理会社が分かる場合は、住人だけでなく管理会社・大家・管理組合など、実際に建物を管理できる主体へ情報が届くようにします。
公共施設や公園の蜂の巣は施設管理者へ
蜂の巣が公園、学校、公共施設などにある場合は、その施設の管理部署へ連絡します。
稲城市では、公共施設の蜂の巣は市役所側が対応し、私有地については所有者へ対応を求めています。
自治体によって担当部署は異なるため、施設名と巣の場所を伝えて管理部署を確認してください。
空き家に蜂の巣がある場合
隣家が空き家で、所有者へ直接連絡できないケースもあります。
空き家だからといって、近隣住民が敷地へ入って蜂の巣を撤去してよいわけではありません。
町田市は、空き家の蜂の巣についても駆除は所有者等が行うもので、市が直接駆除することはできないと案内しています。
一方、近隣の空き家に関する相談自体は自治体で受け付けている場合があります。
所有者が分からない、連絡手段がない、建物全体の管理状態にも問題がある場合は、市区町村の空き家担当窓口へ、次の情報を整理して相談します。
- 空き家の場所
- 蜂の巣が見える位置
- 蜂の出入りの有無
- 玄関・道路・自宅庭など生活空間への影響
- いつごろから確認しているか
ただし、相談を受け付けても自治体がその場で蜂の巣を撤去するとは限りません。
市役所に連絡すれば近所の巣を駆除してくれる?
自治体によって対応は大きく異なります。
たとえば、スズメバチの巣を条件付きで無料駆除する自治体もあれば、費用の一部を助成する自治体、自分で業者へ依頼する自治体もあります。
さらに、制度があっても隣家など他人が所有・管理する土地の巣は対象外になる場合があります。
船橋市の制度でも、隣家など他人が所有・管理している建物・敷地の蜂の巣は対象外です。
そのため、「自分の市には無料駆除制度があるから、隣の家の巣も市が取ってくれる」とは考えず、次を確認してください。
- 対象となる蜂の種類
- 巣がある土地の所有関係
- 申請できる人
- 巣が露出している必要があるか
- 生活上の危険が条件になっているか
- 無料駆除・助成・用具貸出のどれか
自治体制度は年度途中で変更されることもあるため、現在の公式情報を確認します。
相手が蜂の巣を駆除してくれない場合
一度伝えても対応してもらえない場合でも、自分で隣家へ入って撤去する方向には進めません。
まず、自宅側への影響を具体的に整理します。
- 玄関を出入りすると巣の近くを通る
- 自宅の庭・ベランダへ多数の蜂が来る
- 子どもの通学・遊び場所に近い
- スズメバチらしい巣が見える
- 蜂が威嚇するように飛んでくる
- すでに家族が刺された
そのうえで、再度所有者・管理者へ事実を伝え、居住地域の自治体に蜂の相談窓口や制度があるか確認します。
自治体が私有地へ直接立ち入って駆除できない場合でも、相談先や地域の制度、専門業者団体などを案内してもらえることがあります。
相手とのやり取り自体が難しい場合も、まず自治体へ「隣家の蜂の巣を直接駆除してほしい」と決めつけるのではなく、どの窓口へ相談すべき状況かを確認すると整理しやすくなります。
近所の蜂の巣が危険かどうかを見るポイント
巣が近所にあるだけで、すべて同じ緊急度になるわけではありません。
| 状態 | 対応の考え方 |
|---|---|
| 人がほとんど近づかない場所の小さなアシナガバチ巣 | 所有者側で生活支障を踏まえて判断します。 |
| 玄関・通路・ベランダ・道路に近い | 人との接触機会が多いため、早めの相談が必要です。 |
| ボール状・マーブル模様などスズメバチが疑われる | 近づかず、所有者・管理者へ早めに連絡します。 |
| 多数の蜂が頻繁に出入りしている | 巣へ近づいて種類確認をせず、管理者・専門業者への相談を優先します。 |
| 冬の古い巣で蜂の出入りがない | 活動中の巣とは扱いが異なる場合があります。 |
蜂種や巣形を確認する場合も、ズーム撮影など安全な距離から行い、巣へ接近する必要はありません。
隣家のスズメバチらしい巣には近づかない
スズメバチは巣への刺激に対して防衛行動を取ります。
稲城市も、スズメバチは攻撃性が強く危険性が高いとして、専門業者への依頼を推奨しています。
隣家にある場合は、巣の種類を確認するために境界付近まで近づいたり、棒で枝を動かしたりしないでください。
自宅側でも、巣の近くにあたる庭・通路・窓の利用を一時的に控えるなど、管理者が対応するまで接触機会を減らします。
自宅側でできること
隣家の巣そのものへ手を出さなくても、安全確保のためにできることがあります。
- 蜂が多く通る場所へ近づかない
- 子どもへ巣の場所を伝え、近づかせない
- ペットを巣に近い境界付近へ出さない
- 窓・網戸の破損があれば直す
- 室内へ入った蜂を手で叩かない
- 蜂の巣へ向けて自宅側から殺虫剤を噴射しない
蜂が1匹飛んできただけで、庭全体へ大量に殺虫剤を散布する必要もありません。
蜂に刺された場合
蜂に刺されたら、まず巣から十分に離れ、安全な場所へ移動します。
日本赤十字社は、スズメバチ・アシナガバチに刺された場合、医師の診療を受け、針が残っている場合は適切に除去し、患部を冷やすよう案内しています。
全身のじんましん、息苦しさ、気道の腫れ、血圧低下、意識状態の悪化など、アナフィラキシーが疑われる重い症状が出た場合は緊急性があります。
この場合は蜂の巣の相談を続けるより、119番通報など救急対応を優先してください。
駆除費用は誰が払う?
隣家にある巣について、近所の人が自分で駆除業者を契約し、その料金を当然に隣家へ請求できると考えるのは避けた方がよいでしょう。
自治体の案内では、私有地の蜂の巣はその所有者・管理者側へ対応を求める形が基本です。
実際の費用負担は、所有関係、賃貸・分譲、管理契約、自治体の補助制度などによって異なります。
巣がある側が専門業者を探す場合は、害獣・害虫駆除の費用と見積もり、依頼先を比較する場合は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。
よくある質問
隣の家の蜂の巣を自分で取ってもよいですか?
無断での撤去は避けてください。自治体も、近隣民家の巣はその物件の所有者・管理者へ対応を相談するよう案内しています。
隣の家が蜂の巣に気づいていないようです。どう伝えればよいですか?
巣の場所、蜂の出入り、自宅側への影響など、確認できた事実を中心に伝えます。「こちらから蜂の巣のようなものが見えるので、一度確認していただけますか」といった伝え方でもよいでしょう。
市役所へ電話すれば隣家の蜂の巣を駆除してくれますか?
自治体によります。私有地は所有者対応としている自治体が多く、無料駆除制度があっても他人所有地は対象外になる場合があります。所在地の制度を確認してください。
隣が賃貸住宅の場合は住人へ言えばよいですか?
住人への連絡に加え、建物外壁や共用部分なら管理会社・大家などへ連絡する方が対応につながりやすい場合があります。
空き家で持ち主が分かりません
自分で敷地へ入らず、市区町村の空き家相談窓口などへ状況を伝えてください。ただし、自治体が蜂の巣を直接撤去するとは限りません。
近所から蜂がたくさん飛んできます。隣家に巣がありますか?
飛んでいる蜂だけでは巣の場所を確定できません。花や水場へ来ている場合もあります。同じ場所へ繰り返し出入りするなど、巣の位置を安全に確認できる場合に限って管理者へ伝えます。
隣家が駆除してくれません。自宅から殺虫剤をかけてもよいですか?
隣家側の巣へ自宅から薬剤を噴射する方法は勧めません。蜂を刺激する可能性があり、他人が管理する場所への処置にもなります。自宅側の安全を確保し、所有者・管理者や自治体へ相談してください。
冬になって蜂がいません。まだ危険ですか?
スズメバチ・アシナガバチでは前年の古い巣が空になっていることがあります。活動中の巣とは判断が異なるため、蜂の出入りが本当にないかを安全な位置から確認します。
近所の蜂の巣は「自分で取る」より「管理できる人へつなぐ」
隣家や近所に蜂の巣を見つけたときは、自分が撤去することより、その場所を所有・管理している人へ正確に情報を届けることが重要です。
安全な場所から巣の位置と蜂の出入りを記録し、戸建てなら所有者・居住者、共同住宅なら管理会社・大家・管理組合、公共施設なら施設管理者へ連絡します。
空き家で連絡先が分からない場合は、自治体の空き家相談窓口などへ情報提供します。
自治体によって蜂の巣駆除や助成制度は異なり、制度があっても他人所有地は対象外になることがあります。
相手がすぐ動いてくれない場合でも、他人の敷地へ入ったり、境界を越えて巣を刺激したりせず、自宅側の生活動線を一時的に変えながら相談を続けてください。
