蜂の巣を見つけると、「直径10cmならまだ大丈夫?」「20cmを超えたら危険?」と、大きさで判断したくなることがあります。
しかし、蜂の巣には「○cm以上なら危険、○cm未満なら安全」という共通の基準はありません。
同じ種類の蜂であれば、一般に巣が成長するにつれて働き蜂も増えるため、大きな巣ほど注意が必要になる傾向はあります。
一方で、小さなスズメバチの巣でも安全とは限らず、反対に冬に残った大きな空の巣なら活動中の巣とは状況が違います。
危険度を考えるときは、巣の大きさに加えて、蜂の種類、季節、出入りする蜂の数、巣の場所、人が近づく頻度を確認します。
蜂の巣は大きいほど危険なのか
同じ蜂の巣が春から夏・秋へ成長していく過程では、大きくなるにつれて働き蜂が増え、巣の活動も活発になる傾向があります。
横浜市は、春のスズメバチの巣では最初の働き蜂が羽化するまで女王蜂1匹で巣作りを行い、その後、巣が大きくなるにつれて働き蜂も増えると案内しています。
練馬区では、スズメバチの巣について、初期には1匹ないし数匹が出入りしているのに対し、9〜10月の最盛期には直径20〜30cmほどになり、多くの蜂が出入りする状態を紹介しています。
その意味では、同じ種類・同じ巣を比較すれば、大きな巣は警戒度を高く考える材料になります。
ただし、危険度を大きさだけで決定することはできません。
蜂の巣に「何cmから危険」という共通基準はない
自治体の資料を比べても、巣の大きさにはかなり幅があります。
| 蜂・段階 | 自治体資料で見られる大きさの例 | 考え方 |
|---|---|---|
| スズメバチの初期巣 | 約7〜10cm程度の例 | 小さいが安全とは限らない |
| スズメバチの夏〜秋の巣 | 20〜30cm程度、種類・条件によって50cm以上の例 | 働き蜂が増え、警戒が必要 |
| アシナガバチの初期巣 | 約3〜5cm程度の例 | 巣穴が露出する小型の巣 |
| アシナガバチの成長した巣 | 10cm程度から20〜30cm以上になる例 | 蜂数が増える時期は刺激しない |
これらは、特定の種類・地域・時期で確認された目安です。
「直径9cmだから安全」「10cmを超えた瞬間に危険」といった線引きには使わないでください。
スズメバチは約10cmでも安全とは言えない
横浜市港北区は、4〜7月頃のスズメバチの巣を直径約7cm程度の逆さとっくり型とし、約10cmになると最初の働き蜂が羽化し始める例を案内しています。
つまり、10cm程度は「まだ小さいから蜂は女王1匹だけ」とは限らない大きさです。
さらに神戸市は、スズメバチについて、女王蜂だけで作っている小さい巣であっても、処置を誤れば危険な場合があると注意しています。
スズメバチと分かっている、または強く疑う場合は、巣の直径だけを見てDIYの可否を決めない方が安全です。
20〜30cmのスズメバチの巣は働き蜂が多い時期と重なりやすい
練馬区では、スズメバチの巣は9〜10月の最盛期に直径20〜30cmほどになり、多くの蜂が出入りするようになると説明しています。
横浜市港北区でも、8〜11月頃の巣を20〜30cm程度、それ以上に大きくなる場合もあるとしています。
大田区は、スズメバチについて、巣へ近づくだけで威嚇する場合があり、特に晩夏から秋に注意するよう案内しています。
そのため、夏〜秋に20〜30cm程度のボール型・マーブル模様の巣を見つけ、多数の蜂が出入りしている場合は、近づいて大きさを測ろうとせず、自治体や専門業者への相談を優先します。
50cm近い巣になるスズメバチもいる
横浜市青葉区は、スズメバチの巣について、7〜10月頃には50cmほどまで大きくなる場合があると案内しています。
立川市も、スズメバチの巣を10cm〜50cm以上としています。
ただし、すべてのスズメバチの巣が50cmになるわけではありません。
蜂の種類、営巣場所、季節、巣の状態によって大きさは変わります。
大きな巣を見つけた場合に重要なのは、正確な直径を測ることではなく、近づかず人の生活動線を避けることです。
アシナガバチは3〜5cmから大きくなる
アシナガバチの巣は、六角形の巣穴が外から見える、シャワーヘッドや逆さのおわんのような形が特徴です。
練馬区は、作り始めの巣を4〜5cm程度、初夏を10cm程度とし、その後さらに大きくなるとしています。
立川市では、初期巣約3cmから、成長すると30cm以上になる例を紹介しています。
神戸市は、アシナガバチについて7月下旬〜8月中旬頃に巣の大きさと働き蜂の数がピークとなり、この時期は巣を刺激して刺されることが多いと注意しています。
スズメバチより一般的に攻撃性は低いものの、大きなアシナガバチの巣を「アシナガバチだから安全」と考えることも避けます。
小さい巣なら安全というわけではない
小さい巣は、春の営巣初期である場合があります。
この時期は働き蜂の数が少なく、夏〜秋の成熟した巣と比べれば対処しやすい条件になる場合があります。
しかし、
- スズメバチの巣である
- 種類が分からない
- すでに複数の蜂が出入りしている
- 玄関・物干し・通路のすぐ近くにある
- 高所にある
- 屋根裏・壁内・床下など見えない場所に続いている
場合は、小さくても安全なDIY対象とは考えません。
「小さい巣」の形や女王蜂1匹の時期については、関連記事公開後に専用記事へ分岐します。
巣の大きさより蜂の出入り数を見る
巣の大きさを数cm単位で測るより、離れた場所から蜂の活動状況を見る方が判断材料になります。
たとえば、
- 1匹だけが時々出入りする
- 複数の蜂が頻繁に往復している
- 巣の表面に多数の蜂がいる
- 同じ穴から次々と蜂が出入りしている
では状況が異なります。
特にスズメバチで多数の働き蜂が出入りしている場合は、巣へ近づいて大きさを確認し直す必要はありません。
危険度は「種類×大きさ×時期×場所」で考える
| 確認項目 | 警戒度を上げたい状態 |
|---|---|
| 蜂の種類 | スズメバチ、または種類不明 |
| 巣の大きさ | 初期より明らかに成長し、多数の蜂がいる |
| 季節 | 夏〜秋、特にスズメバチの活動が活発な時期 |
| 蜂の数 | 複数〜多数が頻繁に出入りしている |
| 場所 | 玄関、通路、物干し、子どもの遊び場など |
| 施工条件 | 高所、屋根裏、壁内、床下、地中 |
| 健康面 | 蜂刺傷で強いアレルギー反応を起こしたことがある人がいる |
このうち複数が重なる場合は、巣の直径が小さくても専門相談へ切り替えます。
玄関や通路の近くなら小さい巣でも問題になりやすい
蜂は、巣から十分離れて生活できる場合と、毎日の生活で巣の近くを通らなければならない場合では、人と接触する可能性が違います。
立川市は、通路など日常生活に支障のある場所へ巣ができた場合は、早めの除去を勧めています。
大田区や川崎市も、生活に支障がある場所、人に危害が及ぶ可能性が高い位置かどうかを対応判断の要素としています。
そのため、5cmの巣が人の来ない高い場所にあるケースと、同じ5cmでも玄関ドア横にあるケースを同じ危険度として扱う必要はありません。
高所や屋根裏なら大きさに関係なくDIYしない
巣の直径が小さくても、
- 2階の軒下
- 屋根
- 脚立やはしごが必要な場所
- 天井裏
- 壁の中
- 床下
- 土の中
にある場合は、自分で近づいて確認・駆除する範囲から外した方がよいでしょう。
蜂による危険だけでなく、転落や建物内部での作業リスクもあります。
蜂の巣ができやすい住宅部位を確認したい場合は、住宅の場所から害獣・害虫を探すページも参考になります。
大きな巣でも冬の空巣なら状況は違う
大きな巣を見つけても、常に活動中とは限りません。
スズメバチやアシナガバチは、寒くなると新女王蜂以外の個体が死に、使われていた巣は空になります。
立川市は、空になった巣は翌年以降再び利用されないと案内しています。
そのため、冬に大きなボール型の巣を見つけても、活動中の夏〜秋の巣と同じ状態ではありません。
ただし、時期だけで空巣と断定せず、安全な距離から蜂の出入りがないことを確認してください。
高所にある古巣を「空だから」と脚立で取りに行く必要もありません。
20〜30cmの蜂の塊は巣とは限らない
春に庭木や軒下へ、20〜30cm程度の大量のミツバチが塊になっていることがあります。
練馬区は、これはミツバチの「分蜂」で、巣分かれした群れが一時的に集合している場合があると説明しています。
早ければ数時間、長くても数日で移動するケースがあります。
つまり、
20〜30cmの大きな蜂の塊=20〜30cmの危険なスズメバチの巣
とは限りません。
蜂の塊なのか、紙状・蝋状の巣そのものなのかも確認します。
巣の大きさを測るために近づかない
「何cmあるか確認したい」と思っても、巣へ定規やメジャーを近づける必要はありません。
安全な場所から写真を撮れる場合は、
- 軒板
- 雨どい
- 窓枠
- エアコン室外機
など周囲の大きさが分かる物と比較し、概算で十分です。
正確な直径が分からなくても、
- ボール型か
- 外皮があるか
- 六角形の巣穴が露出しているか
- 蜂が何匹程度出入りしているか
- どこにあるか
の方が安全判断には役立ちます。
巣の形も一緒に確認する
大きさだけでは蜂種を判断できません。
ボール型・マーブル模様ならスズメバチを疑う
成長したスズメバチの巣は、外側が紙状の外皮で覆われ、ボール型・マーブル模様になり、出入口が限られるのが代表的な特徴です。
六角形の穴がむき出しならアシナガバチを疑う
アシナガバチの巣は外皮で覆われず、下側から六角形の巣穴が多数見えます。
種類そのものを詳しく見分けたい場合は、関連記事公開後に蜂の巣識別記事へ分岐します。
自分で撤去できるかは巣の大きさだけで決めない
自治体によっては、小さく手が届く場所のアシナガバチの巣について、自力対応を案内しているところがあります。
一方、港区や神戸市などはスズメバチの巣について、専門業者への依頼を勧めています。
この違いからも、
「10cm未満ならDIY、10cm以上なら業者」
のような一律の基準にはできません。
本サイトでは、次の場合は大きさに関係なく自力駆除を勧めません。
- スズメバチと考えられる
- 蜂の種類が分からない
- 複数の蜂が頻繁に出入りする
- 夏〜秋の活動期
- 玄関・物干し・通路の近く
- 高所
- 屋根裏・壁内・床下・地中
- 蜂刺傷に強いアレルギー反応を起こしたことがある人がいる
蜂に刺された場合
蜂に刺された場合は、その場から離れて安全を確保します。
日本赤十字社は、蜂に刺された場合には医師の診療を受け、針が残っていれば早めに除去し、冷やすことなどを案内しています。
一匹に刺されただけでも、体質によって重いアレルギー反応が起こる場合があります。
東京消防庁は、
- 息が苦しい
- 唇や舌が腫れる
- 飲み込みにくい
- 意識がない・反応がおかしい
- 以前、同じ昆虫に刺されて重いアレルギーを起こしたことがある
などの場合、119番による救急要請を勧めています。
蜂の巣の危険度を判断する流れ
- 巣へ近づかない
大きさを正確に測る必要はありません。 - 巣の形を見る
ボール型・マーブル模様か、巣穴が露出した形かを安全な位置から確認します。 - おおよその大きさを見る
周囲の建材等と比較する程度にします。 - 蜂の出入り数を見る
多数が頻繁に往復している場合は接近しません。 - 時期を見る
夏〜秋の成熟期は特に注意します。 - 巣の場所を見る
玄関・通路・高所・閉鎖空間なら相談優先です。 - 自治体・専門業者へ切り替える
スズメバチ疑い、種類不明、蜂多数などは自己処理しません。
蜂対策全体については蜂・蜂の巣対策、費用を確認する場合は害獣・害虫駆除の費用・相場、依頼先を比較する場合は害獣・害虫駆除業者の選び方も参考にしてください。
よくある質問
蜂の巣は何cmから危険ですか?
全国共通の「○cm以上」という基準はありません。スズメバチでは約10cmで働き蜂が羽化し始める例があり、夏〜秋には20〜30cm以上へ成長しますが、小さい巣でも安全とは限りません。蜂種・時期・蜂数・場所を合わせて判断します。
直径10cmの蜂の巣は自分で取れますか?
10cmという数字だけでは判断できません。スズメバチの巣なら初期〜働き蜂が出始める段階の場合があり、種類不明なら近づかない方がよいでしょう。アシナガバチでも高所や蜂数が多い状態ならDIYを勧めません。
20cmの蜂の巣は危険ですか?
20cm程度まで成長したスズメバチの巣は、夏〜秋の働き蜂が増えた時期と重なる場合があります。アシナガバチでも成長した巣の可能性があります。大きさだけではなく蜂の種類と出入り数を確認し、近づかず相談を検討してください。
30cm以上ならスズメバチですか?
大きさだけでは種類を確定できません。立川市ではアシナガバチの巣も30cm以上になる例を案内しています。ボール型の外皮・マーブル模様なのか、六角形の巣穴が露出しているのかも確認します。
小さいスズメバチの巣なら危なくないですか?
安全とは言えません。神戸市も、小さいスズメバチの巣であっても処置を誤れば危険と注意しています。種類がスズメバチと分かっている場合は、大きさだけで自力対応を決めないでください。
大きな巣を冬に見つけました。危険ですか?
スズメバチ・アシナガバチでは、冬に空になった巣は翌年再利用されません。ただし、時期だけで空巣と断定せず、蜂の出入りがないかを安全な距離から確認します。高所なら無理に撤去する必要はありません。
木に20〜30cmくらいのミツバチの塊があります。大きな巣ですか?
分蜂による一時的な蜂の集合で、巣ではない場合があります。ミツバチの分蜂は数時間〜数日で移動することがあります。刺激せず、長く留まる場合は自治体等へ相談してください。
蜂の巣の大きさを測りに近づいてもよいですか?
近づく必要はありません。周囲の建材等と比較しておおよその大きさが分かれば十分です。特にスズメバチ疑い、多数の蜂、高所・閉鎖空間では接近しないでください。
