「シロアリかもしれないので一度見てもらいたい。でも、無料点検を頼んだらそのまま高額な工事を勧められそうで不安」という人は少なくありません。
シロアリ業界では、床下調査や見積もりを無料で行うサービス自体は珍しくありません。実際に2026年9月時点で、複数の大手事業者が無料の床下調査・診断・見積もりを公式に案内しています。
ただし、「無料」という言葉だけで安心できるわけでもありません。突然訪問してきた事業者が無料点検を口実に床下へ入り、その後に不安をあおって高額な工事を契約させる「点検商法」の相談も続いています。
無料点検を使うときは、無料か有料かだけでなく、誰に頼むのか、何を調べてもらえるのか、点検後の見積もりをどう判断するのかまで確認しておくことが重要です。
シロアリそのものの特徴、蟻道、羽アリなどについては、シロアリ対策の総合ガイドもあわせて確認してください。
シロアリの無料点検は本当に無料?
公式サイトから自分で申し込むシロアリ点検では、調査費や見積もりを無料としている事業者があります。
2026年9月14日時点で確認できる例は次のとおりです。
| 事業者 | 無料と案内している内容 | 調査内容など |
|---|---|---|
| アサンテ | 床下診断・見積もり | シロアリの有無・被害、床下の湿気、家屋の傷み、外周などを確認。シロアリ・湿気調査は約1時間 |
| サニックス | 床下調査・家屋調査 | 床下や天井裏を確認し、調査報告書や画像を使って説明 |
| ダスキン | シロアリ無料診断・無料訪問見積もり | 建物の状態を調査したうえで、必要な施工方法と見積もりを提示 |
つまり、「点検費0円で住宅の状態を調べ、その後に必要であれば有料の施工を提案する」という仕組みは実際にあります。
アサンテも、調査後に何らかの対策が必要な場合は見積書を提出し、施工は利用者と相談したうえで行うと明記しています。
無料点検を受けたからといって、その場で施工契約までしなければならないわけではありません。
「無料」になる範囲は会社ごとに確認する
無料点検と書かれていても、すべての条件が同じとは限りません。
予約前に、少なくとも次の内容を確認しておくと安心です。
- 床下調査そのものは0円か
- 見積書の作成も0円か
- 出張費はかからないか
- 対応エリア外では費用が発生しないか
- 駐車場代などの実費が発生する可能性はあるか
- 点検だけで契約しなくてもよいか
- 点検結果の写真や報告書を受け取れるか
「無料点検」という表示だけを見るのではなく、公式サイトの条件や予約時の説明まで確認してください。
電話で依頼するときも、「点検と見積もりだけの場合に費用は一切かかりませんか」と先に聞いておくと認識の違いを防ぎやすくなります。
シロアリの無料点検では何を見る?
床下点検では、単にシロアリ本体を探すだけではありません。
事業者によって範囲は異なりますが、一般的には次のような場所や痕跡を確認します。
シロアリや蟻道の有無
シロアリは地中や木材内部で活動するため、室内で本体を見つけられないこともあります。
床下の基礎、土台、束柱などを確認し、地面から木材方向へ延びる蟻道がないか、シロアリが活動している痕跡がないかを調べます。
木材の食害
木材表面だけでは分かりにくい食害がないか、土台や柱などを確認します。
床が沈む、柱や木部を叩いたときに内部が空洞になったような音がするといった症状がある場合、その周囲も重点的な確認対象になります。
床下の湿気・腐朽
シロアリ点検では、床下の湿気、水漏れ、木材の腐朽なども確認する事業者があります。
ただし、湿気があるだけでシロアリ被害があるとは判断できません。
「湿気が多いから必ず換気扇が必要」「調湿材を入れなければ家が危険」などと、その場で追加工事を決める必要はありません。
建物外周
アサンテでは、外部からシロアリが侵入していないか家屋の外周も確認するとしています。
基礎付近、木材と地面が近い場所、ウッドデッキ、配管まわりなどが確認対象になることがあります。
無料点検にはどのくらい時間がかかる?
住宅の広さや構造によって異なります。
アサンテは、シロアリや湿気に関する調査を「1時間程度」と案内しています。
床下へ入る準備、調査、撮影、結果説明まで含めれば、余裕を持った時間を確保しておく方がよいでしょう。
一方、床下が極端に狭い、点検口がない、荷物で点検口へ入れないなどの場合は、通常の調査ができないことがあります。
点検口を新しく作るなど建物へ手を加える必要が出た場合は、それが無料点検に含まれるのか、別料金なのかを確認してください。
どんなときに無料点検を頼むとよい?
明らかなシロアリ被害がある場合だけでなく、次のような状況では専門業者による確認を検討できます。
- 大量の羽アリが室内から出てきた
- 基礎や木材に蟻道らしいものがある
- 床が一部沈む、ふわつく
- 柱や木部に不自然な食害がある
- 以前の防蟻施工から長期間経過している
- 過去のシロアリ施工履歴が分からない
- 中古住宅を購入し、床下の状態が不明
羽アリを見つけても、すべてがシロアリとは限りません。クロアリの羽アリと間違うこともあるため、先にシロアリの羽アリの見分け方を確認する方法もあります。
無料点検そのものが怪しいわけではない
「無料で家まで来て点検するなら怪しいのでは」と感じるかもしれませんが、無料調査を営業入口として提供している会社は実際にあります。
重要なのは、無料かどうかより、依頼までの経緯と点検後の対応です。
たとえば、
- 自分で公式サイトを調べて申し込んだ
- 会社名・所在地・連絡先が確認できる
- 無料になる範囲が事前に明示されている
- 調査内容を写真・画像で説明してくれる
- 見積書を持ち帰って検討できる
- 契約を断っても問題ない
という無料点検と、突然訪問してきて「今すぐ点検しないと危ない」と家に入ろうとするケースでは性質が違います。
突然来た「シロアリ無料点検」は慎重に対応する
国民生活センターは、「今なら無料で点検します」などと点検を承諾させ、その後に「このままでは大変なことになる」などと不安をあおって商品やサービスを契約させる手口を「点検商法」と説明しています。
点検商法はシロアリだけに限られません。
国民生活センターが2026年7月31日に更新した集計では、点検商法に関する相談は2025年度19,696件、2026年度も5月31日時点で2,193件登録されています。
シロアリ無料点検を利用すること自体を避ける必要はありませんが、自分から依頼していない突然の訪問には特に注意してください。
「シロアリがいる」と言われてもその場で契約しない
東京都は過去に、「シロアリの無料点検に伺います」と告げて住宅を訪問し、床下を点検した後に「このまま放置すると家が壊れる」などと不安をあおり、リフォーム工事を勧誘していた事業者に対して行政処分を行っています。
大阪府も、「無料で点検」などを口実に訪問し、点検後に不安をあおって新たな契約をさせる手口について注意を呼びかけています。
次のような勧誘があれば、一度その場から離れて検討する方が安全です。
- 「今日契約すれば安くなる」と即決を求める
- 「今すぐ工事しないと家が倒れる」など強い不安をあおる
- 見積もりの内訳を出さない
- 写真を見せるだけで場所や被害範囲を説明しない
- シロアリ対策とは別の床下換気扇、調湿材、基礎補強などを次々追加する
- 他社へ相談することを嫌がる
- 契約を断ってもしつこく居座る
実際に被害があったとしても、その会社と当日に契約しなければならない理由は通常ありません。
床下写真を見せてもらうときに確認したいこと
床下は自分では見えにくいため、写真や動画は重要な判断材料になります。
ただし、「被害写真を見せられたから間違いない」と即断しない方がよいでしょう。
国民生活センターでも、点検商法の相談事例として「見せられた床下映像が本当に自宅のものだったのか疑問」というケースが公表されています。
点検結果の説明を受けるときは、
- どの部屋の下で撮影した写真か
- 蟻道はどこにあるか
- 生きたシロアリを確認したのか
- どこまで食害されているのか
- 写真に自宅の基礎や配管など位置を特定できるものが写っているか
- 写真や調査報告書を持ち帰れるか
を確認すると、別の業者へ相談するときにも使いやすくなります。
無料点検後の見積もりは何を見る?
シロアリが確認され、駆除や予防施工を提案された場合は、総額だけでなく施工内容を確認します。
- 施工対象となる床面積
- 1㎡または1坪あたりの単価
- 駆除なのか予防なのか
- 使用する工法
- 使用薬剤
- 玄関・浴室など床下から施工できない場所の処理
- 追加料金が発生する条件
- 施工後の保証期間
- 再発時の対応
- 定期点検が含まれるか
駆除料金の具体的な相場については、シロアリ駆除の費用で分けて整理しています。
無料点検の記事で施工費用まで詳しく扱うと検索意図が重なるため、見積もりを受け取った段階で料金記事へ進む構成にしています。
相見積もりするなら同じ条件で比べる
無料点検を利用する場合でも、最初の1社だけで契約を決める必要はありません。
被害状況が緊急でなければ、2〜3社から調査・見積もりを取ることで、施工範囲や金額が妥当か比較しやすくなります。
ただし、単純に最安値だけを選ぶのではなく、
- 被害範囲の説明が一致しているか
- 施工面積が同じか
- 工法が同じか
- 薬剤処理の範囲が同じか
- 保証条件が同じか
を揃えて比べてください。
一方の見積もりには玄関処理や保証が含まれ、もう一方には含まれていない場合、総額だけを比較しても高い・安いを判断できません。
業者を比較するときの基本は、害虫・害獣駆除業者の選び方でも確認できます。
業者選びでは資格・登録も確認材料になる
公益社団法人日本しろあり対策協会には、「しろあり防除施工士」という資格制度があります。
同協会によると、しろあり防除施工士はシロアリの生態、木材と腐朽、防除薬剤、施工、建築などに関する知識を学び、防除施工標準仕様書に沿った施工を行う技術者の資格です。
また、同協会は都道府県別に登録施工業者会員の名簿を公開しています。
資格を持つ担当者がいることや、協会の登録施工業者であることは、業者を調べる際の一つの確認材料になります。
ただし、資格や協会への登録だけで、料金・対応・施工品質のすべてが保証されるわけではありません。
会社情報、見積内容、保証、説明の分かりやすさなどと合わせて判断してください。
保証期間中の「無料点検」と初回の無料点検は別
シロアリ業者の無料点検には、初めて依頼する人向けの床下診断と、施工後の保証期間中に行う定期点検があります。
たとえばアサンテは、通常の無料床下診断とは別に、シロアリ防除施工後の保証期間中に定期点検を行っています。
サニックスも、保証期間中の年1回無料点検を案内しています。
すでに過去にシロアリ工事をしている場合は、新しい業者へ依頼する前に、以前の施工会社の保証が残っていないか確認してください。
保証内であれば、再調査や再施工を受けられる可能性があります。
訪問販売で契約してしまった場合はクーリング・オフを確認
国民生活センターは、訪問した事業者から「シロアリがいる」と写真を見せられて駆除契約をしたケースについて、特定商取引法の対象となる訪問販売であれば、法定書面を受け取った日を1日目として8日以内ならクーリング・オフできると案内しています。
8日を過ぎていても、事実と異なる説明で契約させられた場合など、取り消しが可能になるケースがあります。
不安な場合は事業者とだけやり取りを続けず、消費者ホットライン「188」などへ相談してください。
シロアリ無料点検についてよくある疑問
シロアリ点検だけ頼んでも大丈夫ですか?
点検・見積もりを無料で行い、施工は利用者と相談したうえで行うと公式に明記している会社があります。予約時に「今回は点検と見積もりだけでも問題ないか」を確認しておけばより安心です。
シロアリがいなかった場合も料金はかかりませんか?
無料調査を明示している会社では、調査結果としてシロアリが確認されなかった場合でも調査費を取らないサービスがあります。ただし、出張条件や地域などは会社ごとに異なるため、予約前に確認してください。
無料点検は断りにくくなりませんか?
点検を受けたことと施工契約は別です。見積書を受け取って持ち帰り、他社と比較できます。その場で契約を迫る、断ってもしつこく勧誘する事業者であれば、契約しない方が安全です。
突然「近所でシロアリが出たので無料点検します」と来た場合は?
その場で家に入れる必要はありません。近所でシロアリが出たことだけで、自宅にも被害があるとは判断できません。必要なら、自分で会社を調べ、公式の連絡先から改めて点検を申し込んでください。
点検でシロアリが見つかったらすぐ工事した方がいいですか?
被害への対応は必要ですが、「今日契約しなければ手遅れになる」といった説明だけで即決する必要はありません。被害箇所、施工範囲、見積内容を確認し、必要に応じて別の専門業者にも調査を依頼します。
羽アリが出たら無料点検を頼んだ方がいいですか?
大量の羽アリが建物内部から発生した場合は、確認を検討する理由になります。ただしクロアリの羽アリである可能性もあるため、可能であれば虫の写真や現物を残しておくと判断材料になります。
無料点検は「無料か」より「誰にどう頼むか」が重要
シロアリの無料点検は、現在も複数の専門事業者が提供している通常のサービスです。
床下を自分で確認することが難しい住宅では、シロアリの有無や被害状況を把握する方法として利用できます。
一方で、「無料点検」という言葉は点検商法の入口として使われることもあります。
利用するときは、
- 自分で公式サイトや正式な連絡先を確認して依頼する
- 無料になる範囲を予約前に確認する
- 点検結果を写真や報告書で確認する
- その場で施工契約を決めない
- 見積もりの施工範囲と保証条件を見る
- 必要なら2〜3社を同条件で比較する
という流れにすると、無料点検を利用しながら不要な契約のリスクを抑えやすくなります。
すでにシロアリ被害が確認されていて、施工料金を比較したい場合はシロアリ駆除の費用へ進んでください。
参考情報(2026年9月14日確認)
- 国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」
https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/reformtenken.html - 国民生活センター「『シロアリがいる』と写真を見せられ、訪問した業者に駆除を依頼した。解約したい。」
https://www.faq.kokusen.go.jp/faq/show/1135?site_domain=default - 東京都「『シロアリの無料点検に伺います』などと無料点検を口実に訪問し、リフォーム工事を勧誘する事業者に6か月の業務停止命令」
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/torihiki/shobun/shobun211026.html - 大阪府「床下点検に来た訪問販売業者とのシロアリ駆除契約」
https://www.pref.osaka.lg.jp/faq/faq_002103.html - 株式会社アサンテ「調査について」
https://www.asante.co.jp/qa/qa02.html - 株式会社サニックス「シロアリ消毒(予防・駆除)」
https://sanix.jp/home-service/termite - ダスキン「シロアリ自己診断」
https://www.duskin.jp/special/terminix/selfcheck/result/1/ - 公益社団法人 日本しろあり対策協会「しろあり防除施工士」
https://www.hakutaikyo.or.jp/jigyou/sekoushi - 公益社団法人 日本しろあり対策協会「会員名簿」
https://www.hakutaikyo.or.jp/meibo
※無料点検の条件、対応エリア、サービス内容は変更されることがあります。依頼時点の公式情報を確認してください。
