シロアリ駆除は自分でできる?市販薬でできる範囲と業者に任せる目安

羽アリやシロアリらしい虫を見つけると、「ホームセンターで薬を買って自分で駆除できないか」と考える人も多いでしょう。

市販の殺虫剤やシロアリ用製品で、目の前にいる個体へ作用させること自体は可能です。

ただし、見えているシロアリを殺すことと、住宅内のシロアリ被害を止めることは別です。

シロアリは木材内部、壁内、床下、地中など見えない場所を利用します。住宅の既存被害を防除する場合は、被害範囲や侵入経路を確認したうえで、土壌・木部など必要な範囲を処理する必要があります。

そのため、自分でできることは「何もしない」か「全面的にDIY駆除する」かの二択ではありません。

安全な範囲で状況を記録し、発生原因を増やさない予防を行い、既存被害が疑われる場合は専門点検へ切り替える、という分け方が現実的です。

目次

シロアリ駆除で自分でできること・任せた方がよいこと

対応 自分で行う目安
羽アリの写真を撮る 可能
発生した場所・時間を記録する 可能
羽アリの一部を保管する 可能
基礎や外周を地上から見る 可能
家の周囲の木材・段ボールを片付ける 可能
換気・漏水対策を行う 可能
市販薬を製品表示どおりに使う 用途を限定して可能
狭い床下へ潜って全面散布する 専門対応を推奨
構造材へ穴を開け薬剤注入する 専門対応を推奨
被害範囲を判断して完全駆除する 専門調査を推奨

市販の殺虫剤はシロアリに効く?

市販の殺虫剤でも、薬剤が直接かかったシロアリや羽アリに作用する製品はあります。

ただし、その場に出てきた虫が死んだからといって、建物内のシロアリ被害まで解消したとは判断できません。

住宅で問題になるシロアリは、普段は人から見えない場所を利用しています。

ヤマトシロアリやイエシロアリでは、地中から建物へ入り、蟻道を通って木材へ到達することがあります。

アメリカカンザイシロアリでは、地面を経由せず木材内部、屋根裏、壁内、家具などで繁殖することがあります。

そのため、表面に出てきた個体だけを処理しても、木材内部や別の場所に残る個体・被害範囲を把握できません。

羽アリを見つけても、すぐ殺虫剤を大量にかけない方がよい

日本しろあり対策協会は、羽アリが発生した場合について、可能であれば殺虫剤をかけずにそのままにしておき、発生箇所を記録し、出てきた虫を一部保管して業者へ見せる方法を案内しています。

理由は、薬剤をかけることで虫が逃げ、発生位置など調査に役立つ情報が分かりにくくなる場合があるためです。

羽アリが大量に出ている場合は、まず、

  • どこから出ているか
  • 何時ごろ出たか
  • どの程度の数か
  • 窓の外から入ってきたのか、室内側から出てきたのか
  • 羽や虫体を一部残せるか

を記録しておく方が、その後の判定に役立ちます。

羽アリがシロアリか普通のクロアリか分からない場合は、シロアリの総合ページから見分け方を確認できます。

目の前の羽アリを減らしても「巣を駆除した」とは限らない

羽アリは、既存の集団から新しい繁殖場所を作るために飛び出す個体です。

家の中から多数出てきた場合、建物やその周辺にシロアリ集団が存在する可能性を確認する必要があります。

出てきた羽アリだけを殺虫剤で処理して姿が見えなくなっても、その発生源まで処理できたことにはなりません。

「見えなくなったから直った」と判断しないことが重要です。

自分で確認できるシロアリのサイン

日本しろあり対策協会は、一般の住宅所有者でも確認できるシロアリの手掛かりとして、複数の痕跡を挙げています。

蟻道

ヤマトシロアリやイエシロアリでは、地中から建物へ移動するため、基礎・束石・土台などに土で作られた道が見つかることがあります。

建物外周や点検しやすい基礎部分を、安全な場所から目視します。

蟻土

木材の割れ目や継ぎ目に土砂や排出物が詰められたような状態です。

羽アリ・大量の羽

住宅内や住宅周辺で羽アリがまとまって出る、窓際に多数の羽が残る場合は確認材料になります。

木材の食害

シロアリ被害を受けた木材では内部が食害されていることがあります。

ただし、確認のために柱や土台を自分で大きく削ったり切断したりする必要はありません。

床や建具の異常

被害が進行すると、床の沈みや建具の立て付け悪化などが現れることがあります。

これらは腐朽など別の原因でも起こるため、シロアリと断定する材料ではなく、点検を検討するサインとして扱います。

砂粒のような糞

アメリカカンザイシロアリでは、木材から砂粒状の乾いた糞が排出される場合があります。

ヤマトシロアリ・イエシロアリと同じ症状が出るとは限りません。

蟻道を見つけても全部壊さない

基礎などに蟻道らしいものを見つけると、中にシロアリがいるか確かめたくなるかもしれません。

しかし、調査前に蟻道を全面的に取り除いてしまうと、どこから侵入していたのかという情報を失います。

まず写真を撮り、位置を記録します。

専門点検を依頼する予定があるなら、その状態を見てもらえるよう残しておく方が調査しやすくなります。

また、構造材を削ったり穴を開けたりして奥まで追いかける方法は避けてください。

シロアリの既存被害は「見える場所だけ薬剤散布」では足りない場合がある

日本しろあり対策協会の防除方法では、既存建築物への標準的な処理として、大きく土壌処理と木部処理があります。

土壌処理

ヤマトシロアリやイエシロアリが地中から建物へ侵入するのを防ぐため、基礎内側や束石周辺など、通過する可能性がある土壌側を処理します。

木部処理

建物の木材へ処理を行う方法です。

状況によっては木材表面への処理だけではなく、木材や壁体への穿孔・薬剤注入が用いられる場合があります。

つまり、発見した蟻道や羽アリ発生箇所へ市販スプレーを吹きかけるだけの方法と、建物全体の必要範囲を確認して行う防除施工は同じではありません。

自分で床下へ潜って薬剤を散布する方法はおすすめしない

シロアリ対策のDIY記事には、床下へ入り、薬剤を広範囲へ散布する方法を紹介しているものもあります。

しかし、一般住宅の床下には、

  • 狭い空間
  • 配管
  • 電気配線
  • 断熱材
  • 基礎
  • 湿気やカビ
  • ほかの害虫・動物

などがあります。

また、シロアリ被害を受けている場所を自分で正確に判断し、必要な範囲へ均一な処理を行うことも簡単ではありません。

既存被害を確認している住宅で、DIYのために狭い床下へ無理に入り込む必要はありません。

構造材へ自分で穴を開けない

木部処理には、状況によって穿孔して薬剤を注入する方法があります。

これは「ドリルで適当に穴を開ければよい」という意味ではありません。

柱・土台・接合部などの構造材には住宅の強度に関係する部分があります。

DIY記事を参考にして構造材へ無計画に穴を開けたり、被害確認のため大きく削ったりする方法は避けてください。

市販のベイト剤なら完全駆除できる?

ベイト工法は、シロアリに薬剤を含んだ餌を摂取させ、集団そのものの死滅を目指す方法です。

日本しろあり対策協会も正式な防除方法の一つとして紹介しています。

ただし、専門的なベイト工法は、単に餌を一個置いて終わる方法ではありません。

シロアリを確認するためのステーション設置、活動状況の確認、必要な位置へのベイト剤設置、その後のモニタリングなどを含むシステムです。

市販のベイト製品を利用する場合も、製品の対象種、設置条件、確認方法、交換時期など、表示された使用方法に従ってください。

住宅内にすでに明確な蟻害がある状態で、「ベイト剤を置いたから建物全体の駆除は完了した」と自己判断することは避けた方がよいでしょう。

薬剤は「無害」ではない

シロアリ防除に使われる薬剤は、適切な方法で使用することが前提です。

日本しろあり対策協会も、アレルギー反応などは人によって異なるとして、使用予定の薬剤を確認し、必要に応じて医師へ相談するよう案内しています。

薬剤散布を避けたい場合には、ベイト工法など別の方法を業者へ相談する選択肢もあります。

DIYで使用する場合も、

  • 製品に表示された用途
  • 使用場所
  • 使用量
  • 換気
  • 保護具
  • 子ども・ペットへの注意

など、製品表示を守ってください。

複数の薬剤を自己流で混ぜたり、表示された使用量を大きく超えて散布したりする方法は避けます。

自分でやりやすいのは「駆除」より予防

既存のシロアリ被害を完全に処理することに比べ、住宅所有者自身が行いやすいのは、シロアリが利用しにくい環境を作ることです。

例えば、

  • 住宅周囲へ木材や段ボールを長期間放置しない
  • 床下換気口を物でふさがない
  • 雨漏り・漏水を放置しない
  • 建物周囲の湿気が続く原因を確認する
  • 定期的に基礎・外周の蟻道を確認する
  • 羽アリが出た時期・場所を記録する

といった対応です。

東京都保健医療局も、ヤマトシロアリ等の対策として、住宅周囲へ木材を放置しない、床下の通気をよくするなど、湿気をためないことを案内しています。

予防用の市販薬と、すでに発生している家の駆除は別

ホームセンターなどには「シロアリ予防」「シロアリ駆除」など複数の用途の製品があります。

購入時には、その商品が、

  • 予防用なのか
  • 直接見えている個体への処理なのか
  • 木部用なのか
  • 土壌用なのか
  • ベイト型なのか

を確認してください。

「シロアリ用」と書いてある製品なら一つで住宅全体を完全駆除できる、という意味ではありません。

羽アリが1匹いただけなら業者は不要?

羽アリが1匹飛び込んできただけなら、必ず建物内部でシロアリが繁殖しているとは限りません。

屋外から飛来した可能性もあります。

一方で、

  • 同じ場所から大量に出てきた
  • 壁・床・柱の隙間から出てきた
  • 毎年同じ場所で発生する
  • 蟻道もある
  • 床の沈みなど別の被害サインもある

場合は、建物内の被害を確認する意味があります。

まず羽アリそのものがシロアリか確認したい場合は、シロアリの総合ページから確認してください。

業者へ切り替えた方がよい状態

次のような状態では、DIYだけで終わらせず点検を検討した方がよいでしょう。

  • 住宅内から大量の羽アリが出た
  • 基礎や土台に蟻道がある
  • 柱・床・建具に異常がある
  • 木材内部の食害が見えている
  • 砂粒状の糞が繰り返し出る
  • 複数箇所に被害サインがある
  • 毎年羽アリが発生する
  • 被害範囲が分からない
  • 床下へ入らなければ確認できない
  • 自宅がヤマトシロアリかアメリカカンザイシロアリか分からない

このような場合は「どの薬を買うか」より、被害範囲と種類を確認することが先です。

無料点検を利用する方法もある

シロアリ業者には、無料の床下調査や見積もりを実施している会社があります。

点検を受けたからといって、その場で施工契約をする必要はありません。

調査を依頼する場合は、

  • どこにシロアリがいたか
  • 蟻道はどこにあるか
  • 被害範囲はどこまでか
  • 写真・動画を見せてもらえるか
  • どの種類のシロアリを疑っているか
  • どの工法を行うか
  • どの範囲を施工するか

を確認します。

無料点検については業者選びのページでも、契約前の確認項目を整理しています。

業者施工なら何をする?

一般的な既存住宅のシロアリ施工では、建物や種類によって方法が変わります。

代表的なのが、

土壌処理

シロアリが地中から侵入しにくくするため、必要な土壌部分を処理します。

木部処理

木材表面への処理や、必要に応じて内部への処理を行います。

ベイト工法

シロアリの集団へ薬剤を持ち帰らせ、集団全体を抑えることを目的とする方法です。

どの方法が適しているかは、シロアリの種類、建物構造、被害箇所、薬剤への希望などによって変わります。

費用を抑えたいなら「自力施工」以外にも方法がある

専門施工の費用が気になる場合、自分で全面施工する以外にも費用を抑える方法があります。

複数社へ同じ条件で見積もりを依頼し、

  • 施工対象面積
  • ㎡単価
  • 工法
  • 追加料金
  • 保証期間
  • 再発時の対応

を比較します。

施工範囲の違う見積もりを単純に金額だけで比較しないことも重要です。

シロアリ駆除の料金については害虫・害獣駆除の費用・相場も参考にしてください。

よくある質問

シロアリは市販薬で完全駆除できますか?

目の前にいる個体へ作用する市販薬はありますが、それだけで木材内部・壁内・地中などを含めた建物全体の被害が解消したとは判断できません。既存被害が確認できる場合は専門点検を検討してください。

羽アリに殺虫剤をかけてはいけませんか?

日本しろあり対策協会は、可能であればそのままにし、発生場所を記録して個体を保管するよう案内しています。殺虫剤を使用する場合も、発生箇所の記録を残してください。

蟻道を壊してシロアリを確認してよいですか?

調査前に全面的に壊すことは避けた方がよいでしょう。侵入経路を判断する情報が失われます。まず写真と位置を記録してください。

床下へ自分で入って薬剤をまけば安く済みますか?

費用だけなら薬剤購入費で済む場合がありますが、被害範囲・種類・必要処理を正しく判断する必要があります。狭い床下への侵入や広範囲の薬剤散布には安全面の問題もあるため、本サイトではDIY施工手順を推奨していません。

ベイト剤なら素人でも駆除できますか?

市販のベイト製品は表示どおり利用できますが、専門的なベイト工法はモニタリングと継続管理を含むシステムです。既存の住宅被害が確認されている状態では、ベイト剤を置いただけで駆除完了とは判断しないでください。

薬剤を使いたくない場合はどうすればよいですか?

薬剤散布量を抑える方法としてベイト工法などがあります。薬剤へのアレルギーや健康面の懸念がある場合は、使用薬剤を確認したうえで施工業者や必要に応じて医師へ相談してください。

シロアリ駆除に資格は必要ですか?

法律上、シロアリ駆除に特定の資格が必須というわけではありません。一方、日本しろあり対策協会には「しろあり防除施工士」の資格制度があり、業者選びの確認材料の一つになります。

DIYで大切なのは「無理に完全駆除しようとしないこと」

シロアリ対策で住宅所有者自身ができることは少なくありません。

羽アリや蟻道を記録する、住宅周囲を点検する、木材や段ボールを地面付近へ放置しない、湿気や漏水を改善するといった対応は、自分でも行えます。

一方、すでに蟻道・大量の羽アリ・木材被害・床の異常などがある場合は、見えている虫だけを市販薬で処理して終わらせない方がよいでしょう。

シロアリ防除では、被害範囲を確認し、必要に応じて土壌処理、木部処理、ベイト工法などを使い分けます。

自分でできる初動と専門施工を分けることで、無駄な薬剤使用や、被害を見逃したまま時間が経つことを避けやすくなります。

シロアリらしい痕跡がある場合は、まず写真と位置を記録し、シロアリの総合ページでサインを確認してください。被害が疑われる場合は、点検を受けたうえで費用と施工方法を比較する流れが適しています。

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この記事を書いた人

住宅で発生する害獣・害虫トラブルについて、公的機関・自治体・専門団体・学術情報などを確認しながら情報を整理しています。症状から原因を考え、安全な対処や専門業者へ相談する判断材料を提供することを目的としています。

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